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三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影
268 脱獄 と 潜入
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衛兵本部の地下牢に捕らえられてるカズには、相変わらず粗末な食事が出されていた。
濁った水とカチコチのパンが一欠片だけ。
カズは気付かれないように、毎回アイテムボックス内の食べ物と入れ換えていた。
朝の交代で来た衛兵が見張りに付き約二時間、暇な二人は眠そうにあくびをしていた。
「ご希望とあらば」
衛兵二人に〈フォグスリープ〉をカズは使った。
二人の衛兵は壁に背をつけて、ゆっくり床に座り瞼を閉じて眠りについた。
「寝たみたいだな。鎖に繋がれて座ってるだけってのも、疲れるんだよなぁ」
カズは立ち上り背伸びをして体をほぐす。
「ろくに声も出せないから、こうやって衛兵を眠らせてる間に一人で喋るしかなし」
牢の中で不満を言うカズに、聞き覚えのある声で女性が話し掛けてきた。
「『き…聞こえて…ますか?』」
「『その声はビワ!?』」
「『カズさん…ですよね』」
「『そうだけど。ビワが念話してくるなんて、どうかしたの? 俺は至って元気……と言っていいか』」
「『や…やっぱり拷問を!?』」
「『スゴくお腹が空いてるだけで、拷問なんてうけてな……(いや、飯抜きやあの食事は拷問になるか)』」
「『あのぅカズさん。大丈夫…ですか?』」
「『全然大丈夫。それでどうしたの? レラが外に出れないのを我慢しきれずに、わがままでも言い出した?』」
「『そのレラなんですが……昨夜出掛けてけらから戻って来ないんです。今までは数時間で戻ってきてたのに』」
「『レラが戻ってこな……ん!? 今までは? レラは何度も外に出てたの?』」
「『は…はい。でもレラが出掛けていたのは、いつも深夜だけでした。奥様や皆もその事は知っていました』」
「『あのお転婆フェアリー』」
「『私が止めなかったから。レラが……ごめんなさいカズさん』」
「『ビワが謝ることないよ。俺がレラを探すから』」
「『でもカズさんは…』」
「ビワ大丈夫かにゃ? フリート様が来て話を聞きたいからって、奥様に呼んでくるように言われたにゃ」
「分かった。すぐ行くから少し待ってキウイ」
「『どうしたの? ビワ大丈夫か? (慣れない念話で長話をするのはやめた方がいいかな)』」
「『あの…はい』」
「『これ以上はビワの魔力を消費し過ぎるから、念話での話はここまでにしよう。レラは必ず見つけるから、ビワは気に病まないで。久々にビワの声が聞けて良かったよ』」
「『あ…』カズさん……念話切れちゃった」
ビワとの念話を切ったあと、カズはレラに念話で呼び掛けた。
「『レラ……お~いレラ』繋がらない。どこに居るんだ?」
カズは【マップ】を表示させて、レラに装備させているベルトの位置を探しす。
これがビワだからここがオリーブ・モチヅキ家で、えーっとレラは……これだよな?
反応が少し薄いみたいだけど、魔力を遮断するような場所にでも居るのか? とりあえず、ここを出ないと。
フリートさんには何かあったら、自分でなんとかしてみる様なことは一応言ってあるからな。
レラをビワの所に届けて、俺がここに戻って来るまでバレなければ。
衛兵も寝て…眠らせてあるから、ドッペルゲンガーを身代わりにして。
さて何時間もってくれるかだ。
今までは三時間程度しか入れ代わっていなかったから、効果が消える前に俺が戻って来れるかどうかだ。
一応フローラさんには一言いれておくか。
「『もしもしフローラさん……』繋がらない(ブレスレット身に付けてないのか? フローラさんも一部忘れてるとかだから、ブレスレットのこと覚えてないのかも。まぁ仕方ないか。いざ脱獄そして脱走だ)」
付けられている枷を〈ブレイクアイテム〉で破壊して外し、身代わりのドッペルゲンガー後ろに隠させた。
カズは〈メタモルフォーゼ〉で姿を変えて〈ゲート〉を使い地下牢から抜け出した。
暫くすると見張りの衛兵は目を覚まし、牢の中を見て異常がないことを確認する。
衛兵は身代わりのドッペルゲンガーを完全にカズだと思い、脱獄したことに気付くことはなかった。
衛兵本部から出たカズは、暗くなるのを待ってから貴族区に入ることにして、腹ごしらえをすることにした。
日が落ちて街灯が道を照らし始めた頃、元の姿に戻ったカズはマントに身を包み、貴族区と街の境に向かった。
貴族区に入る許可証はなく、ギルドカードをフェイクで変えても調べられたらバレてしまう可能性があったため、カズは門からは入らずに、壁を〈フライ〉で飛び越えて貴族区に入った。
カズは【マップ】を見てレラの反応がある建物に向かって行く。
日が暮れたばかりでも、貴族区の道には人の歩く影はなく、あるのは巡回する特等兵くらいだっだ。
誰にも見つからないように移動し、レラの反応がある建物へと着く。
そこにはレンガ造りの倉庫だと思える建物があった。
すぐ隣には大きな屋敷がたっている。
カズはレンガ造りの建物に入る場所を探した。
馬車を出入りさせる扉があり、カズは錠を破壊してそこから侵入する。
中に馬は居なかったが、引いて人を乗せる車だけが置いてあった。
そしておかしな点も。
外から見た建物の大きさと、中の広さが全く合わない。
カズは中を見渡すが、他に扉らしきものはどこにもないが、レラの反応は、確かに壁の向こう側にある。
すると隣の屋敷から、誰かがこちらに向かって来る反応が【マップ】を見て分かった。
カズは馬車の影に隠れ様子を伺い待つ。
しかし一向にその人物は入ってはこない。
なぜならその反応は足下、地面の中を通っていたからだ。
隣の屋敷から伸びた地下道で、レンガ造りの建物へと繋がっているようであった。
馬車が置いてある壁の奥には、屋敷から伸びる地下の通路を通ってしか行けないようだ。
カズは侵入方法を考える。
1・馬車が置いてある壁を破壊して侵入する。
2・屋敷に潜入して地下の通路を通ってレラの所に向かう。
3・ゲートでレラの居る部屋に移動する。
まぁ1は音で気付かれるからない、3はレラ以外の人の反応もあるからなし。
2の屋敷に潜入して、地下の通路からレラの所に行くしかないようだな。
カズは《隠蔽》と《隠密》を『5』まで上げた。
カズは【マップ】で屋敷に居る者達の位置を確認し、かち合わないよう気を付けて潜入することにした。
屋敷内に居る者達の反応は分かるが、マップに屋敷の内部までは細かく表示はされない。
便利のようで不便な点もあった。
カズはあまり使ってなさそうな部屋の窓の錠を静かに破壊して屋敷内に潜入し、レンガ造りの建物へと繋がる地下の通路を探し移動する。
屋敷内は静まり返り、扉の閉まる音だけでも気付かれそうな程だ。
カズは物音を立てずに、地下へと下りる場所を探し屋敷の一階を探索する。
一度通った場所はマップに表示されるため、同じ場所を探すような間違いはなかった。
変だな地下への通路も階段も無いぞ? 見落としはないはず……ん! なんだ、ここだけ部屋と部屋の間隔がやけに広い。
カズは一度調べた部屋に戻り、壁を調べた。
すると壁の向こう側に、1m程の空間があるのが分かった。
しかしそこへの入口はどこにも見当たらないため、カズは部屋を出て階段を上がり二階へと向かった。
二階には動きからして、使用人と思われる反応が数ヶ所にあった。
カズは更に慎重を期して探索にあたる。
一階にあった空間の上にあたる部屋には、幸いなことに誰も居なかったが、扉には鍵がかかっており中に入ることはできなかった。
さすがに部屋の扉を壊すのは、でも解錠の魔法は知らないし、知ってたら今までの枷や錠を壊したりしなかったんだけど。
う~ん……レラを閉じ込めてるような奴の屋敷なんか壊れても別にいいか。
細かいことを考えるのをやめたカズは、部屋の扉にかかる錠を壊して中には入ろうと決める。
すると部屋の奥からは人の反応が【マップ】に表示された。
カズは慌ててその場から離れ、通路の角に隠れて様子を伺った。
するとガチャリと音がした後、入ろうとしていた部屋の扉が開き、中から使用人と思われる女性がランプと食器を持って出てきた。
女性が立ち去るのを待ち、鍵の開いた部屋に入るカズ。
部屋の中には机と椅子があり、壁に大きな本棚に大量の本が並んでいた。
濁った水とカチコチのパンが一欠片だけ。
カズは気付かれないように、毎回アイテムボックス内の食べ物と入れ換えていた。
朝の交代で来た衛兵が見張りに付き約二時間、暇な二人は眠そうにあくびをしていた。
「ご希望とあらば」
衛兵二人に〈フォグスリープ〉をカズは使った。
二人の衛兵は壁に背をつけて、ゆっくり床に座り瞼を閉じて眠りについた。
「寝たみたいだな。鎖に繋がれて座ってるだけってのも、疲れるんだよなぁ」
カズは立ち上り背伸びをして体をほぐす。
「ろくに声も出せないから、こうやって衛兵を眠らせてる間に一人で喋るしかなし」
牢の中で不満を言うカズに、聞き覚えのある声で女性が話し掛けてきた。
「『き…聞こえて…ますか?』」
「『その声はビワ!?』」
「『カズさん…ですよね』」
「『そうだけど。ビワが念話してくるなんて、どうかしたの? 俺は至って元気……と言っていいか』」
「『や…やっぱり拷問を!?』」
「『スゴくお腹が空いてるだけで、拷問なんてうけてな……(いや、飯抜きやあの食事は拷問になるか)』」
「『あのぅカズさん。大丈夫…ですか?』」
「『全然大丈夫。それでどうしたの? レラが外に出れないのを我慢しきれずに、わがままでも言い出した?』」
「『そのレラなんですが……昨夜出掛けてけらから戻って来ないんです。今までは数時間で戻ってきてたのに』」
「『レラが戻ってこな……ん!? 今までは? レラは何度も外に出てたの?』」
「『は…はい。でもレラが出掛けていたのは、いつも深夜だけでした。奥様や皆もその事は知っていました』」
「『あのお転婆フェアリー』」
「『私が止めなかったから。レラが……ごめんなさいカズさん』」
「『ビワが謝ることないよ。俺がレラを探すから』」
「『でもカズさんは…』」
「ビワ大丈夫かにゃ? フリート様が来て話を聞きたいからって、奥様に呼んでくるように言われたにゃ」
「分かった。すぐ行くから少し待ってキウイ」
「『どうしたの? ビワ大丈夫か? (慣れない念話で長話をするのはやめた方がいいかな)』」
「『あの…はい』」
「『これ以上はビワの魔力を消費し過ぎるから、念話での話はここまでにしよう。レラは必ず見つけるから、ビワは気に病まないで。久々にビワの声が聞けて良かったよ』」
「『あ…』カズさん……念話切れちゃった」
ビワとの念話を切ったあと、カズはレラに念話で呼び掛けた。
「『レラ……お~いレラ』繋がらない。どこに居るんだ?」
カズは【マップ】を表示させて、レラに装備させているベルトの位置を探しす。
これがビワだからここがオリーブ・モチヅキ家で、えーっとレラは……これだよな?
反応が少し薄いみたいだけど、魔力を遮断するような場所にでも居るのか? とりあえず、ここを出ないと。
フリートさんには何かあったら、自分でなんとかしてみる様なことは一応言ってあるからな。
レラをビワの所に届けて、俺がここに戻って来るまでバレなければ。
衛兵も寝て…眠らせてあるから、ドッペルゲンガーを身代わりにして。
さて何時間もってくれるかだ。
今までは三時間程度しか入れ代わっていなかったから、効果が消える前に俺が戻って来れるかどうかだ。
一応フローラさんには一言いれておくか。
「『もしもしフローラさん……』繋がらない(ブレスレット身に付けてないのか? フローラさんも一部忘れてるとかだから、ブレスレットのこと覚えてないのかも。まぁ仕方ないか。いざ脱獄そして脱走だ)」
付けられている枷を〈ブレイクアイテム〉で破壊して外し、身代わりのドッペルゲンガー後ろに隠させた。
カズは〈メタモルフォーゼ〉で姿を変えて〈ゲート〉を使い地下牢から抜け出した。
暫くすると見張りの衛兵は目を覚まし、牢の中を見て異常がないことを確認する。
衛兵は身代わりのドッペルゲンガーを完全にカズだと思い、脱獄したことに気付くことはなかった。
衛兵本部から出たカズは、暗くなるのを待ってから貴族区に入ることにして、腹ごしらえをすることにした。
日が落ちて街灯が道を照らし始めた頃、元の姿に戻ったカズはマントに身を包み、貴族区と街の境に向かった。
貴族区に入る許可証はなく、ギルドカードをフェイクで変えても調べられたらバレてしまう可能性があったため、カズは門からは入らずに、壁を〈フライ〉で飛び越えて貴族区に入った。
カズは【マップ】を見てレラの反応がある建物に向かって行く。
日が暮れたばかりでも、貴族区の道には人の歩く影はなく、あるのは巡回する特等兵くらいだっだ。
誰にも見つからないように移動し、レラの反応がある建物へと着く。
そこにはレンガ造りの倉庫だと思える建物があった。
すぐ隣には大きな屋敷がたっている。
カズはレンガ造りの建物に入る場所を探した。
馬車を出入りさせる扉があり、カズは錠を破壊してそこから侵入する。
中に馬は居なかったが、引いて人を乗せる車だけが置いてあった。
そしておかしな点も。
外から見た建物の大きさと、中の広さが全く合わない。
カズは中を見渡すが、他に扉らしきものはどこにもないが、レラの反応は、確かに壁の向こう側にある。
すると隣の屋敷から、誰かがこちらに向かって来る反応が【マップ】を見て分かった。
カズは馬車の影に隠れ様子を伺い待つ。
しかし一向にその人物は入ってはこない。
なぜならその反応は足下、地面の中を通っていたからだ。
隣の屋敷から伸びた地下道で、レンガ造りの建物へと繋がっているようであった。
馬車が置いてある壁の奥には、屋敷から伸びる地下の通路を通ってしか行けないようだ。
カズは侵入方法を考える。
1・馬車が置いてある壁を破壊して侵入する。
2・屋敷に潜入して地下の通路を通ってレラの所に向かう。
3・ゲートでレラの居る部屋に移動する。
まぁ1は音で気付かれるからない、3はレラ以外の人の反応もあるからなし。
2の屋敷に潜入して、地下の通路からレラの所に行くしかないようだな。
カズは《隠蔽》と《隠密》を『5』まで上げた。
カズは【マップ】で屋敷に居る者達の位置を確認し、かち合わないよう気を付けて潜入することにした。
屋敷内に居る者達の反応は分かるが、マップに屋敷の内部までは細かく表示はされない。
便利のようで不便な点もあった。
カズはあまり使ってなさそうな部屋の窓の錠を静かに破壊して屋敷内に潜入し、レンガ造りの建物へと繋がる地下の通路を探し移動する。
屋敷内は静まり返り、扉の閉まる音だけでも気付かれそうな程だ。
カズは物音を立てずに、地下へと下りる場所を探し屋敷の一階を探索する。
一度通った場所はマップに表示されるため、同じ場所を探すような間違いはなかった。
変だな地下への通路も階段も無いぞ? 見落としはないはず……ん! なんだ、ここだけ部屋と部屋の間隔がやけに広い。
カズは一度調べた部屋に戻り、壁を調べた。
すると壁の向こう側に、1m程の空間があるのが分かった。
しかしそこへの入口はどこにも見当たらないため、カズは部屋を出て階段を上がり二階へと向かった。
二階には動きからして、使用人と思われる反応が数ヶ所にあった。
カズは更に慎重を期して探索にあたる。
一階にあった空間の上にあたる部屋には、幸いなことに誰も居なかったが、扉には鍵がかかっており中に入ることはできなかった。
さすがに部屋の扉を壊すのは、でも解錠の魔法は知らないし、知ってたら今までの枷や錠を壊したりしなかったんだけど。
う~ん……レラを閉じ込めてるような奴の屋敷なんか壊れても別にいいか。
細かいことを考えるのをやめたカズは、部屋の扉にかかる錠を壊して中には入ろうと決める。
すると部屋の奥からは人の反応が【マップ】に表示された。
カズは慌ててその場から離れ、通路の角に隠れて様子を伺った。
するとガチャリと音がした後、入ろうとしていた部屋の扉が開き、中から使用人と思われる女性がランプと食器を持って出てきた。
女性が立ち去るのを待ち、鍵の開いた部屋に入るカズ。
部屋の中には机と椅子があり、壁に大きな本棚に大量の本が並んでいた。
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