人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
上 下
162 / 801
三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

154 王都を離れた北へ

しおりを挟む
 既に夕食を済ませてたカズは、トレニアと別れたあと、休むために泊まっている部屋に行く。
 カズは寝るまでの間に、明日から行く依頼の事を考えていた。


 あーあ……明日から行く依頼のことを考えると、少し不安だな。
 Aランクの冒険者と何日も一緒に居ることだし、念の為にステータスが覗き見防止の為に、忘れないよう今の内から《隠蔽》のスキルを『2』に、いや『3』に上げておくか。
 これで大丈夫だろう。
 第2ギルドからは俺以外に、Aランクの冒険者が一人行くと言ってたけど、いったい誰だろう? イキシアなんてことは……さすがにないよな。
 いくならんでも、サブマスが同行することはないだろ。
 明日からはゆっくり寝れるか分からないし、今日は早く寝よう。


 ◇◆◇◆◇


「ふぁ~……寝過ぎたかな」

 頭がボケーとする程良く寝たカズは、窓を開けてから部屋を出て、一階の食堂に移動した。

「おはようカズさん。今日はやけにゆっくりだね」

「おはようございます女将さん。依頼に出掛けるのは昼頃からなので、いつもより長く寝てたんです。依頼に出たら、ゆっくり寝れるか分かりませんから」

「それもそうだね」

「それと昨日紹介した、冒険者ギルドで働いてるトレニアさんが、今日から来ますので、よろしくお願いします」

「ああ、分かってるよ。はい朝食」

「いただきます」

 ラヴィオリに出された朝食を食べ終ったカズは、ギルドに向かい宿屋を出る。
 ギルドに向かい通りを歩いていると、パンの焼ける良い匂いがしたので、カズは出来立てを多めに買い【アイテムボックス】に入れた。

 遠出の依頼だからって、冷たいパンを食べることはないんだよな。
 せっかく内部時間止まってる、アイテムボックスを使えるんだから。
 これでいつでも、出来立てのパンが食べれるぞ! 本当は米が欲しいんだけど。

 昼の言われた時間までにはまた早いが、ギルドに着いたカズは、今日から一緒に行くAランクの冒険者に、挨拶をしておこうかと思い、受付で一緒に行く相手を聞くことにする。
 するとカズが話し掛けるより先に、トレニアが話し掛けてきた。

「おはようございます。カズさん」

「おはよう、トレニアさん」

「昨日はありがとうございました。お陰で泊まる所を、探さなくてすみました」

「別に構いませんよ。今日もギルドに来る前に、宿屋の女将さんに言っておきましたから。それと朝食付きの代金を払ってあるので、朝時間があれば、食べて来ると良いですよ」

「そうなんですか! それは嬉しいです。毎日朝食の用意するのがちょっと面倒で、いつも前日の残り物を食べてるんです」

「しっかりしてそうなトレニアさんでも、そうなんですね」

「あら私ったら、みっともない事を言っちゃったわ! 聞かなかった事にしてください」

「そうします。それで俺が行く依頼なんですけど、一緒に行く冒険者の方が誰か分かりますか?」

「えーっと、ちょっとお待ちを……」

 トレニアが資料を探していると、モルトがやって来た。

「トレニア、カズ君の依頼は、儂が説明をするからいいですよ」

「そうなんですか。分かりました」

「カズ君付いてきてください」

「あ、はい」

 モルトに付いて、カズは三階の会議室に移動した。
 モルトに続いて会議室の中に入ると、マントを着てフードを被った人物が一人居た。

「カズ君紹介します。今日から一緒に行く、Aランク冒険者の『ラスラ』さんです。ラスラさんこちらが、アイテムボックスを使える、Cランクのカズ君です。この依頼が無事終われば、Bランクになる予定ですので、実力的には問題ないかと」

「え!? あ、初めまして、カズです。よろしくお願いします(この依頼が無事終われば、Bランク!? 初耳ですけど)」

 カズが自己紹介をすると、ラスラは被っていたフードを外し、顔を見せてきた。
 フードの中身は、赤毛の見た目二十代後半くらいの女性だった。

「初めまして、ラスラです。今日からパーティーを組む仲間として、よろしくお願いします」

 ラスラは優しい口調で話してたので、カズは少し安心していた。

「出発の時間までもう少しあるので、私は少し用事を済ませてきます」

 ラスラは軽く会釈をして、会議室を出ていった。

「優しそうな方で良かったです。Cランクの俺が同行するので、不快に思われるかと」

「ラスラさんは、ランクで人を見ないので、安心して頼れますよ。もしラスラさんのステータスを知りたければ、本人に聞いてみてください。承諾すれば教えてくれますから、くれぐれもスキルを使って、調べようとしないでください」

「そんなことは……(見るつもりだった)」

「カズ君の気持ちは分かります。パーティーを組む相手のステータスを、確認したいと思うのは当然ですが、Bラスラ以上の方は、ギルドにステータス(一部)を開示しているので、聞けば教えてくれると思いますから。勝手にステータスを見ようとしたのがバレたら、険悪な雰囲気になりますから、絶対にしないでくださいよ」

「分かりました。パーティー内で険悪になるのは、さすがに不味いですしね(暫く一緒に行動する訳だし。冒険者ギルドが選んだ人なら大丈夫だろう)」

「言い忘れましたが、この依頼が無事終わったら、カズ君がBランクに昇格と言うのは本当ですから」

「あの話って本当なんですか!」

「はい。功績にしても実力にしても、十分だとギルマスの判断でもありますから」

「いきなりだったので、驚きましたよ」

「驚かせてしまって申し訳ない。この依頼が終わって、正式にBランクに昇格したら、カズ君にもステータスを開示してもらいますよ。全てではなくても、基準として数値だけでもギルドに登録しておきますので」

「そ、そうですよね……(ヤバい! この依頼が終わるまでに、どやって誤魔化すか考えておかないと)」

 モルトとの話が一段落したくらいで、用事を済ませたラスラが戻ってきた。

「そろそろ時間ですので、行きましょう。第4ギルドの一室に、集合することになってますから」

「はい。よろしくお願いします」

 カズはラスラに付いて行き、以前にも使用した冒険者ギルド間を移動する、転移水晶を使い、二人は集合場所の第4ギルドに転移した。
 第4ギルドに転移した二人は、集合場所である一室に移動した。
 部屋に入ると、既に一緒にパーティーを組む三人が居た。

「お待たせしました。第2ギルドから来たラスラです。そしてこちらが…」

「カズです。よろしくお願いします」

「オレは第1ギルドから来た『アイガー』だ。よろしくな!」

「おれは『イソチオ』で、コイツがBランクの『シアネト』」

「……」

「シアネトは基本無口だから、気にすることはねぇから。さっそくだが、とっとと行こうぜ」

 それに同意とシアネトは頷く。

「その前に、各ギルドから受けてきた依頼内容を確認した方が良いだろう」

「私もそれが良いと思います」

「俺も聞いておきたいです」

 第4ギルドを拠点にしている、イソチオとシアネトに待ったをかけて、各依頼内容の確認をしようと提言してのは、第1ギルドから来たアイガーだった。
 それに同意したのは、カズと共に第2ギルドから来たラスラだ。
 二対二になったので、カズもラスラと一緒にアイガーの意見に同意した。
 イソチオは少し嫌な顔を見せたが、渋々承諾した。

「ざっくりとした事しか、教えられねぇからな」

「それで構わない。オレの受けている依頼は、強大なモンスターの調査だ。既に聞いてると思うがな」

「第2ギルドの私達は、国境から少し離れた小さな村から、ある物を運搬する依頼よ。もちろんそのモンスター調査の事は聞いてるわ」

「おれ達の依頼は、盗賊団の調査予定だ。これで良いだろ。とっとと行くぞ!」

 簡単な自己紹介と挨拶を済ませた五人は、第4ギルド近くにある運搬用の荷馬車に移動した。
 荷馬車を最初に操るのは、アイガーが買って出た。
 カズを含めた他の四人は、屋寝付きの荷台に乗り王都を出発した。


 冒険者第4ギルドは、王都の北側にあり、北へと続く街道沿いに建てられており、他国から来る冒険者を見ることが出来る。
 王都で九ヶ所ある冒険者ギルドの中で、第4ギルドは粗荒っぽい冒険者が最も多い所でなので、ランクよりも腕っ節の実力主義で通っている。
 そしてカズ達が依頼で向かう先は、隣国との国境近い場所辺りだ。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~

さとう
ファンタジー
 町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。  結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。  そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!  これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳
ファンタジー
 楽しく親子4人で生活していたある日、交通事故にあい命を落とした...はずなんだけど...?? 神様の御好意により新たな世界で新たな人生を歩むことに!!! 冒険あり、魔法あり、魔物や獣人、エルフ、ドワーフなどの多種多様な人達がいる世界で親子4人とその親子を護り生活する世界最強のドラゴン達とのお話です。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...