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三章 王都オリーブ編3 王国に潜むの影
236 呼び出し と 疑い?
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翌日も朝からギルドに顔を出すが、フローラに会うことができなかった。
次の日もその次の日も会えずに、日にちだけが過ぎていく。
そしてフローラに会えぬまま数日が過ぎていた。
その間にモルトと会う機会があり、それとなく確認をしたが、やはりカズのことを覚えてはいなかった。
同様に今まで行った店や村の人々も、やはりカズのことを覚えてはいなかった。
そして波のようなマナの揺らぎが起きてから、八日後の朝のことだった。
倉庫街にあるカズが住む家に、数人の冒険者がやって来た。
その内一人が、カズのよく知る第1ギルドのアイガーであった。
「ここに冒険者のカズという者が住んでるな。出て来てもらおう」
カズは家からアイガー達が居る庭に出る。
「どちら……アイガーさん!」
「オレを知ってるってことは、お前がカズか」
「はい。俺がカズです(この反応、アイガーさんも覚えてないか)」
「悪いが一緒に来てもらおう」
「どこへですか?」
「少し話を聞きたくてな。連れてくるように言われ、オレが来た。他の連中は……その、なんだ、付き添いみたいなものだからだから気にするな」
「ギルドにですか?」
「それは言えん」
「断っても?」
カズの発言に、付き添いだと言っていた冒険者達が身構える。
カズはその場に居る全員のステータスを確認した。
アイガーが付き添いだと言っていた冒険者達は、Bランクが二人とCランクが三人、更に倉庫の影に隠れてCランクが二人居た。
「おい、やめろ!」
アイガーが身構えた冒険者達をなだめる。
「ギルドマスターからの召集だ。冒険者なら分かるだろ。こちらも穏便に済ませたいんだ」
「……分かりました『レラは見つからないように、家に隠れていてくれ』」
アイガーや冒険者達に気付かれないように、家の中に居るレラに《念話》で話をするカズ。
「『大丈夫カズ?』」
「『とりあえず話だけだと言ってるから。それにギルドマスターが呼んでるってことは、フローラさんに会えるはずだから行ってくる』」
「『分かった。気を付けてね』」
「『ああ』」
カズは家を離れ、アイガーの後に付いて行く。
付き添いだという冒険者達は、カズが不審な動きをしないか、見張りながら後から付いてくる。
隠れていた二人は、そのまま動かず家を見張っていた。
アイガーと冒険者達に連れられ、人気のない路地裏からとある建物に入ると、冒険者ギルドにある転移水晶と同じ物がそこにはあった。
Cランク冒険者を残し、アイガーとカズとBランク冒険者の二人は、水晶で転移した。
転移後すぐに、カズは【マップ】で現在地を確かめた。
そこは第1ギルドと第3ギルドの間、第2ギルドからだと北西、貴族区を挟んだ反対側あたりの場所だっだ。
街と貴族区を隔てる壁沿いの道を歩いて行かずに転移水晶を使ったのは、場所を知られないことと、移動時間を短縮するためとも思われる。
ギルドにある転移水晶を使わないのは、できるだけ人目につかないためだろう。
「二人はここで待機だ。カズはこっちだ」
Bランク二人を転移水晶のある部屋に待たせ、アイガーはカズを案内していく。
建物内を歩いていると薄暗く、窓が少ないことにカズは気付く。
アイガーが建物の奥にある部屋の前で立ち止まる。
「アイガーです」
「入れ」
アイガーが入室の許可を求めると、低い男の声で返事が返ってきた。
アイガーが扉を開け、カズを先に部屋へと入れた。
部屋には三人の人物が椅子に座っていた。
部屋の奥に座る人物は、威圧感のある目付きが鋭い、見るからに屈強な男性だった。
右側に座る人物は、整った顔立ちに、座っているだけでも気品漂う優男だ。
そして左側には、カズがよく知る人物のフローラが座っていた居た。
中央にあるテーブルの上には、ギルドで使用している盗聴防止のアイテムが置かれていた。
カズは気付かれないように、ギルドマスター達のステータスを見た。
「ご苦労だったなアイガー。お前は部屋の外で待機していてくれ」
「了解しました」
声の低い屈強な男性に言われ、アイガーが部屋を出て待機する。
「まず自己紹介しよう。オレは第1ギルドのマスター『バルフート』だ」
「ボクは第3ギルドのマスター『フリート・グレシード』一応貴族です。今の立場は冒険者第3ギルドのマスターというだけですから、かしこまらなくていいですよ」
「私の挨拶は不要よね」
「あ、俺はカズです。Bランクの…」
バルフートが軽く手を上げ、カズの言葉を遮る。
「ああ。知っている」
「そう…ですか。あのぅ、それで今日はいったい?」
「少々話を聞かせてもらおうと思ってな。勝手ながら召集させてもらった」
「話とはなんですか?」
「フローラから話は聞いてる。あれを何度も感じたそうだな」
「あれ? マナが揺らいだ事ですか」
「そうだ。その時の状況を聞かせてくれ。どこでどんな風に感じたか」
「ボク達も調べてるんだ」
「分かりました(今日呼び出されたのはその事でか。フローラさんが他のギルマスにも話して調べてたのか。だったら言ってくれれば)」
カズは今までにあったマナの揺らぎと、その時の感じた場所や感覚などを話した。(カズを忘れている事や、レラや白真のことはもちろん伏せて話した)
三人のギルドマスターは、カズが話し終わるのを黙って聞いていた。
「なるほど……手間を掛けさせたな」
「ご苦労様。帰りはまた彼(アイガー)に送ってもらってください」
「あ、はい(何か他にも聞かれるかと思ったけど、これで終わり?)」
「アイガー入れ」
第1ギルドマスターのバルフートがアイガーを呼び寄せる。
部屋の扉が開きアイガーが入る。
「話は終わった。カズを家まで送ってやれ」
「了解です。さぁ行くぞ」
「はい。失礼しました」
カズは軽く会釈して退室し、アイガーに付いて転移水晶で戻り、付き添いだという冒険者達と共に倉庫街にある家に戻った。
「今日は急にすまなかったな。不思議とカズとは初めて会った気がしないんだ。カズはフローラ殿に聞いて、オレのことを知っていたようだが」
「そう…ですね」
「おっと急いでいて忘れたぜ。知っているだろうが、一応自己紹介しとく。第1ギルド所属のAランクのアイガーだ。これからよろしくな」
「はい。Bランクのカズです。よろしくお願いします(本当は初めて会った時、Cランクだったんだよな。俺)」
アイガーが手を差し出し、カズが応え握手をする。
「じゃあな」
家の中に入ったカズは【マップ】を確認する。
アイガーと付き添い冒険者は、カズの家から離れていったが、隠れているCランク冒険者の二人は、そのまま見張りを続けていた。
「お帰りカズ」
「ただいまレラ。何か変わった事はなかった?」
「特になかったわ。それよりはフローラと会えた?」
「会えたけど、話はできなかった」
「どうして?」
「フローラさんの他にも、ギルマスが居たんだ」
「どういうこと?」
「フローラさんだけじゃなくて、他のギルマスでも調べてるみたい。それで俺が呼ばれて、マナの揺らぎがあった時の状況を聞かれたんだ。もちろんレラのことは話してない」
「フローラはカズのこと忘れてなかった?」
「大丈夫そうだった。出来れば話をしたかったんだけど、状況的に無理だった」
「でも他のギルドマスターも調べてくれてるんでしょ。ならすぐに解決するんじゃない」
「ならいいんだけど……」
「何か気になるの?」
「冒険者の見張りがまだ居るんだよ」
「なんで?」
「ギルマスの命令だろうけど」
「だからなんで見張りを付けるの?」
「……俺に何か疑念を抱いてる」
「そんなのおかしいでしょ。カズは殆どの人に忘れ去られてるのよ。それなのになんで疑念を抱かれてるの?」
「落ち着いてレラ。俺に言われても分からないよ」
「やっぱりフローラに話を聞かなくちゃ」
「そうなんだけど、ギルドに言っても毎回不在だと言われて会えないんだよ。今日は他のギルマスも居たし」
「じゃあ、今度ギルドに行く時は、あちしも行くから!」
「でも俺には見張りが…」
「家に一人で居るより、カズと居る方が安全でしょ。それにあちしが行けば、フローラだって会うはずよ」
「……分かった。レラは鞄の中だからな」
「分かってる」
「とりあえずフローラさんに会えるまで、毎日ギルドには顔を出すさ。召集された次の日に行動が変わったら、それこそ変に思われるから」
この日カズは一歩も外には出ずに家の中で過ごし、翌日からレラを鞄に隠しギルドに出掛けた。
召集があった翌日からの三日は、フローラはギルドに来ていなかった。
だが四日目には来ていることをマップで確認したカズは、受付の職員に面会を取り付けにいく。
「すいません。今日ギルドマスターは?」
「本日もギルドマスターは不在です」
「今日も不在ですか?」
「そうですが。何か」
職員の男性は聞き返された事で、少し不機嫌になった。
「いえ、分かりました(フローラさんの指示で、俺と会わないようにしてるのか?)」
「『外に出て人の居ない所に』」
「『分かった』」
レラが鞄の中から《念話》で話し、カズはギルドを出て人通りの少い路地裏に行く。
鞄に開けた穴から周りに人が少いのを確認すると、レラは鞄の隙間から顔を見せ、カズに聞こえる程度の小声で話す。
「ねぇカズ、フローラはギルドに居るんでしょ?」
「おそらくは」
「だったらあちしが見に行ってくる」
「誰かに見つかったどうするんだ」
「気を付けるから大丈夫。それに居留守してるフローラに文句言ってやるんだもん」
「ちょっとレラ!」
鞄から飛び出したレラが、ギルドの方へ飛んで行ってしまった。
建物の影に隠れて人に見られないようにして飛ぶレラは、フローラの居る部屋の窓から中を覗いた。
そこには椅子に座り、机に向かって一人で仕事をしているフローラが居た。
次の日もその次の日も会えずに、日にちだけが過ぎていく。
そしてフローラに会えぬまま数日が過ぎていた。
その間にモルトと会う機会があり、それとなく確認をしたが、やはりカズのことを覚えてはいなかった。
同様に今まで行った店や村の人々も、やはりカズのことを覚えてはいなかった。
そして波のようなマナの揺らぎが起きてから、八日後の朝のことだった。
倉庫街にあるカズが住む家に、数人の冒険者がやって来た。
その内一人が、カズのよく知る第1ギルドのアイガーであった。
「ここに冒険者のカズという者が住んでるな。出て来てもらおう」
カズは家からアイガー達が居る庭に出る。
「どちら……アイガーさん!」
「オレを知ってるってことは、お前がカズか」
「はい。俺がカズです(この反応、アイガーさんも覚えてないか)」
「悪いが一緒に来てもらおう」
「どこへですか?」
「少し話を聞きたくてな。連れてくるように言われ、オレが来た。他の連中は……その、なんだ、付き添いみたいなものだからだから気にするな」
「ギルドにですか?」
「それは言えん」
「断っても?」
カズの発言に、付き添いだと言っていた冒険者達が身構える。
カズはその場に居る全員のステータスを確認した。
アイガーが付き添いだと言っていた冒険者達は、Bランクが二人とCランクが三人、更に倉庫の影に隠れてCランクが二人居た。
「おい、やめろ!」
アイガーが身構えた冒険者達をなだめる。
「ギルドマスターからの召集だ。冒険者なら分かるだろ。こちらも穏便に済ませたいんだ」
「……分かりました『レラは見つからないように、家に隠れていてくれ』」
アイガーや冒険者達に気付かれないように、家の中に居るレラに《念話》で話をするカズ。
「『大丈夫カズ?』」
「『とりあえず話だけだと言ってるから。それにギルドマスターが呼んでるってことは、フローラさんに会えるはずだから行ってくる』」
「『分かった。気を付けてね』」
「『ああ』」
カズは家を離れ、アイガーの後に付いて行く。
付き添いだという冒険者達は、カズが不審な動きをしないか、見張りながら後から付いてくる。
隠れていた二人は、そのまま動かず家を見張っていた。
アイガーと冒険者達に連れられ、人気のない路地裏からとある建物に入ると、冒険者ギルドにある転移水晶と同じ物がそこにはあった。
Cランク冒険者を残し、アイガーとカズとBランク冒険者の二人は、水晶で転移した。
転移後すぐに、カズは【マップ】で現在地を確かめた。
そこは第1ギルドと第3ギルドの間、第2ギルドからだと北西、貴族区を挟んだ反対側あたりの場所だっだ。
街と貴族区を隔てる壁沿いの道を歩いて行かずに転移水晶を使ったのは、場所を知られないことと、移動時間を短縮するためとも思われる。
ギルドにある転移水晶を使わないのは、できるだけ人目につかないためだろう。
「二人はここで待機だ。カズはこっちだ」
Bランク二人を転移水晶のある部屋に待たせ、アイガーはカズを案内していく。
建物内を歩いていると薄暗く、窓が少ないことにカズは気付く。
アイガーが建物の奥にある部屋の前で立ち止まる。
「アイガーです」
「入れ」
アイガーが入室の許可を求めると、低い男の声で返事が返ってきた。
アイガーが扉を開け、カズを先に部屋へと入れた。
部屋には三人の人物が椅子に座っていた。
部屋の奥に座る人物は、威圧感のある目付きが鋭い、見るからに屈強な男性だった。
右側に座る人物は、整った顔立ちに、座っているだけでも気品漂う優男だ。
そして左側には、カズがよく知る人物のフローラが座っていた居た。
中央にあるテーブルの上には、ギルドで使用している盗聴防止のアイテムが置かれていた。
カズは気付かれないように、ギルドマスター達のステータスを見た。
「ご苦労だったなアイガー。お前は部屋の外で待機していてくれ」
「了解しました」
声の低い屈強な男性に言われ、アイガーが部屋を出て待機する。
「まず自己紹介しよう。オレは第1ギルドのマスター『バルフート』だ」
「ボクは第3ギルドのマスター『フリート・グレシード』一応貴族です。今の立場は冒険者第3ギルドのマスターというだけですから、かしこまらなくていいですよ」
「私の挨拶は不要よね」
「あ、俺はカズです。Bランクの…」
バルフートが軽く手を上げ、カズの言葉を遮る。
「ああ。知っている」
「そう…ですか。あのぅ、それで今日はいったい?」
「少々話を聞かせてもらおうと思ってな。勝手ながら召集させてもらった」
「話とはなんですか?」
「フローラから話は聞いてる。あれを何度も感じたそうだな」
「あれ? マナが揺らいだ事ですか」
「そうだ。その時の状況を聞かせてくれ。どこでどんな風に感じたか」
「ボク達も調べてるんだ」
「分かりました(今日呼び出されたのはその事でか。フローラさんが他のギルマスにも話して調べてたのか。だったら言ってくれれば)」
カズは今までにあったマナの揺らぎと、その時の感じた場所や感覚などを話した。(カズを忘れている事や、レラや白真のことはもちろん伏せて話した)
三人のギルドマスターは、カズが話し終わるのを黙って聞いていた。
「なるほど……手間を掛けさせたな」
「ご苦労様。帰りはまた彼(アイガー)に送ってもらってください」
「あ、はい(何か他にも聞かれるかと思ったけど、これで終わり?)」
「アイガー入れ」
第1ギルドマスターのバルフートがアイガーを呼び寄せる。
部屋の扉が開きアイガーが入る。
「話は終わった。カズを家まで送ってやれ」
「了解です。さぁ行くぞ」
「はい。失礼しました」
カズは軽く会釈して退室し、アイガーに付いて転移水晶で戻り、付き添いだという冒険者達と共に倉庫街にある家に戻った。
「今日は急にすまなかったな。不思議とカズとは初めて会った気がしないんだ。カズはフローラ殿に聞いて、オレのことを知っていたようだが」
「そう…ですね」
「おっと急いでいて忘れたぜ。知っているだろうが、一応自己紹介しとく。第1ギルド所属のAランクのアイガーだ。これからよろしくな」
「はい。Bランクのカズです。よろしくお願いします(本当は初めて会った時、Cランクだったんだよな。俺)」
アイガーが手を差し出し、カズが応え握手をする。
「じゃあな」
家の中に入ったカズは【マップ】を確認する。
アイガーと付き添い冒険者は、カズの家から離れていったが、隠れているCランク冒険者の二人は、そのまま見張りを続けていた。
「お帰りカズ」
「ただいまレラ。何か変わった事はなかった?」
「特になかったわ。それよりはフローラと会えた?」
「会えたけど、話はできなかった」
「どうして?」
「フローラさんの他にも、ギルマスが居たんだ」
「どういうこと?」
「フローラさんだけじゃなくて、他のギルマスでも調べてるみたい。それで俺が呼ばれて、マナの揺らぎがあった時の状況を聞かれたんだ。もちろんレラのことは話してない」
「フローラはカズのこと忘れてなかった?」
「大丈夫そうだった。出来れば話をしたかったんだけど、状況的に無理だった」
「でも他のギルドマスターも調べてくれてるんでしょ。ならすぐに解決するんじゃない」
「ならいいんだけど……」
「何か気になるの?」
「冒険者の見張りがまだ居るんだよ」
「なんで?」
「ギルマスの命令だろうけど」
「だからなんで見張りを付けるの?」
「……俺に何か疑念を抱いてる」
「そんなのおかしいでしょ。カズは殆どの人に忘れ去られてるのよ。それなのになんで疑念を抱かれてるの?」
「落ち着いてレラ。俺に言われても分からないよ」
「やっぱりフローラに話を聞かなくちゃ」
「そうなんだけど、ギルドに言っても毎回不在だと言われて会えないんだよ。今日は他のギルマスも居たし」
「じゃあ、今度ギルドに行く時は、あちしも行くから!」
「でも俺には見張りが…」
「家に一人で居るより、カズと居る方が安全でしょ。それにあちしが行けば、フローラだって会うはずよ」
「……分かった。レラは鞄の中だからな」
「分かってる」
「とりあえずフローラさんに会えるまで、毎日ギルドには顔を出すさ。召集された次の日に行動が変わったら、それこそ変に思われるから」
この日カズは一歩も外には出ずに家の中で過ごし、翌日からレラを鞄に隠しギルドに出掛けた。
召集があった翌日からの三日は、フローラはギルドに来ていなかった。
だが四日目には来ていることをマップで確認したカズは、受付の職員に面会を取り付けにいく。
「すいません。今日ギルドマスターは?」
「本日もギルドマスターは不在です」
「今日も不在ですか?」
「そうですが。何か」
職員の男性は聞き返された事で、少し不機嫌になった。
「いえ、分かりました(フローラさんの指示で、俺と会わないようにしてるのか?)」
「『外に出て人の居ない所に』」
「『分かった』」
レラが鞄の中から《念話》で話し、カズはギルドを出て人通りの少い路地裏に行く。
鞄に開けた穴から周りに人が少いのを確認すると、レラは鞄の隙間から顔を見せ、カズに聞こえる程度の小声で話す。
「ねぇカズ、フローラはギルドに居るんでしょ?」
「おそらくは」
「だったらあちしが見に行ってくる」
「誰かに見つかったどうするんだ」
「気を付けるから大丈夫。それに居留守してるフローラに文句言ってやるんだもん」
「ちょっとレラ!」
鞄から飛び出したレラが、ギルドの方へ飛んで行ってしまった。
建物の影に隠れて人に見られないようにして飛ぶレラは、フローラの居る部屋の窓から中を覗いた。
そこには椅子に座り、机に向かって一人で仕事をしているフローラが居た。
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