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三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影
265 危険な好奇心
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貴族区へと来たフリートは、モルトの代わりにオリーブ・モチヅキ家への御用聞きが名目として来ているので、立ち寄ってからギルドに戻ることにした。
「こんにちは。アキレアさん」
「フリート様。今日来られるとは聞いていませんでしたが、何か急な用件でも?」
「いえいえ。こちらに用事があったものですから、依らせていただきました。一応ボクは、第2ギルドが請け負う仕事の代わりを勤めることになってますから」
「そうでしたか」
「前回ボクが来てから、何か変わったことはありましたか?」
「いいえ。何も御座いません」
「そうですか。マーガレット様にお聞きしたいことがあったので、これをお願いします。以前話して通り、ボクはここで失礼します」
「承りました」
今回たまたま屋敷の外で掃除をしていたアキレアに話して、マーガレット宛の手紙を渡しフリートはオリーブ・モチヅキ家を離れて行く。
貴族区と街を隔てる門を通り、ギルドへと戻ったフリートは、自室にある椅子に腰掛け気を緩めた。
ふぅ、尾行もないようだ。
まぁそう簡単には付けさせたりはしないけど。
ジーク兄さんが調べてくれても分からなかった、マーガレット様にルマンチーニ卿のことを聞きたくて書いたけど、もう少し調べた後の方がよかったかも。
しかしあまり時間を掛けすぎて、カズさんが脱獄でもして見つかったら大事だしな。
最近少し根を…ふぁ~、詰め過ぎ…たか……。
今日の事を思い返してたフリートは、椅子に座ったまま寝してしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「失礼します。先程フリート様が参られまして、手紙をお預かりしました」
「あらそう。ありがとうアキレア」
マーガレットはアキレアから封筒を受け取り、ペーパーナイフを使い封を切り、手紙を取り出して書いてある内容に目を通す。
「失礼致します」
アキレアと入れ替わるように、ベロニカがマーガレットの部屋にやって来た。
「奥様そろそろ時間になります。デイジー様とダリア様がお待ちです」
「もうそんな時間なのね。分かったわすぐに行きます」
二人の子供デイジーとダリアと一緒に勉強をすると約束してあったため、マーガレットは手紙を机の引き出しに入れて部屋を出る。
すると天井裏からその様子を見ていたレラが、静かにゆっくりと下りる。
「にっちっち。あちしにかかれば、狭い所を通って忍び込むのなんて朝飯前よ。な~んて、外に出る抜け道を探してたとき、偶然マーガレットの部屋の天井裏に繋がったんだけど」
レラはマーガレットが引き出しにしまった手紙取り出し読み始める。
「トリモルガ家のルマンチーニ? ドセトナ? 誰それ。あちしがここに居ることをイキシアが知ってた? あちしがここに来てからあった覚えもないし、イキシアは来てもいないと思うけど。知らない貴族やイキシアのことはどうでもいいの。それよりカズのことは……書いてない。! ヤバっ誰か入ってくる!」
部屋の扉が開く寸前に、レラはとっさに机の下へ隠れた。
部屋に入ってきたのは、メイドのミカンだった。
「えっと、奥様が言っていた本は……あ、これだ。ん? 引き出し開けっ放しじゃん。手紙も出しっぱなしで、しょうがないなぁ奥様は。ミカンが片付けてあげないと、これをメイド長に見られたら、奥様が怒られちゃうから」
マーガレットに頼まれた本を取りに来たミカンは、レラが読んで出したままの手紙を引き出しにしまい片付けていった。
「ミカンで良かった。アキレアやベロニカだったら、あちしに気付いたかも知れなかったから。見つかる前に、あちしも出てかないと」
フローラとフリートとロイヤルガードのジークは、カズが得た情報を元に調査を進めているなかで、レラは中々外に出れなかった欲求と根っからの好奇心で、気付かぬ内に真相へと片足を突っ込んでいた。
夜も更け屋敷の誰もが寝静まった頃、レラは今宵も抜け出そうと動き出す。
「二日も我慢したんだから、今夜は思いっきり飛び回ってやるもん。と言いたいけど、寒いから少しだけにしよ」
「レラ」
「!」
「また…行くの」
「なんだビワか。二日も我慢したんだからいいでしょ」
「止めても行くのよね」
「少しだけだから」
「はい。寒いから…これ着てって」
ビワはレラ用のコート渡した。
「どうしたのこれ?」
「レラの冬服が無いから…作ったの。リアーデに居た頃に、大家さんから裁縫を教わってたでしょ。それで」
レラはコートに袖を通して、前にあるボタンを留める。
「右の袖はピッタリだけど、左は少し長いわね。まぁ裾が膝の下まであるは良いけど」
「下手で…ごめんなさい……」
頭を少し傾けて、ビワは落ち込む。
「ま、まあビワにしては良く出来てると思うよ。もっと上手くなれば、カズの本妻になることを認めてあげても良いかも。それと……ありがとう。暖かくてとても嬉しい」
「ふふっ。喜んでくれて私も嬉しい。今度はもっと上手く作るね」
顔を赤くしてそっぽを向くレラ。
「せっかく作ったんだから。それに、あちし以外着れないから、しょうがなく着てあげるんだもん」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、ちょっと出掛けてくる」
「あ…ねぇレラ、今夜はやめない?」
「今になって何? 外に出るの分かってたから、寒くないようにこれを作ってくれたんでしょ」
「そう…なんだけど……ほら、袖の長さも直はないと」
「それは明日でもいいじゃない」
「……あまり遅くならないで…早く戻って来て。危ないことは決してしないで…よ」
「分かってるもん」
「ここの窓は開けておくから」
「ありがとう。ビワ」
「気を付けて(少し嫌な予感が……私の気のせいならいいのだけど)」
レラはビワに見送られ、暗い外へと出て行く。
不安な顔を浮かべながら、レラが無事に戻って来るようビワは祈った。
ビワ手作りのコートを着て屋敷を出たレラは、フードとマントで姿を隠した人物が前回入った屋敷へと向かった。
「ビワにはああ言ったけど、この美少女探偵レラが、必ずやカズに濡れ衣を着せた犯人を突き止めてやるんだもん。前回尾行したあの怪しげな奴が、トリモチだかルマチキだか知らないけど、きっとそいつらと関わってるんだ。あちしの勘はそう言ってる……たぶん」
目的の屋敷の近くへと来たレラは、建物の周囲を見て回った。
すると少し開いた窓の隙間から、うっすらと灯りが漏れる部屋を見つけ、レラは近付き中を覗き込む。
部屋の中には一本の蝋燭が灯り、人の姿は見えなかった。
しかしボソボソと話し声は聞こえていた。
レラは意を決して開いた窓の隙間から中に入り、そのままカーテンの裏に隠れ話に耳を傾ける。
「ミスリルが保管されてる場所は、まだ見つからないのか。冒険者が砂漠から入手して、お前が所属してるギルドに預けられてたんじゃないのか」
「探してはいるのですが。見付かったのは、お渡しした『ゴーレム生成の指輪』だけでした」
えっ! それって、前にカズが見付けたって言ってたアイテムじゃなかったっけ?
「モンスターの魔核やマナストーンでは、純度も低いため効果は半減してしまう。そろそろ使用してるマナストーンも消滅する。ミスリルが無ければ、マナの濃い血を持つ者を連れてこい」
「しかしそれでは…」
「構わん。このアーティファクトが完全起動すれば、多くの者達の記憶を改竄するなど造作もない。お前のようにな……イキシア・フォレスト」
「はい」
イキシアが!! じゃあここって本当に! 早く知らせないと。
そうだ! 念話でカズに連絡すれば……あれ? 繋がんないなんで??
「魔力反応……そこだ!」
念話を試みたことにより魔力を感知され、レラが隠れているのに気付かれた。
とっさに窓から外へ逃げようと、カーテンの影から飛び出したその時、イキシアに鷲掴みにされレラは捕らえられた。
「は、放しなさい。放してイキシア!」
「最近後を付けられてると思ったら、フローラが見付けたフェアリーのレラだったの。見られたからには…」
握り潰そうと手に力を入れるイキシア。
「痛ッ! や、やめてイキシア。お願いやめてぇ…ぇ……」
「待て」
部屋に居た男の言葉で、イキシアは握る力を緩めた。
「そのフェアリーは、アーティファクトの起動に使えそうだ。完全にとはいかんが、今燃料にしているマナストーンより効果が強そうだ」
「このフェアリーのレラは、現在オリーブ・モチヅキ家に匿われております。居なくなったのが知られれば面倒な事に」
「それは好都合だ。匿われているはずのフェアリーが居なくなったとしても、表立って探すことはできないだろ。次にアーティファクトを起動した燃料がフェアリーだと知れば、奴はどうなる。匿っていた貴族を怨み…グげゲ」
「それは分かりませんが、貴族を信用できなくなるかと」
「それでだけでは困るな。こやつが呪った相手を、今度は助けた本人が殺すよう仕向けなければ。そうすれば危険人物として、王の命令でロイヤルガードも動こう。そこにドラゴニュートも加われば、確実に奴を消せるだろ」
「ドラゴニュート……第1ギルドマスターのバルフートですか」
「そんな名前だったか。まぁ名前などどうでもよい。起動させているアーティファクトが完全になれば、そいつも意のままに操れるだろう」
「このフェアリーはどういたしましょう?」
「先程何かしらの魔力を使おうとしようだ、逃げられんように特製の檻に入れておけ。目が覚めて周りを見れば、大人しくなるだろ」
「分かりました」
イキシアは手の中で気絶したレラを連れ、様々な檻が置かれている場所に行き、空いている檻にレラを入れて閉じ込めた。
「こんにちは。アキレアさん」
「フリート様。今日来られるとは聞いていませんでしたが、何か急な用件でも?」
「いえいえ。こちらに用事があったものですから、依らせていただきました。一応ボクは、第2ギルドが請け負う仕事の代わりを勤めることになってますから」
「そうでしたか」
「前回ボクが来てから、何か変わったことはありましたか?」
「いいえ。何も御座いません」
「そうですか。マーガレット様にお聞きしたいことがあったので、これをお願いします。以前話して通り、ボクはここで失礼します」
「承りました」
今回たまたま屋敷の外で掃除をしていたアキレアに話して、マーガレット宛の手紙を渡しフリートはオリーブ・モチヅキ家を離れて行く。
貴族区と街を隔てる門を通り、ギルドへと戻ったフリートは、自室にある椅子に腰掛け気を緩めた。
ふぅ、尾行もないようだ。
まぁそう簡単には付けさせたりはしないけど。
ジーク兄さんが調べてくれても分からなかった、マーガレット様にルマンチーニ卿のことを聞きたくて書いたけど、もう少し調べた後の方がよかったかも。
しかしあまり時間を掛けすぎて、カズさんが脱獄でもして見つかったら大事だしな。
最近少し根を…ふぁ~、詰め過ぎ…たか……。
今日の事を思い返してたフリートは、椅子に座ったまま寝してしまった。
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「失礼します。先程フリート様が参られまして、手紙をお預かりしました」
「あらそう。ありがとうアキレア」
マーガレットはアキレアから封筒を受け取り、ペーパーナイフを使い封を切り、手紙を取り出して書いてある内容に目を通す。
「失礼致します」
アキレアと入れ替わるように、ベロニカがマーガレットの部屋にやって来た。
「奥様そろそろ時間になります。デイジー様とダリア様がお待ちです」
「もうそんな時間なのね。分かったわすぐに行きます」
二人の子供デイジーとダリアと一緒に勉強をすると約束してあったため、マーガレットは手紙を机の引き出しに入れて部屋を出る。
すると天井裏からその様子を見ていたレラが、静かにゆっくりと下りる。
「にっちっち。あちしにかかれば、狭い所を通って忍び込むのなんて朝飯前よ。な~んて、外に出る抜け道を探してたとき、偶然マーガレットの部屋の天井裏に繋がったんだけど」
レラはマーガレットが引き出しにしまった手紙取り出し読み始める。
「トリモルガ家のルマンチーニ? ドセトナ? 誰それ。あちしがここに居ることをイキシアが知ってた? あちしがここに来てからあった覚えもないし、イキシアは来てもいないと思うけど。知らない貴族やイキシアのことはどうでもいいの。それよりカズのことは……書いてない。! ヤバっ誰か入ってくる!」
部屋の扉が開く寸前に、レラはとっさに机の下へ隠れた。
部屋に入ってきたのは、メイドのミカンだった。
「えっと、奥様が言っていた本は……あ、これだ。ん? 引き出し開けっ放しじゃん。手紙も出しっぱなしで、しょうがないなぁ奥様は。ミカンが片付けてあげないと、これをメイド長に見られたら、奥様が怒られちゃうから」
マーガレットに頼まれた本を取りに来たミカンは、レラが読んで出したままの手紙を引き出しにしまい片付けていった。
「ミカンで良かった。アキレアやベロニカだったら、あちしに気付いたかも知れなかったから。見つかる前に、あちしも出てかないと」
フローラとフリートとロイヤルガードのジークは、カズが得た情報を元に調査を進めているなかで、レラは中々外に出れなかった欲求と根っからの好奇心で、気付かぬ内に真相へと片足を突っ込んでいた。
夜も更け屋敷の誰もが寝静まった頃、レラは今宵も抜け出そうと動き出す。
「二日も我慢したんだから、今夜は思いっきり飛び回ってやるもん。と言いたいけど、寒いから少しだけにしよ」
「レラ」
「!」
「また…行くの」
「なんだビワか。二日も我慢したんだからいいでしょ」
「止めても行くのよね」
「少しだけだから」
「はい。寒いから…これ着てって」
ビワはレラ用のコート渡した。
「どうしたのこれ?」
「レラの冬服が無いから…作ったの。リアーデに居た頃に、大家さんから裁縫を教わってたでしょ。それで」
レラはコートに袖を通して、前にあるボタンを留める。
「右の袖はピッタリだけど、左は少し長いわね。まぁ裾が膝の下まであるは良いけど」
「下手で…ごめんなさい……」
頭を少し傾けて、ビワは落ち込む。
「ま、まあビワにしては良く出来てると思うよ。もっと上手くなれば、カズの本妻になることを認めてあげても良いかも。それと……ありがとう。暖かくてとても嬉しい」
「ふふっ。喜んでくれて私も嬉しい。今度はもっと上手く作るね」
顔を赤くしてそっぽを向くレラ。
「せっかく作ったんだから。それに、あちし以外着れないから、しょうがなく着てあげるんだもん」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、ちょっと出掛けてくる」
「あ…ねぇレラ、今夜はやめない?」
「今になって何? 外に出るの分かってたから、寒くないようにこれを作ってくれたんでしょ」
「そう…なんだけど……ほら、袖の長さも直はないと」
「それは明日でもいいじゃない」
「……あまり遅くならないで…早く戻って来て。危ないことは決してしないで…よ」
「分かってるもん」
「ここの窓は開けておくから」
「ありがとう。ビワ」
「気を付けて(少し嫌な予感が……私の気のせいならいいのだけど)」
レラはビワに見送られ、暗い外へと出て行く。
不安な顔を浮かべながら、レラが無事に戻って来るようビワは祈った。
ビワ手作りのコートを着て屋敷を出たレラは、フードとマントで姿を隠した人物が前回入った屋敷へと向かった。
「ビワにはああ言ったけど、この美少女探偵レラが、必ずやカズに濡れ衣を着せた犯人を突き止めてやるんだもん。前回尾行したあの怪しげな奴が、トリモチだかルマチキだか知らないけど、きっとそいつらと関わってるんだ。あちしの勘はそう言ってる……たぶん」
目的の屋敷の近くへと来たレラは、建物の周囲を見て回った。
すると少し開いた窓の隙間から、うっすらと灯りが漏れる部屋を見つけ、レラは近付き中を覗き込む。
部屋の中には一本の蝋燭が灯り、人の姿は見えなかった。
しかしボソボソと話し声は聞こえていた。
レラは意を決して開いた窓の隙間から中に入り、そのままカーテンの裏に隠れ話に耳を傾ける。
「ミスリルが保管されてる場所は、まだ見つからないのか。冒険者が砂漠から入手して、お前が所属してるギルドに預けられてたんじゃないのか」
「探してはいるのですが。見付かったのは、お渡しした『ゴーレム生成の指輪』だけでした」
えっ! それって、前にカズが見付けたって言ってたアイテムじゃなかったっけ?
「モンスターの魔核やマナストーンでは、純度も低いため効果は半減してしまう。そろそろ使用してるマナストーンも消滅する。ミスリルが無ければ、マナの濃い血を持つ者を連れてこい」
「しかしそれでは…」
「構わん。このアーティファクトが完全起動すれば、多くの者達の記憶を改竄するなど造作もない。お前のようにな……イキシア・フォレスト」
「はい」
イキシアが!! じゃあここって本当に! 早く知らせないと。
そうだ! 念話でカズに連絡すれば……あれ? 繋がんないなんで??
「魔力反応……そこだ!」
念話を試みたことにより魔力を感知され、レラが隠れているのに気付かれた。
とっさに窓から外へ逃げようと、カーテンの影から飛び出したその時、イキシアに鷲掴みにされレラは捕らえられた。
「は、放しなさい。放してイキシア!」
「最近後を付けられてると思ったら、フローラが見付けたフェアリーのレラだったの。見られたからには…」
握り潰そうと手に力を入れるイキシア。
「痛ッ! や、やめてイキシア。お願いやめてぇ…ぇ……」
「待て」
部屋に居た男の言葉で、イキシアは握る力を緩めた。
「そのフェアリーは、アーティファクトの起動に使えそうだ。完全にとはいかんが、今燃料にしているマナストーンより効果が強そうだ」
「このフェアリーのレラは、現在オリーブ・モチヅキ家に匿われております。居なくなったのが知られれば面倒な事に」
「それは好都合だ。匿われているはずのフェアリーが居なくなったとしても、表立って探すことはできないだろ。次にアーティファクトを起動した燃料がフェアリーだと知れば、奴はどうなる。匿っていた貴族を怨み…グげゲ」
「それは分かりませんが、貴族を信用できなくなるかと」
「それでだけでは困るな。こやつが呪った相手を、今度は助けた本人が殺すよう仕向けなければ。そうすれば危険人物として、王の命令でロイヤルガードも動こう。そこにドラゴニュートも加われば、確実に奴を消せるだろ」
「ドラゴニュート……第1ギルドマスターのバルフートですか」
「そんな名前だったか。まぁ名前などどうでもよい。起動させているアーティファクトが完全になれば、そいつも意のままに操れるだろう」
「このフェアリーはどういたしましょう?」
「先程何かしらの魔力を使おうとしようだ、逃げられんように特製の檻に入れておけ。目が覚めて周りを見れば、大人しくなるだろ」
「分かりました」
イキシアは手の中で気絶したレラを連れ、様々な檻が置かれている場所に行き、空いている檻にレラを入れて閉じ込めた。
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