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三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影
244 それぞれ心配
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ビワは衛兵や冒険者に、カズのことをしつこく聞かれるのを覚悟して、王都に戻ることを決意する。
しかしカズとレラの二人は、手配書に書かれた罪を見て、ビワが王都に戻るのを良しとは思わなかった。
「ねぇビワ。もし、もしもだよ。ビワが洗脳されてるとか言われたら」
「洗脳…ですか? カズさんはそんなことしません」
「あちしもそう思うよ。でもカズは手配書が出るほどの凶悪犯になってるんだよ。その凶悪犯から、ビワが一人で逃げて来たなんて言っても信じてもらえないと、あちしは思う」
この時の言ったレラの心配は、的を射ていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
同日、王都にある貴族区のオリーブ・モチヅキ家の一室。
第3ギルドのギルドマスター、フリートが直々に話を聞きに来ていた。
部屋にはフリートとマーガレットの他に、ビワとよく共に行動していたアキレアとキウイも同席していた。
「ビワにゃ…ビワが拉致って、どういうことですか!」
「落ち着きなさいキウイ。今、フリート様が説明しているんですから」
「……取り乱して失礼致しました」
「構いませんよ。こちらの使用人の方々は、家族のように仲がよろしいと聞いていますから」
「うちのメイドが失礼したわ。それでビワは?」
マーガレットが落ち着きながらも、心配そうに聞く。
「現状では分かりません。当日現場に居た冒険者の話では、使用人の方を力ずくで連れ去ったと報告が。その場に、こちらが落ちていたと」
フリートは一枚のマントを取り出した。
アキレアはそれを受け取り確かめる。
「これは確かに、ビワが出掛ける時に持っていたマントです」
「間違いないですか?」
「はい。これは奥様に頼まれて、ビワにあつらえて作った物です。フードもビワの耳に合あせて作ってあります。それに」
アキレアがフードの内側に付いていた黄色い毛を取り、三人に見せる。
「それはビワの毛にゃ!」
「にゃ?」
「失礼しました。にゃと言うのは、キウイの口癖でして。普段は出ないよう気を付けさせているんですが」
「いえ。ボクはそういった事は気にしませんから。ただちょっと珍しく。いやこれは失礼」
「そう言ってもらえるとありがたいわ。獣人を差別をする方は、まだ居ますから(誰だっかしら。キウイやビワ達にも優しい人が居たような……?)」
「犯人の手配書は、すぐ国中に行き渡りますから、ビワさんの情報が入りしだい連絡をします」
「ありがとう。よろしくお願い」
「ビワを早く見つけてください。どうかお願いします」
「キウイ……」
アキレアは冷静でいようとしたが、キウイの様子を見て言葉に詰まる。
「我々冒険者ギルドも、各街に連絡して情報を集めるようにしますので」
「お願いします」
「お願いします……にゃ」
「それとこれは冒険者ギルドの決定なのですが、犯人が捕まるまで連絡は第2ギルドの方ではなく、ボクがすることになりました」
「モルトさんではないの?」
「残念なことに、犯人は第2ギルドの冒険者だったらしいので。今回の事が終わるまで、第2ギルドの方々には、貴族区への出入りを禁止される事になりました」
「そんな……」
「安心してください。こちらに来られてる方や、第2ギルドの方々には、あくまで一時的な処置でありますから。今回の事が無事解決したら、今まで通り来られるようになります」
「そうですか……分かりました。では少しの間、我が家への連絡をお願いします」
「お任せください。マーガレット・オリーブ・モチヅキ様」
「公式の場ではないのだから、そんなに堅苦しい呼び名は必要ないわよ」
「そうですか。ありがとうございます。ボクも堅苦しいのは嫌で、冒険者ギルドに入ったようなものですから。貴族なんて見栄っ張りで、めんどくさいですからね。あ、もちろんこちらの方々は違いますよ」
フリートは場所が場所なら、問題になるような発言をさらっと言う。
「あらまぁ。お兄さんに聞かれたら大変ね」
「兄は兄ですから。それとこれはちょっと、言いにく事なんですが」
「なんです?」
「使用人…ビワさんでしたね。その方が無事保護されたとしても、衛兵や冒険者ギルドが、話を聞こうとしますから、少なくとも数日は戻って来れない可能性があります」
「数日もビワがにゃ? なんでにゃ!」
「キウイ落ち着きなさい」
「でもアキレア……」
「あなたは少し黙ってなさい。申し訳ありませんフリート様。度々の失礼、お許しください」
「少しボクの言い方が悪かったようで、謝罪します」
「そんな。フリート様が謝罪されるような事など」
「そうです。悪いの……私ですから」
「うちのメイドもこう言ってるので、許してもらえるかしら」
「ええ大丈夫です。心配するのは、とても素晴らしいことですから」
「だったらビワを連れ戻してら、すぐにお屋敷に…」
「キウイさんでしたね。残念ですが冒険者ギルド代表として、少しでも犯人の情報が分かるかも知れないのであれば、ビワさんには無理にでも協力してもらわないといけないかも知れません」
「そんにゃ……」
「申し訳ありませんが、一言よろしいでしょうか」
「良いわよ。何か言いたいことがあるなら、言った方が良いわ。構わないですねフリートさん」
「どうぞ」
「これは私個人の意見として聞いてください。罰なら受け入れます」
「とりあえず話を聞きましょう。どうぞアキレアさん」
「衛兵や冒険者の中には、都合の良いように権力や賄賂で真実をねじ曲げる方も多いと聞きます。今回の事で、ビワもそうならないとは限らないかと」
「ボクが言うのもなんですが、特定の貴族の方に聞かれたら、確かに問題になる発言になりますね」
「はい。なので、罰を受けるなら私だけということで。その代わりに、ビワが保護されましたら、フリート様がすぐにこちらのお屋敷にお連れください」
「状況にもよりますが、善処します。先程言ったのは、冒険者ギルドの代表としての発言で、ボク個人としては、うら若き女性に尋問のような事をするのは好きではないですから。ビワさんを保護しましたら、ボクの権限で、すぐにこちらにお連れできるよう努力します(洗脳されてた場合のことは話せませんね)」
「お願いします」
「お願い致します」
アキレアはフリートに深く頭を下げ、キウイも続いて頭を下げる。
「こちらには、良い使用人の方ばかりですね」
「もちろん。皆、大事な家族ですもの」
マーガレットは自慢げに言う。
「それともう一つ、実は今回上がってきた報告に、少し疑問を抱いたんです」
「どういう事なの?」
「どうも現場には、BランクとCランクの冒険者が居たようなのですが、今回の報告は、Cランク冒険者のものらしいのです」
「Bランクの方が居たのに、Cランクの方の報告が採用されたの?」
「ええ。先程アキレアさんが言われたように、上からの圧力で、報告が誰かの都合の良いように変えられた可能性も」
「ではやはり、ビワが保護されたとしても危険が…」
「これはあくまで、ボクの推測に過ぎませんので。でももしこれが本当になら」
「拉致されたのではないと」
「その可能性はあります。あくまで今の話は単なる推測に過ぎないので、くれぐれも誰かに話さないようにしてください。皆さんを安心させる為に、ボクの考えを言ったまでですから」
「分かったわ。アキレアとキウイも、今の話は誰にも話さないように」
「はい」
「畏まりました」
「最後一つ、マーガレット様に聞いておきたいのですが」
「何かしら?」
「ビワさんを拉致…連れていった者に心当たりは?」
「残念だけど。当日ビワにお休みを与えたら、街に出掛けると聞いていただけだから」
「そうですか」
「ええ。二、三日くらいなら大丈夫だから、羽を伸ばしていらっしゃいって言ったのよ」
「何かの手掛かりにでもと思ったのですか」
「お力になれなくて、ごめんなさい」
「いえ。それではボクはそろそろ失礼します。ギルドでの仕事もありますから」
「ご苦労様でした」
フリートはオリーブ・モチヅキ家を後にする。
今まで四人で話していた部屋には、マーガレットと後片付けするアキレアの二人だけになっていた。
「あのう奥様」
「なぁに? アキレア」
「少し前に、ビワがカズという名前を上げていましたが、それをお話ししなくてよろしかったんですか?」
「私はね。ビワを連れ去ったと言われる人は、そのカズとかいう方だと思ってるの」
「でしたら」
「でもねアキレア。フリートさんの話を聞いたら、ビワは連れ去られたんじゃなくて、自分から付いていったのかも知れないのよ」
「ビワが自分から? それはどうしてでしょうか。奥様」
「気が付かなかった? カズという男の人のことを話した時、とても楽しいそうにしていたビワを」
「それは確かに。私もあのビワが、と」
「そうでしょ。いつの間に好きな人が出来たのかと思って。私、とても嬉しかったわ」
「私の時は、どちら様と聞き返したら、とても落ち込んだ様子でした。そう言えば、ビワが街に行くと言い出したのは、そのすぐ後だったかと」
「ええ」
「もしかしてビワは、カズとかいう方に洗脳されてるのでは!?」
「おそらくフリートさんも、それは考えてるでしょう」
「だとしたら、なぜフリート様は、その話をしなかったのでしょうか?」
「私達を心配させない為と、既に動揺していたキウイを見て、黙っていたんじゃないかしらね」
「もしビワが洗脳されてるとしたら」
「そうと分かれば、それを解いて早めに解放してくれるでしょう。けどもし洗脳されていて、それが分からなかったら、フリートさんが言ったような」
「そんな……」
「辛いけど、今は待つしかないわね。この話は二人だけの秘密よ。皆の耳に入ったら大変だか」
「分かっております。ビワが無事であることを祈るのみです。でもあの人と一緒なら」
「アキレア。あの人って誰?」
「あの人……私はいったい、何を言っているのでしょう?」
「……ねぇアキレア。私達、何か大切なこと……」
マーガレットとアキレアの脳裏に、一瞬一人の人物が思い浮かぼうとしていた。
しかし霧の中に居るかのように、その人物の姿をハッキリと思い出すことはできなかった。
記憶をたどり思い出そうとするが、あと一歩というところで何かに邪魔をされ、思い出せなかった。
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しかしカズとレラの二人は、手配書に書かれた罪を見て、ビワが王都に戻るのを良しとは思わなかった。
「ねぇビワ。もし、もしもだよ。ビワが洗脳されてるとか言われたら」
「洗脳…ですか? カズさんはそんなことしません」
「あちしもそう思うよ。でもカズは手配書が出るほどの凶悪犯になってるんだよ。その凶悪犯から、ビワが一人で逃げて来たなんて言っても信じてもらえないと、あちしは思う」
この時の言ったレラの心配は、的を射ていた。
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同日、王都にある貴族区のオリーブ・モチヅキ家の一室。
第3ギルドのギルドマスター、フリートが直々に話を聞きに来ていた。
部屋にはフリートとマーガレットの他に、ビワとよく共に行動していたアキレアとキウイも同席していた。
「ビワにゃ…ビワが拉致って、どういうことですか!」
「落ち着きなさいキウイ。今、フリート様が説明しているんですから」
「……取り乱して失礼致しました」
「構いませんよ。こちらの使用人の方々は、家族のように仲がよろしいと聞いていますから」
「うちのメイドが失礼したわ。それでビワは?」
マーガレットが落ち着きながらも、心配そうに聞く。
「現状では分かりません。当日現場に居た冒険者の話では、使用人の方を力ずくで連れ去ったと報告が。その場に、こちらが落ちていたと」
フリートは一枚のマントを取り出した。
アキレアはそれを受け取り確かめる。
「これは確かに、ビワが出掛ける時に持っていたマントです」
「間違いないですか?」
「はい。これは奥様に頼まれて、ビワにあつらえて作った物です。フードもビワの耳に合あせて作ってあります。それに」
アキレアがフードの内側に付いていた黄色い毛を取り、三人に見せる。
「それはビワの毛にゃ!」
「にゃ?」
「失礼しました。にゃと言うのは、キウイの口癖でして。普段は出ないよう気を付けさせているんですが」
「いえ。ボクはそういった事は気にしませんから。ただちょっと珍しく。いやこれは失礼」
「そう言ってもらえるとありがたいわ。獣人を差別をする方は、まだ居ますから(誰だっかしら。キウイやビワ達にも優しい人が居たような……?)」
「犯人の手配書は、すぐ国中に行き渡りますから、ビワさんの情報が入りしだい連絡をします」
「ありがとう。よろしくお願い」
「ビワを早く見つけてください。どうかお願いします」
「キウイ……」
アキレアは冷静でいようとしたが、キウイの様子を見て言葉に詰まる。
「我々冒険者ギルドも、各街に連絡して情報を集めるようにしますので」
「お願いします」
「お願いします……にゃ」
「それとこれは冒険者ギルドの決定なのですが、犯人が捕まるまで連絡は第2ギルドの方ではなく、ボクがすることになりました」
「モルトさんではないの?」
「残念なことに、犯人は第2ギルドの冒険者だったらしいので。今回の事が終わるまで、第2ギルドの方々には、貴族区への出入りを禁止される事になりました」
「そんな……」
「安心してください。こちらに来られてる方や、第2ギルドの方々には、あくまで一時的な処置でありますから。今回の事が無事解決したら、今まで通り来られるようになります」
「そうですか……分かりました。では少しの間、我が家への連絡をお願いします」
「お任せください。マーガレット・オリーブ・モチヅキ様」
「公式の場ではないのだから、そんなに堅苦しい呼び名は必要ないわよ」
「そうですか。ありがとうございます。ボクも堅苦しいのは嫌で、冒険者ギルドに入ったようなものですから。貴族なんて見栄っ張りで、めんどくさいですからね。あ、もちろんこちらの方々は違いますよ」
フリートは場所が場所なら、問題になるような発言をさらっと言う。
「あらまぁ。お兄さんに聞かれたら大変ね」
「兄は兄ですから。それとこれはちょっと、言いにく事なんですが」
「なんです?」
「使用人…ビワさんでしたね。その方が無事保護されたとしても、衛兵や冒険者ギルドが、話を聞こうとしますから、少なくとも数日は戻って来れない可能性があります」
「数日もビワがにゃ? なんでにゃ!」
「キウイ落ち着きなさい」
「でもアキレア……」
「あなたは少し黙ってなさい。申し訳ありませんフリート様。度々の失礼、お許しください」
「少しボクの言い方が悪かったようで、謝罪します」
「そんな。フリート様が謝罪されるような事など」
「そうです。悪いの……私ですから」
「うちのメイドもこう言ってるので、許してもらえるかしら」
「ええ大丈夫です。心配するのは、とても素晴らしいことですから」
「だったらビワを連れ戻してら、すぐにお屋敷に…」
「キウイさんでしたね。残念ですが冒険者ギルド代表として、少しでも犯人の情報が分かるかも知れないのであれば、ビワさんには無理にでも協力してもらわないといけないかも知れません」
「そんにゃ……」
「申し訳ありませんが、一言よろしいでしょうか」
「良いわよ。何か言いたいことがあるなら、言った方が良いわ。構わないですねフリートさん」
「どうぞ」
「これは私個人の意見として聞いてください。罰なら受け入れます」
「とりあえず話を聞きましょう。どうぞアキレアさん」
「衛兵や冒険者の中には、都合の良いように権力や賄賂で真実をねじ曲げる方も多いと聞きます。今回の事で、ビワもそうならないとは限らないかと」
「ボクが言うのもなんですが、特定の貴族の方に聞かれたら、確かに問題になる発言になりますね」
「はい。なので、罰を受けるなら私だけということで。その代わりに、ビワが保護されましたら、フリート様がすぐにこちらのお屋敷にお連れください」
「状況にもよりますが、善処します。先程言ったのは、冒険者ギルドの代表としての発言で、ボク個人としては、うら若き女性に尋問のような事をするのは好きではないですから。ビワさんを保護しましたら、ボクの権限で、すぐにこちらにお連れできるよう努力します(洗脳されてた場合のことは話せませんね)」
「お願いします」
「お願い致します」
アキレアはフリートに深く頭を下げ、キウイも続いて頭を下げる。
「こちらには、良い使用人の方ばかりですね」
「もちろん。皆、大事な家族ですもの」
マーガレットは自慢げに言う。
「それともう一つ、実は今回上がってきた報告に、少し疑問を抱いたんです」
「どういう事なの?」
「どうも現場には、BランクとCランクの冒険者が居たようなのですが、今回の報告は、Cランク冒険者のものらしいのです」
「Bランクの方が居たのに、Cランクの方の報告が採用されたの?」
「ええ。先程アキレアさんが言われたように、上からの圧力で、報告が誰かの都合の良いように変えられた可能性も」
「ではやはり、ビワが保護されたとしても危険が…」
「これはあくまで、ボクの推測に過ぎませんので。でももしこれが本当になら」
「拉致されたのではないと」
「その可能性はあります。あくまで今の話は単なる推測に過ぎないので、くれぐれも誰かに話さないようにしてください。皆さんを安心させる為に、ボクの考えを言ったまでですから」
「分かったわ。アキレアとキウイも、今の話は誰にも話さないように」
「はい」
「畏まりました」
「最後一つ、マーガレット様に聞いておきたいのですが」
「何かしら?」
「ビワさんを拉致…連れていった者に心当たりは?」
「残念だけど。当日ビワにお休みを与えたら、街に出掛けると聞いていただけだから」
「そうですか」
「ええ。二、三日くらいなら大丈夫だから、羽を伸ばしていらっしゃいって言ったのよ」
「何かの手掛かりにでもと思ったのですか」
「お力になれなくて、ごめんなさい」
「いえ。それではボクはそろそろ失礼します。ギルドでの仕事もありますから」
「ご苦労様でした」
フリートはオリーブ・モチヅキ家を後にする。
今まで四人で話していた部屋には、マーガレットと後片付けするアキレアの二人だけになっていた。
「あのう奥様」
「なぁに? アキレア」
「少し前に、ビワがカズという名前を上げていましたが、それをお話ししなくてよろしかったんですか?」
「私はね。ビワを連れ去ったと言われる人は、そのカズとかいう方だと思ってるの」
「でしたら」
「でもねアキレア。フリートさんの話を聞いたら、ビワは連れ去られたんじゃなくて、自分から付いていったのかも知れないのよ」
「ビワが自分から? それはどうしてでしょうか。奥様」
「気が付かなかった? カズという男の人のことを話した時、とても楽しいそうにしていたビワを」
「それは確かに。私もあのビワが、と」
「そうでしょ。いつの間に好きな人が出来たのかと思って。私、とても嬉しかったわ」
「私の時は、どちら様と聞き返したら、とても落ち込んだ様子でした。そう言えば、ビワが街に行くと言い出したのは、そのすぐ後だったかと」
「ええ」
「もしかしてビワは、カズとかいう方に洗脳されてるのでは!?」
「おそらくフリートさんも、それは考えてるでしょう」
「だとしたら、なぜフリート様は、その話をしなかったのでしょうか?」
「私達を心配させない為と、既に動揺していたキウイを見て、黙っていたんじゃないかしらね」
「もしビワが洗脳されてるとしたら」
「そうと分かれば、それを解いて早めに解放してくれるでしょう。けどもし洗脳されていて、それが分からなかったら、フリートさんが言ったような」
「そんな……」
「辛いけど、今は待つしかないわね。この話は二人だけの秘密よ。皆の耳に入ったら大変だか」
「分かっております。ビワが無事であることを祈るのみです。でもあの人と一緒なら」
「アキレア。あの人って誰?」
「あの人……私はいったい、何を言っているのでしょう?」
「……ねぇアキレア。私達、何か大切なこと……」
マーガレットとアキレアの脳裏に、一瞬一人の人物が思い浮かぼうとしていた。
しかし霧の中に居るかのように、その人物の姿をハッキリと思い出すことはできなかった。
記憶をたどり思い出そうとするが、あと一歩というところで何かに邪魔をされ、思い出せなかった。
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