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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
528 資源の潤沢ダンジョン 3 採取の終了 と 突然の再会
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ダンジョンに魔力を持って行かれてるよりも、カズの魔力が回復する速度の方が早いので、焦ってダンジョンを出る必要はなかった。
だがこれからもっと多く持って行かれるのは確実なので、翌日ダンジョンを出る事にした。
暗くなる前に地下三階層に上がり、ミルキーウッドの樹液を回収して、翌朝最後に回収する分の道具を木に設置する。
その後夕食を取り休んだ。
◇◆◇◆◇
翌朝、自身のステータスを表情させて現在の魔力の総量を確認し、テントを片付けて軽い朝食を取る。
この間の二十分で約30と、前日に比べ倍以上の魔力がダンジョンに持って行かれていた。
魔力が自動で回復はするが、ダンジョン内でその効果は弱く、この調子で素材を集め回るのは流石に危険だと感じ、遅くとも昼にはダンジョンを出る事を決意する。
カズはミルキーウッドの樹液を回収して地下二階層に移動し、行動を一時間と決めて、コロコロ鳥の卵を集めながら、バレルボアとシルバーホーン・サーモンを狩った。
そして地下一階層に移り、同じく一時間で出来るだけの薬草を採取して、ダンジョンの外へと続く石階段に行く。
フォース・キャニオンの街の冒険者ギルドから預かった鍵を【アイテムボックス】から取り出して、出る準備をする。
他の冒険者がすぐに来るわけではないだろうが、来た早々魔力をダンジョンに持っていかれ過ぎて、何も採取出来ず行動不能にでもなったら悪いと感じ、石階段を上る前に、残り魔力の約半分を放出してダンジョンに吸収させ出た。
次にダンジョンに入る冒険者が、例え魔力を持っていかれ過ぎて死んだとしても、冒険者は自己責任なのだからカズには関係ない。
ダンジョンを回復させるこの行動は、ただカズの自己満足に過ぎないが、別にそれでいい。
最終的に確認をすると、ギルドに頼まれた量の倍以上採取出来た素材もあった。
個人的にミルキーウッドの樹液と、コロコロ鳥の新鮮な卵が大量に入手出来たので来た甲斐があった。
ただ卵の回収を優先した事で、バレルボアを八匹と、シルバーホーン・サーモンを十二匹しか狩れなかった。
階層毎に決めた時間を、もう一時間増やせばよかったかなと思ったりもしたが、泥沼にはまりそうだったので、それはしなかった。
本来であれば早くて片道八日、通常の移動手段で十三日掛かるところを、帝都中央を出発してから六日で素材の採取を終えてしまった。
せめて戻りは時間を掛けようかと考えながらフォース・キャニオンの街に戻り、冒険者ギルドで資源の潤沢ダンジョンに出入りする門の鍵を返却した。
ギルド職員からはもう終ったの? という表情をしていたが、カズは平然としていたので、特に突っ込まれる事はなかった。
ただギルド職員から、セカンド・キャニオンの街に向かう道沿いで、ワイバーンの目撃情報が入ったと聞かさた。
ワイバーンを対処出来る冒険者は現在街には居らず、もし発見して可能なら討伐を、と頼まれてしまった。
予定よりかなり早く採取も終わり、時間に余裕もあったので「遭遇したら」とだけ答えてギルドを出た。
この日は大峡谷から吹く風が強く、昼食は適当に選んだ店で済ませる事にした。
入った店で常連がよく頼む定番の料理を注文した。
出された品は、ぼそぼそのパンと、パサパサな肉を香辛料で炒めて植物性油で作ったソースで濃い味付けをしたもの。
場所がらなのか、魔導列車がまだ開通してない事なのは定かではないが、その濃い味付けに食は進まなかった。
これなら強風でも外で、手持ちの物を食べればよかったと思った。
ハズレの店を選んだとは正直言いたくないが、決して美味しい料理ではない。
本の数日口にしてないだけなのに、無性にビワの手料理が食べたくなった。
やはり早く帝都に戻ろうと、空間転移魔法を使う場所を探して、フォース・キャニオンの街を出て人気のない所まで移動する。
ワイバーンの目撃情報があった事と、大峡谷からの強風で、サード・キャニオンの街に向かう道を通行する人は殆どなく、急いでいるような荷馬車の一台とすれ違っただけ。
見渡しても誰も居らず【マップ】で確認をしても、周囲5キロに人の反応は無い。
大峡谷から吹く風もまだ強く、もう空間転移魔法を使っても、見られる事はないだろうと思った矢先、モンスター反応が二つ表示された。
場所はカズが居る所から西の大峡谷、目視では針の穴程度の大きさでしか見えないが、元セテロン国側から二体のワイバーンがこちら側に飛んで来ていた。
遭遇したとは言えないが、発見して尚且つ自分の方に向かって来ているなら、ギルドにも頼まれているのだから討伐しなければならないか、と、カズは戦う覚悟を決めた。
どうせならワイバーンの素材を持って帰ろうと、自分の所へ一直線に来させるため、誘き寄せる威嚇の魔法を撃ち込もうと狙いを定める。
威力を落とした〈ライトニングショット〉を、ワイバーンに当てないようにして放った。
青白い雷撃がワイバーンの近くを通過すると、狙い通り二体のワイバーンはカズを発見して真っ直ぐ向かって来る。
「谷に落ちたら回収出来ないから、近くに来るま……なんだ?」
カズまであと数百メートルの所までワイバーンが迫ると【マップ】に新たな反応が表示された。
ワイバーンよりも飛行速度が遥かに速い何かが、一直線にカズの居る場所目指して飛んで来ていた。
大峡谷沿いの道上空までワイバーンが来ると同時に、後方から高速で飛んで来た何かが、ワイバーンを攻撃して過ぎ去る。
二体のワイバーンが地面に落下し、一体は翼を引き裂かれ飛べず、もう一体は首を切られ即死していた。
翼を引き裂かれ怒り狂うワイバーンは〈エアースラッシュ〉を、四方八方に当たり散らして放ちまくる。
大峡谷沿いの道に、何本もの溝が出来てしまい、馬車での移動に支障がでる状態になってしまった。
カズは後から現れた何かの確認をする前に、暴れるワイバーンを最近お気に入り武器のトレカ火燐刀を【アイテムボックス】から出し、魔力を込めて実体化させて止めを刺した。
目の前のワイバーンを解決したところで、大きく旋回して戻って来る何かに目を移すと、自分に対しての殺気は無く、その魔力には覚えがあった。
「……マイヒメ?」
高速で現れた何かは、オリーブ王国でひょんな事からかテイムすることになったライジングホークのマイヒメ、だと思った。
だがマイヒメより一回り程小さく、ライジングホーク違い。
が、確かに魔力には覚えがある。
「『あるじ、やっと見つけた』」
念話により脳内に聞こえた声と、その喋りを聞いたカズは、マイヒメと共に居たもう一体のライジングホークの名前が浮かんだ。
最後に見た時よりも明らかに大きさは違っていたが、間違いなくマイヒメの子供で、カズが名前を付けたその子だった。
「『フジか?』」
「『そうだよ、あるじ』」
カズが名前を呼ぶと、ライジングホークのフジは地上に降りて来た。
「少し見ない間に、やたらとデカくなったな。フジだけか? マイヒメ、お母さんはどうした?」
フジが降りて来るとカズは念話止めて、声に出して話す。
「『白真おじちゃんの所で別れたの。あるじを探して、一緒にずっと東の広い海まで行きなさいって』」
「そういえば、マイヒメは海を越えて来たとか……言ってたような、言ってなかったような」
「『あるじの魔力見つからなくて、スゴい探した』」
「白真には言ったが、ふたりには別れを……というか、あの出来事で俺の事を忘れて、契約が解かれたはずだが」
カズは自身のステータスを表示させて確認をすると、消えていた筈のフジの名前がそこにはあった。
ただマイヒメの名前は書かれていない。
カズがフジの名を呼び、フジがカズを主と認めたことで、名前が浮かび出たのではないだろうかと、カズは考えた。
オリーブ王国での大事件で、カズの事を本の一部の者を覗いて記憶から消え、その時にテイムしたライジングホークのマイヒメと、その子供フジも忘れてしまった事で、テイムが切れてしまったと思っていた。
元々カズの実力を見たマイヒメが、子供のフジを守ってもらう為にと考えて、カズに主人になってもらっていた。
後に親子はフロストドラゴンと親しくなっていたので、カズは無理に探して新たにテイムしようとは思わなかった。
フジが大きくなれば、好きに生きていけるだろうと。
「よく見つけたな」
「『さっき、あるじのビリビリって魔力感じた』」
「ワイバーンに向けて放ったライトニングショットか」
「『うん、それ』」
人気が無いとはいえ、このまま大峡谷沿いの道で話してるのは不味いと考え、カズはワイバーンを【アイテムボックス】に入れて、エアースラッシュで出来た傷跡を土魔法で馬車が通れる程度に平して、その場を離れた。
だがこれからもっと多く持って行かれるのは確実なので、翌日ダンジョンを出る事にした。
暗くなる前に地下三階層に上がり、ミルキーウッドの樹液を回収して、翌朝最後に回収する分の道具を木に設置する。
その後夕食を取り休んだ。
◇◆◇◆◇
翌朝、自身のステータスを表情させて現在の魔力の総量を確認し、テントを片付けて軽い朝食を取る。
この間の二十分で約30と、前日に比べ倍以上の魔力がダンジョンに持って行かれていた。
魔力が自動で回復はするが、ダンジョン内でその効果は弱く、この調子で素材を集め回るのは流石に危険だと感じ、遅くとも昼にはダンジョンを出る事を決意する。
カズはミルキーウッドの樹液を回収して地下二階層に移動し、行動を一時間と決めて、コロコロ鳥の卵を集めながら、バレルボアとシルバーホーン・サーモンを狩った。
そして地下一階層に移り、同じく一時間で出来るだけの薬草を採取して、ダンジョンの外へと続く石階段に行く。
フォース・キャニオンの街の冒険者ギルドから預かった鍵を【アイテムボックス】から取り出して、出る準備をする。
他の冒険者がすぐに来るわけではないだろうが、来た早々魔力をダンジョンに持っていかれ過ぎて、何も採取出来ず行動不能にでもなったら悪いと感じ、石階段を上る前に、残り魔力の約半分を放出してダンジョンに吸収させ出た。
次にダンジョンに入る冒険者が、例え魔力を持っていかれ過ぎて死んだとしても、冒険者は自己責任なのだからカズには関係ない。
ダンジョンを回復させるこの行動は、ただカズの自己満足に過ぎないが、別にそれでいい。
最終的に確認をすると、ギルドに頼まれた量の倍以上採取出来た素材もあった。
個人的にミルキーウッドの樹液と、コロコロ鳥の新鮮な卵が大量に入手出来たので来た甲斐があった。
ただ卵の回収を優先した事で、バレルボアを八匹と、シルバーホーン・サーモンを十二匹しか狩れなかった。
階層毎に決めた時間を、もう一時間増やせばよかったかなと思ったりもしたが、泥沼にはまりそうだったので、それはしなかった。
本来であれば早くて片道八日、通常の移動手段で十三日掛かるところを、帝都中央を出発してから六日で素材の採取を終えてしまった。
せめて戻りは時間を掛けようかと考えながらフォース・キャニオンの街に戻り、冒険者ギルドで資源の潤沢ダンジョンに出入りする門の鍵を返却した。
ギルド職員からはもう終ったの? という表情をしていたが、カズは平然としていたので、特に突っ込まれる事はなかった。
ただギルド職員から、セカンド・キャニオンの街に向かう道沿いで、ワイバーンの目撃情報が入ったと聞かさた。
ワイバーンを対処出来る冒険者は現在街には居らず、もし発見して可能なら討伐を、と頼まれてしまった。
予定よりかなり早く採取も終わり、時間に余裕もあったので「遭遇したら」とだけ答えてギルドを出た。
この日は大峡谷から吹く風が強く、昼食は適当に選んだ店で済ませる事にした。
入った店で常連がよく頼む定番の料理を注文した。
出された品は、ぼそぼそのパンと、パサパサな肉を香辛料で炒めて植物性油で作ったソースで濃い味付けをしたもの。
場所がらなのか、魔導列車がまだ開通してない事なのは定かではないが、その濃い味付けに食は進まなかった。
これなら強風でも外で、手持ちの物を食べればよかったと思った。
ハズレの店を選んだとは正直言いたくないが、決して美味しい料理ではない。
本の数日口にしてないだけなのに、無性にビワの手料理が食べたくなった。
やはり早く帝都に戻ろうと、空間転移魔法を使う場所を探して、フォース・キャニオンの街を出て人気のない所まで移動する。
ワイバーンの目撃情報があった事と、大峡谷からの強風で、サード・キャニオンの街に向かう道を通行する人は殆どなく、急いでいるような荷馬車の一台とすれ違っただけ。
見渡しても誰も居らず【マップ】で確認をしても、周囲5キロに人の反応は無い。
大峡谷から吹く風もまだ強く、もう空間転移魔法を使っても、見られる事はないだろうと思った矢先、モンスター反応が二つ表示された。
場所はカズが居る所から西の大峡谷、目視では針の穴程度の大きさでしか見えないが、元セテロン国側から二体のワイバーンがこちら側に飛んで来ていた。
遭遇したとは言えないが、発見して尚且つ自分の方に向かって来ているなら、ギルドにも頼まれているのだから討伐しなければならないか、と、カズは戦う覚悟を決めた。
どうせならワイバーンの素材を持って帰ろうと、自分の所へ一直線に来させるため、誘き寄せる威嚇の魔法を撃ち込もうと狙いを定める。
威力を落とした〈ライトニングショット〉を、ワイバーンに当てないようにして放った。
青白い雷撃がワイバーンの近くを通過すると、狙い通り二体のワイバーンはカズを発見して真っ直ぐ向かって来る。
「谷に落ちたら回収出来ないから、近くに来るま……なんだ?」
カズまであと数百メートルの所までワイバーンが迫ると【マップ】に新たな反応が表示された。
ワイバーンよりも飛行速度が遥かに速い何かが、一直線にカズの居る場所目指して飛んで来ていた。
大峡谷沿いの道上空までワイバーンが来ると同時に、後方から高速で飛んで来た何かが、ワイバーンを攻撃して過ぎ去る。
二体のワイバーンが地面に落下し、一体は翼を引き裂かれ飛べず、もう一体は首を切られ即死していた。
翼を引き裂かれ怒り狂うワイバーンは〈エアースラッシュ〉を、四方八方に当たり散らして放ちまくる。
大峡谷沿いの道に、何本もの溝が出来てしまい、馬車での移動に支障がでる状態になってしまった。
カズは後から現れた何かの確認をする前に、暴れるワイバーンを最近お気に入り武器のトレカ火燐刀を【アイテムボックス】から出し、魔力を込めて実体化させて止めを刺した。
目の前のワイバーンを解決したところで、大きく旋回して戻って来る何かに目を移すと、自分に対しての殺気は無く、その魔力には覚えがあった。
「……マイヒメ?」
高速で現れた何かは、オリーブ王国でひょんな事からかテイムすることになったライジングホークのマイヒメ、だと思った。
だがマイヒメより一回り程小さく、ライジングホーク違い。
が、確かに魔力には覚えがある。
「『あるじ、やっと見つけた』」
念話により脳内に聞こえた声と、その喋りを聞いたカズは、マイヒメと共に居たもう一体のライジングホークの名前が浮かんだ。
最後に見た時よりも明らかに大きさは違っていたが、間違いなくマイヒメの子供で、カズが名前を付けたその子だった。
「『フジか?』」
「『そうだよ、あるじ』」
カズが名前を呼ぶと、ライジングホークのフジは地上に降りて来た。
「少し見ない間に、やたらとデカくなったな。フジだけか? マイヒメ、お母さんはどうした?」
フジが降りて来るとカズは念話止めて、声に出して話す。
「『白真おじちゃんの所で別れたの。あるじを探して、一緒にずっと東の広い海まで行きなさいって』」
「そういえば、マイヒメは海を越えて来たとか……言ってたような、言ってなかったような」
「『あるじの魔力見つからなくて、スゴい探した』」
「白真には言ったが、ふたりには別れを……というか、あの出来事で俺の事を忘れて、契約が解かれたはずだが」
カズは自身のステータスを表示させて確認をすると、消えていた筈のフジの名前がそこにはあった。
ただマイヒメの名前は書かれていない。
カズがフジの名を呼び、フジがカズを主と認めたことで、名前が浮かび出たのではないだろうかと、カズは考えた。
オリーブ王国での大事件で、カズの事を本の一部の者を覗いて記憶から消え、その時にテイムしたライジングホークのマイヒメと、その子供フジも忘れてしまった事で、テイムが切れてしまったと思っていた。
元々カズの実力を見たマイヒメが、子供のフジを守ってもらう為にと考えて、カズに主人になってもらっていた。
後に親子はフロストドラゴンと親しくなっていたので、カズは無理に探して新たにテイムしようとは思わなかった。
フジが大きくなれば、好きに生きていけるだろうと。
「よく見つけたな」
「『さっき、あるじのビリビリって魔力感じた』」
「ワイバーンに向けて放ったライトニングショットか」
「『うん、それ』」
人気が無いとはいえ、このまま大峡谷沿いの道で話してるのは不味いと考え、カズはワイバーンを【アイテムボックス】に入れて、エアースラッシュで出来た傷跡を土魔法で馬車が通れる程度に平して、その場を離れた。
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