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四章 異世界旅行編 3 セテロン国
373 追う者の程度は低く、態度は大きい
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寝ずに待っていた三人に、カズは老夫婦と話してきた内容を聞かせる。
作物が殆ど作られてないのは、水の使用料が払えないから。
村人が老人ばかりなのは、奴隷として役に立たなくなった者が集められたからだと。
川沿いにあった馬の足跡は、川の水量が減ったのを確認しに街から来た使いだと言っていた。
ただ三つ目の質問に関しては、本当のことを言ってるとは思えなかった。
と、老夫婦の態度を見てそう感じたとことをカズは三人に話した。
念には念をと、三人にオーバーコートを裏側にして着用して休むようにカズは言い、自分は《隠蔽》を『3』に上げ〈アラーム〉を使用して目を閉じた。
アレナリアとレラがベッドを使い、ビワとカズは床に座って壁にもたれ掛かり寝た。
申し訳ないというカズを、一切嫌な顔をせず受け入れてくれるビワ。
ホコリまみれで汚れていた部屋を、クリアを使い少しはマシにしたことにより、アレナリアとレラは壊れそうな軋むベッドでも、ぐうすかと眠りなついた。
四人が寝入った深夜、村の中を足音を殺して移動する数人の気配が……
◇◆◇◆◇
朝早くに起きたカズは、馬と話して調子を確かめると、馬車に魔法を一つ掛けた。
三人が起きて来ると、宿屋出た一行はそのまま村を出立した。
川沿いを下流に向かい馬車を進める。
距離を置き後方から馬車を追う数人の気配を、カズとアレナリアは感じていた。
「三…四人かしら」
「だな。移動速度が違うが、四人が追って来てるのは間違いない」
「てことは、二人が馬で二人が歩きよね。あれで隠れてるつもりなの? まるっきり三流じゃない。これならコートを裏返して着なくてもよかったわね」
馬車が進む方向に、真新しい足跡があり、どう見ても後をつける四人のものだと分かる。
「わざとってことも考えられるから、一応警戒はしておこう。それにコートを裏にして着たから、寝込みを襲って来なかった、とも考えられる」
「それはそうだけど、足音を消しても、気配を消さない連中を警戒するってのもねぇ」
「帝国は色々な魔道具を作ってるんだろ。それが流れて来てると考えれば、警戒し過ぎるってことはないんじゃないか。そんなに余裕なら、油断して痛手を負っても助けやらないからな」
「私だけ? なんでよ!」
「この程度の相手なら、アレナリアなら十分対象出来るんだろ(そう自分で言ってたからなぁ)」
「え…ええ、そうよ。こんな下手な尾行するような相手に、掠り傷でも負うようなことなんてないわ(今それ言うの。カズの意地悪)」
アレナリアの虚勢を覚えていたカズは、ちょっと意地悪なことを言う。
「冒険者なんだから、掠り傷なんて日常茶飯事か。まあでも女性なんだから、治せるとはいっても傷は負ってほしくないな(一応フォローしておかないとな)」
「落としてから持ち上げたって、全然嬉しくないわよ」
と言いながらも、嬉しそうにするアレナリア。
「そんな話はどうでもいいけど、追って来てるその四人をどうするの? 全速力で逃げる?」
「それは無理だな。馬に乗ってる時点で、すぐに追い付かれる。それにこれ以上ホースに無理をさせられない」
「これ以上?」
ビワが気になりカズに聞き返す。
「ホースはまだ少し大丈夫だと言ってるんだけど……。自分でも、もう永くはないと分かってるみたいなんだ」
一瞬の沈黙が流れた。
「それなら、私達降りた方が」
「俺も同じ様なことを聞いたんだけど、自分の役目を取らないでほしいそうだ。今朝話した時にそう言ってた。馬車に魔法を掛けて軽くしてあるから、負担は少なくなってるはずた」
「そうなんですか……」
「そういうことだから、三人も覚悟はしておいてくれ」
アレナリアとレラとビワは、馬車を引くホースを見て黙ってしまった。
「そう重く考えないで、いつも通りにしててよ。アレナリアとレラのくだらない口喧嘩も、聞いてるホースからしたら、元気をもらえてるらしいからさ」
「へ? あちしとアレナリアの」
「私とレラの」
「「バカらしい口喧嘩が?」」
「ハモって答えるところが、仲が良い証拠じゃないのか」
アレナリアとレラはお互いの顔を見て、なんでよ! という表情をしている。
後方からつけてくる四人を警戒しながら、ホースを気遣い馬車は川沿いをのんびりと進む。
それは馬車を早く走らせるよりは良かった。
ゆっくりと馬車を進ませることで、村から監視していた者達が、自分達の存在に気付いてないと誤解させることが出来たからだ。
そのこともあり村を出てからというもの、遠目から監視しているだけで、四人は接触してくる様子は、今のところなかった。
ホースの調子に合わせ、休憩を取りつつゆっくりと移動し、セテロンで最初の村を出て二日が経った。
トカ国までの移動していた速度を考えれば、距離は半分程度になっていた。
だが、今は移動する速度や距離より、鬱陶しく後をつける連中よりも、ホースが気分良く旅をすることを優先させた。
これはホースの言葉が解るカズだけではなく、他の三人も同意見だった。
今まで様々な場所を通り運んでくれた仲間が、もう永くないと聞かされたら、気に掛けるのは至極当然のこと。
いつも通りにしてくれと言われても、四人ともホースを気遣ってしまう。
そんなことを考えつつ、村を出てから二度目の夕暮れになる。
背の高い雑草が邪魔をして、行く先の視界は悪く、街はおろか人工的な建物すら見えない。
日が落ちる前に馬車を停め、ホースをゆっくり休ませながら、カズは夕食の支度に取り掛かる。
一日の移動としては短いが、この人気の無い(追って来てる四人は抜きにして)所で先を急いでも仕方がない。
優先すべきは、ホースの体調だから。
そんなにカズ達の考えなど露知らず、追って来ていた二人が、業を煮やしたのか距離を縮め近付いて来た。
馬に乗る二人が、馬車の外で一人薪に火を着けようとしていたカズに接触する。
「そこのお前、この辺りでは見かけないが、何処から来た?」
「おれ達はこの先にある街の、領主様に使える兵士だ」
たまたま通り掛かった風を装い、馬上から強気に質問をする領主の私兵だと名乗る二人の男。
兵士と言うが、良くても悪くても程度の低い冒険者か、実力の乏しい傭兵にしか見えない。
と思ったものの、それで生活してる冒険者や傭兵に対して、カズは申し訳ないと感じた。
とりあえずの対処は、こそこそとつけて来ていたのを知っていながらも、面倒にならないようにと、カズは謙虚な態度で受け答えする。
「旅の冒険者です。トカ国から来たのですが、道に迷い今ここに」
「道に迷ったねぇ」
私兵だと言う男の一人は、カズの話に疑いをもつ。
「そちらの話を聞けば、この先に街があるとのことですが、距離はあとどれくらいですか?」
「そうさなぁ、おれ達の馬で一日走った距離だ」
「その年老いた遅い馬だと、三日は掛かるだろ」
「いやいや、五日の間違いだろ」
「だはっは」
馬上から見下ろし馬鹿にして話す二人。
自分達が色々と情報を与えいるのを気付いてないのか、強気な態度でペラペラと喋る。
馬鹿なのではとカズだけではなく、馬車で待機するアレナリアも思っていた。
馬上の男二人は、カズに向けて手を出し無言で催促する。
カズはごそごそとポケットをあさり、黙って二人に銀貨を渡した。
「少ないが、まあ良いだろ。世の中の渡り方を知っているようだ」
「冒険者ならこの国のために働き、税を多く納めろ」
吐き捨てるように言った二人の男は、馬を走らせた去っていった。
馬車から見えない位置まで馬を走らせると、カズから受け取った銀貨を見て舌打ちをする。
「チッ、銀貨三枚だけか。しけてんな」
「あんなボロ宿でボラれたんだ、仕方ねぇさ」
「それもおれ達に入ってるとは知らねぇだろうがな」
「街の手前で奴隷共に襲わせて、女と子供を連れて来させようぜ」
「それが駄目そうなら、奴隷をぶちのめして、助けたと思わせて恩を売ればいい」
「そいつぁいいや。こんな所を通る奴なんて滅多にいねぇんだ。若い女の奴隷を手に入れる機械なんてそうねぇんだ。街に入る前に、おれ達の物にしちまおうぜ」
「最高だが、どんな女だ?」
「そこまでは知らねぇ。高そうなコートで、顔は見えなかったらしいからな。ただ声は女だっただとよ」
「チッ、使えね老害共だ」
「だな。まあ男は冒険者らしいが、数で押さえて女を取っ捕まえて脅せばおとなしくするだろ」
「おいおい。これじゃ丸っきり盗賊だろ」
「だははッ、まったくだ。だがここはセテロンだ。一度奴隷にしちまえば、拉致だ違法だと何を言おうが、奴隷の言うことなんて誰も聞きはしねぇ」
「だな。街道を通ってりゃ良かったと、あとになって思うだろうよ」
「それはどうだろうな。街道には高く売れそうな奴が、トカやフギから入って来てねぇか、品定めしてる連中が多い。見つけたとしても取り合いだ。金のある奴は護衛を雇ってるから手は出せねぇし」
「そんなおれ達にも運が回って来たってことだ。あとはあの二人の連絡待ちだ」
「馬はなくとも、あんなトロい馬車を尾行するなんてのは楽だろ。せっかく買った奴隷なんだ、払った金額的以上働かせねぇと」
「使えなさそうなら、売って手放せばいい。所詮獣人の奴隷だ」
獲物を見つけた盗賊と同じ様な考えをする男二人。
他の国なら悪巧みになるだろうが、セテロンでは弱い者が奴隷になるのは当たり前。
多少の揉め事では国の兵士に捕らえられる事はない。
例え兵士が出てきたとしても、幾らかの金銭を渡せば見逃される。
国が腐ってるとしか思えない。
だが、これが奴隷国家としての歴史があるセテロンという国なのだと、カズ達は次第に分かることになる。
作物が殆ど作られてないのは、水の使用料が払えないから。
村人が老人ばかりなのは、奴隷として役に立たなくなった者が集められたからだと。
川沿いにあった馬の足跡は、川の水量が減ったのを確認しに街から来た使いだと言っていた。
ただ三つ目の質問に関しては、本当のことを言ってるとは思えなかった。
と、老夫婦の態度を見てそう感じたとことをカズは三人に話した。
念には念をと、三人にオーバーコートを裏側にして着用して休むようにカズは言い、自分は《隠蔽》を『3』に上げ〈アラーム〉を使用して目を閉じた。
アレナリアとレラがベッドを使い、ビワとカズは床に座って壁にもたれ掛かり寝た。
申し訳ないというカズを、一切嫌な顔をせず受け入れてくれるビワ。
ホコリまみれで汚れていた部屋を、クリアを使い少しはマシにしたことにより、アレナリアとレラは壊れそうな軋むベッドでも、ぐうすかと眠りなついた。
四人が寝入った深夜、村の中を足音を殺して移動する数人の気配が……
◇◆◇◆◇
朝早くに起きたカズは、馬と話して調子を確かめると、馬車に魔法を一つ掛けた。
三人が起きて来ると、宿屋出た一行はそのまま村を出立した。
川沿いを下流に向かい馬車を進める。
距離を置き後方から馬車を追う数人の気配を、カズとアレナリアは感じていた。
「三…四人かしら」
「だな。移動速度が違うが、四人が追って来てるのは間違いない」
「てことは、二人が馬で二人が歩きよね。あれで隠れてるつもりなの? まるっきり三流じゃない。これならコートを裏返して着なくてもよかったわね」
馬車が進む方向に、真新しい足跡があり、どう見ても後をつける四人のものだと分かる。
「わざとってことも考えられるから、一応警戒はしておこう。それにコートを裏にして着たから、寝込みを襲って来なかった、とも考えられる」
「それはそうだけど、足音を消しても、気配を消さない連中を警戒するってのもねぇ」
「帝国は色々な魔道具を作ってるんだろ。それが流れて来てると考えれば、警戒し過ぎるってことはないんじゃないか。そんなに余裕なら、油断して痛手を負っても助けやらないからな」
「私だけ? なんでよ!」
「この程度の相手なら、アレナリアなら十分対象出来るんだろ(そう自分で言ってたからなぁ)」
「え…ええ、そうよ。こんな下手な尾行するような相手に、掠り傷でも負うようなことなんてないわ(今それ言うの。カズの意地悪)」
アレナリアの虚勢を覚えていたカズは、ちょっと意地悪なことを言う。
「冒険者なんだから、掠り傷なんて日常茶飯事か。まあでも女性なんだから、治せるとはいっても傷は負ってほしくないな(一応フォローしておかないとな)」
「落としてから持ち上げたって、全然嬉しくないわよ」
と言いながらも、嬉しそうにするアレナリア。
「そんな話はどうでもいいけど、追って来てるその四人をどうするの? 全速力で逃げる?」
「それは無理だな。馬に乗ってる時点で、すぐに追い付かれる。それにこれ以上ホースに無理をさせられない」
「これ以上?」
ビワが気になりカズに聞き返す。
「ホースはまだ少し大丈夫だと言ってるんだけど……。自分でも、もう永くはないと分かってるみたいなんだ」
一瞬の沈黙が流れた。
「それなら、私達降りた方が」
「俺も同じ様なことを聞いたんだけど、自分の役目を取らないでほしいそうだ。今朝話した時にそう言ってた。馬車に魔法を掛けて軽くしてあるから、負担は少なくなってるはずた」
「そうなんですか……」
「そういうことだから、三人も覚悟はしておいてくれ」
アレナリアとレラとビワは、馬車を引くホースを見て黙ってしまった。
「そう重く考えないで、いつも通りにしててよ。アレナリアとレラのくだらない口喧嘩も、聞いてるホースからしたら、元気をもらえてるらしいからさ」
「へ? あちしとアレナリアの」
「私とレラの」
「「バカらしい口喧嘩が?」」
「ハモって答えるところが、仲が良い証拠じゃないのか」
アレナリアとレラはお互いの顔を見て、なんでよ! という表情をしている。
後方からつけてくる四人を警戒しながら、ホースを気遣い馬車は川沿いをのんびりと進む。
それは馬車を早く走らせるよりは良かった。
ゆっくりと馬車を進ませることで、村から監視していた者達が、自分達の存在に気付いてないと誤解させることが出来たからだ。
そのこともあり村を出てからというもの、遠目から監視しているだけで、四人は接触してくる様子は、今のところなかった。
ホースの調子に合わせ、休憩を取りつつゆっくりと移動し、セテロンで最初の村を出て二日が経った。
トカ国までの移動していた速度を考えれば、距離は半分程度になっていた。
だが、今は移動する速度や距離より、鬱陶しく後をつける連中よりも、ホースが気分良く旅をすることを優先させた。
これはホースの言葉が解るカズだけではなく、他の三人も同意見だった。
今まで様々な場所を通り運んでくれた仲間が、もう永くないと聞かされたら、気に掛けるのは至極当然のこと。
いつも通りにしてくれと言われても、四人ともホースを気遣ってしまう。
そんなことを考えつつ、村を出てから二度目の夕暮れになる。
背の高い雑草が邪魔をして、行く先の視界は悪く、街はおろか人工的な建物すら見えない。
日が落ちる前に馬車を停め、ホースをゆっくり休ませながら、カズは夕食の支度に取り掛かる。
一日の移動としては短いが、この人気の無い(追って来てる四人は抜きにして)所で先を急いでも仕方がない。
優先すべきは、ホースの体調だから。
そんなにカズ達の考えなど露知らず、追って来ていた二人が、業を煮やしたのか距離を縮め近付いて来た。
馬に乗る二人が、馬車の外で一人薪に火を着けようとしていたカズに接触する。
「そこのお前、この辺りでは見かけないが、何処から来た?」
「おれ達はこの先にある街の、領主様に使える兵士だ」
たまたま通り掛かった風を装い、馬上から強気に質問をする領主の私兵だと名乗る二人の男。
兵士と言うが、良くても悪くても程度の低い冒険者か、実力の乏しい傭兵にしか見えない。
と思ったものの、それで生活してる冒険者や傭兵に対して、カズは申し訳ないと感じた。
とりあえずの対処は、こそこそとつけて来ていたのを知っていながらも、面倒にならないようにと、カズは謙虚な態度で受け答えする。
「旅の冒険者です。トカ国から来たのですが、道に迷い今ここに」
「道に迷ったねぇ」
私兵だと言う男の一人は、カズの話に疑いをもつ。
「そちらの話を聞けば、この先に街があるとのことですが、距離はあとどれくらいですか?」
「そうさなぁ、おれ達の馬で一日走った距離だ」
「その年老いた遅い馬だと、三日は掛かるだろ」
「いやいや、五日の間違いだろ」
「だはっは」
馬上から見下ろし馬鹿にして話す二人。
自分達が色々と情報を与えいるのを気付いてないのか、強気な態度でペラペラと喋る。
馬鹿なのではとカズだけではなく、馬車で待機するアレナリアも思っていた。
馬上の男二人は、カズに向けて手を出し無言で催促する。
カズはごそごそとポケットをあさり、黙って二人に銀貨を渡した。
「少ないが、まあ良いだろ。世の中の渡り方を知っているようだ」
「冒険者ならこの国のために働き、税を多く納めろ」
吐き捨てるように言った二人の男は、馬を走らせた去っていった。
馬車から見えない位置まで馬を走らせると、カズから受け取った銀貨を見て舌打ちをする。
「チッ、銀貨三枚だけか。しけてんな」
「あんなボロ宿でボラれたんだ、仕方ねぇさ」
「それもおれ達に入ってるとは知らねぇだろうがな」
「街の手前で奴隷共に襲わせて、女と子供を連れて来させようぜ」
「それが駄目そうなら、奴隷をぶちのめして、助けたと思わせて恩を売ればいい」
「そいつぁいいや。こんな所を通る奴なんて滅多にいねぇんだ。若い女の奴隷を手に入れる機械なんてそうねぇんだ。街に入る前に、おれ達の物にしちまおうぜ」
「最高だが、どんな女だ?」
「そこまでは知らねぇ。高そうなコートで、顔は見えなかったらしいからな。ただ声は女だっただとよ」
「チッ、使えね老害共だ」
「だな。まあ男は冒険者らしいが、数で押さえて女を取っ捕まえて脅せばおとなしくするだろ」
「おいおい。これじゃ丸っきり盗賊だろ」
「だははッ、まったくだ。だがここはセテロンだ。一度奴隷にしちまえば、拉致だ違法だと何を言おうが、奴隷の言うことなんて誰も聞きはしねぇ」
「だな。街道を通ってりゃ良かったと、あとになって思うだろうよ」
「それはどうだろうな。街道には高く売れそうな奴が、トカやフギから入って来てねぇか、品定めしてる連中が多い。見つけたとしても取り合いだ。金のある奴は護衛を雇ってるから手は出せねぇし」
「そんなおれ達にも運が回って来たってことだ。あとはあの二人の連絡待ちだ」
「馬はなくとも、あんなトロい馬車を尾行するなんてのは楽だろ。せっかく買った奴隷なんだ、払った金額的以上働かせねぇと」
「使えなさそうなら、売って手放せばいい。所詮獣人の奴隷だ」
獲物を見つけた盗賊と同じ様な考えをする男二人。
他の国なら悪巧みになるだろうが、セテロンでは弱い者が奴隷になるのは当たり前。
多少の揉め事では国の兵士に捕らえられる事はない。
例え兵士が出てきたとしても、幾らかの金銭を渡せば見逃される。
国が腐ってるとしか思えない。
だが、これが奴隷国家としての歴史があるセテロンという国なのだと、カズ達は次第に分かることになる。
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