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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
527 資源の潤沢ダンジョン 2 各種様々な鉱石 と 集団暴走
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全くもってダンジョンとは不思議な空間であり、地下三階層の樹木は優に50メートルを超える高さがあり、なんと以前に見たミルキーウッドも多く、しかもより大きいのが数十本も生えていた。
地中へ地中へと潜っているのにも関わらず、中は明るくダンジョンの外と変わらない。
地下一階層二階層の範囲は共に20キロと広く、地下三階層に至ってはその倍はあった。
それでいで夜になると暗くなるのだから、まさに異世界の不思議空間。
この日は地下四階層に続く石階段の場所を確認するだけにした。
地下三階層を拠点に決めて【アイテムボックス】からテントを出して張り、ミルキーウッドから樹液を採取する道具をあるだけ取り付けて、夕食を取ってこの日は休んだ。
◇◆◇◆◇
夜が明けて朝になると、不思議とダンジョン内も明るくなる。
朝食を済ませミルキーウッドの樹液を回収して、新たに他の木に樹液を取る道具を付けると、地下四階層に続く階段を下りた。
地下四階層は鉱山のように岩や石だらけで、壁には広く大きく空いた洞窟が数多くあった。
カズは《分析》を使用して、魔素が多く含まれてる場所を探して採掘を始めた。
一ヶ所目の洞窟には火属性の魔素が含まれた鉱石があり、他の洞窟には水属性、更に他の洞窟に風属性と、各種属性別の鉱石があった。
中には水属性と風属性が混在して、氷属性の魔素が含まれた鉱石までも。
そうかも思えば属性は無く、ただ凝縮した濃い魔素が含まれた鉱石も存在し、そういった場所の近くには希少金属の鉱脈があったりもした。
この日は一日中採掘作業をしながら地下五階層に下りる階段を見付け、必要最低限の鉱石をなんとか入手した。
夜は地下三階層に戻りミルキーウッドの樹液を回収して、別の木に新たに道具を取り付けた後で、食事を取り寝た。
◇◆◇◆◇
前日同様に、朝食を済ませるとミルキーウッドの樹液を回収に向かった。
そこで見たのは、最初に樹液を取る時に付けた傷痕が消えており、二度目の傷痕も消え掛かっていた。
これもダンジョンという特殊な状況なのだろうとカズは考えながら、また別の木に傷を付けて樹液を取る道具を取り付ける。
この日は魔石を手に入れる為に、モンスターが生息する地下五階層に潜ることにした。
地下四階層から五階層に続く石階段を下りて行くが、やはりモンスターが上がって来る気配はない。
各階層を行き来する石階段に結界が張ってある訳でもなく、頑丈な門や扉がある訳でもないのに、だ。
石階段を下り地下五階層に到着すると、すぐにモンスターが姿を現した。
カズは《分析》を使い、迫って来るモンスターを調べる。
一種は体長50センチ程の『スクワールドッグ』が五体。
それに乗る『ライダーエイプ』が五体で、計五組のモンスターが襲って来る。
石階段を下りて出た場所は、低い木と雑草が生い茂っていたので〈ウインドカッター〉を放ち、周囲の雑草もろとも襲って来たモンスターを倒して、魔核を回収した。
通常レベルの低いモンスターは、倒したと同時に魔核が消滅してしまうのに、ここでは聞いていた通りレベルの低いモンスターでも、5センチ程の魔石を回収することが出来た。
「なるほど、ここではこんな簡単に魔石までもが入手出来るのか。資源の潤沢とは、よく言ったもんだ(しかしりす犬てなんだよ。見た目犬で、りすみたいに木登りでもするのか?)」
妙ちきりんな名前のモンスターは倒さずに、少し観察すればとカズは少し後悔したが、まあいいかと、すぐにどうでもよくなった。
次に上空から接近して来たのは、嘴が大きな鳥のモンスター三体。
一定の距離を保ち上空を旋回するだけで、一向に降下して来ない。
嫌な予感がしたカズは、すぐに《分析》を使用して、鳥のモンスターを調べた。
鳥のモンスターは『スクリーム・バード』レベルは低く弱いが、大きな鳴き声で獲物の位置を知らせ、集団暴走を起こす厄介なモンスター。
上空を旋回するスクリーム・バード目掛けて〈ライトニングボルト〉を放つが、命中する寸前で大きな鳴き声を上げられてしまった。
すると遠くから地響きと共に、木々をへし折る音が微かに聞こだした。
多くのモンスターが向かって来ているのだと理解して、カズは見つかる前に場所を移してやり過ごす事にした。
スクリーム・バードが鳴き声を上げた場所を離れ、地響きが聞こえる方から直角に移動する。
少しでも高台になっている場所があればと探すが、平地林になっており見通せる場所はなく、しかも場所を変えて移動するも、聞こえる地響きも方向を変えて向かって来ていた。
覚悟を決めたカズは、少しでも見通しの良い場所に行き迎え撃つ事にした。
どうせモンスターを倒さなければ、魔石を入手出来ないのだから、と。
土煙を上げながら姿を現したのは、最初に倒したスクワールドッグとライダーエイプの他に、コボルトとハウリングウルフにトレント、更には殆ど遭遇する事のなかったゴブリンとオーク、そしてトロールが雪崩れ込むようにカズを狙い突撃して来た。
全体をざっと調べたが、強い個体でもレベルは24、平均レベルは18とカズにとっては脅威ではないが、ただ数が百体以上と多い。
「これだけ固まってるなら、一気に片付けられるだろ。もう面倒だから焼け野原にしてやる。どうせ二、三日すれば元に戻るだろ〈グラヴィティ〉からの〈ファイヤーストーム〉」
迫る百体以上のモンスターを重力魔法で地面に釘付けにして、そこに炎の竜巻を作り出して一気に倒す。
レベル10以下の弱いモンスターは、重力魔法で地面に押し付けられただけで消滅し、残ったモンスターは渦巻く灼熱の炎に焼かれ瞬時に消滅していく。
炎の竜巻が消えて残ったのは、焼け焦げて黒くなった地面と炭とかした木片。
そして消滅したモンスターの魔核こと魔石が、襲って来たモンスターの数だけ転がっていた。
「モンスターを探す手間が省けて時間が短縮出来たが、魔石が予定数の倍以上になってしまったな(多い分にはいいか)」
またスクリーム・バードに見付かると面倒なので、転がっている魔石を全て回収して地下四階層に戻り、残りの時間は魔鉱石と希少金属の採掘に当てた。
ここでカズはフォース・キャニオンの街の冒険者ギルドで職員と交わした会話を思い出した。
《 二日前 》
資源の潤沢ダンジョンに入るための鍵を、冒険者ギルドの職員から受け取った時の事。
「ダンジョン内では常に魔力が持っていかれるので、長く潜るのであれば気を付けてください。Aランクの方であれば大丈夫だと思いますが」
「今までに入った人達は、どうしていたんだ?」
「何日も潜るようでしたら、ダンジョンの外にベースキャンプを作りそこで野宿をするか、一度街に戻って採取した素材をギルドに預けて宿に泊まる。というのが、一番安全で確実なやり方です」
「わざわざ戻って来るのか?」
「ダンジョンの出入口は狭いので、空間収納が使える方でないと、一度に大量の素材は運べませんので。それに、ダンジョン内で野宿をしますと、寝ている間に魔力がどんどんダンジョンに持って行かれ、そのままにという方もいなくもないんですよ」
「わかった。忠告ありがとう」
と、結構重要な会話をしていた。
魔力がダンジョンに持っていかれ過ぎて枯渇でもして意識が戻らなかったら、そのまま体をダンジョンに吸収されかねない。
低ランク冒険者を素材の豊富なこのダンジョンに入れないのは、それもあるのかも知れない。
魔力の総量が少なく、自身の魔力減少に気付いた時には手遅れなんて事になりかねない。
収入が安定しない、ましてや低ランクの冒険者なんてのは、大量の素材を前に欲が出るに決まっている。
《 現在 》
カズは先程の戦闘で、ギルド職員が言っていた忠告を、今やっと理解出来た。
ダンジョンの外で使用する魔法よりも、微小ながら多く魔力を消費のに。
採掘している現在でも、周囲に魔力を持って行かれている、微小だが。
初日は気付かなかったが、一日目よりも二日目、二日目よりも三日目の方が持って行かれる魔力が多くなっている。
これによりダンジョンは、減った鉱石やモンスターを新たに作り出そうと、ダンジョンに侵入して来たカズから魔力を吸収しているのだと分かる。
職人の街クラフトの鉱山にあったダンジョンで、侵入して来た住壁鉱食大百足を倒した時に、失った魔素を取り戻すため取り込んでいた映像が、カズの脳裏によみがえった。
地中へ地中へと潜っているのにも関わらず、中は明るくダンジョンの外と変わらない。
地下一階層二階層の範囲は共に20キロと広く、地下三階層に至ってはその倍はあった。
それでいで夜になると暗くなるのだから、まさに異世界の不思議空間。
この日は地下四階層に続く石階段の場所を確認するだけにした。
地下三階層を拠点に決めて【アイテムボックス】からテントを出して張り、ミルキーウッドから樹液を採取する道具をあるだけ取り付けて、夕食を取ってこの日は休んだ。
◇◆◇◆◇
夜が明けて朝になると、不思議とダンジョン内も明るくなる。
朝食を済ませミルキーウッドの樹液を回収して、新たに他の木に樹液を取る道具を付けると、地下四階層に続く階段を下りた。
地下四階層は鉱山のように岩や石だらけで、壁には広く大きく空いた洞窟が数多くあった。
カズは《分析》を使用して、魔素が多く含まれてる場所を探して採掘を始めた。
一ヶ所目の洞窟には火属性の魔素が含まれた鉱石があり、他の洞窟には水属性、更に他の洞窟に風属性と、各種属性別の鉱石があった。
中には水属性と風属性が混在して、氷属性の魔素が含まれた鉱石までも。
そうかも思えば属性は無く、ただ凝縮した濃い魔素が含まれた鉱石も存在し、そういった場所の近くには希少金属の鉱脈があったりもした。
この日は一日中採掘作業をしながら地下五階層に下りる階段を見付け、必要最低限の鉱石をなんとか入手した。
夜は地下三階層に戻りミルキーウッドの樹液を回収して、別の木に新たに道具を取り付けた後で、食事を取り寝た。
◇◆◇◆◇
前日同様に、朝食を済ませるとミルキーウッドの樹液を回収に向かった。
そこで見たのは、最初に樹液を取る時に付けた傷痕が消えており、二度目の傷痕も消え掛かっていた。
これもダンジョンという特殊な状況なのだろうとカズは考えながら、また別の木に傷を付けて樹液を取る道具を取り付ける。
この日は魔石を手に入れる為に、モンスターが生息する地下五階層に潜ることにした。
地下四階層から五階層に続く石階段を下りて行くが、やはりモンスターが上がって来る気配はない。
各階層を行き来する石階段に結界が張ってある訳でもなく、頑丈な門や扉がある訳でもないのに、だ。
石階段を下り地下五階層に到着すると、すぐにモンスターが姿を現した。
カズは《分析》を使い、迫って来るモンスターを調べる。
一種は体長50センチ程の『スクワールドッグ』が五体。
それに乗る『ライダーエイプ』が五体で、計五組のモンスターが襲って来る。
石階段を下りて出た場所は、低い木と雑草が生い茂っていたので〈ウインドカッター〉を放ち、周囲の雑草もろとも襲って来たモンスターを倒して、魔核を回収した。
通常レベルの低いモンスターは、倒したと同時に魔核が消滅してしまうのに、ここでは聞いていた通りレベルの低いモンスターでも、5センチ程の魔石を回収することが出来た。
「なるほど、ここではこんな簡単に魔石までもが入手出来るのか。資源の潤沢とは、よく言ったもんだ(しかしりす犬てなんだよ。見た目犬で、りすみたいに木登りでもするのか?)」
妙ちきりんな名前のモンスターは倒さずに、少し観察すればとカズは少し後悔したが、まあいいかと、すぐにどうでもよくなった。
次に上空から接近して来たのは、嘴が大きな鳥のモンスター三体。
一定の距離を保ち上空を旋回するだけで、一向に降下して来ない。
嫌な予感がしたカズは、すぐに《分析》を使用して、鳥のモンスターを調べた。
鳥のモンスターは『スクリーム・バード』レベルは低く弱いが、大きな鳴き声で獲物の位置を知らせ、集団暴走を起こす厄介なモンスター。
上空を旋回するスクリーム・バード目掛けて〈ライトニングボルト〉を放つが、命中する寸前で大きな鳴き声を上げられてしまった。
すると遠くから地響きと共に、木々をへし折る音が微かに聞こだした。
多くのモンスターが向かって来ているのだと理解して、カズは見つかる前に場所を移してやり過ごす事にした。
スクリーム・バードが鳴き声を上げた場所を離れ、地響きが聞こえる方から直角に移動する。
少しでも高台になっている場所があればと探すが、平地林になっており見通せる場所はなく、しかも場所を変えて移動するも、聞こえる地響きも方向を変えて向かって来ていた。
覚悟を決めたカズは、少しでも見通しの良い場所に行き迎え撃つ事にした。
どうせモンスターを倒さなければ、魔石を入手出来ないのだから、と。
土煙を上げながら姿を現したのは、最初に倒したスクワールドッグとライダーエイプの他に、コボルトとハウリングウルフにトレント、更には殆ど遭遇する事のなかったゴブリンとオーク、そしてトロールが雪崩れ込むようにカズを狙い突撃して来た。
全体をざっと調べたが、強い個体でもレベルは24、平均レベルは18とカズにとっては脅威ではないが、ただ数が百体以上と多い。
「これだけ固まってるなら、一気に片付けられるだろ。もう面倒だから焼け野原にしてやる。どうせ二、三日すれば元に戻るだろ〈グラヴィティ〉からの〈ファイヤーストーム〉」
迫る百体以上のモンスターを重力魔法で地面に釘付けにして、そこに炎の竜巻を作り出して一気に倒す。
レベル10以下の弱いモンスターは、重力魔法で地面に押し付けられただけで消滅し、残ったモンスターは渦巻く灼熱の炎に焼かれ瞬時に消滅していく。
炎の竜巻が消えて残ったのは、焼け焦げて黒くなった地面と炭とかした木片。
そして消滅したモンスターの魔核こと魔石が、襲って来たモンスターの数だけ転がっていた。
「モンスターを探す手間が省けて時間が短縮出来たが、魔石が予定数の倍以上になってしまったな(多い分にはいいか)」
またスクリーム・バードに見付かると面倒なので、転がっている魔石を全て回収して地下四階層に戻り、残りの時間は魔鉱石と希少金属の採掘に当てた。
ここでカズはフォース・キャニオンの街の冒険者ギルドで職員と交わした会話を思い出した。
《 二日前 》
資源の潤沢ダンジョンに入るための鍵を、冒険者ギルドの職員から受け取った時の事。
「ダンジョン内では常に魔力が持っていかれるので、長く潜るのであれば気を付けてください。Aランクの方であれば大丈夫だと思いますが」
「今までに入った人達は、どうしていたんだ?」
「何日も潜るようでしたら、ダンジョンの外にベースキャンプを作りそこで野宿をするか、一度街に戻って採取した素材をギルドに預けて宿に泊まる。というのが、一番安全で確実なやり方です」
「わざわざ戻って来るのか?」
「ダンジョンの出入口は狭いので、空間収納が使える方でないと、一度に大量の素材は運べませんので。それに、ダンジョン内で野宿をしますと、寝ている間に魔力がどんどんダンジョンに持って行かれ、そのままにという方もいなくもないんですよ」
「わかった。忠告ありがとう」
と、結構重要な会話をしていた。
魔力がダンジョンに持っていかれ過ぎて枯渇でもして意識が戻らなかったら、そのまま体をダンジョンに吸収されかねない。
低ランク冒険者を素材の豊富なこのダンジョンに入れないのは、それもあるのかも知れない。
魔力の総量が少なく、自身の魔力減少に気付いた時には手遅れなんて事になりかねない。
収入が安定しない、ましてや低ランクの冒険者なんてのは、大量の素材を前に欲が出るに決まっている。
《 現在 》
カズは先程の戦闘で、ギルド職員が言っていた忠告を、今やっと理解出来た。
ダンジョンの外で使用する魔法よりも、微小ながら多く魔力を消費のに。
採掘している現在でも、周囲に魔力を持って行かれている、微小だが。
初日は気付かなかったが、一日目よりも二日目、二日目よりも三日目の方が持って行かれる魔力が多くなっている。
これによりダンジョンは、減った鉱石やモンスターを新たに作り出そうと、ダンジョンに侵入して来たカズから魔力を吸収しているのだと分かる。
職人の街クラフトの鉱山にあったダンジョンで、侵入して来た住壁鉱食大百足を倒した時に、失った魔素を取り戻すため取り込んでいた映像が、カズの脳裏によみがえった。
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