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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

204 新たな契約!?

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「クァクゥ……(あなたが一人で戦うの? あの数を相手に)」

「ああ。助けた相手が目の前で死なれたら、たまらないからな。時間もないから早く終わらせるさ(堅そうな特殊個体は、ゴーレムを斬ったときの剣を使うか)」

 カズは【アイテムボックス】から、ゴーレムと戦った時に使った剣のトレカを出して実体化させた。
 次に【マップ】を見て、砂の中を移動しているワームの位置を確認し、広範囲に〈アンチグラヴィティ〉を使用した。
 すると砂の中を移動していたワームの群れが、砂もろとも浮かび上がってきた。
 カズは空中でウネウネと動くワームに向けて〈ファイヤーストーム〉を使用した。
 瞬時に巨大な炎の竜巻が出現し、殆どのワームを黒焦げにした。
 カズは魔法の効果を解除して、弱っているストーンワームとメタルワームの数体を、実体化した剣で切り裂いていく。

「マップに反応もないな。よし終わった(ダンジョンにあった多くの穴は、このワームが出入りしていたんだろう)」

「クゥ! クァ…ガァ……(な! あなたは……いったい?)」

「ピィヒュゥ~(魔法スゴい! その剣もスゴ~い!)」

「俺は一応ただの冒険者。それとこれは『S・Vソード』って名の特殊な剣(超振動する剣なんて、この世界には無いだろうけど)」

「クゥ……(あれだけの数を容易に……)」

「事も終わったし、今度こそ俺は行くよ。じゃあな」

「クガァ! クワァクゥ……(待て…待ってください。あなたに話があります)」

「もう急いでるのに、今度は何? (自分で関わった訳だし、聞くだけ聞いて早く行こう)」

「クゥ……(ワタシ達の主になってほしい)」

「はいはい、主ね。分かった分かっ……なにッ!?」

「クゥゥ……(了承してくれて感謝します)」

「ピィヒュ~(よく分からないけど、感謝ゃ~)」

「いやいや待て、主なんてそんな簡単に決めて、なれるものじゃないだろ! (雲行きが怪しくなってきたぞ)」

「クゥ…ガァ(分かったと、了承してくれたではないですか)」

「うッ……た、確かに言ったが(聞き流すつもりだったから、適当な返事をしてしまった)」

「クワァ…クゥクゥ……(海を越えてから、新たな子供が出来て不安だったけど、言葉が通じる強い主に出会えて、ワタシ達親子は運が良い)」

「また獣魔契約するのか?」

「クァ…クゥ(獣魔契約とは古い方法を知っているんですね)」

「すまないが、既に契約をした奴(白真)がいるんだ(これで諦めてくれ。嘘は言ってないから)」

「クァクゥ……クアァ…(獣魔契約は、この子が大きくなった時にでも考えてください)」

「どういうこと?」

「クァ…クゥ(『テイム』という契約があります)」

「テイム!? 確かにあるのは知ってるけど、俺テイムしたことないんだけど」

「クァ…クゥ……クァ(難しいことではありません。テイムする者が、テイムされる者に名を与えて、了承すれば契約は成立します)」

「名前をつければ良いのか? (仕方ない。白真のように、住みかを作って好きに暮らしてもらえば良いか)」

「クァクゥ……(はい。ですがワタシには既に名前があるので、子供と契約する際に付けてあげてください)」

「……え!? 子供の鳥とも契約するの?」

「クァ(嫌ですか?)」

 巨大な鳥は、カズと子供の鳥を交互に見る。

「ピィ~(嫌い?)」

 子供の鳥は、つぶらな瞳でカズを見る。

「うッ……」

「クァクゥ…(主はそんなこと言わないわ。ねっ主!)」

「……分かったよ」

 巨大な鳥は姿勢を正し、静かにカズ見つめ、子供の鳥は、バタバタと跳び跳ね回っていた。

「クゥ…(ワタシの名は『マイヒメ』)」

「舞姫?」

「クァ…(ワタシの名は……いえ、人にそう呼ばれていたことがありました)」

「人に付けられたの? 人を嫌ってるようだったけど」

「ク……(それは……)」

「別に話したくなければ、話さなくて良いよ。それよりテイムするには名前をつけるとか言ったけど、もう名前があるんだよねぇ。だったらどうすんの?」

「クァクゥ…(あなたがマイヒメと呼んで、ワタシが了承すれば契約出来ます)」

「そう。分かった(その名前気に入ってるのか)」

「クゥ(お願いします)」

「マイヒメ」

「クァ(あなたを主として使え、行動を共にします)」

 カズか名前を呼び、巨大な鳥『マイヒメ』が返事をして頭を下げると、お互いの魔力が相手に流れ込んむ。

「これで終わったのか?」

「『はい。主』」

「主はやめてもらえる(またか)」

「『ではなんと?』」

「俺はカズ。だからカズで良い」

「『カズ……分かりました』」

「念話みたいに聞きやすくなったけど、契約したからなのか?」

「『ええ、そうでしょう。しかしテイムしたからといって、必ずしも意思疎通ができるとは限らないでしょう。カズは元々ワタシの言葉が分かるようだったので、より聞き取りやすくなったと思われるます』」

「そんな丁寧に話さなくても良いよ」

「『契約を願い出たのはワタシですし、命を助けてくれた恩もありますから』」

「もっと気楽に話してくれて構わないから。俺もそっちの方が楽だし」

「『分かりました。こらからはその様にします』」

「まぁ、よろしくってことで(変わってない)」

「『はい。よろしく』」

「それじゃあ、俺はもう行くから。マイヒメ達が落ち着いて住む場所が決まったら、それとなく知らせてくれればいいからさ」

「『何を言ってるの? ワタシはカズにテイムされたから、常に同行するわ』」

「え……!? テイムしたらそうなの?」

「『はい』」

「獣魔契約した奴(白真)は、自分の住みかに居るけど?」

「『獣魔契約とテイムは違いますから』」

「マイヒメの大きさで王都に来るのはちょっと……子供の方ならまだましだけど」

「『そう。なら人の街では、その子と常に同行して。そうすればカズの居る場所が、より分かりやすいから』」

「まぁそれなら(軽率な自分の行動で、マイヒメをテイムする事になったんだから、文句は言えんな)」

「『では、街に入る前に合図を。そうすれば子供だけを行かせます』」

「ハァー……分かった(元の世界に戻る手掛かりは見つからなかったのに、新たな旅の仲間を見つけてしまった。あ! そういえば、マイヒメのステータスまだ見てなかった)」

「『色々と時間を取らせてしまって、ごめんなさい』」

「あ、うん。まぁ良いよ。それと忘れてたんだけど、マイヒメのステータスを見させてもらって良いかな? (本当はテイムする前に、見るべきなんだろうけど)」

「『構いません。カズは主なんですから』」

「じゃあ、遠慮なく(マイヒメを《分析》して、ステータス確認)」



 名前  : ライジングホーク
 固有名 : マイヒメ
 種族  : 怪鳥
 テイマー: カズ
 年齢  : 202
 ランク : A
 レベル : 54
 力   : 1188
 魔力  : 1026
 敏捷  : 1620
 全長  : 4m70㎝
 補足  : ロックバードに匹敵する強さと大きさの怪鳥。
 ・力はロックバードに劣るが、飛行速度ではロックバードを凌ぎ、怪鳥の中では最速と言われる。

 【スキル】
 《高速飛行》
 《幻影飛行》
 《疾風迅雷》(ユニーク)
 
 【魔法属性】 :《風・雷・無》
 【魔法色属性】:《緑・黄》
 《風》エアースラッシュ
 《風》エアーバースト
 《風》スラッシュトルネード



「モンスターランクA……(これを誤魔化すのは無理そうだなぁ)」

「『どうしたのカズ。ワタシでは不服?』」

「マイヒメは小さくなれたりしないよねぇ?」

「『そんな能力はないわ』」

「だよねぇ(Bランクの冒険者が、Aランクのモンスターを連れてるって、どうなのかなぁ)」

「『それよりカズ、急いでるんじゃないの?』」

「は! そうだった。俺は行くから、マイヒメは人に見られないように、気を付けて飛んできてくれよ」

「『分かったわ。この子とゆっくり飛んで、カズを追いかける』」

 カズは王都に向かい、走って行った。

「『助けられたとはいえ、人にテイムされるなんて、何十年ぶりかしら』」

「『お母さん笑ってる?』」

「『ワタシ笑ってた? なんだか懐かしい感じがしたのよ。坊やはカズのことどう思う?』」

「『助けてくれたから、良い人間』」

「『ワタシもそう思うわ』」

「『うん』」

「『じゃあ街では、坊やがカズに付いててあげて』」

「『お母さん来れないの?』」

「『大丈夫。坊やの居る所は、ワタシには分かるから』」

「『分かった。カズに付いてる』」

「『良い子ね。カズが守ってくれるから、言うこと聞くのよ』」

「『は~い』」

「『それじゃあ、ワタシ達もカズを追い掛けて行きましょう。さぁ背に乗って』」





 ≪トレーディングカード説明≫

 ・今回使用したトレカ。
 ・実際に書かれているレア度と名前と効果。
 ・コストは《》内に表示。
 ・主人公の持つトレカの種類は複数あるため、コストや効果の表示が違う物もある。(モンスターとクリーチャーの表記の違い等)


 SR 《5》【S・Vソード(超振動剣)】:『 攻撃力+4』『耐久力+2』
 ・《4》S・Vソードを、あなたがコントロールする他のユニットに移し変える。
 ・《5》手札1枚を棄てる。このユニットと交戦中の、コストが5以下のユニット1枚を破壊する。
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