361 / 714
四章 異世界旅行編 2 トカ国
346 観光名所
しおりを挟む
ーーーーーーーーーーーーーーー
「中卒で仕事の経験もないのに、うちのバイトに応募したの?」
「はあ」
「はあ? って君ねぇ、テレビで紹介されたのを何処で聞いたか知らないけど、小さいながらにそこそこの会社なんだよね、うちは。君みたいなのに来てもらっても、二つ返事で雇うと思ったの?」
「……(来なければ……)」
「なに、黙り? まあ、一応面接はするよ。バイトの募集してるから」
「お…あ……すいません(嫌ならしなくていいよ)」
「ハッキリと声に出して言う。そんなだから印象が悪いって分からないかなぁ? 社会の常識って知ってる? 初対面の人対しての話し方ってあるでしょ。年齢がどうのこうの言いたかないけど、僕の方が年上。分かるかなあ?」
「…はい(言ってるじゃないか)」
「はいって……話すときには相手の目を見て話すとか、礼儀正しくするか言われなかった?」
「言われ…ました」
「ふっ。まあ僕は優しいから社会の常識をこうして教えてあげてるけど、他だったら叩き出されてるよ。うちの会社で働きたければ、他の所で仕事の経験を積んできな。今よりもっとましになったら、考えてないこともないから」
「……(雇う気なんかないだろ。鼻で笑ってんだから)」
「何してるの。面接は終わり。もう出ていきなさい。実家に住んでるなら、どうせ遊ぶ金が欲しいだけだろ。はい、お疲れさん!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
◇◆◇◆◇
「レラ起きて。朝食出来たって」
「あとで食べるから置いといて」
「なに言ってるの。今日はレラの服に使う生地と、かわいい鞄を探すんでしょ」
もぞもぞと布団から這い出して、寝ぼけ眼で朝食を口に運びもぐもぐする。
「寝起きが悪いのはいつもと変わらないから別に気にならないけど、ごはん食べて元気が出ないのは変ね」
「具合悪いの?」
食欲のないレラを心配するアレナリアとビワ。
「この辺がなんか……うっぷ」
お腹の辺りをさするレラ。
「うっぷ? ねぇレラ、お腹空いてる?」
「空いて……ないかも」
「レラの症状が分かったわ」
「あちし病気なの?」
「昨日あれだけ食べて飲んで、すぐに横になって寝たんだから当然よね。今までならなかったのが不思議なくらいよ」
レラが病気なのではと、ビワは更に心配をする。
「ねぇアレナリア、あちしのこれ治らないの?」
「そうね。このままだと治らないわね」
レラはお腹をさすり気を落とす。
「カズが言ってた不摂生をしないようにすれば、もうそんな事にならないわよ。私もレラのことを言えた義理じゃないけど(まあ単なる胃もたれだから、そのうちに治るわ)」
「……これからは気を付ける」
「ならビワに麦茶を入れてもらって、朝はそれで済ませなさい。お昼くらいにはいつもの状態に戻るでしょう」
「分かった」
レラがハーブティーを飲み終わるのを待ち、アレナリアはレラにイリュージョンの魔法を使用する。
三人は部屋を出ると、馬車の手入れとホースに食事を与えているカズの元に移動した。
「朝から気が重いなぁ(二十年以上前の事を、なんで今頃……見る夢も段々と遡ってるし」
昨夜の夢のことを思い出し考え事をしていたカズは、三人が来たことに気付かない。
何度か名前を呼ばれたことで、ようやく気付いたのだった。
カズと合流した三人は、観光がてらレラの服を作る生地と、新たな鞄を探しに出掛けた。
路地を抜けて大通りに出ると、建ち並ぶ様々な店を見ながらトンネルに向かい歩いて行く。
気になった物がないのか、まだ胃もたれが治らないのか、レラはカズが持つ肩掛け鞄の中でなんの反応もせず静かにしていた。
大通りはトンネルに向かう人、トンネルから戻って来る人、名物のホタテ貝を使った料理に舌鼓をする人、などで混み合っている。
種族も人族に小人族、獣人族は兎に熊に犬に猫など多種多様。
見た目は人族と変わらないが、背中に翼を持つ翼人族の姿もあった。
買い物はレラの具合が良くなるのを待ち、先に観光名所のトンネルに向かった。
「近くで見ると、これまたデカイなぁ」
観光客は多いが、意外とスムーズ進みトンネルの近くまでやってこれた。
「あちし出て良い?」
「ん? ああ、良いぞ」
鞄のかぶせ蓋を上げて、そのそとレラが出てきてカズの肩に座った。
「気分はどうだ?」
「ちょっとお腹空いてきたかなぁ」
「なら大丈夫だ」
「観光名所だって聞いたけど、ただのでっかい穴じゃん。中に見るようなものあるの?」
「山の向こうと行き来するためのトンネルだから、何も無いんじゃないか。ただトンネルが珍しいから見に来てるんだろうよ」
「ふ~ん。でっかい穴の何がいいんだか」
「それを言ったら、身も蓋もない」
「昨日買ったガイド本によれば、トンネルの外に作られた階段を通れば、道の反対側に行ける見たい。一番高い所には、展望スペースがあるって」
アレナリアに言われてトンネル外、アーチ状の部分を見ると、歩いて登る観光客の姿が見えた。
「確かにあそこまで上れば街がよく見えるだろうな。それが目当てで観光に来てるのか」
「見物料を払った人は、階段を通って道の反対側から街に戻ってるってことかしら」
「一方通行のようだしそうかも。でもそれだと、反対側から来た人達はどうしてるんだ?」
「ちょっと待って……」
アレナリアがガイド本を開き調べだした。
「あ、あった。少し入った所に、トンネル内側に沿って取り付けられた階段があるみたい」
「こちら側が外の景色を、あちら側がトンネル内部をってことか」
「ええ。流れがスムーズになるように、どちらも一方通行になってるみたい」
一人静かにしているビワは、観光客の人波に流されそうになっていた。
「ビワはアレナリアと俺の前を歩くと良い。横に並ぶと後ろから押されて危ないから」
「そうします」
「こっちよ」
アレナリアがビワの手を引きカズの前に移動し、レラが鞄から出ていたことに気付く。
「もう大丈夫なの?」
「なんとか」
「こっち来る?」
カズの肩に座るレラに、自分が抱いていようかと言うビワ。
「ここで良いよ。あちしを抱えてたらビワが大変だから」
「いいかレラ、見物したら街に戻って昼飯にするんだから、勝手にどっか行こうとするなよ」
「分かってるもん」
「なら良し(しっかし、こんなトンネル見たことないや。科学技術で掘るのもスゴいが、魔法で掘るとこんなにデカイの造れるのか)」
カズがトンネルを見上げ感心していると、自分達の番が回ってきた。
レラの体調も戻ったので、四人分の見物料を支払い、トンネルの外に作られた観光用の階段を登り始める。
階段の幅は大人二人が余裕で並んで歩けるほど広い、ただ段数が多く立ち止まって休憩する観光客の姿もちらほらと。
トンネルが近付くにつれて混む理由はこれだった。
「上れそう? ビワ」
「休まずには無理かもしれません」
「分かった(ビワにこの階段は少しキツイか)」
カズは周りの観光客に気付かれないように、こっそりとビワに身体強化をかけた。
身体が軽くなるのを感じたビワは、振り返って後ろに居るカズを見る。
カズは小声でビワに説明した。
「ちょっと身体強化をしたから、これであんまり疲れないと思うよ」
「ありがとうございます」
「カズ、私には」
隣で聞いていたアレナリアが、自分にはしてくれないのと言う。
「アレナリアはこの程度で疲れたりしないだろ」
「そうだけど……」
じっと睨むので、仕方がないかとアレナリアにも身体強化をかけた。
アレナリアの機嫌が良くなり、三人は階段を上って行く。
途中で止まり休む観光客がいたため、登りきるまで二十分以上も掛かってしまった。
一番高い場所は少し広くなっており、景色を楽しめる展望台が作られていた。
急な階段を登って来た観光客は、眼下に広がる景色を見て興奮し、子供は目を輝かせて展望台から身を乗り出しそうになっていた。
カズ達もホタテ街を一望すると、せっかくだからとトンネル内部の方にも行った。
トンネル内部の見物場所は、外と比べるとひんやりとして冷たく、地味で見栄えのするような所はなかった。
明かりが照らされても、出口の見えない薄く暗い穴がずっと先まで続いてるだけだった。
入口付近は観光客の声が響き、奥からは馬車の車輪と馬の蹄の音が、そして時折風が吹き抜けるブオゥ~ウォ~ンと低い音が響いていた。
見物するの観光客の中には、トンネルの壁や天井を触って嬉しそうにしている人も。
こんな所にもそっち系のオタクは居るんだな、とカズは実感。
トンネルの見物を終えたカズ達は、街へと戻り、昼食と取って買い物をする。
ときどき視線を感じたので、ビワとレラからあまり離れないようにカズは注意した。
「そろそろ宿に戻るか」
「そうね」
「まだレラが納得する鞄を見つけてないですけど、良いんでしょうか?」
「レラがどれも気に入らないって言うからよ」
「だってあちし好みのがなかったんだもん」
「なら今まで通り、移動はこの鞄だな」
カズが持っている鞄を叩く。
「仕方かいか。でも中のクッションがもうぺったんこなんだよね。だから新しいの作ってよビワ」
「ええ、良いわよ」
「なら明日は宿でレラの物を作ってやって。俺はギルドに行って配達の報酬を貰ってくるから」
観光と買い物を終えた四人は、宿屋に向かって大通りを歩いて行く。
トンネルから街へと戻って来てから何度となく視線を感じ、大通りを外れて路地に入ると、その視線を感じなくなった。
人混みに紛れて狙われる可能性があったので、ギルドにはカズ一人で行くと言い、レラとビワはアレナリアに護衛を任せ宿屋に居させることにした。
「中卒で仕事の経験もないのに、うちのバイトに応募したの?」
「はあ」
「はあ? って君ねぇ、テレビで紹介されたのを何処で聞いたか知らないけど、小さいながらにそこそこの会社なんだよね、うちは。君みたいなのに来てもらっても、二つ返事で雇うと思ったの?」
「……(来なければ……)」
「なに、黙り? まあ、一応面接はするよ。バイトの募集してるから」
「お…あ……すいません(嫌ならしなくていいよ)」
「ハッキリと声に出して言う。そんなだから印象が悪いって分からないかなぁ? 社会の常識って知ってる? 初対面の人対しての話し方ってあるでしょ。年齢がどうのこうの言いたかないけど、僕の方が年上。分かるかなあ?」
「…はい(言ってるじゃないか)」
「はいって……話すときには相手の目を見て話すとか、礼儀正しくするか言われなかった?」
「言われ…ました」
「ふっ。まあ僕は優しいから社会の常識をこうして教えてあげてるけど、他だったら叩き出されてるよ。うちの会社で働きたければ、他の所で仕事の経験を積んできな。今よりもっとましになったら、考えてないこともないから」
「……(雇う気なんかないだろ。鼻で笑ってんだから)」
「何してるの。面接は終わり。もう出ていきなさい。実家に住んでるなら、どうせ遊ぶ金が欲しいだけだろ。はい、お疲れさん!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
◇◆◇◆◇
「レラ起きて。朝食出来たって」
「あとで食べるから置いといて」
「なに言ってるの。今日はレラの服に使う生地と、かわいい鞄を探すんでしょ」
もぞもぞと布団から這い出して、寝ぼけ眼で朝食を口に運びもぐもぐする。
「寝起きが悪いのはいつもと変わらないから別に気にならないけど、ごはん食べて元気が出ないのは変ね」
「具合悪いの?」
食欲のないレラを心配するアレナリアとビワ。
「この辺がなんか……うっぷ」
お腹の辺りをさするレラ。
「うっぷ? ねぇレラ、お腹空いてる?」
「空いて……ないかも」
「レラの症状が分かったわ」
「あちし病気なの?」
「昨日あれだけ食べて飲んで、すぐに横になって寝たんだから当然よね。今までならなかったのが不思議なくらいよ」
レラが病気なのではと、ビワは更に心配をする。
「ねぇアレナリア、あちしのこれ治らないの?」
「そうね。このままだと治らないわね」
レラはお腹をさすり気を落とす。
「カズが言ってた不摂生をしないようにすれば、もうそんな事にならないわよ。私もレラのことを言えた義理じゃないけど(まあ単なる胃もたれだから、そのうちに治るわ)」
「……これからは気を付ける」
「ならビワに麦茶を入れてもらって、朝はそれで済ませなさい。お昼くらいにはいつもの状態に戻るでしょう」
「分かった」
レラがハーブティーを飲み終わるのを待ち、アレナリアはレラにイリュージョンの魔法を使用する。
三人は部屋を出ると、馬車の手入れとホースに食事を与えているカズの元に移動した。
「朝から気が重いなぁ(二十年以上前の事を、なんで今頃……見る夢も段々と遡ってるし」
昨夜の夢のことを思い出し考え事をしていたカズは、三人が来たことに気付かない。
何度か名前を呼ばれたことで、ようやく気付いたのだった。
カズと合流した三人は、観光がてらレラの服を作る生地と、新たな鞄を探しに出掛けた。
路地を抜けて大通りに出ると、建ち並ぶ様々な店を見ながらトンネルに向かい歩いて行く。
気になった物がないのか、まだ胃もたれが治らないのか、レラはカズが持つ肩掛け鞄の中でなんの反応もせず静かにしていた。
大通りはトンネルに向かう人、トンネルから戻って来る人、名物のホタテ貝を使った料理に舌鼓をする人、などで混み合っている。
種族も人族に小人族、獣人族は兎に熊に犬に猫など多種多様。
見た目は人族と変わらないが、背中に翼を持つ翼人族の姿もあった。
買い物はレラの具合が良くなるのを待ち、先に観光名所のトンネルに向かった。
「近くで見ると、これまたデカイなぁ」
観光客は多いが、意外とスムーズ進みトンネルの近くまでやってこれた。
「あちし出て良い?」
「ん? ああ、良いぞ」
鞄のかぶせ蓋を上げて、そのそとレラが出てきてカズの肩に座った。
「気分はどうだ?」
「ちょっとお腹空いてきたかなぁ」
「なら大丈夫だ」
「観光名所だって聞いたけど、ただのでっかい穴じゃん。中に見るようなものあるの?」
「山の向こうと行き来するためのトンネルだから、何も無いんじゃないか。ただトンネルが珍しいから見に来てるんだろうよ」
「ふ~ん。でっかい穴の何がいいんだか」
「それを言ったら、身も蓋もない」
「昨日買ったガイド本によれば、トンネルの外に作られた階段を通れば、道の反対側に行ける見たい。一番高い所には、展望スペースがあるって」
アレナリアに言われてトンネル外、アーチ状の部分を見ると、歩いて登る観光客の姿が見えた。
「確かにあそこまで上れば街がよく見えるだろうな。それが目当てで観光に来てるのか」
「見物料を払った人は、階段を通って道の反対側から街に戻ってるってことかしら」
「一方通行のようだしそうかも。でもそれだと、反対側から来た人達はどうしてるんだ?」
「ちょっと待って……」
アレナリアがガイド本を開き調べだした。
「あ、あった。少し入った所に、トンネル内側に沿って取り付けられた階段があるみたい」
「こちら側が外の景色を、あちら側がトンネル内部をってことか」
「ええ。流れがスムーズになるように、どちらも一方通行になってるみたい」
一人静かにしているビワは、観光客の人波に流されそうになっていた。
「ビワはアレナリアと俺の前を歩くと良い。横に並ぶと後ろから押されて危ないから」
「そうします」
「こっちよ」
アレナリアがビワの手を引きカズの前に移動し、レラが鞄から出ていたことに気付く。
「もう大丈夫なの?」
「なんとか」
「こっち来る?」
カズの肩に座るレラに、自分が抱いていようかと言うビワ。
「ここで良いよ。あちしを抱えてたらビワが大変だから」
「いいかレラ、見物したら街に戻って昼飯にするんだから、勝手にどっか行こうとするなよ」
「分かってるもん」
「なら良し(しっかし、こんなトンネル見たことないや。科学技術で掘るのもスゴいが、魔法で掘るとこんなにデカイの造れるのか)」
カズがトンネルを見上げ感心していると、自分達の番が回ってきた。
レラの体調も戻ったので、四人分の見物料を支払い、トンネルの外に作られた観光用の階段を登り始める。
階段の幅は大人二人が余裕で並んで歩けるほど広い、ただ段数が多く立ち止まって休憩する観光客の姿もちらほらと。
トンネルが近付くにつれて混む理由はこれだった。
「上れそう? ビワ」
「休まずには無理かもしれません」
「分かった(ビワにこの階段は少しキツイか)」
カズは周りの観光客に気付かれないように、こっそりとビワに身体強化をかけた。
身体が軽くなるのを感じたビワは、振り返って後ろに居るカズを見る。
カズは小声でビワに説明した。
「ちょっと身体強化をしたから、これであんまり疲れないと思うよ」
「ありがとうございます」
「カズ、私には」
隣で聞いていたアレナリアが、自分にはしてくれないのと言う。
「アレナリアはこの程度で疲れたりしないだろ」
「そうだけど……」
じっと睨むので、仕方がないかとアレナリアにも身体強化をかけた。
アレナリアの機嫌が良くなり、三人は階段を上って行く。
途中で止まり休む観光客がいたため、登りきるまで二十分以上も掛かってしまった。
一番高い場所は少し広くなっており、景色を楽しめる展望台が作られていた。
急な階段を登って来た観光客は、眼下に広がる景色を見て興奮し、子供は目を輝かせて展望台から身を乗り出しそうになっていた。
カズ達もホタテ街を一望すると、せっかくだからとトンネル内部の方にも行った。
トンネル内部の見物場所は、外と比べるとひんやりとして冷たく、地味で見栄えのするような所はなかった。
明かりが照らされても、出口の見えない薄く暗い穴がずっと先まで続いてるだけだった。
入口付近は観光客の声が響き、奥からは馬車の車輪と馬の蹄の音が、そして時折風が吹き抜けるブオゥ~ウォ~ンと低い音が響いていた。
見物するの観光客の中には、トンネルの壁や天井を触って嬉しそうにしている人も。
こんな所にもそっち系のオタクは居るんだな、とカズは実感。
トンネルの見物を終えたカズ達は、街へと戻り、昼食と取って買い物をする。
ときどき視線を感じたので、ビワとレラからあまり離れないようにカズは注意した。
「そろそろ宿に戻るか」
「そうね」
「まだレラが納得する鞄を見つけてないですけど、良いんでしょうか?」
「レラがどれも気に入らないって言うからよ」
「だってあちし好みのがなかったんだもん」
「なら今まで通り、移動はこの鞄だな」
カズが持っている鞄を叩く。
「仕方かいか。でも中のクッションがもうぺったんこなんだよね。だから新しいの作ってよビワ」
「ええ、良いわよ」
「なら明日は宿でレラの物を作ってやって。俺はギルドに行って配達の報酬を貰ってくるから」
観光と買い物を終えた四人は、宿屋に向かって大通りを歩いて行く。
トンネルから街へと戻って来てから何度となく視線を感じ、大通りを外れて路地に入ると、その視線を感じなくなった。
人混みに紛れて狙われる可能性があったので、ギルドにはカズ一人で行くと言い、レラとビワはアレナリアに護衛を任せ宿屋に居させることにした。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
492
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる