297 / 770
三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影
286 一時的な休息
しおりを挟む
何度かカズに念話で呼び掛けたが、全く反応しなかった。
城の外に出たフローラは寝ている白真を起こし、カズを呼ぶように頼んだ。
「フローラも念話が使えると、先程言っていたではないか」
「カズさんに呼び掛けたんだけど応答がないのよ。本当に繋がってるか分からなくて。だから」
「我にカズ呼び出せというのか」
「お願い」
めんどくさそうな顔をしながら、白真はカズに念話で話し掛けた。
しかしフローラ同様、カズからの返事はない。
「繋がらん」
「白真さんでも……いったいどうしちゃったのかしら?」
「カズと同行していた、あのフェアリーに念話を繋げてみたらどうだ?」
「そうね。レラを呼んでみるわ『レラ、レラ聞こえる?』」
「『……フローラ?』」
「レラと繋がったわ『そう私よ。レラはカズさんがどこに居るか知らない? カズさんに話し掛けても返事がなくて、念話が繋がってるか分からないの』」
「『ああ、それなら…』」
「『知ってるの? だったら教えて。急ぎの用事で探してるのよ』」
「『知ってるもなにも、カズならこのお屋敷で寝てるわよ。疲れが溜まってたから、少し呼んだだけじゃ起きなかったんじゃないの。あ、お屋敷ってのはマーガレットの家ね』」
「『マーガ…オリーブ・モチヅキ家に居るのね』」
「『そうだよ』」
「『カズさんを起こして、すぐお城に来るように言って』」
「『お城に?』」
「『ええ。お願いねレラ』」
「『カズが寝たから、まだ二時間も経ってないのに起こすの』」
「『急用なの!』」
「『分かったわよ』」
「『お城の入口で待ってるからって伝えて』」
レラにカズを起こしてもらい、城に来るよう頼んで念話を切るフローラ。
「久しぶりに話したと思ったら頼み事だなんて、なんなのよフローラは」
「どうしたのレラ?」
「ビワも一緒に来て。カズを起こすから」
「お昼にはまだ早いわよ」
「よく分からないけど、お城の人がカズを呼んでるんだって」
「え!? カズさんがお城から呼び出し……それって国王様から?」
「王様? そこまで聞いてないから、あちし知らな~い。ただフローラが急いでるって言ってたのよ。だからしょうがなくカズを起こしにいくの」
「でも…カズさんとても疲れてる。ゆっくり寝かせてあげたい」
「ビワの言う通り、あちしだってそう思うよ。でもフローラに頼まれし、お城に行くかどうかは分からないけど、カズには伝えないと」
「そうよね。ただ…寝ているカズさんを起こすのは……かわいそう」
「そんなの、あちしだって分かってるもん」
「ごめんなさい。別にレラが悪いとは言ってないのよ」
「……ねぇビワ」
「なぁに?」
「ビワって結局、カズとどおしたいの?」
「……! ど…どどおって」
「見てて好きなのは分かるよ」
「す…好き……」
「まあこのお屋敷で男っけがない暮らしをしてたみたいだから、親しくなった男のカズに好意を寄せるのは分かるけど。その先のこととか考えてたりする?」
「その先って……?」
「このままの関係でいくの? これからもずっと一緒に居たいの? カズの子供が欲しいとか」
「こッ…子供! そ、あ、い、あのわ、私とカズさんの……いえ……だ…そんな……あなたったら……」
ビワは顔をまっ真かにすると目を回し、ふらふらと揺れて何を喋っているか分からなくなっていた。
「一ヶ月も一緒に暮らしてたんだから慣れたかと思ったけど、ビワにはまだちょっと刺激が強かったかぁ。まあでもこれで、ビワの気持ちはよく分かった。カズはあちし一人で起こしにいくね(これがカズが言ってた、箱入り娘ってことなのかしら……あれ、違ったっけ?)」
「ま…待ってレラ」
「あれ、この手のからかわれ方に慣れたのか、正気に戻るのが早くなってるわね」
「お屋敷に戻ってからレラが皆に話したもんだから、キウイやミカンだけじゃなく、奥様まで私をからかってきたのよ。もうこのくらい平気……よ」
「ふ~ん。平気って言ってる割りには、顔が赤いままだよ~」
「そ…そんなことない……」
「にっちっち、かぁ~わいぃ~。これだからビワを、からかいたくなっちゃうんだよねぇ」
「もうッ」
「ごめんごめん。ほら早くカズを起こしに行こう」
「カズさんの前では、からかわないでよ」
「カズの前じゃなければいいんだ」
「そんなこと言ってないよ!」
カズに連絡が取れずイラ立つフローラの気持ちを露知らず、レラとビワはカズが寝ている部屋へと向かう。
疲れて寝ているカズを起こすのは申し訳ないと思い、部屋に入るのを躊躇するビワの背中を押し、部屋の扉を開けさせるレラ。
「ほら早く開けてビワ」
「わ…分かって……失礼し…ます」
ビワがそ~っと扉を開けると、少し開いた隙間からレラが先に部屋の中に入った。
「カズったら、ベッドじゃなくてソファーで寝てるよ。なんで……?」
「以前にカズさんがお屋敷に泊まっていた時も、ソファーで寝てたみたいなのよ」
「へぇ~。カズは高価な物を受け付けないのかなぁ? あちしと一緒に住んでる時も、カズが寝るベッドは安物だったしね」
「それよりカズさんを起こさないとでしょ」
「そうだった。カズお~き~ろ~」
「カズさん…カズさん……」
レラがカズの正面で声を張りが起きない。
ビワはカズを揺すって起こそうとする。
「カズさん…起きないわ」
「カズがこんなに起きないの珍しいわね。ビワもっと揺すって」
「え…あ……うん。カズさん……カズさん起きて」
「カズ、フローラが急用だって!」
「……ん…あぁ……もう少しだけ。お昼になったら、大家さんの所に一緒に行くか…ら……」
「大家さん?」
「カズさんリアーデの街で暮らしてた頃の夢でも見てるのかしら?」
「ふ~ん……だったらビワは、あの時ようにあなたって言って起こさないと」
「こ…ここはお屋敷だから」
「でも~、カズはビワと夫婦だった頃の夢を見てるみたいなんだから、そのつもりで起こしてあげれば、気持ち良くおきれるんじゃないのかなぁ? (にっちっち。カズがどう起きるか楽しみ)」
「レラがカズさんの反応を見たいだけでしょ」
「いいからいいから、早くカズを起こして。フローラから連絡がきてから、もう二十分以上経っちゃってる」
「私に任せてばかりで、レラが頼まれたんだでしょ」
ビワはカズを更に大きく揺すって起こす。
「ん…ん……」
「お、カズやっと起きた?」
うっすらと目を開けたカズの前に飛んでくるレラ。
「なんだレラか」
「なかなか起きないから、ビワの機嫌があまりよくないよ」
「……ああそうだ。今日はビワとウールさん所に、お鍋を返しに行くんだった」
「大家さん……カズさんまだ寝てます?」
「ごめんビワ、今起きるか…ら……。大家さんの前では、いつもみたいに呼んで……嫌かもしれないけど……俺のせいで…ごめん」
「カズまた寝ちゃった」
「疲れているのよ。やっぱり起こすのはかわいそう」
「あちしもそう思う…」
「『レラ。カズさんはもうお屋敷を出たの?』」
「あちゃ~」
「どうしたのレラ?」
「フローラから催促の連絡がきちゃった」
「『聞こえてるのレラ?』」
「『聞こえてるよ。今カズを起こしてるから、もう少し待ってて』」
「『お願いだから早く来させて』(でないとおばあちゃんに何を言われるか分からないのよ)」
フローラの催促を受けて、カズを起こす方法を黙って考えるレラ。
カズを揺すり起こす手を止めて、じっと静かに寝顔を見るビワ。
その様子を見たレラが、ニヤリと笑い何かを思い付いた。
「ちょっとそこのベッドに倒れ込んでくれるビワ」
「ベッドに倒れ込む?」
「いいからベッドにうつ伏せになって。カズを起こす為だから」
「え…あ…うん……」
今さっきからかわれたばかりなのに、レラの意味不明な言葉を聞いてしまったビワ。
それがあんな事になるとは知らず。
「こ…こう?」
「はい、そのまま目を閉じて動かないで」
ビワをベッドに倒れ込ませたあと、レラはカズの耳元に移動して大声で叫んだ。
城の外に出たフローラは寝ている白真を起こし、カズを呼ぶように頼んだ。
「フローラも念話が使えると、先程言っていたではないか」
「カズさんに呼び掛けたんだけど応答がないのよ。本当に繋がってるか分からなくて。だから」
「我にカズ呼び出せというのか」
「お願い」
めんどくさそうな顔をしながら、白真はカズに念話で話し掛けた。
しかしフローラ同様、カズからの返事はない。
「繋がらん」
「白真さんでも……いったいどうしちゃったのかしら?」
「カズと同行していた、あのフェアリーに念話を繋げてみたらどうだ?」
「そうね。レラを呼んでみるわ『レラ、レラ聞こえる?』」
「『……フローラ?』」
「レラと繋がったわ『そう私よ。レラはカズさんがどこに居るか知らない? カズさんに話し掛けても返事がなくて、念話が繋がってるか分からないの』」
「『ああ、それなら…』」
「『知ってるの? だったら教えて。急ぎの用事で探してるのよ』」
「『知ってるもなにも、カズならこのお屋敷で寝てるわよ。疲れが溜まってたから、少し呼んだだけじゃ起きなかったんじゃないの。あ、お屋敷ってのはマーガレットの家ね』」
「『マーガ…オリーブ・モチヅキ家に居るのね』」
「『そうだよ』」
「『カズさんを起こして、すぐお城に来るように言って』」
「『お城に?』」
「『ええ。お願いねレラ』」
「『カズが寝たから、まだ二時間も経ってないのに起こすの』」
「『急用なの!』」
「『分かったわよ』」
「『お城の入口で待ってるからって伝えて』」
レラにカズを起こしてもらい、城に来るよう頼んで念話を切るフローラ。
「久しぶりに話したと思ったら頼み事だなんて、なんなのよフローラは」
「どうしたのレラ?」
「ビワも一緒に来て。カズを起こすから」
「お昼にはまだ早いわよ」
「よく分からないけど、お城の人がカズを呼んでるんだって」
「え!? カズさんがお城から呼び出し……それって国王様から?」
「王様? そこまで聞いてないから、あちし知らな~い。ただフローラが急いでるって言ってたのよ。だからしょうがなくカズを起こしにいくの」
「でも…カズさんとても疲れてる。ゆっくり寝かせてあげたい」
「ビワの言う通り、あちしだってそう思うよ。でもフローラに頼まれし、お城に行くかどうかは分からないけど、カズには伝えないと」
「そうよね。ただ…寝ているカズさんを起こすのは……かわいそう」
「そんなの、あちしだって分かってるもん」
「ごめんなさい。別にレラが悪いとは言ってないのよ」
「……ねぇビワ」
「なぁに?」
「ビワって結局、カズとどおしたいの?」
「……! ど…どどおって」
「見てて好きなのは分かるよ」
「す…好き……」
「まあこのお屋敷で男っけがない暮らしをしてたみたいだから、親しくなった男のカズに好意を寄せるのは分かるけど。その先のこととか考えてたりする?」
「その先って……?」
「このままの関係でいくの? これからもずっと一緒に居たいの? カズの子供が欲しいとか」
「こッ…子供! そ、あ、い、あのわ、私とカズさんの……いえ……だ…そんな……あなたったら……」
ビワは顔をまっ真かにすると目を回し、ふらふらと揺れて何を喋っているか分からなくなっていた。
「一ヶ月も一緒に暮らしてたんだから慣れたかと思ったけど、ビワにはまだちょっと刺激が強かったかぁ。まあでもこれで、ビワの気持ちはよく分かった。カズはあちし一人で起こしにいくね(これがカズが言ってた、箱入り娘ってことなのかしら……あれ、違ったっけ?)」
「ま…待ってレラ」
「あれ、この手のからかわれ方に慣れたのか、正気に戻るのが早くなってるわね」
「お屋敷に戻ってからレラが皆に話したもんだから、キウイやミカンだけじゃなく、奥様まで私をからかってきたのよ。もうこのくらい平気……よ」
「ふ~ん。平気って言ってる割りには、顔が赤いままだよ~」
「そ…そんなことない……」
「にっちっち、かぁ~わいぃ~。これだからビワを、からかいたくなっちゃうんだよねぇ」
「もうッ」
「ごめんごめん。ほら早くカズを起こしに行こう」
「カズさんの前では、からかわないでよ」
「カズの前じゃなければいいんだ」
「そんなこと言ってないよ!」
カズに連絡が取れずイラ立つフローラの気持ちを露知らず、レラとビワはカズが寝ている部屋へと向かう。
疲れて寝ているカズを起こすのは申し訳ないと思い、部屋に入るのを躊躇するビワの背中を押し、部屋の扉を開けさせるレラ。
「ほら早く開けてビワ」
「わ…分かって……失礼し…ます」
ビワがそ~っと扉を開けると、少し開いた隙間からレラが先に部屋の中に入った。
「カズったら、ベッドじゃなくてソファーで寝てるよ。なんで……?」
「以前にカズさんがお屋敷に泊まっていた時も、ソファーで寝てたみたいなのよ」
「へぇ~。カズは高価な物を受け付けないのかなぁ? あちしと一緒に住んでる時も、カズが寝るベッドは安物だったしね」
「それよりカズさんを起こさないとでしょ」
「そうだった。カズお~き~ろ~」
「カズさん…カズさん……」
レラがカズの正面で声を張りが起きない。
ビワはカズを揺すって起こそうとする。
「カズさん…起きないわ」
「カズがこんなに起きないの珍しいわね。ビワもっと揺すって」
「え…あ……うん。カズさん……カズさん起きて」
「カズ、フローラが急用だって!」
「……ん…あぁ……もう少しだけ。お昼になったら、大家さんの所に一緒に行くか…ら……」
「大家さん?」
「カズさんリアーデの街で暮らしてた頃の夢でも見てるのかしら?」
「ふ~ん……だったらビワは、あの時ようにあなたって言って起こさないと」
「こ…ここはお屋敷だから」
「でも~、カズはビワと夫婦だった頃の夢を見てるみたいなんだから、そのつもりで起こしてあげれば、気持ち良くおきれるんじゃないのかなぁ? (にっちっち。カズがどう起きるか楽しみ)」
「レラがカズさんの反応を見たいだけでしょ」
「いいからいいから、早くカズを起こして。フローラから連絡がきてから、もう二十分以上経っちゃってる」
「私に任せてばかりで、レラが頼まれたんだでしょ」
ビワはカズを更に大きく揺すって起こす。
「ん…ん……」
「お、カズやっと起きた?」
うっすらと目を開けたカズの前に飛んでくるレラ。
「なんだレラか」
「なかなか起きないから、ビワの機嫌があまりよくないよ」
「……ああそうだ。今日はビワとウールさん所に、お鍋を返しに行くんだった」
「大家さん……カズさんまだ寝てます?」
「ごめんビワ、今起きるか…ら……。大家さんの前では、いつもみたいに呼んで……嫌かもしれないけど……俺のせいで…ごめん」
「カズまた寝ちゃった」
「疲れているのよ。やっぱり起こすのはかわいそう」
「あちしもそう思う…」
「『レラ。カズさんはもうお屋敷を出たの?』」
「あちゃ~」
「どうしたのレラ?」
「フローラから催促の連絡がきちゃった」
「『聞こえてるのレラ?』」
「『聞こえてるよ。今カズを起こしてるから、もう少し待ってて』」
「『お願いだから早く来させて』(でないとおばあちゃんに何を言われるか分からないのよ)」
フローラの催促を受けて、カズを起こす方法を黙って考えるレラ。
カズを揺すり起こす手を止めて、じっと静かに寝顔を見るビワ。
その様子を見たレラが、ニヤリと笑い何かを思い付いた。
「ちょっとそこのベッドに倒れ込んでくれるビワ」
「ベッドに倒れ込む?」
「いいからベッドにうつ伏せになって。カズを起こす為だから」
「え…あ…うん……」
今さっきからかわれたばかりなのに、レラの意味不明な言葉を聞いてしまったビワ。
それがあんな事になるとは知らず。
「こ…こう?」
「はい、そのまま目を閉じて動かないで」
ビワをベッドに倒れ込ませたあと、レラはカズの耳元に移動して大声で叫んだ。
21
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説
ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~
夢・風魔
ファンタジー
高校二年生最後の日。由樹空(ゆうきそら)は同じクラスの男子生徒と共に異世界へと召喚された。
全員の適正職業とスキルが鑑定され、空は「空気師」という職業と「空気清浄」というスキルがあると判明。
花粉症だった空は歓喜。
しかし召喚主やクラスメイトから笑いものにされ、彼はひとり森の中へ置いてけぼりに。
(アレルギー成分から)生き残るため、スキルを唱え続ける空。
モンスターに襲われ樹の上に逃げた彼を、美しい二人のエルフが救う。
命を救って貰ったお礼にと、森に漂う瘴気を浄化することになった空。
スキルを使い続けるうちにレベルはカンストし、そして新たに「空気操作」のスキルを得る。
*作者は賢くありません。作者は賢くありません。だいじなことなのでもう一度。作者は賢くありません。バカです。
*小説家になろう・カクヨムでも公開しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる