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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中
174 罪人奴隷の扱い
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カズはこの異世界での、奴隷に関する事をフローラとアイガーに尋ねた。
「現在この国で奴隷というと、罪人奴隷ですね」
「罪人奴隷?」
「オレが説明しよう。罪人奴隷ってのはな、罪を犯した者達を奴隷とし、労働力として使ったりしてるんだ。大抵は罪が軽い者が多いがな」
「逃げたりはしないんですか?」
「各自に契約を施し『魔道具の枷』をはめさせてるから大丈夫だ。決められた一定の範囲から出ると、枷をはめてる者が麻痺して、動けないようになる。枷の効果が発動した場合は、監視役の者に、その事が分かるようになってる」
「暴れたりしたら、どうするんですか?」
「大抵は監視役の方が強いだろうが、いざとなったら、枷に付与してある麻痺の効果を、強制的に発動させられるようになってる」
「そんな魔道具があるんですね。だったら労働力が足りなくなることは、ないでしょうね」
「そうでもないわ。その枷を作れる人が少ないうえに、使用時には監視をする方も魔力を使うから。だから監視役が一人で、一度に多くの奴隷を使えるわけではないの。せいぜい五人から八人程ね。それに罪人奴隷だからって、肉体労働を長時間させるような無理はできないのよ」
「そうなんですか。犯罪奴隷に対しても、そういうところはしっかりしてるんですね」
「ええ。無理な労働をさせて、日常生活に復帰出来なくなったら大変だから。その事も考えてるのよ」
「じゃあ奴隷は、売り買いされたりしないんですか?」
「罪人奴隷は国が管理してますから、売り買いはしていませんよ。ただ料金を支払えば、労働力として借りる事は出来ます。その場合も監視役の方が、同行することになります」
「聞いての通りだ。白き災害……じゃなかった、白真が見たのが本当に、奴隷にしようと捕まえていたのなら、かなり面倒だ」
「そうね。奴隷として売られた先が貴族だったり、国境を越えて他の国にでも行ったら、余計に面倒だわ」
「ああ。オレ達の手に余るな」
フローラとアイガーは難しい顔をする。
そこでカズが気になる事を聞いた。
「そういう連中を、国がなんとかしようとしないんですか? 衛兵が居ますよね?」
「潜伏場所が分かってないと、衛兵は動かないわ。それに衛兵は貴族や街に住む人々を守るから、盗賊を探しに行ったりする事は殆どないわ」
「そんなことだと今回のように、良からぬ事を企む連中が徒党を組んでいたら、貴族どころか、王族だって危ないんじゃないですか?」
「だから冒険者ギルドに、秘密裏に依頼が来たりするのよ」
「ってことはつまり、今回の依頼者は『国』ってことですか?」
「そこはその……依頼主の希望で秘密になってるわ」
「えっ……(これって途中で辞めるどころか、失敗も出来ない依頼じゃないのか! 責任重大、しくじったら極刑確定とか!?)」
「カズさん……カズさん!」
「は、はい」
「ボーッとして大丈夫?」
「いやぁ…あのぅ……やっぱりこの依頼…」
「カズさんなら必ず出来るわ! 私が保証するから大丈夫! だから今になって、やらないなんて言わないですよね」
「ぁ……(こ、断れない)」
「まさか断ろうとしたんですか……?」
フローラが困ったような言い方をして、悲しげにカズをじっと見る。
「も、もちろん断りはしませよ。任せてください(何言ってるんだ、何故断らないんだ俺ぇ! その顔は卑怯だよフローラさん)」
「頼りにしてるわ!」
一連の話を聞いていたアイガーが、カズに耳打ちをする。
「種族関係なく、口では女に勝てないな」(小声)
「ハハ……まったくです(どこの世界でも同じか)」(小声)
一時間程続いた話し合いは、だいたいが終わった。
「オレが持ってきた情報は以上だ」
「私のギルド(第2)は大丈夫だと思うけど、一応内部調査をした方が良さそうね」
「ああ。それに他のギルドで、信頼出来る者と連絡を取り、同じ様に内部調査をするように言った方が良いだろう。本来の案件とは別の理由で説明をして」
「そうね。先ずは安心出来る場所を確保して、地盤を固めていきましょう」
「では王都内は皆さんに任せます。俺はそろそろ、出発したいと思います」
「頼んだぞカズ」
「お願いねカズさん」
「はい」
「そこに掛けてあるマントを使って。認識阻害の効果があるから。それとカズさんは『フェイク』の魔法は使えるかしら?」
「フェイクですか?」
「ええ。ステータスやギルドカードを見せる時に、表示を誤魔化す事が出来るの。今のカズさんがしているように、ステータスを見られないようにしてると怪しまれるから、ステータスを見られても良いように、偽の情報を表示させた方が、色々と動きやすいでしょ」
「確かにそうですね」
「私も変装時に使ってたんだけど、カズさんには見破られちゃったわね」
「そんな事してたんですか?」
「ええ。カズさんのステータスなら、見破られる事は滅多にないと思うわ」
「フェイクですね。たぶん使えます(この話を聞いたから、使えるようになってんだろうな)」
「カズさんのギルドカードを返しておくわ。試しに今フェイクを使ってみて」
「今ですか? 分かりました。やってみます……〈フェイク〉」
カズは受け取った自分のギルドカードに、フェイクの魔法を使い、表示されている内容を変えた。
「どうですかフローラさん?」
「見せて……Dランクになって、名前も変わってるから、これなら大丈夫そうね。ただランクは、Cランクにしておいた方が良いわ。Dランクで遠出の依頼を一人で受ける人なんて、そうそうないから」
「分かりました。それじゃあ、そろそろ俺行きます」
カズはフローラに言われたマントを持ち、ギルマスの部屋を出て行った。
しかし二分と経たないうちに、慌てて戻ってきた。
「どうしたカズ?」
「階段を下りてる途中でイキシアさんに会ったんですが、俺が持ってるマントを見たら、なんか急に怒りだして」
するとカズを追ってきたイキシアが、扉を激しく叩くき入室の許可を求める。
「イキシアです。よろしいですか!」
イキシアが来たのを知ったカズは、慌てて奥の資料室に入り、急いで〈ゲート〉を使ってギルドを離れた。
「入りますよ!」
イキシアが勢いよく、ギルマスの部屋に入った。
「どうしたんだイキシア?」
「ねぇアイガー、カズはどこに行ったの?」
「カズならもう出発したぞ」
「今そこで会ったばかりなのよ。隠すとただじゃおかないから!」
「騒がしいわよ。何を怒ってるのイキシア?」
「だってカズがぁ、フローラのマントを持ってたのよぉ。昨日までフローラが見に纏ってたマントを」
「私がカズさんに貸してあげたのよ」
「えっ! フローラの香りが付いたマントを、おのれカズ…許さない! 自分ばっかり……羨ましいぃ!」
「イキシアはこんな奴だったのか……これは完全に変態だな」(ボソッ)
「何か言ったかしらアイガー」
「おっと、オレもそろそろギルド(第1)に戻らないと。何か分かったら知らせてくれ…くださいフローラ殿」
「分かりました。ご苦労様でしたねアイガー。気を付けて戻ってください」
アイガーは所属する第1ギルドに戻る為に、ギルマスのフローラに挨拶をして部屋を出た。
そしてフローラが使ってたマントだとは露知らず、前日まで来て居た村の近くにゲートで移動したカズは、イキシアに捕まらず安心していた。
「ハァー…毎回会う事に、なんなんだよイキシアさんは! 俺が何したって言うんだよ。さっきマントを見てたようだったけど……(なんか良い匂いがするけど、香水みたいなものでもつけたのかな? せっかく認識阻害の効果があるのに)」
カズはフェイクの魔法を自分に施し、フローラに借りたマントを羽織った。
そしてフェイクの魔法を使ったので、隠蔽のスキルを『1』に下げた。
カズは【マップ】を頼りに、先日まで滞在した村の村長に聞いた、盗賊が現れた国境近くの村に向かって、移動する事にした。
カズは国境近くにある村まで続く道を、たまにすれ違う人達に、怪しまれず目立たないようにして向かう。
しかし認識阻害があるマントとはいえ、顔まで隠しているので、ちょっと怪しく見えてしまう。
そこでカズは、ふとフローラのステータスを見た時の事を思い出した。
フローラさんは変装していたと言っていたけど、アレナリアみたいに『イリュージョン(幻想)』の魔法なら、俺が見抜けると思うから、おそらくはステータスに表示されてた魔法『メタモルフォーゼ』だろうな。
たぶん見聞きしたから、俺も使えるはずだ。
ステータス確認魔法。
カズは使用出来る魔法を表紙させた。
すると予想通り『メタモルフォーゼ』の魔法があったので《分析》して効果を調べでた。
《特》メタモルフォーゼ : 自分自身の姿形を、任意に変身させる事が出来る。(ただし元の姿から大きく変えることが出来ない。人が巨人または、人が小人になど)
・姿形を変えるには、変身後の姿を詳しくイメージする必要がある。
・獣人のように、人型や獣型と変化する場合は、変化前と変化後の両方をイメージすることにより、変身中に変化することも可能。(ただし使用する魔力量は大幅に増え、使用者が保有する魔力量によっては、変身時間も短くなる)
・変身中は常に魔力を消費する。
・この魔法を使用するには『火・水・風・光・無』の属性が必要であり、三つ以上の属性を同時に使える必要がある。
「現在この国で奴隷というと、罪人奴隷ですね」
「罪人奴隷?」
「オレが説明しよう。罪人奴隷ってのはな、罪を犯した者達を奴隷とし、労働力として使ったりしてるんだ。大抵は罪が軽い者が多いがな」
「逃げたりはしないんですか?」
「各自に契約を施し『魔道具の枷』をはめさせてるから大丈夫だ。決められた一定の範囲から出ると、枷をはめてる者が麻痺して、動けないようになる。枷の効果が発動した場合は、監視役の者に、その事が分かるようになってる」
「暴れたりしたら、どうするんですか?」
「大抵は監視役の方が強いだろうが、いざとなったら、枷に付与してある麻痺の効果を、強制的に発動させられるようになってる」
「そんな魔道具があるんですね。だったら労働力が足りなくなることは、ないでしょうね」
「そうでもないわ。その枷を作れる人が少ないうえに、使用時には監視をする方も魔力を使うから。だから監視役が一人で、一度に多くの奴隷を使えるわけではないの。せいぜい五人から八人程ね。それに罪人奴隷だからって、肉体労働を長時間させるような無理はできないのよ」
「そうなんですか。犯罪奴隷に対しても、そういうところはしっかりしてるんですね」
「ええ。無理な労働をさせて、日常生活に復帰出来なくなったら大変だから。その事も考えてるのよ」
「じゃあ奴隷は、売り買いされたりしないんですか?」
「罪人奴隷は国が管理してますから、売り買いはしていませんよ。ただ料金を支払えば、労働力として借りる事は出来ます。その場合も監視役の方が、同行することになります」
「聞いての通りだ。白き災害……じゃなかった、白真が見たのが本当に、奴隷にしようと捕まえていたのなら、かなり面倒だ」
「そうね。奴隷として売られた先が貴族だったり、国境を越えて他の国にでも行ったら、余計に面倒だわ」
「ああ。オレ達の手に余るな」
フローラとアイガーは難しい顔をする。
そこでカズが気になる事を聞いた。
「そういう連中を、国がなんとかしようとしないんですか? 衛兵が居ますよね?」
「潜伏場所が分かってないと、衛兵は動かないわ。それに衛兵は貴族や街に住む人々を守るから、盗賊を探しに行ったりする事は殆どないわ」
「そんなことだと今回のように、良からぬ事を企む連中が徒党を組んでいたら、貴族どころか、王族だって危ないんじゃないですか?」
「だから冒険者ギルドに、秘密裏に依頼が来たりするのよ」
「ってことはつまり、今回の依頼者は『国』ってことですか?」
「そこはその……依頼主の希望で秘密になってるわ」
「えっ……(これって途中で辞めるどころか、失敗も出来ない依頼じゃないのか! 責任重大、しくじったら極刑確定とか!?)」
「カズさん……カズさん!」
「は、はい」
「ボーッとして大丈夫?」
「いやぁ…あのぅ……やっぱりこの依頼…」
「カズさんなら必ず出来るわ! 私が保証するから大丈夫! だから今になって、やらないなんて言わないですよね」
「ぁ……(こ、断れない)」
「まさか断ろうとしたんですか……?」
フローラが困ったような言い方をして、悲しげにカズをじっと見る。
「も、もちろん断りはしませよ。任せてください(何言ってるんだ、何故断らないんだ俺ぇ! その顔は卑怯だよフローラさん)」
「頼りにしてるわ!」
一連の話を聞いていたアイガーが、カズに耳打ちをする。
「種族関係なく、口では女に勝てないな」(小声)
「ハハ……まったくです(どこの世界でも同じか)」(小声)
一時間程続いた話し合いは、だいたいが終わった。
「オレが持ってきた情報は以上だ」
「私のギルド(第2)は大丈夫だと思うけど、一応内部調査をした方が良さそうね」
「ああ。それに他のギルドで、信頼出来る者と連絡を取り、同じ様に内部調査をするように言った方が良いだろう。本来の案件とは別の理由で説明をして」
「そうね。先ずは安心出来る場所を確保して、地盤を固めていきましょう」
「では王都内は皆さんに任せます。俺はそろそろ、出発したいと思います」
「頼んだぞカズ」
「お願いねカズさん」
「はい」
「そこに掛けてあるマントを使って。認識阻害の効果があるから。それとカズさんは『フェイク』の魔法は使えるかしら?」
「フェイクですか?」
「ええ。ステータスやギルドカードを見せる時に、表示を誤魔化す事が出来るの。今のカズさんがしているように、ステータスを見られないようにしてると怪しまれるから、ステータスを見られても良いように、偽の情報を表示させた方が、色々と動きやすいでしょ」
「確かにそうですね」
「私も変装時に使ってたんだけど、カズさんには見破られちゃったわね」
「そんな事してたんですか?」
「ええ。カズさんのステータスなら、見破られる事は滅多にないと思うわ」
「フェイクですね。たぶん使えます(この話を聞いたから、使えるようになってんだろうな)」
「カズさんのギルドカードを返しておくわ。試しに今フェイクを使ってみて」
「今ですか? 分かりました。やってみます……〈フェイク〉」
カズは受け取った自分のギルドカードに、フェイクの魔法を使い、表示されている内容を変えた。
「どうですかフローラさん?」
「見せて……Dランクになって、名前も変わってるから、これなら大丈夫そうね。ただランクは、Cランクにしておいた方が良いわ。Dランクで遠出の依頼を一人で受ける人なんて、そうそうないから」
「分かりました。それじゃあ、そろそろ俺行きます」
カズはフローラに言われたマントを持ち、ギルマスの部屋を出て行った。
しかし二分と経たないうちに、慌てて戻ってきた。
「どうしたカズ?」
「階段を下りてる途中でイキシアさんに会ったんですが、俺が持ってるマントを見たら、なんか急に怒りだして」
するとカズを追ってきたイキシアが、扉を激しく叩くき入室の許可を求める。
「イキシアです。よろしいですか!」
イキシアが来たのを知ったカズは、慌てて奥の資料室に入り、急いで〈ゲート〉を使ってギルドを離れた。
「入りますよ!」
イキシアが勢いよく、ギルマスの部屋に入った。
「どうしたんだイキシア?」
「ねぇアイガー、カズはどこに行ったの?」
「カズならもう出発したぞ」
「今そこで会ったばかりなのよ。隠すとただじゃおかないから!」
「騒がしいわよ。何を怒ってるのイキシア?」
「だってカズがぁ、フローラのマントを持ってたのよぉ。昨日までフローラが見に纏ってたマントを」
「私がカズさんに貸してあげたのよ」
「えっ! フローラの香りが付いたマントを、おのれカズ…許さない! 自分ばっかり……羨ましいぃ!」
「イキシアはこんな奴だったのか……これは完全に変態だな」(ボソッ)
「何か言ったかしらアイガー」
「おっと、オレもそろそろギルド(第1)に戻らないと。何か分かったら知らせてくれ…くださいフローラ殿」
「分かりました。ご苦労様でしたねアイガー。気を付けて戻ってください」
アイガーは所属する第1ギルドに戻る為に、ギルマスのフローラに挨拶をして部屋を出た。
そしてフローラが使ってたマントだとは露知らず、前日まで来て居た村の近くにゲートで移動したカズは、イキシアに捕まらず安心していた。
「ハァー…毎回会う事に、なんなんだよイキシアさんは! 俺が何したって言うんだよ。さっきマントを見てたようだったけど……(なんか良い匂いがするけど、香水みたいなものでもつけたのかな? せっかく認識阻害の効果があるのに)」
カズはフェイクの魔法を自分に施し、フローラに借りたマントを羽織った。
そしてフェイクの魔法を使ったので、隠蔽のスキルを『1』に下げた。
カズは【マップ】を頼りに、先日まで滞在した村の村長に聞いた、盗賊が現れた国境近くの村に向かって、移動する事にした。
カズは国境近くにある村まで続く道を、たまにすれ違う人達に、怪しまれず目立たないようにして向かう。
しかし認識阻害があるマントとはいえ、顔まで隠しているので、ちょっと怪しく見えてしまう。
そこでカズは、ふとフローラのステータスを見た時の事を思い出した。
フローラさんは変装していたと言っていたけど、アレナリアみたいに『イリュージョン(幻想)』の魔法なら、俺が見抜けると思うから、おそらくはステータスに表示されてた魔法『メタモルフォーゼ』だろうな。
たぶん見聞きしたから、俺も使えるはずだ。
ステータス確認魔法。
カズは使用出来る魔法を表紙させた。
すると予想通り『メタモルフォーゼ』の魔法があったので《分析》して効果を調べでた。
《特》メタモルフォーゼ : 自分自身の姿形を、任意に変身させる事が出来る。(ただし元の姿から大きく変えることが出来ない。人が巨人または、人が小人になど)
・姿形を変えるには、変身後の姿を詳しくイメージする必要がある。
・獣人のように、人型や獣型と変化する場合は、変化前と変化後の両方をイメージすることにより、変身中に変化することも可能。(ただし使用する魔力量は大幅に増え、使用者が保有する魔力量によっては、変身時間も短くなる)
・変身中は常に魔力を消費する。
・この魔法を使用するには『火・水・風・光・無』の属性が必要であり、三つ以上の属性を同時に使える必要がある。
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