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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

155 高ランクパーティーとの依頼

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 第1ギルドからはアイガー、第2ギルドからはカズとラスラ、そして第4ギルドからはイソチオとシアネトが依頼を受けてパーティーを組む事になった。
 五人組みのパーティーは、王都北部にある第4ギルドから、北の国境方面に向かい荷馬車に乗って出発した。


 ≪第4ギルドを出て六日後≫


 王都の第4ギルドを出発して街道を進み、既に六日が経過したが、まだ町は見えてこない。
 ここまで大した問題は無く、あったことと言えば、粗暴な冒険者が、荷馬車に乗せろと絡んできた事くらいだ。
 もちろん相手が悪く、アイガーとイソチオに呆気なくやられ退散していった。

 カズはラスラとアイガーには、ある程度打ち解けてたが、イソチオとシアネトには、見下されてるような態度をとられている。
 カズはラスラとアイガーにステータスのことを聞いたら、数値を簡単にだが教えてくれると言った。
 イソチオとシアネトのステータスは、アイガーが聞いたが、シアネトは黙って首を横に振り断ってきた。
 イソチオは、アイガーとラスラが答えるなら教えると言った。
 ちなみにカズはCランクと言うことで、ステータスを聞く必要はないとイソチオに言われたので答えなかった。

「先ずはオレが」

 レベル: 82
 力  : 1700
 魔力 : 400
 敏捷 : 1500

「ってとこだ。スキルや他に関して詳しく見たけりれば、この依頼が終った後で、第1ギルド付いて来たら見せてやるよ。オレのステータスを目標にする奴もいるからな、カズもそうするか!」

「い、いえ。俺は自分のペースでやりますから(力と敏捷が高くて、魔力が低いのか)」

「次は私ね」

 レベル: 85
 力  : 700
 魔力 : 2200
 敏捷 : 1300

「大体の数値よ。主に魔法主体で戦うから、前にはあまりでませんので、後方支援や援護になります」

 アイガーとラスラがステータスを言うと、渋っていたイソチオが、どうだとばかりに言ってきた。

「仕方ねぇなぁ。なら今度は、おれが教えてやるか!」

 レベル: 86
 力  : 2000
 魔力 : 900
 敏捷 : 1500

「こんなとこだ! この中では、おれ一番ステータスが高いな。まあ当然だろうがな!」

 イソチオは、アイガーとラスラの数値を聞くと、明らかにリーダー振り仕切ろうとしてくる。
 数日間共にし愛想が悪かったのにも関わらず、ステータスの数値を聞いて、自分の方が少し高いだけでこの態度の変化に、カズは内心イラついていた。

 日は傾き日没が近くなってきた。
 そろそろ野宿でもと、荷馬車で今日も夜を明かすと思った頃、細くなった街道の先に町が見えた。
 一行の荷馬車は、暗くなってから町に入った。
 町に入る際に、アイガーがギルドカードを見せてることで、町に問題もなく入ることができた。

 一行は冒険者がよく利用する宿屋に行き、そこで泊まることにした。
 部屋割りはカズとアイガーで一部屋、イソチオとシアネトで一部屋を使い、ラスラは女性と言うことで一人部屋になった。
 イソチオとシアネトは夕食がてら、情報収集をすると出掛けて行った。
 カズとアイガーはラスラの誘いで、ラスラの部屋で夕食を取りながら、話をする事ことにした。
 部屋に椅子が2脚しかないので、ラスラに言われたカズは、自分達の部屋から椅子を1脚持っていった。

 王都の第4ギルドから、ここまでに来る間の食事は、各自持ってきた物を食べていたが、それを見ていたカズは、日に日に簡素な食事になってきそうだったので、自分が大量に買ってあった食材を出すことにした。(自分だけ温かい物を、食べるわけにもいかないから)
 なので現在では、カズが持っている食材を使い、全員分の食事を作っている。
 ラスラとアイガーは、カズに感謝をしていたが、イソチオは自分より格下という考え方をしてるので、当然のようにして食事をとっていた。
 シアネトに関しては、相変わらずイソチオ以外には口を開かない。

 カズはラスラの部屋にあるテーブルの上に、焼きたてパンと濃厚なチーズに焼いたウインナー、それと鍋に入ったスープと器を人数分【アイテムボックス】から出した。
 王都の店で、焼きたてや出来立て料理を、鍋や容器のままアイテムボックスにしまったので、今回は作る必要がなく、すぐに食事ができる。

「アイテムボックスが使える者が居ると、やはり便利だな」

「それにしても用意が良いわね。既に出来てるんだから」

「出来たての料理や焼きたての物を、すぐにアイテムボックスにしまったので、温かいままなんですよ」

「毎食ありがとね」

「まったくだ。町や村に着くまで、食い物を節約しないとと思ってたからな。今回の依頼は道中遠慮なく飯が食える」

「カズさんに悪いから、少しは遠慮してくださいよ」

「大丈夫ですよ。食べ物は多く買ってありますから、気にしないでください」

「すまんな」

「ありがとう」

 三人で夕食を済ませ、あまった物をカズが【アイテムボックス】にしまうと、アイガーがこれからのことを話し出した。

「二人に聞きたいが、イソチオとシアネトをどう思う?」

「出発して数日間行動を共にしてますが、今だに余所余所しいと言うか、何かを隠してる様子に思えます」

「俺もそう思いますが、俺に対してはCランクで格下だから、あんな態度なのかも知れませんが」

「そうか……実はオレの依頼は、強力なモンスターの調査以外にもう一つあってな、第4ギルドに怪しい連中が潜り込んでる可能性があってな、それの調査もあるんだ。と言うか、こっちが本命の依頼なんだ」

「それを俺達に話して良いんですか?」

「君達二人なら、信用できると思い話したんだ」

「と言うと、あの二人(イソチオとシアネト)が怪しいと?」

「ああ。カズがアイテムボックスを使用しているのを見て、一瞬目の色が変わった様に見えてな。仲間に加えるって感じでもなさそうだったから、もしかしたらアイツらが、怪しい連中と繋がってるかも知れないと」

「何か証拠でも?」

「今のところは無いが、カズとラスラも警戒しておいてくれ」

「ええ、分かったわ」

「分かりました(怪しい二人か、ばれないように、ステータス見てみるかな)」

「やめときなさい」(小声)

「!?」

 カズがラスラの方を見ると、軽く首を横に降った。

「ねぇアイガー、強力なモンスター調査の依頼だけど、出現する場所の見当はついてるのかしら?」

「ざっくりとだがな。山間部にある村近くに、獣やモンスターが多く出る場所があるんだが、そいつらを食いに来るらしいんだ」

「って事は、この辺りいるわけじゃないんですね」

「おそらくな。話によるとどこからか飛んで来て、腹を満たしたら、また飛んでどっかに行ってしまうらしいんだ。村の連中は黒い大きな影が現れたら、建物の外に出ないようにしてるから、モンスターの正体は謎でな」

「大きな影ですか……山間部なら『ロックバード』か『ワイバーン』ですかね?」

「かも知れんし、あとは『ジャイアントモス』とかな」

「私、大きな虫はちょっと苦手です」

「あれはデカイ蛾だからな。戦うにしても、鱗粉に毒があるから厄介なんだよ。でも村の周辺に、鱗粉があったと情報はないから、ジャイアントモスの可能性は無いだろう。ワイバーンは群れることが多いから、影が一体と言うのも……」

「と言うことは、ロックバードですかね?」

「場所的に考えても、その可能性が高いな」

「あのう、ロックバードって大きな鳥ですか? 俺、見たことないもので(トレカではあるんだけど、同じかな?)」

「ああ。体長は5mくらいで、翼を広げれば20m以上あるデカイ鳥だ。子供が居る時期は強暴だが、こちらから何かしたり近付かなければ、攻撃されることは殆どないからな」

「じゃあ調査は、モンスターの実体を確認して、害が無いと確認ができたら良いわけですね」

「害がない様であればな。今のところ村の連中は、近くに出て作物を荒らす獣やモンスターを、減らしてくれるから、ありがたいと思ってるが、それがいつまで続くかだ」

「ありがたいと思っていても、今度は村人が狩られるかもってことですか?」

「そういうことだ」
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