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五章 テクサイス帝国編 1 大陸最大の国
418 休日の料理教室
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ビワは先ず野菜を手に取り切り始める。
手を動かしながら説明をしていると「教えてくれるのは嬉しいけど、ビワさんが全部やってしまったら、わたし達の練習にならないわ」とグレーツが言う。
「そ…それもそうですね。では、残りのお野菜とお肉は、二人でお願いします」
ビワが横から説明をして、二人が材料を切る。
グレーツは得意ではないと言っていたが、それなりに出来ていたので、ビワが教えることはそんなになかった。
プフルは野菜や鶏肉の大きさがまちまちになっていたので、ビワが火の通りやすいように均等にと教える。
鍋で煮る際にも、火の通りが遅い物から順に入れることも教え、野菜を先に煮る。
フライパンに野菜を煮込んだスープと、小麦粉と山羊乳と塩胡椒を使い、ホワイトソースを作り一度お皿に移す。
鶏肉を軽くフライパンで炒め、焼き目がついたところで煮込んでいるスープを少量入れ、フライパンについた旨味と一緒に、野菜を煮込んでる鍋に移す。
それから少し煮込み鶏肉と野菜が柔らかくなったら火を止めて、作っておいたホワイトソースを加えて、味見をして塩を少し加え味を調えて出来上がり。
時間が掛かりはしたが、山羊乳を使ったさっぱりとしたクリームシチューが完成する。
味付けが常に濃いプフルには、さっぱりした味付けが良いだろうと、ビワは判断した。
それだと物足りないとプフルが言うことを見越したビワは、クリームシチューに一工夫して、パスタの代わりにあまって固くなったパンを使いグラタンを作る。
それほど手間は掛からないので、これもビワが指示をして二人に作ってもらう。
ビワはその間に一人でプリンを作る。
「ビワっちは、なに作ってるの?」
「食後のデザート…には間合いませんが、おやつに」
「へぇ。どんなのデザート?」
「わたしも気になる」
ビワの作業をじっと見るグレーツとプフル。
「お二人とも、手が止まってますよ」
「出来てからのお楽しみってことね。プフル続きをするわよ」
「気になる~」
ビワに言われた通りグラタンを作りをするも、やはり気になりちらちらとビワの行程を見るプフル。
グレーツも釣られて見てしまい、ちょくちょく手が止まっていた。
全ての工程を終えると、時間はちょうど昼食時になっていた。
ビワも最後の工程として、小さな容器に分けて入れたプリンを、部屋に備え付けの冷蔵箱に入れて冷やし固める。
冷蔵箱は一家に一台あるのが当たり前になってきており、冷却魔法で食材を冷やしておく箱。
大きさは様々あり、80センチ四方が一般家庭でよく使われている大きさ。
一台で金貨五枚とけして安くはないが、食材が長持ちして冷たく冷やせるのが便利だと。
それだけではなく、魔力が少なかったり魔力制御が出来ない者でも使えるのが良い広まった。
電気ではなく魔力を使って動いているだけで、機能は冷蔵庫と大してかわらない。
料理が出来これから昼食にしようとした矢先、計ったかのようにアレナリアがハウリングウルフの討伐依頼を終えて来た。
部屋に入る前に、砂ぼこりで汚れてる服を〈クリア〉を使いきれいにする。
「あら、いい匂い。上手く出来たみたいね」
「ビワさんが丁寧に教えてくれました」
「討伐依頼お疲れさまで~す」
「相変わらずプフルは元気ね」
「それがあーしの取り柄なんで。ところでアレナリアさん汚れてません?」
「ちゃんと入る前に、クリアで汚れを取り除いたわよ」
「すみません。失礼だぞプフル!」
「ごめんなさ~い。もうお腹空いちゃって」
「もしかして私が来るの待っててくれたの?」
「え、あ、うん。そう…です」
アレナリアの問いに答えるプフルの目は、右に左にと泳ぐ。
「失礼なこと言ったのを挽回したければ、平静に動揺しないよう答えることね」
じろりとプフルを見るアレナリア。
「ご、ごめんなさい。あーしが下手だから作るのに時間がかかって、今さっき出来たところなの」
「ならそう言いなさいよ。別に三人が食べ終わってても、怒ったりしないわよ。私がお昼までに間に合うか、わからなかったんだから」
「…はい」
「ほら、昼食にしましょう。食器を並べるくらいなら手伝うわよ」
「アレナリアさんは討伐依頼で疲れてるでしょ。だからわたし達がやりますので、座っててください」
「そう? ありがと」
杖を立て掛けオーバーコートを脱いだアレナリアは、部屋の奥へと入り椅子に座り待つ。
料理が各々の前に並べられたところで、感謝の祈りを込めると、スプーンでクリームシチューをすくい口に運ぶ。
体内に入るクリームシチューは、身体の内からぽかぽかと温める。
次に香ばしいチーズとパンの匂いのする熱々のグラタンを、はふはふしながら食べる。
この日の昼食に、グレーツとプフルは満足する。
四人は食後にハーブティーを飲みながら、お互いのことを話したり、雑談してのんびりとする。
「アレナリアさん、討伐の方はどうでした? ハウリングウルフはもう現れませんか?」
「二十体程の平均的な群れだったわ。遠吠えで他の群を呼ばれる前に全部倒したから、街に入って来る事はないはずよ。だから安心して」
一人考え込むグレーツ。
「何か気掛かりでもあるの?」
「わたしとプフルの住んでた村が、バイアステッチから南に行った場所にあるんですが、まだ群れが居るなら、実家に顔を出しに行けないと思いまして」
「心配なら護衛を付けてったらどう? ハウリングウルフはそれほど強くはないから、Cランクの冒険者でも十分よ。ただ群を相手にした事がないと、駄目だけどね」
「貧困と言う程でもないんですが、裕福な村ではないので、極力お金は使いたくないんです。家族に出来るだけ多く渡したいので」
「自分で持って行ってるの? 仕送りしないで」
「年に一、二度は顔を見せに戻ってるんです」
「そういうことね。最近はいつ戻ったの?」
「パフさんの所で働き始めてからすぐに一度だけ。仕送りを止めてしまったのをパフさんも気に掛けてくれて、元気な顔を見せに行ってやりなと言われまして。プフルは来たばかりだったので、わたし一人で」
「あの…アレナリアさん」
「街と村の行き来を護衛してあげて。って言いたいんでしょ。ビワ」
ビワは首を縦にふる。
「そうね……もし行くようであれば、カズが戻って来たら聞いてあげる。ビワの同僚だから、きっと良いって言ってくれるわよ」
「え、でもわたし、そんなつもりで……」
「確実じゃないわよ。でもカズが良いって言ったら、遠慮しないこと」
「…はい。お願いします」
期待してなかったかというと嘘になり、内心ではほのかな期待はあった。
だがこうもあっさりと話が好ましい方に向いたので、グレーツは内心で申し訳ないと思ってしまう。
話を聞いていたアレナリアとビワからしたら、その程度の事はカズが何時もしていることなので、特に面倒などとは言わず承諾すると確信している。
「そのカズさんが良いって言ってくれたらでしょ。だったらあーしも一緒行こうかな。みんな元気にしてるか気になるし」
護衛の話を聞き、プフルも一度実家に顔を出しに行きたいと言う。
「それは良いけど、パフさんには言ってあるの?」
アレナリアの問いにグレーツとプフルは顔を見合わせ、首を横に振った。
「なら相談することね。護衛の話はそれから」
「そうですよね。気持ちだけ先走ってしまいました」
「少なくともビワの習いが終わるまでは、この街に滞在するわけだから、焦らなくても大丈夫よ」
「そうですね」
ハーブティーを一口飲み、グレーツは気持ちを落ち着かせる。
「でもビワっち真面目だから、あーし達よりも早く覚えちゃうよね。これだと二ヶ月としないうちに、一通り覚えて終わりそうだよね」
「そ…そんなことないです」
謙遜するして照れるビワ。
そしてなんだかんだと雑談は続き、小腹が空いたと話の中でプフルが口にする。
するとビワがもう出来た頃かと、冷蔵箱から小さな容器を四つ出して、スプーンと一緒にそれぞれの前に出し、ハーディーも新しく入れ直した。
「プリンを作ったの! カズが居ないから、食べられないと我慢してたのに」
「材料が買えたので」
「プリン?」
「これがビワっちが作ってたデザート?」
小さな容器に入っている黄色い物に、不思議がるグレーツとプフル。
「初めてじゃ不安かしら? こうスプーンですくって」
アレナリアが先に口にし、二人に食べるところを見せ、続いてビワも一口。
「材料が違うからあれだけど、プリンはやっぱり美味しいわね(ビワには悪いけど、コロコロ鳥の卵で作ったのと比べると、味は落ちるわね)」
手を動かしながら説明をしていると「教えてくれるのは嬉しいけど、ビワさんが全部やってしまったら、わたし達の練習にならないわ」とグレーツが言う。
「そ…それもそうですね。では、残りのお野菜とお肉は、二人でお願いします」
ビワが横から説明をして、二人が材料を切る。
グレーツは得意ではないと言っていたが、それなりに出来ていたので、ビワが教えることはそんなになかった。
プフルは野菜や鶏肉の大きさがまちまちになっていたので、ビワが火の通りやすいように均等にと教える。
鍋で煮る際にも、火の通りが遅い物から順に入れることも教え、野菜を先に煮る。
フライパンに野菜を煮込んだスープと、小麦粉と山羊乳と塩胡椒を使い、ホワイトソースを作り一度お皿に移す。
鶏肉を軽くフライパンで炒め、焼き目がついたところで煮込んでいるスープを少量入れ、フライパンについた旨味と一緒に、野菜を煮込んでる鍋に移す。
それから少し煮込み鶏肉と野菜が柔らかくなったら火を止めて、作っておいたホワイトソースを加えて、味見をして塩を少し加え味を調えて出来上がり。
時間が掛かりはしたが、山羊乳を使ったさっぱりとしたクリームシチューが完成する。
味付けが常に濃いプフルには、さっぱりした味付けが良いだろうと、ビワは判断した。
それだと物足りないとプフルが言うことを見越したビワは、クリームシチューに一工夫して、パスタの代わりにあまって固くなったパンを使いグラタンを作る。
それほど手間は掛からないので、これもビワが指示をして二人に作ってもらう。
ビワはその間に一人でプリンを作る。
「ビワっちは、なに作ってるの?」
「食後のデザート…には間合いませんが、おやつに」
「へぇ。どんなのデザート?」
「わたしも気になる」
ビワの作業をじっと見るグレーツとプフル。
「お二人とも、手が止まってますよ」
「出来てからのお楽しみってことね。プフル続きをするわよ」
「気になる~」
ビワに言われた通りグラタンを作りをするも、やはり気になりちらちらとビワの行程を見るプフル。
グレーツも釣られて見てしまい、ちょくちょく手が止まっていた。
全ての工程を終えると、時間はちょうど昼食時になっていた。
ビワも最後の工程として、小さな容器に分けて入れたプリンを、部屋に備え付けの冷蔵箱に入れて冷やし固める。
冷蔵箱は一家に一台あるのが当たり前になってきており、冷却魔法で食材を冷やしておく箱。
大きさは様々あり、80センチ四方が一般家庭でよく使われている大きさ。
一台で金貨五枚とけして安くはないが、食材が長持ちして冷たく冷やせるのが便利だと。
それだけではなく、魔力が少なかったり魔力制御が出来ない者でも使えるのが良い広まった。
電気ではなく魔力を使って動いているだけで、機能は冷蔵庫と大してかわらない。
料理が出来これから昼食にしようとした矢先、計ったかのようにアレナリアがハウリングウルフの討伐依頼を終えて来た。
部屋に入る前に、砂ぼこりで汚れてる服を〈クリア〉を使いきれいにする。
「あら、いい匂い。上手く出来たみたいね」
「ビワさんが丁寧に教えてくれました」
「討伐依頼お疲れさまで~す」
「相変わらずプフルは元気ね」
「それがあーしの取り柄なんで。ところでアレナリアさん汚れてません?」
「ちゃんと入る前に、クリアで汚れを取り除いたわよ」
「すみません。失礼だぞプフル!」
「ごめんなさ~い。もうお腹空いちゃって」
「もしかして私が来るの待っててくれたの?」
「え、あ、うん。そう…です」
アレナリアの問いに答えるプフルの目は、右に左にと泳ぐ。
「失礼なこと言ったのを挽回したければ、平静に動揺しないよう答えることね」
じろりとプフルを見るアレナリア。
「ご、ごめんなさい。あーしが下手だから作るのに時間がかかって、今さっき出来たところなの」
「ならそう言いなさいよ。別に三人が食べ終わってても、怒ったりしないわよ。私がお昼までに間に合うか、わからなかったんだから」
「…はい」
「ほら、昼食にしましょう。食器を並べるくらいなら手伝うわよ」
「アレナリアさんは討伐依頼で疲れてるでしょ。だからわたし達がやりますので、座っててください」
「そう? ありがと」
杖を立て掛けオーバーコートを脱いだアレナリアは、部屋の奥へと入り椅子に座り待つ。
料理が各々の前に並べられたところで、感謝の祈りを込めると、スプーンでクリームシチューをすくい口に運ぶ。
体内に入るクリームシチューは、身体の内からぽかぽかと温める。
次に香ばしいチーズとパンの匂いのする熱々のグラタンを、はふはふしながら食べる。
この日の昼食に、グレーツとプフルは満足する。
四人は食後にハーブティーを飲みながら、お互いのことを話したり、雑談してのんびりとする。
「アレナリアさん、討伐の方はどうでした? ハウリングウルフはもう現れませんか?」
「二十体程の平均的な群れだったわ。遠吠えで他の群を呼ばれる前に全部倒したから、街に入って来る事はないはずよ。だから安心して」
一人考え込むグレーツ。
「何か気掛かりでもあるの?」
「わたしとプフルの住んでた村が、バイアステッチから南に行った場所にあるんですが、まだ群れが居るなら、実家に顔を出しに行けないと思いまして」
「心配なら護衛を付けてったらどう? ハウリングウルフはそれほど強くはないから、Cランクの冒険者でも十分よ。ただ群を相手にした事がないと、駄目だけどね」
「貧困と言う程でもないんですが、裕福な村ではないので、極力お金は使いたくないんです。家族に出来るだけ多く渡したいので」
「自分で持って行ってるの? 仕送りしないで」
「年に一、二度は顔を見せに戻ってるんです」
「そういうことね。最近はいつ戻ったの?」
「パフさんの所で働き始めてからすぐに一度だけ。仕送りを止めてしまったのをパフさんも気に掛けてくれて、元気な顔を見せに行ってやりなと言われまして。プフルは来たばかりだったので、わたし一人で」
「あの…アレナリアさん」
「街と村の行き来を護衛してあげて。って言いたいんでしょ。ビワ」
ビワは首を縦にふる。
「そうね……もし行くようであれば、カズが戻って来たら聞いてあげる。ビワの同僚だから、きっと良いって言ってくれるわよ」
「え、でもわたし、そんなつもりで……」
「確実じゃないわよ。でもカズが良いって言ったら、遠慮しないこと」
「…はい。お願いします」
期待してなかったかというと嘘になり、内心ではほのかな期待はあった。
だがこうもあっさりと話が好ましい方に向いたので、グレーツは内心で申し訳ないと思ってしまう。
話を聞いていたアレナリアとビワからしたら、その程度の事はカズが何時もしていることなので、特に面倒などとは言わず承諾すると確信している。
「そのカズさんが良いって言ってくれたらでしょ。だったらあーしも一緒行こうかな。みんな元気にしてるか気になるし」
護衛の話を聞き、プフルも一度実家に顔を出しに行きたいと言う。
「それは良いけど、パフさんには言ってあるの?」
アレナリアの問いにグレーツとプフルは顔を見合わせ、首を横に振った。
「なら相談することね。護衛の話はそれから」
「そうですよね。気持ちだけ先走ってしまいました」
「少なくともビワの習いが終わるまでは、この街に滞在するわけだから、焦らなくても大丈夫よ」
「そうですね」
ハーブティーを一口飲み、グレーツは気持ちを落ち着かせる。
「でもビワっち真面目だから、あーし達よりも早く覚えちゃうよね。これだと二ヶ月としないうちに、一通り覚えて終わりそうだよね」
「そ…そんなことないです」
謙遜するして照れるビワ。
そしてなんだかんだと雑談は続き、小腹が空いたと話の中でプフルが口にする。
するとビワがもう出来た頃かと、冷蔵箱から小さな容器を四つ出して、スプーンと一緒にそれぞれの前に出し、ハーディーも新しく入れ直した。
「プリンを作ったの! カズが居ないから、食べられないと我慢してたのに」
「材料が買えたので」
「プリン?」
「これがビワっちが作ってたデザート?」
小さな容器に入っている黄色い物に、不思議がるグレーツとプフル。
「初めてじゃ不安かしら? こうスプーンですくって」
アレナリアが先に口にし、二人に食べるところを見せ、続いてビワも一口。
「材料が違うからあれだけど、プリンはやっぱり美味しいわね(ビワには悪いけど、コロコロ鳥の卵で作ったのと比べると、味は落ちるわね)」
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