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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

167 危険なモンスターはお喋り!?

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 二体のロックバードを倒し、残りはラスラが相手をしている一番大きな一体だけとなった。
 カズと人狼姿のアイガーは、ラスラの元に駆け寄る。
 ラスラはカズから渡された『ユグドラシルの枝杖』を使い、上空のロックバードに遠距離攻撃をして、近付けないように奮闘していた。

「待たせたなラスラ。向こうのロックバードは倒したぞ」

「そっちのロックバードを倒すまで、なんとか持ち堪えたわ」

「お疲れラスラ。それで上空のロックバードは、どんな状態だ?」

「近付けないように攻撃を続けたけど、直撃しても距離があるから、効き目は薄いわね」

「魔法を使い続けて疲れたでしょう。ラスラさんは少し休んでください」

「ええそうするわ。でも私だけじゃなくて、二人も疲れてるでしょうから、少し座って休みましょう。ロックバードは、私が監視してるから」

「そうですね。それじゃあ、降下して来るまで少し待ちますか」

「そうだな。それで残りのアイツは、前の二体よりも強いんだよな」

「はい。レベルは57で、今倒した奴よりも強いです」

「なら確実に、鳴き声で攻撃してくるか!」

「ロックバードの攻撃スキルで『振動波』って言うらしいです(まんまのスキル名だよな)」

「それで実際のところ少し休んだら、二人はまだ戦えるかしら?」

「俺は大丈夫です。さっきの一体はアイガーさんが倒してくれましたから」

「オレもこの姿になったからな、まだ余力はある。が、さすがにキツいな。しかもこんな時に限って、愛用の武器を修理に出してるなんて。それでラスラはどうなんだ? 魔力をかなり消費したろ? 少し休んだらいけそうなのか?」

「ええ大丈夫よ。この杖を使ったお陰で、魔力にはまだ余裕があるから」

「細く短い杖だな。よくそんなので、アイツを近付けないようにする、攻撃魔法が使えたな」

「見た目と違って凄いわよ。カズさんはどこからこんな物を入手したのかしら?」

「それもカズが出した物か!? だったら納得だな。オレもさっき剣を借りてな、かなりの物だったぞ」

「……変ね?」

「どうしたラスラ」

「ロックバードが私達の方に向かって来るどころか、下降すらしてこないわ」

 ロックバードを監視していたラスラの言葉で、カズとアイガーも上空に目を向ける。

「本当だな。どういう事だ?」

「こっちを見てない様ですね(マップを見ても、ロックバードが見てる方には、獣の反応が数ヶ所出てるけど、これは関係ないだろうし)」

 アイガーとラスラは、ロックバードが向いている方向に意識を向けた。
 そしてカズは【マップ】の範囲を広げ、遠くの方にモンスター反応があり、それが近付いて来るのを知った。
 それもかなりのスピードで。

「南の方から、何かが来るわね」

「ああ。それもかなりヤバそうな気配を感じる」

 三人が新たなモンスターの接近に気付くと、上空を飛んでいたロックバードが大きく鳴き声を上げながら、南の方から来るモンスターに向かって行った。
 ロックバードの姿が上空から見えなくなった直後に、今まで聞こえていた鳴き声が消え、そして次の瞬間、大きな塊が草原へと落ちてきた。
 草原の一角が陥没して、土煙が舞い上がる。

「キャ!」

「な、なんだ?」

「冷たっ!」

 舞い上がった土煙のが薄くなり、そこで三人が見た物は、先程まで上空を飛んでいたロックバードだった。
 不可思議な事に、ロックバードは完全に凍っていた。

「えっ? これってまさか!?」

「新たに気配が現れた方へ、飛んでいったロックバードだよな!?」

 三人は凍って落ちてきたロックバードに近付いて行く。

「どうなってるんだ? 見えなくなったと思ったら、凍って落ちてきやがった」

「とても強力な氷結魔法を受けたとしか思えないわ。でもロックバードの巨体を一瞬で凍らせる魔法なんて……」

「どっかで……」(ボソッ)

 アイガーとラスラが凍った状態のロックバードを見て呆然とし、カズが何かを思い出しそうとしていると、三人の上空に大きな影か現れた。

「おとなしく飛び去れば良いものを、己が力量で向かって来るからそうなるのだ。若造が調子に乗るりおって、我に勝てるとでも思うたか」

 アイガーとラスラは、上空に現れた声のする方を見て更に驚愕した。

「あの『白い巨体』で『人の言葉』を話すモンスター……間違いない!! なんでここに奴が居るんだ?」

「ウソっ!! 王都より南にある雪山に居るはずでしょ。なんで『白き災害』が!」

「白き…災害……!! (白真がなんで居るんだ! ヤバイ念話を使って、俺に話し掛けないように言わないと!)」

 上空に現れた新たなモンスターは『白き災害』と呼ばれている、フロストドラゴンの白真だった。
 白真は地上に居る三人に気付き、その内一人が獣魔契約をし、従属しているカズだと気付くと、主(カズ)の元へ近付いて行く。
 カズが念話を使い、アイガーとラスラに気付かれないよう、白真に話し掛けようとするが一歩遅かった。

「カズではないか! こんな所で何をしておる?」

「!! カズ? こんな所? はぁ??」

「!! えっ? 何? どういう事??」

「あのバカ! (俺一人じゃないんだぞ!)」(ボソッ)

「どうしたカズ。我を忘れた訳ではあるまい」

「アイガーさんラスラさん、なんかこの白い奴、何か勘違いしている見たいですね。早くここから離れましょう」

「でもカズって言ったぞ!」

「聞き違いですよ」

「私もカズさんを呼ぶの聞いたわよ」

「お二人共動揺して、聞き違えたんですよ。さぁ早くここから離れま…」

「何を言ってるのだカズ。主を忘れるような我ではないぞ!」

「カズが主?」

「えっ? 本当なのカズさん!?」

「いや違いま…」

「そこの二人、我の言葉を疑うのか? カズは我を負かし主となったのだ!」

「はっ? フロストドラゴンを!」

「白き災害に勝って主となったですって!!」

 カズは頭を抱えこみ、ついに怒りが込み上げた。

「白真お前なぁ、俺一人じゃないんだから、念話使って話せよ! なんとか誤魔化そうとしてたのに、ペラペラと話しやがって!」

「ちょ、ちょっとカズさん」

「しかもギルマスの前で言いやがって!」

「カズさ……えっ!? 今なんて? ちょっとカズさん……カズってば!」

「!!  な、なんですかラスラさん」

「今、私の事を指してギルマスって言ったわよね」

「ぁ……(イラついていたとはいえ、これじゃあ白真と同じじゃないか)」

「どういう事か説明してくれるんでしょ。私のステータスは、この依頼が終わるまで見ないって言ったわよね!」

 ラスラがカズに詰め寄る。

「あ、いや、その……たまたま偶然」

「まあ二人共落ち着け。取りあえずオレ達は、襲われる事はないんだろカズ?」

「は、はい。大丈夫です」

「そうか良かった。三体目のロックバードだけでもキツかったのに、フロストドラゴンを相手になんてしたら、オレもああなっていた(凍り付いたロックバード)だろうからな」

「それでカズさん、説明してくれるかしら?」

「そうだな。この状況とラスラの質問だが、オレ達にも分かるように説明してくれるかカズ」

「分かりました。二人を見てきて信用出来ると思いましたので、依頼の帰りにでも、俺の事(一部)話そうかと思ってましたから」


 そしてカズは話し始めた。
 先ずラスラのステータスを見た事に関してだが、バンブースネークを倒しに離れた時に、上空を旋回してた二体のロックバードも分析して調べた際に、二人がロックバードを相手に出来るかどうか調べたと。
 二人のステータスを見て、アイガーがワーウルフで、ラスラが第2ギルドのギルマスだと知った。
 ワーウルフに関しては見た事がないので、アイガーの姿が変わった事により意味が分かったと言った。
 そしてラスラが偽名である事もしり、姿を変えている事も知りえたと。
 フロストドラゴンの白真に関しては、王都に向かう時に出会ってからの話をした。
 白真の意向(?)で『獣魔契約』をして、カズに従属していると。
 ただカズが別の世界から来た事や、管理神にあっている事は黙っていた。
 二人は黙って聞いていたが、カズが話し終わるとラスラが問い掛けてきた。
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