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四章 異世界旅行編 3 セテロン国
392 評価は保留に
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二十分程度話をしたあと、ギルドを出て宿屋に戻った。
「お帰りカズ。何個買えた? 牛乳がないからプリンは作れなくても、マヨがあるからタマゴサラダは作れるでしょ」
宿泊する部屋に入ると、レラが満面の笑みでお出迎え。
「その、なんだ……一個も買えなかった」
「……は!? なんでなんで?」
「ちょっと、色々あって」
「色々って?」
寝室の扉が開き、アレナリアとビワが出てきた。
「アレナリア戻ってたのか」
「少し前にね」
「お帰りなさい。カズさん」
「ただいま。ビワ」
「私も卵を買ってくるって聞いて、楽しみにしてたんだけど」
「ごめん」
「で、何があったの?」
「それがさぁ──」
カズは今朝アレナリアと別れて、依頼を受けてからの事を三人に話した。
もちろんギルドが調査してる事も。
「はああぁ! なにそいつ、ちょっとそこ連れてきなさい。あちしが文句言ってやる!」
楽しみを奪われた事に、目くじらを立てて怒るレラ。
「落ち着きなさいレラ。感情に任せて興奮しては駄目」
「そうよレラ。アレナリアさんの言う通り」
「そうだぞレラ(おお! アレナリアも楽しみにしてると言ってたから、怒るものだと思ったら、冷静にレラをなだめるとは。成長したなぁ)」
アレナリアの対応に、うんうんと頷き感心するカズ。
「食べ物の恨みがどれだけ恐ろしいか、私が教えてきてあげるわ」
「……ん?」
「カズ、倉庫の場所教えて」
「ギルドが対処するように動いてるって話したろ(前言撤回だ。全然成長してない)」
「だったら、あちしの─」
「それなら、私の─」
「「卵はどうなるの!」」
「この食いしん坊めらが……」
レラが元気になってくれたことは嬉しいが、食い意地までは戻ってくれなくても、というのが、カズの内心だった。
「わかったわかった。今日の夕食は昨日の店に行こう。そこにもコロコロ鳥の肉と卵を配達したから、売り切れてなければ食べれるかも知れないぞ」
「よし行くわよ!」
「レッツ・ラ・ゴー」
「待て(レラのやつどこでそんな言葉覚えた? レッツ・ラ・ゴーなんて、今日日聞かないぞ)」
部屋を飛び出そうとするレラの襟首を掴んで止めるカズ。
「何するの! 早く行かないと、あちしの卵が」
「店は夕方からだ。まだ開いてない。それにアレナリアにイリュージョンを掛けてもらってないだろ」
「店が開いた途端に売り切れちゃうかもでしょ。だから店の前で開くの待つもん」
「落ち着け。それに卵と言っても、ゆで卵だぞ。そうだろアレナリア」
「そう言えば、昨日ルクリアがそう言ってたわね」
「くぅ~。そうか、プリンじゃないんだけっけ」
全てをすっ飛ばして、卵=プリンだと思い込んでしまっていたレラが正気に戻る。
「残ってたらゆで卵でも良いじゃないか。卵の味を確かめる意味で」
「そうね。ルクリアはゆで卵でも美味しいって言ってたし」
「茹でる前なら、半熟にしてもらえば黄身の味もわかるだろ」
「わかった」
アレナリアが訓練をつけた〝春風の芽吹き〟の話を聞いて時間を潰し、開店する時間に合わせて宿屋を出る。
店に入り卵の料理を注文するも、あるのは卵と野菜の炒めもの、スクランブルエッグ、ゆで卵の三つだけだった。
卵を使っている分、他の料理より少し割高だったが、楽しみにしてたレラの為に、三つとも注文した。
当然ゆで卵は半熟に。
同じフライパンか鍋で調理をしたのか、スクランブルエッグにうっすらと香辛料の香りがついてしまっていた。
卵と野菜の炒めもは、癖のある野菜が良い具合に押さえられてたが、卵の味が野菜に消されて分かりずらかった。
それに比べ半熟のゆで卵は、ルクリアの言ってた通り黄身の濃厚さが直で味わえて当たりだった。
この卵でプリンを作れば、濃厚で良いものが出来そうだとカズとビワは考えた。
レラは半熟のゆで卵を食べて、黄身の濃厚な美味しさを知ったことで、ミルキーウッドの樹液とコロコロ鳥の卵を早く取りに行こうと躍起になる。
アレナリアもレラと同様の、明日にでも北東の森に向けて出発しようと言い出すものかと思っていたが、そうはならなかった。
「ギルドからワイバーンの件の調査が終わるまで、街に滞在してほしいって頼まれてるのよ」
「そうなのか? 俺にはそんなこと言ってこなかったなぁ」
「私に言ったから、いいと思ったじゃない」
「かもな。俺がやった依頼の件で、少しばたついてたから」
「え卵と樹液を取りは? 行けないの?」
「そうね、あと三、四日くらいはこの街に居ないと」
「じゃあそれまでプリンは我慢して、半熟のゆで卵で…」
「それは無理だと思うぞ」
「え!? なんで?」
「この店に配達した卵は十個。その内五個は使ってるだろうから、明日にはなくなってるだろうな。他の店も同様だと思うぞ」
「なんですとおぉぉー!」
明日に食べられなくなると考えたレラは、悲しみのあまり力が抜け、物言わす人形のように、椅子にもたれ掛かった。
ホースの時よりも落ち込んでないか、と突っ込んでやりたくもなったが、流石にそれはないかとカズは黙っていた。
落ち込むレラを背負い、四人は店を出て宿屋に戻る。
路地裏の小さな店で夕食を済ませたのにも関わらず、夕方代は金貨二枚(20,000 GL)と高くついた。
翌日、翌々日と、セカンドキャニオンの街に滞在し、ギルドからの連絡を待った。
その間にビワがレラの防寒着を作り上げた。
レラの要望で大きなポケットを内側に二ヶ所も作ってもらっていた。
理由は単純に、お菓子なり食べ物を常備しておきたいからだと。
これでは着ぶくれどころか、何時かのようにぶくぶくと太ってしまうことは明らか。
レラが食べる食事の量には気を付けるよう、カズとビワは話を合わせる。
特に間食には注意を払うことにした。
そしてレラの防寒着が出来上がった次の日の朝ギルドから連絡があり、レラとビワに出発の支度をしおいてもらい、カズとアレナリアの二人はギルドに向かった。
ギルドに着き前回と同じ会議室に通されると、そこには〝春風の芽吹き〟四人の姿もあった。
呼び出された理由は二つのこと。
一つはコロコロ鳥の肉とその卵を販売していた商人について。
調べた結果、これは買った店側からの苦情も多く、仕入れ先に来た他の商人に圧を掛け、セカンドキャニオンの街に売りに来させないようにしていたと、裏が取れたんだと。
そこで販売していた商人に罰則金を与え、セカンドキャニオンでの取引を禁止させたとの事だ。
これにより他の商人がコロコロ鳥の肉と卵を持ち込むことで、値が安くなり、安定した量を見込めると言うことだった。
カズが店から聞いた話をギルドに報告したことで、予定より早く対応することが出来たと感謝された。
ギルド職員が店に事情を聞きに行っても、中々話してくれなかったようだったが、運搬をするだけの冒険者ならと、飲食店の店員は愚痴のつもりで話したと、後々分かった事だった。
そしてもう一つは、ワイバーンの件について。
と言っても、これは分かった事の報告と、報酬についてだった。
これはアレナリアというよりも〝春風の芽吹き〟に対しての話が主だった。
アレナリアにはワイバーンの買い取り金を全て〝春風の芽吹き〟に渡して良いのかの最終確認だった。
「始めから〝春風の芽吹き〟に話した通り、私達はワイバーンの討伐に関する報酬は受け取らないわ。例え買い取り額が金貨百枚(1,000,000GL)になったとしても、分け前をよこせなんて言わないわよ」
「宜しいんですか? 各個人のランクにしてもパーティーランクにしても、評価は大きく上がりますが?」
「別に構わないわ。ただし春風の芽吹きに、まだそこまで期待しないことね」
「そこまで言わなくても」
「本当のことよ。わかるでしょノース」
アレナリアの言ったことに、反論しようとするノースを宥めるルクリア。
「オレ達だって、今やってる魔力操作が完璧に出来るようにな…」
「魔力を纏わせるようには出来たけど、まだ一分がいいとこでしょ」
「た、確かにまだ……」
タルヒの反論には、訓練をつけていたアレナリアが現状の成長度合いを言ったことで、己の未熟さを分からせ黙らせた。
「冒険者としてギルドに評価されるのは嬉しいでしょうけど、自分達でも実力が覚束ないと思ってるなら、それに正直になるのね」
〝春風の芽吹き〟はアレナリアの言葉を黙って聞く。
「何か一つ出来ようになると、自分が出来る者だと勘違いしてしまう。それは国に使える兵士や、ギルド職員のように安定した職を得てる人達だけじゃないわ。鍛治職人にしてもパン職人にしても、より良く自分を見せようとするのは誰でも同じ。冒険者なんて誰でもなれるようなものでは、仕事を斡旋してくれるギルドに、良く見られたいと思うのは他よりも強いはず。だからと言って、自分を過大評価してしまうと、時には命に関わる事になってまう。だから少しでも未熟だと思うなら、謙虚の気持ちを忘れないこと」
〝春風の芽吹き〟だけではなく、ギルド職員もアレナリアの言葉を確と受け止めていた。
「一介の冒険者が、ちょっと上からものを言い過ぎたわね。ごめんなさい」
「あ、いや、その、とんでもないです。お恥ずかしいことですが、我々も初心は同じ様に思っておりました。ですがいつの間にかその気持ちを忘れ、どう評価されるかを考えるようになってまい」
アレナリアは〝春風の芽吹き〟の四人に伝えるつもりで言ったのだったが、ギルド職員にお説教をしたようになってしまった。
しかし結果的には、それが良い方に転がったので、アレナリアは良しとした。
「お帰りカズ。何個買えた? 牛乳がないからプリンは作れなくても、マヨがあるからタマゴサラダは作れるでしょ」
宿泊する部屋に入ると、レラが満面の笑みでお出迎え。
「その、なんだ……一個も買えなかった」
「……は!? なんでなんで?」
「ちょっと、色々あって」
「色々って?」
寝室の扉が開き、アレナリアとビワが出てきた。
「アレナリア戻ってたのか」
「少し前にね」
「お帰りなさい。カズさん」
「ただいま。ビワ」
「私も卵を買ってくるって聞いて、楽しみにしてたんだけど」
「ごめん」
「で、何があったの?」
「それがさぁ──」
カズは今朝アレナリアと別れて、依頼を受けてからの事を三人に話した。
もちろんギルドが調査してる事も。
「はああぁ! なにそいつ、ちょっとそこ連れてきなさい。あちしが文句言ってやる!」
楽しみを奪われた事に、目くじらを立てて怒るレラ。
「落ち着きなさいレラ。感情に任せて興奮しては駄目」
「そうよレラ。アレナリアさんの言う通り」
「そうだぞレラ(おお! アレナリアも楽しみにしてると言ってたから、怒るものだと思ったら、冷静にレラをなだめるとは。成長したなぁ)」
アレナリアの対応に、うんうんと頷き感心するカズ。
「食べ物の恨みがどれだけ恐ろしいか、私が教えてきてあげるわ」
「……ん?」
「カズ、倉庫の場所教えて」
「ギルドが対処するように動いてるって話したろ(前言撤回だ。全然成長してない)」
「だったら、あちしの─」
「それなら、私の─」
「「卵はどうなるの!」」
「この食いしん坊めらが……」
レラが元気になってくれたことは嬉しいが、食い意地までは戻ってくれなくても、というのが、カズの内心だった。
「わかったわかった。今日の夕食は昨日の店に行こう。そこにもコロコロ鳥の肉と卵を配達したから、売り切れてなければ食べれるかも知れないぞ」
「よし行くわよ!」
「レッツ・ラ・ゴー」
「待て(レラのやつどこでそんな言葉覚えた? レッツ・ラ・ゴーなんて、今日日聞かないぞ)」
部屋を飛び出そうとするレラの襟首を掴んで止めるカズ。
「何するの! 早く行かないと、あちしの卵が」
「店は夕方からだ。まだ開いてない。それにアレナリアにイリュージョンを掛けてもらってないだろ」
「店が開いた途端に売り切れちゃうかもでしょ。だから店の前で開くの待つもん」
「落ち着け。それに卵と言っても、ゆで卵だぞ。そうだろアレナリア」
「そう言えば、昨日ルクリアがそう言ってたわね」
「くぅ~。そうか、プリンじゃないんだけっけ」
全てをすっ飛ばして、卵=プリンだと思い込んでしまっていたレラが正気に戻る。
「残ってたらゆで卵でも良いじゃないか。卵の味を確かめる意味で」
「そうね。ルクリアはゆで卵でも美味しいって言ってたし」
「茹でる前なら、半熟にしてもらえば黄身の味もわかるだろ」
「わかった」
アレナリアが訓練をつけた〝春風の芽吹き〟の話を聞いて時間を潰し、開店する時間に合わせて宿屋を出る。
店に入り卵の料理を注文するも、あるのは卵と野菜の炒めもの、スクランブルエッグ、ゆで卵の三つだけだった。
卵を使っている分、他の料理より少し割高だったが、楽しみにしてたレラの為に、三つとも注文した。
当然ゆで卵は半熟に。
同じフライパンか鍋で調理をしたのか、スクランブルエッグにうっすらと香辛料の香りがついてしまっていた。
卵と野菜の炒めもは、癖のある野菜が良い具合に押さえられてたが、卵の味が野菜に消されて分かりずらかった。
それに比べ半熟のゆで卵は、ルクリアの言ってた通り黄身の濃厚さが直で味わえて当たりだった。
この卵でプリンを作れば、濃厚で良いものが出来そうだとカズとビワは考えた。
レラは半熟のゆで卵を食べて、黄身の濃厚な美味しさを知ったことで、ミルキーウッドの樹液とコロコロ鳥の卵を早く取りに行こうと躍起になる。
アレナリアもレラと同様の、明日にでも北東の森に向けて出発しようと言い出すものかと思っていたが、そうはならなかった。
「ギルドからワイバーンの件の調査が終わるまで、街に滞在してほしいって頼まれてるのよ」
「そうなのか? 俺にはそんなこと言ってこなかったなぁ」
「私に言ったから、いいと思ったじゃない」
「かもな。俺がやった依頼の件で、少しばたついてたから」
「え卵と樹液を取りは? 行けないの?」
「そうね、あと三、四日くらいはこの街に居ないと」
「じゃあそれまでプリンは我慢して、半熟のゆで卵で…」
「それは無理だと思うぞ」
「え!? なんで?」
「この店に配達した卵は十個。その内五個は使ってるだろうから、明日にはなくなってるだろうな。他の店も同様だと思うぞ」
「なんですとおぉぉー!」
明日に食べられなくなると考えたレラは、悲しみのあまり力が抜け、物言わす人形のように、椅子にもたれ掛かった。
ホースの時よりも落ち込んでないか、と突っ込んでやりたくもなったが、流石にそれはないかとカズは黙っていた。
落ち込むレラを背負い、四人は店を出て宿屋に戻る。
路地裏の小さな店で夕食を済ませたのにも関わらず、夕方代は金貨二枚(20,000 GL)と高くついた。
翌日、翌々日と、セカンドキャニオンの街に滞在し、ギルドからの連絡を待った。
その間にビワがレラの防寒着を作り上げた。
レラの要望で大きなポケットを内側に二ヶ所も作ってもらっていた。
理由は単純に、お菓子なり食べ物を常備しておきたいからだと。
これでは着ぶくれどころか、何時かのようにぶくぶくと太ってしまうことは明らか。
レラが食べる食事の量には気を付けるよう、カズとビワは話を合わせる。
特に間食には注意を払うことにした。
そしてレラの防寒着が出来上がった次の日の朝ギルドから連絡があり、レラとビワに出発の支度をしおいてもらい、カズとアレナリアの二人はギルドに向かった。
ギルドに着き前回と同じ会議室に通されると、そこには〝春風の芽吹き〟四人の姿もあった。
呼び出された理由は二つのこと。
一つはコロコロ鳥の肉とその卵を販売していた商人について。
調べた結果、これは買った店側からの苦情も多く、仕入れ先に来た他の商人に圧を掛け、セカンドキャニオンの街に売りに来させないようにしていたと、裏が取れたんだと。
そこで販売していた商人に罰則金を与え、セカンドキャニオンでの取引を禁止させたとの事だ。
これにより他の商人がコロコロ鳥の肉と卵を持ち込むことで、値が安くなり、安定した量を見込めると言うことだった。
カズが店から聞いた話をギルドに報告したことで、予定より早く対応することが出来たと感謝された。
ギルド職員が店に事情を聞きに行っても、中々話してくれなかったようだったが、運搬をするだけの冒険者ならと、飲食店の店員は愚痴のつもりで話したと、後々分かった事だった。
そしてもう一つは、ワイバーンの件について。
と言っても、これは分かった事の報告と、報酬についてだった。
これはアレナリアというよりも〝春風の芽吹き〟に対しての話が主だった。
アレナリアにはワイバーンの買い取り金を全て〝春風の芽吹き〟に渡して良いのかの最終確認だった。
「始めから〝春風の芽吹き〟に話した通り、私達はワイバーンの討伐に関する報酬は受け取らないわ。例え買い取り額が金貨百枚(1,000,000GL)になったとしても、分け前をよこせなんて言わないわよ」
「宜しいんですか? 各個人のランクにしてもパーティーランクにしても、評価は大きく上がりますが?」
「別に構わないわ。ただし春風の芽吹きに、まだそこまで期待しないことね」
「そこまで言わなくても」
「本当のことよ。わかるでしょノース」
アレナリアの言ったことに、反論しようとするノースを宥めるルクリア。
「オレ達だって、今やってる魔力操作が完璧に出来るようにな…」
「魔力を纏わせるようには出来たけど、まだ一分がいいとこでしょ」
「た、確かにまだ……」
タルヒの反論には、訓練をつけていたアレナリアが現状の成長度合いを言ったことで、己の未熟さを分からせ黙らせた。
「冒険者としてギルドに評価されるのは嬉しいでしょうけど、自分達でも実力が覚束ないと思ってるなら、それに正直になるのね」
〝春風の芽吹き〟はアレナリアの言葉を黙って聞く。
「何か一つ出来ようになると、自分が出来る者だと勘違いしてしまう。それは国に使える兵士や、ギルド職員のように安定した職を得てる人達だけじゃないわ。鍛治職人にしてもパン職人にしても、より良く自分を見せようとするのは誰でも同じ。冒険者なんて誰でもなれるようなものでは、仕事を斡旋してくれるギルドに、良く見られたいと思うのは他よりも強いはず。だからと言って、自分を過大評価してしまうと、時には命に関わる事になってまう。だから少しでも未熟だと思うなら、謙虚の気持ちを忘れないこと」
〝春風の芽吹き〟だけではなく、ギルド職員もアレナリアの言葉を確と受け止めていた。
「一介の冒険者が、ちょっと上からものを言い過ぎたわね。ごめんなさい」
「あ、いや、その、とんでもないです。お恥ずかしいことですが、我々も初心は同じ様に思っておりました。ですがいつの間にかその気持ちを忘れ、どう評価されるかを考えるようになってまい」
アレナリアは〝春風の芽吹き〟の四人に伝えるつもりで言ったのだったが、ギルド職員にお説教をしたようになってしまった。
しかし結果的には、それが良い方に転がったので、アレナリアは良しとした。
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