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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
545 灼熱と極寒のダンジョン 1 静かな氷窟
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ここには三種類の温泉があり、建物内に男女別々の大浴場がそれぞれ二ヶ所ずつと、外に乳白色の混浴温泉が一ヶ所のある。
混浴温泉は雪景色を見ながら入れるので、家族連れや老夫婦が多い。
入浴着を着ているとはいえ、見ず知らずの他人の男性と共に入るのは流石に恥ずかしく、四人は室内の温泉を選んだ。
とろみのある温泉は肌がツルツルになり、種族年齢問わず女性に人気の泉質となっている。
アレナリアも浅い場所に座り、自分の腕や足を触って滑らかになるのを感じ、ニヤニヤとしながら妄想してボソボソと独り言を。
周囲の客はその様子を見て、アレナリアか距離を取り離れていった。
「うわ、あれまたカズとエロいことするの考えてるよ。構ってもらってないから、わからなくもないけど。ビワはどうなん?」
「え! わ…私はそんなこと……」
レラの問いにビワは否定するも、何を思い浮かべたのか顔を赤くする。
「ここも良いけど他も行こうよ。でないと、アレナリアの顔がどんどんキモくなってく。それにヒューケラを見てよ、ダメなアレナリアの一面見て引いてきてるしょ」
「そ…そうね。他のお客さんにも離れていってるみたいだし、アレナリアさん連れて他に行きましょう」
レラがアレナリアの顔に温泉をぶっかけて妄想の世界から引き戻し、今の状況を理解させる。
我に反ったアレナリアを連れて、四人は着替えて他の温泉施設に移動した。
この日だけで三ヶ所、五種類の温泉を楽しんだ。
四人が温泉街を回り楽しんでいる頃、カズは灼熱と極寒のダンジョンがある雪山を、フジに乗り周囲の様子を確かめてから地上に降りた。
ダンジョン出入口の洞窟も豪雪で埋まってしまい、探しだして掘り出すのに時間が掛かってしまった。
フジの羽ばたきで突風を起こす、火魔法で雪を溶かす、そのどちらにしても、一歩間違えば雪崩になってしまう。
ダンジョンに入れるように出入口の雪をせっせと取り除き、フジには戻って来るまで自由にするよう伝えた。
ただし騒ぎになるので、人里や温泉街の方には行かないようにと。
氷が張り巡らされた洞窟に入り〈ライト〉で光の玉を作り出して、足下に気を付けながら100メートル進んだ所で、脱出魔法が使えるか確めるため〈エスケープ〉使用した。
周囲の景色が変わり、脱出魔法が使える事が分かった。
ただライトで出した光の玉は、一緒に移動する事はなく、元居た場所に置き去り。
ダンジョンの出入口からエスケープを使った場所に戻るも、光の玉は魔力切れで無くなっていた。
ここに来る前日帝都の冒険者ギルド本部に行き、職員のサイネリアから内部の通路が書かれたダンジョンマップの複写を受け取った。
ある程度の所までは、それを参考に進めると。
当然渡されたダンジョンマップに書かれてない場所を見付けたり、進んだら書き足すように言われている。
カズは【マップ】のスキルがあるので、書き足すのは帝都の家に戻ってからする事に決めていた。
危険なダンジョン内に一人で入っているのだから、呑気にダンジョンマップを書き足す事なんてしない。
更にサイネリアからの助言で、氷の上を歩くのに必要な、金属製の滑り止めが付いた靴を買うよう言われ、売っている店に見に行った。
だが思っていたのと違い、長靴のような形をした金属製の重く動き辛い物だった。
底はキザギサの溝がある程度で、滑り止めの機能があるとはあまり思えなかった。
ただ魔力込める事で滑り止めの効果が高まる、革と金属の両方を使って作られた靴はあったが、一足金貨三十枚と高価だった。
そこでアイテムボックスの肥やしになっていた魔鉄鉱石を素材に使い、元の世界で見たスパイクシューズやアイゼンを参考に、加工と錬金術のスキルを使い自作した。
ダンジョンマップ通り進み一時間が経過したところで、拠点として使えると書かれた少し広めの空間に着いた。
こういった場所がダンジョンマップには三ヶ所書かれており、ここはその一ヶ所目の場所だ。
相変わらず周囲は氷だらけで気温は低く、カズのように寒冷耐性を持っていなければ、かなりの厚着をして火を絶やさないようにしなければ凍死の危険がある。
以前に来たであろう冒険者達がした焚き火跡が残っている。
ただ灰があるだけで燃やせる木材などは残ってはなく、持ってきた資材を使い切ったら、ダンジョンを出るようにしていたのだと思われる。
カズはとりあえずこの日は、二ヶ所目の拠点を設けることが出来る広さがある場所まで進む事にした。
ギルドから受け取ったダンジョンマップを見て距離などを考えると、足場の悪い氷の上を歩いて二時間といったところだろうか。
靴に装着している自作した滑り止めのアイゼンを緩んでないか確かめ、ガリガリと氷を削る音が響く氷窟内を更に奥へと進んで行く。
魔鉄鉱石を素材に使った事で、魔力を込めればしっかりと氷を捉え、滑り止めの機能を抜群に発揮した。
ここまでモンスターに出会うことがなく、予定よりも早く最初の目的地、拠点を設けられる二ヶ所目の場所に着いた。
ここも焚き火の跡はあれど、他には何もない。
ここを最初の拠点として、翌日よりダンジョンマップに記された場所の探索を始める事にした。
凍っている地面に直接座ると冷えるうえ濡れてしまうので、一枚の毛布に寒冷耐性《付与》して敷き物にした。
あとはこれもアイテムボックスの肥やしになっていた薪を使い、焚き火をして暖をとり、温かい食事を食べて〈アラーム〉を使いもう一枚の毛布にくるまり寝た。
それか灼熱と氷結のダンジョンに入って三日で、ギルドから受け取ったダンジョンマップに記されたある程度の場所は見て回ったが特に成果なく、アーティファクトどころかこれといったアイテムも見つからなかった。
ギルドが所有するダンジョンマップなのだから、当然といえば当然かも知れない。
ただ迷い混んだのか、ある場所には凍り付けになっている三体のスノーウルフが、またある狭い空間には手配された人族と獣人族の凍り付けの死体を見付けた。
その側には罪人のため、国が対象するまでこのままの放置と、書かれた凍った板が近くに置かれていた。
それから三ヶ所目の拠点を設けられると書かれた場所に移動し、焚き火をして暖を取り、翌日よりダンジョンマップ記にされてない場所に挑むことにした。
三日間静かな氷窟の中で一人居ると、元引き籠りな自分でも気持ちが沈みそうになる。
◇◆◇◆◇
ダンジョンマップに数ヶ所記されたの内、地下へと向かう通路を選び潜って行く。
両手を伸ばしても余裕な広さがある通路を、今まで以上に気を引き締め進む。
寒い場所に出現するモンスターということで【アイテムボックス】から火燐刀のトレカを出しておき、何時でも実体化させて使えるようにしていたが、モンスターは現れなかった。
氷の足場をアイゼンに魔力を込めて、滑らないように潜って行く。
数は少ないが強いモンスターが居るとの情報だったのだが、四日たっても不思議とモンスターは現れず気配感知にも反応しない。
ダンジョン内ということで、感知の範囲が狭いのかも知れない。
細い分かれ道に出くわしても、広い方の通路を選んで、更に奥を目指して進んで行く。
潜るにつれて周囲の氷が薄くなり岩盤が現れだして、氷窟から洞窟へと変わり暖かくなる。
灼熱と極寒のダンジョンと聞かされていのだが、ギルドから受け取ったダンジョンマップでは氷窟部分、極寒と呼ばれるダンジョンの一部しか記されてなかった。
マッピング出来たのが氷窟の一部だけで、その奥へ入った冒険者の情報はあっても、内部の通路に関してはあやふやだったので記載されてなかったかも知れない。
だが、そういっは話は一切聞かされてなく、今度こそサイネリアに苦情を強く言ってやろうかと少し頭をよぎった。
ただ、広くて把握出来てないと言っていたのを思い出たので、今回苦情は止めることしにた。(今のところは)
どちらにしても受け取ったダンジョンマップは、もう役にたたないのは確か。
時折現れる枝分かれした狭い通路の先に石を投げたり、ライトで作り出した光の玉を奥に飛ばして確認しながら更に潜って行く。
空腹を感じてきたところで、小部屋程度の空間を見付け、遅めの昼食を取る。
バレルボアのカツにタルタルソースを付け、それをパンに挟んでガッツリした昼食を済ませ「ふぅ」と一息をつく。
ここまで探索は順調だが成果は何もない。
小休止を済ませて探索を再開し始めたところで足場が崩れ、先が見えない穴が出現。
落ちる事なく回避したが、探索時間が限られていることから、穴を通って下に行くことにした。
混浴温泉は雪景色を見ながら入れるので、家族連れや老夫婦が多い。
入浴着を着ているとはいえ、見ず知らずの他人の男性と共に入るのは流石に恥ずかしく、四人は室内の温泉を選んだ。
とろみのある温泉は肌がツルツルになり、種族年齢問わず女性に人気の泉質となっている。
アレナリアも浅い場所に座り、自分の腕や足を触って滑らかになるのを感じ、ニヤニヤとしながら妄想してボソボソと独り言を。
周囲の客はその様子を見て、アレナリアか距離を取り離れていった。
「うわ、あれまたカズとエロいことするの考えてるよ。構ってもらってないから、わからなくもないけど。ビワはどうなん?」
「え! わ…私はそんなこと……」
レラの問いにビワは否定するも、何を思い浮かべたのか顔を赤くする。
「ここも良いけど他も行こうよ。でないと、アレナリアの顔がどんどんキモくなってく。それにヒューケラを見てよ、ダメなアレナリアの一面見て引いてきてるしょ」
「そ…そうね。他のお客さんにも離れていってるみたいだし、アレナリアさん連れて他に行きましょう」
レラがアレナリアの顔に温泉をぶっかけて妄想の世界から引き戻し、今の状況を理解させる。
我に反ったアレナリアを連れて、四人は着替えて他の温泉施設に移動した。
この日だけで三ヶ所、五種類の温泉を楽しんだ。
四人が温泉街を回り楽しんでいる頃、カズは灼熱と極寒のダンジョンがある雪山を、フジに乗り周囲の様子を確かめてから地上に降りた。
ダンジョン出入口の洞窟も豪雪で埋まってしまい、探しだして掘り出すのに時間が掛かってしまった。
フジの羽ばたきで突風を起こす、火魔法で雪を溶かす、そのどちらにしても、一歩間違えば雪崩になってしまう。
ダンジョンに入れるように出入口の雪をせっせと取り除き、フジには戻って来るまで自由にするよう伝えた。
ただし騒ぎになるので、人里や温泉街の方には行かないようにと。
氷が張り巡らされた洞窟に入り〈ライト〉で光の玉を作り出して、足下に気を付けながら100メートル進んだ所で、脱出魔法が使えるか確めるため〈エスケープ〉使用した。
周囲の景色が変わり、脱出魔法が使える事が分かった。
ただライトで出した光の玉は、一緒に移動する事はなく、元居た場所に置き去り。
ダンジョンの出入口からエスケープを使った場所に戻るも、光の玉は魔力切れで無くなっていた。
ここに来る前日帝都の冒険者ギルド本部に行き、職員のサイネリアから内部の通路が書かれたダンジョンマップの複写を受け取った。
ある程度の所までは、それを参考に進めると。
当然渡されたダンジョンマップに書かれてない場所を見付けたり、進んだら書き足すように言われている。
カズは【マップ】のスキルがあるので、書き足すのは帝都の家に戻ってからする事に決めていた。
危険なダンジョン内に一人で入っているのだから、呑気にダンジョンマップを書き足す事なんてしない。
更にサイネリアからの助言で、氷の上を歩くのに必要な、金属製の滑り止めが付いた靴を買うよう言われ、売っている店に見に行った。
だが思っていたのと違い、長靴のような形をした金属製の重く動き辛い物だった。
底はキザギサの溝がある程度で、滑り止めの機能があるとはあまり思えなかった。
ただ魔力込める事で滑り止めの効果が高まる、革と金属の両方を使って作られた靴はあったが、一足金貨三十枚と高価だった。
そこでアイテムボックスの肥やしになっていた魔鉄鉱石を素材に使い、元の世界で見たスパイクシューズやアイゼンを参考に、加工と錬金術のスキルを使い自作した。
ダンジョンマップ通り進み一時間が経過したところで、拠点として使えると書かれた少し広めの空間に着いた。
こういった場所がダンジョンマップには三ヶ所書かれており、ここはその一ヶ所目の場所だ。
相変わらず周囲は氷だらけで気温は低く、カズのように寒冷耐性を持っていなければ、かなりの厚着をして火を絶やさないようにしなければ凍死の危険がある。
以前に来たであろう冒険者達がした焚き火跡が残っている。
ただ灰があるだけで燃やせる木材などは残ってはなく、持ってきた資材を使い切ったら、ダンジョンを出るようにしていたのだと思われる。
カズはとりあえずこの日は、二ヶ所目の拠点を設けることが出来る広さがある場所まで進む事にした。
ギルドから受け取ったダンジョンマップを見て距離などを考えると、足場の悪い氷の上を歩いて二時間といったところだろうか。
靴に装着している自作した滑り止めのアイゼンを緩んでないか確かめ、ガリガリと氷を削る音が響く氷窟内を更に奥へと進んで行く。
魔鉄鉱石を素材に使った事で、魔力を込めればしっかりと氷を捉え、滑り止めの機能を抜群に発揮した。
ここまでモンスターに出会うことがなく、予定よりも早く最初の目的地、拠点を設けられる二ヶ所目の場所に着いた。
ここも焚き火の跡はあれど、他には何もない。
ここを最初の拠点として、翌日よりダンジョンマップに記された場所の探索を始める事にした。
凍っている地面に直接座ると冷えるうえ濡れてしまうので、一枚の毛布に寒冷耐性《付与》して敷き物にした。
あとはこれもアイテムボックスの肥やしになっていた薪を使い、焚き火をして暖をとり、温かい食事を食べて〈アラーム〉を使いもう一枚の毛布にくるまり寝た。
それか灼熱と氷結のダンジョンに入って三日で、ギルドから受け取ったダンジョンマップに記されたある程度の場所は見て回ったが特に成果なく、アーティファクトどころかこれといったアイテムも見つからなかった。
ギルドが所有するダンジョンマップなのだから、当然といえば当然かも知れない。
ただ迷い混んだのか、ある場所には凍り付けになっている三体のスノーウルフが、またある狭い空間には手配された人族と獣人族の凍り付けの死体を見付けた。
その側には罪人のため、国が対象するまでこのままの放置と、書かれた凍った板が近くに置かれていた。
それから三ヶ所目の拠点を設けられると書かれた場所に移動し、焚き火をして暖を取り、翌日よりダンジョンマップ記にされてない場所に挑むことにした。
三日間静かな氷窟の中で一人居ると、元引き籠りな自分でも気持ちが沈みそうになる。
◇◆◇◆◇
ダンジョンマップに数ヶ所記されたの内、地下へと向かう通路を選び潜って行く。
両手を伸ばしても余裕な広さがある通路を、今まで以上に気を引き締め進む。
寒い場所に出現するモンスターということで【アイテムボックス】から火燐刀のトレカを出しておき、何時でも実体化させて使えるようにしていたが、モンスターは現れなかった。
氷の足場をアイゼンに魔力を込めて、滑らないように潜って行く。
数は少ないが強いモンスターが居るとの情報だったのだが、四日たっても不思議とモンスターは現れず気配感知にも反応しない。
ダンジョン内ということで、感知の範囲が狭いのかも知れない。
細い分かれ道に出くわしても、広い方の通路を選んで、更に奥を目指して進んで行く。
潜るにつれて周囲の氷が薄くなり岩盤が現れだして、氷窟から洞窟へと変わり暖かくなる。
灼熱と極寒のダンジョンと聞かされていのだが、ギルドから受け取ったダンジョンマップでは氷窟部分、極寒と呼ばれるダンジョンの一部しか記されてなかった。
マッピング出来たのが氷窟の一部だけで、その奥へ入った冒険者の情報はあっても、内部の通路に関してはあやふやだったので記載されてなかったかも知れない。
だが、そういっは話は一切聞かされてなく、今度こそサイネリアに苦情を強く言ってやろうかと少し頭をよぎった。
ただ、広くて把握出来てないと言っていたのを思い出たので、今回苦情は止めることしにた。(今のところは)
どちらにしても受け取ったダンジョンマップは、もう役にたたないのは確か。
時折現れる枝分かれした狭い通路の先に石を投げたり、ライトで作り出した光の玉を奥に飛ばして確認しながら更に潜って行く。
空腹を感じてきたところで、小部屋程度の空間を見付け、遅めの昼食を取る。
バレルボアのカツにタルタルソースを付け、それをパンに挟んでガッツリした昼食を済ませ「ふぅ」と一息をつく。
ここまで探索は順調だが成果は何もない。
小休止を済ませて探索を再開し始めたところで足場が崩れ、先が見えない穴が出現。
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