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五章 テクサイス帝国編 1 大陸最大の国
441 二人目 と 半獣人 と 先祖返り?
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《 十五時間前 》
グレーツとプフルが酔ったパフを連れ帰る時に、カズは訪ねて来た人物とメリアスの家を離れて人気のない路地に移動した。
「楽しんでる時に悪いね」
「俺に用とはなんですか(身長高ッ!)」
「あたしが誰か聞かないで付いて来たってことは、誰かわかってるってことだね」
「いや、そうじゃ(確かに分析して素性はわかったが……)」
「もう少しポーカーフェイスが出来るようになることだね」
「ぅ……(これで二人目か)」
「あたしはグリズと同じ立場で、ここのギルドマスターをしているミゼット。ニラから聞いてるかと思うが、あたしも多忙でね。こんな時間に訪ねてすまない」
「それで、そのギルドマスターが俺に何の用でしょうか? 黙って出て来たので、あまり長くは」
「手短に済ませるつもりだ。先ずニラの態度が悪かったのを詫びるよ。すまない」
「その事なら別にいいです。女性の多い街ならではの事情だと思ってますから」
「そう感謝するわ。ニラも半獣人と知られ、差別されたくちでね。性格があんなんだから、差別してきた連中を相手にやったりやられたりさ。それである程度までレベルを上げてったんだよ。バカだろ」
「よくそんな事してて、サブマスになれたもんですね」
「性格に多少の問題ある半獣人でも、それだけの地位にも就けるってのを証明して見せたかったんだよ。あたしもその心意気を気に入って、サブ・ギルドマスターの地位を与えてやったんだ。一応仕事は出来てるからね」
「半獣人の多いこの街では、サブマスにまでなったニラさんが希望という事ですか(性格があんなんじゃなけば、もっと半獣人にとって良いと思うんだが)」
「ニラの性格があんなんじゃなければと考えたでしょ」
「ぅ……顔に出てました?」
「いいや。ニラがカズに対してした態度を、あたしに取られたとしたら同じ事を考えたろうからさ。半獣人の差別なんて、ただの先祖返りだと証明されたのに、まだ浸透してないのが問題だね」
「先祖返り?」
「カズも知らないのか」
ミゼットは半獣人の先祖返りについてカズに語りだす。
半獣人とは、見た目は人族のそれと変わらないが、どこか一ヶ所に獣の容姿が現れる者のこと。
獣人とは違い獣の姿に容姿を変えることは出来ず、獣人としての能力も殆ど無いといえる。
昔愚かな貴族が半獣人を差別すると、腹を立てその半獣人が愚かな貴族に怪我をさせた後から、人族でも獣人族でもない役立たずだと言われるようになり、両種族から差別されるようになった。
場所によって諸説あるが、帝国ではこれが差別の始まりだと言われている。
人族寄りの半獣人は存在するも、獣人族寄りの半獣人は存在しないと言われていた。
がしかし、実際は判別しなかっただけで、獣人族と変わりなく多く存在はするのたが近年分かった。
昔は差別迫害されて、非業の死を遂げた獣人族の呪いではとの話もあった。
だが実際は人族の血が濃く、獣人族の血が薄くなった事での先祖返りにすぎない。
人族と獣人族の子供が以降、獣人族と交わる事がないと、獣人族の血が薄くなっていく。
そして何世代も後になると、希に身体の一部に先祖だった獣人族の特徴が現れ、そういった者が半獣人と呼ばれ、それが現状。
ただ先祖の特徴が現れただけの事だけ。
それが顔の一部や手足などに現れる者もいれば、腕や背に体毛が生えたり、目立つ特徴だと尻尾。
感情が高ぶり獣人の部分が現れるようなら、それは獣人族の血がまだ濃い、孫やひ孫といった交わってから浅い方の者。
重要な事は、先祖返りは人族と獣人族の子孫だけではないという事だ。
たまたま獣人族の血縁に、そういった分かりやすい症状が現れたというだけ。
エルフにしかり、ドワーフにしかり、巨人、翼人、妖精、魔族などにしても探せば結構居る。
と言うのが、ミゼットの見解らしかった。
「あなた達は種族差別はしないでしょうが、その考えを変えないでもらいたいわね」
「そのつもりです」
「ちなみにあたしは、巨人族の血が流れてる。なんて言わなくてもわかってるわよね。ステータスをこそこそ見たんだから」
「え! ええ、もちろん(守護者の方に目がいって、そこまで見てなかった! ってか、こそこそって)」
カズは内心では、若干驚いていた。
「そうそう、パーティー名のことだけど、それはあたしがニラに確認出来てると伝えたの」
「そうだったんですか(ギルマスが言ったからか。通りでぶつぶつと言ってこない訳だ)」
「グリズから〝ユウヒの片腕〟のことは聞いていた。もしこの街に来たらよろしくとね」
「グリズさんが(名前を出して正解だったみたいだ)」
「あとこうも言っていた。カズってのは、あたしより強いだろうってね。それもあながち間違いじゃなさそうだ」
「グリズさんの冗談でしょう。守護者の称号持ちの方より強いだなんて」
「ほう。どうしてあたしが守護者の称号を持つと知ったんだい?」
「それはグリズさんと同じ…」
「同じ? なんだい?」
「……立…場(守護者とは言ってなかった!)」
「あたしを分析してステータスを見たんだろ? まあいいさ。それもグリズから聞いていた」
「結局のところ用は何です? サブマスの態度を謝る為だけに来たんじゃないでしょう」
「礼を言いにだ。国から街の治安を任されてるギルドの仕事を、代わりにしてくれた事に感謝する。思ったよりも早く危険人物がセテロンから逃げて、街に入り込んでたようだ」
「今回捕らえた連中ですか?」
「ああ。どうもあたしが街を離れるのを待っていたらしい。今年に入ってから街を離れる事が増えてね、それを見計らって動いたようだ」
「礼と言いましたが、少なからず犠牲は出ました」
「死んだ暗殺者と傭兵は気にする必要はない。悪事を働いた結果だ。アラクネのプラドには生きて罪を償ってほしかったが、元々は誘拐を画策した本人だ。同情はしない」
「用件はそれだけですか? なら俺は戻ります。あなたと一緒に居るのをサブマスにでも知られたら、また面倒ですから」
「それならもうちょっかい出さないように言ってある。それに聞きたい事はまだある」
「なんです?」
「人探しに行ってたんだろ。クラフトに?」
「ええ。ヤトコさんというハイドワーフを。それが何か?」
「鉱山のダンジョンに行ったでしょ」
「行きましたよ。そこでヤトコさんを見つけたので。何が聞きたいんですか?」
「あそこのダンジョンには、厄介なモンスターが入り込んだと聞いていたんだが、何故か二ヶ月くらい前に姿が消えたんだ。ちょうどカズがクラフトに行ってた頃に」
「厄介なモンスターですか(気付いてるな。これは)」
「討伐したんだろ?」
「どうしてそう思います? 何か証拠でも?」
「並みの冒険者じゃ手に余るって聞いた。だからクラフトに居るついでに、あたしが確かめに行ったんだ。だが、そんなにモンスターは居なかった。ギルドに情報が来てたからガセとも思えなかったんで、少し調べたんだよ。そうしたら人探しに来ていた冒険者が、あたしの前に入ったとわかってね。その容姿がなんかが」
真っ直ぐにカズを見るミゼット。
「ああもう……そうです。その厄介なモンスターを倒したのは、俺です」
「大百足の変異種だと聞いたが、間違いないか?」
「ええ。ダンジョン内の鉱物を食いあさって、硬い皮膚をしてました。終いにはダンジョンが作り出したゴーレム二体も食って」
「ダンジョンの抵抗か。カズが倒さなければダンジョンは崩壊して、その変異種がクラフトに向かっただろ」
「だと思います(だから倒したのもあるけど、俺を逃がすつもりはなかったからな)」
「討伐した証拠があれば、依頼を受けてなくとも評価に繋がるぞ。回収した素材はないのか?」
「倒したらすぐダンジョンに吸収されていきましたので、何も」
「本当か……? ギルドに評価されたくないからと、嘘をついてるんじゃないか? グリズが言っていたぞ、ランクをこれ以上に上げないようにしているようだと」
「ランクの話はその通りです。素材はありません(ぐいぐい来る人だな)」
「まあいいさ。もし持ってるようなら、売り所には気を付ける事だ。手放したいなら、あたしが引き取ってやる。もちろん出所は黙ってると約束しよう」
「そういった素材が入った時にはお願いします(隠し持ってるとばれてるな。これも)」
「連絡を楽しみに待ってる。用事は以じ…あっと、忘れるところだった。例の件での報酬を、アレナリア名義でギルドに預けてある。ギルドカードを提示すれば、どの街のギルドでも引き出せる」
「アレナリアに伝えておきます」
「あと、帝都でカズを待ってる人が居る」
「俺を?」
「ええ。これであたしの用事は本当に終わり。手短にと言ったのに、時間を取らせたわね」
「待ってるのって、誰です?」
「それは会って確かめなさい。じゃあね。また会いましょう」
《 そして現在 》
アレナリアの二日酔いも完全回復し、小腹が空いたと蜂蜜入りクッキーを食べて昼まで持たす。
「ここのギルマスが守護者だったなんてね。とりあえずはグリズさんの名前が役に立って良かったじゃない」
「そうだな」
「っで、馬車でクラフトまで行かないんだとしてら、どうやって行くの?」
「ゲートで。馬車で移動すると時間掛かるだろ。それでクラフトに着いたら、ギルド職員が待ち構えてて、強制召集なんての御免だ」
「ダンジョンで倒した大百足の変異種の事で話を。って?」
「そんなところかな。だからその前に魔導列車に乗って、クラフトを離れたいんだよ」
「ギルドの情報は繋がってるから、先の街で聞かれるかも知れないわよ」
「被害が出た訳でもないのに、いつまでも調べようとするほどギルドも暇じゃないだろ。それにクラフトを離れれば、管轄外になるだろうし」
「それもそうね。余程の事がないかぎりは、他の街で起きた事を調べようとはしないわよね」
「ではクラフトに移動するぞ。ヤトコさんを探しに行った時に、ゲートを繋げても大丈夫そうな人気の少ない場所を見つけある」
カズは〈ゲート〉を使い、先ずは自分が先に移動して、誰も居ないことを確認。
それから三人を呼ぶ。
クラフトに移動した四人は、路地から広い通りに出て、そのまま魔導列車に乗る駅に向かう。
グレーツとプフルが酔ったパフを連れ帰る時に、カズは訪ねて来た人物とメリアスの家を離れて人気のない路地に移動した。
「楽しんでる時に悪いね」
「俺に用とはなんですか(身長高ッ!)」
「あたしが誰か聞かないで付いて来たってことは、誰かわかってるってことだね」
「いや、そうじゃ(確かに分析して素性はわかったが……)」
「もう少しポーカーフェイスが出来るようになることだね」
「ぅ……(これで二人目か)」
「あたしはグリズと同じ立場で、ここのギルドマスターをしているミゼット。ニラから聞いてるかと思うが、あたしも多忙でね。こんな時間に訪ねてすまない」
「それで、そのギルドマスターが俺に何の用でしょうか? 黙って出て来たので、あまり長くは」
「手短に済ませるつもりだ。先ずニラの態度が悪かったのを詫びるよ。すまない」
「その事なら別にいいです。女性の多い街ならではの事情だと思ってますから」
「そう感謝するわ。ニラも半獣人と知られ、差別されたくちでね。性格があんなんだから、差別してきた連中を相手にやったりやられたりさ。それである程度までレベルを上げてったんだよ。バカだろ」
「よくそんな事してて、サブマスになれたもんですね」
「性格に多少の問題ある半獣人でも、それだけの地位にも就けるってのを証明して見せたかったんだよ。あたしもその心意気を気に入って、サブ・ギルドマスターの地位を与えてやったんだ。一応仕事は出来てるからね」
「半獣人の多いこの街では、サブマスにまでなったニラさんが希望という事ですか(性格があんなんじゃなけば、もっと半獣人にとって良いと思うんだが)」
「ニラの性格があんなんじゃなければと考えたでしょ」
「ぅ……顔に出てました?」
「いいや。ニラがカズに対してした態度を、あたしに取られたとしたら同じ事を考えたろうからさ。半獣人の差別なんて、ただの先祖返りだと証明されたのに、まだ浸透してないのが問題だね」
「先祖返り?」
「カズも知らないのか」
ミゼットは半獣人の先祖返りについてカズに語りだす。
半獣人とは、見た目は人族のそれと変わらないが、どこか一ヶ所に獣の容姿が現れる者のこと。
獣人とは違い獣の姿に容姿を変えることは出来ず、獣人としての能力も殆ど無いといえる。
昔愚かな貴族が半獣人を差別すると、腹を立てその半獣人が愚かな貴族に怪我をさせた後から、人族でも獣人族でもない役立たずだと言われるようになり、両種族から差別されるようになった。
場所によって諸説あるが、帝国ではこれが差別の始まりだと言われている。
人族寄りの半獣人は存在するも、獣人族寄りの半獣人は存在しないと言われていた。
がしかし、実際は判別しなかっただけで、獣人族と変わりなく多く存在はするのたが近年分かった。
昔は差別迫害されて、非業の死を遂げた獣人族の呪いではとの話もあった。
だが実際は人族の血が濃く、獣人族の血が薄くなった事での先祖返りにすぎない。
人族と獣人族の子供が以降、獣人族と交わる事がないと、獣人族の血が薄くなっていく。
そして何世代も後になると、希に身体の一部に先祖だった獣人族の特徴が現れ、そういった者が半獣人と呼ばれ、それが現状。
ただ先祖の特徴が現れただけの事だけ。
それが顔の一部や手足などに現れる者もいれば、腕や背に体毛が生えたり、目立つ特徴だと尻尾。
感情が高ぶり獣人の部分が現れるようなら、それは獣人族の血がまだ濃い、孫やひ孫といった交わってから浅い方の者。
重要な事は、先祖返りは人族と獣人族の子孫だけではないという事だ。
たまたま獣人族の血縁に、そういった分かりやすい症状が現れたというだけ。
エルフにしかり、ドワーフにしかり、巨人、翼人、妖精、魔族などにしても探せば結構居る。
と言うのが、ミゼットの見解らしかった。
「あなた達は種族差別はしないでしょうが、その考えを変えないでもらいたいわね」
「そのつもりです」
「ちなみにあたしは、巨人族の血が流れてる。なんて言わなくてもわかってるわよね。ステータスをこそこそ見たんだから」
「え! ええ、もちろん(守護者の方に目がいって、そこまで見てなかった! ってか、こそこそって)」
カズは内心では、若干驚いていた。
「そうそう、パーティー名のことだけど、それはあたしがニラに確認出来てると伝えたの」
「そうだったんですか(ギルマスが言ったからか。通りでぶつぶつと言ってこない訳だ)」
「グリズから〝ユウヒの片腕〟のことは聞いていた。もしこの街に来たらよろしくとね」
「グリズさんが(名前を出して正解だったみたいだ)」
「あとこうも言っていた。カズってのは、あたしより強いだろうってね。それもあながち間違いじゃなさそうだ」
「グリズさんの冗談でしょう。守護者の称号持ちの方より強いだなんて」
「ほう。どうしてあたしが守護者の称号を持つと知ったんだい?」
「それはグリズさんと同じ…」
「同じ? なんだい?」
「……立…場(守護者とは言ってなかった!)」
「あたしを分析してステータスを見たんだろ? まあいいさ。それもグリズから聞いていた」
「結局のところ用は何です? サブマスの態度を謝る為だけに来たんじゃないでしょう」
「礼を言いにだ。国から街の治安を任されてるギルドの仕事を、代わりにしてくれた事に感謝する。思ったよりも早く危険人物がセテロンから逃げて、街に入り込んでたようだ」
「今回捕らえた連中ですか?」
「ああ。どうもあたしが街を離れるのを待っていたらしい。今年に入ってから街を離れる事が増えてね、それを見計らって動いたようだ」
「礼と言いましたが、少なからず犠牲は出ました」
「死んだ暗殺者と傭兵は気にする必要はない。悪事を働いた結果だ。アラクネのプラドには生きて罪を償ってほしかったが、元々は誘拐を画策した本人だ。同情はしない」
「用件はそれだけですか? なら俺は戻ります。あなたと一緒に居るのをサブマスにでも知られたら、また面倒ですから」
「それならもうちょっかい出さないように言ってある。それに聞きたい事はまだある」
「なんです?」
「人探しに行ってたんだろ。クラフトに?」
「ええ。ヤトコさんというハイドワーフを。それが何か?」
「鉱山のダンジョンに行ったでしょ」
「行きましたよ。そこでヤトコさんを見つけたので。何が聞きたいんですか?」
「あそこのダンジョンには、厄介なモンスターが入り込んだと聞いていたんだが、何故か二ヶ月くらい前に姿が消えたんだ。ちょうどカズがクラフトに行ってた頃に」
「厄介なモンスターですか(気付いてるな。これは)」
「討伐したんだろ?」
「どうしてそう思います? 何か証拠でも?」
「並みの冒険者じゃ手に余るって聞いた。だからクラフトに居るついでに、あたしが確かめに行ったんだ。だが、そんなにモンスターは居なかった。ギルドに情報が来てたからガセとも思えなかったんで、少し調べたんだよ。そうしたら人探しに来ていた冒険者が、あたしの前に入ったとわかってね。その容姿がなんかが」
真っ直ぐにカズを見るミゼット。
「ああもう……そうです。その厄介なモンスターを倒したのは、俺です」
「大百足の変異種だと聞いたが、間違いないか?」
「ええ。ダンジョン内の鉱物を食いあさって、硬い皮膚をしてました。終いにはダンジョンが作り出したゴーレム二体も食って」
「ダンジョンの抵抗か。カズが倒さなければダンジョンは崩壊して、その変異種がクラフトに向かっただろ」
「だと思います(だから倒したのもあるけど、俺を逃がすつもりはなかったからな)」
「討伐した証拠があれば、依頼を受けてなくとも評価に繋がるぞ。回収した素材はないのか?」
「倒したらすぐダンジョンに吸収されていきましたので、何も」
「本当か……? ギルドに評価されたくないからと、嘘をついてるんじゃないか? グリズが言っていたぞ、ランクをこれ以上に上げないようにしているようだと」
「ランクの話はその通りです。素材はありません(ぐいぐい来る人だな)」
「まあいいさ。もし持ってるようなら、売り所には気を付ける事だ。手放したいなら、あたしが引き取ってやる。もちろん出所は黙ってると約束しよう」
「そういった素材が入った時にはお願いします(隠し持ってるとばれてるな。これも)」
「連絡を楽しみに待ってる。用事は以じ…あっと、忘れるところだった。例の件での報酬を、アレナリア名義でギルドに預けてある。ギルドカードを提示すれば、どの街のギルドでも引き出せる」
「アレナリアに伝えておきます」
「あと、帝都でカズを待ってる人が居る」
「俺を?」
「ええ。これであたしの用事は本当に終わり。手短にと言ったのに、時間を取らせたわね」
「待ってるのって、誰です?」
「それは会って確かめなさい。じゃあね。また会いましょう」
《 そして現在 》
アレナリアの二日酔いも完全回復し、小腹が空いたと蜂蜜入りクッキーを食べて昼まで持たす。
「ここのギルマスが守護者だったなんてね。とりあえずはグリズさんの名前が役に立って良かったじゃない」
「そうだな」
「っで、馬車でクラフトまで行かないんだとしてら、どうやって行くの?」
「ゲートで。馬車で移動すると時間掛かるだろ。それでクラフトに着いたら、ギルド職員が待ち構えてて、強制召集なんての御免だ」
「ダンジョンで倒した大百足の変異種の事で話を。って?」
「そんなところかな。だからその前に魔導列車に乗って、クラフトを離れたいんだよ」
「ギルドの情報は繋がってるから、先の街で聞かれるかも知れないわよ」
「被害が出た訳でもないのに、いつまでも調べようとするほどギルドも暇じゃないだろ。それにクラフトを離れれば、管轄外になるだろうし」
「それもそうね。余程の事がないかぎりは、他の街で起きた事を調べようとはしないわよね」
「ではクラフトに移動するぞ。ヤトコさんを探しに行った時に、ゲートを繋げても大丈夫そうな人気の少ない場所を見つけある」
カズは〈ゲート〉を使い、先ずは自分が先に移動して、誰も居ないことを確認。
それから三人を呼ぶ。
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