人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

154 王都を離れた北へ

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 既に夕食を済ませてたカズは、トレニアと別れたあと、休むために泊まっている部屋に行く。
 カズは寝るまでの間に、明日から行く依頼の事を考えていた。


 あーあ……明日から行く依頼のことを考えると、少し不安だな。
 Aランクの冒険者と何日も一緒に居ることだし、念の為にステータスが覗き見防止の為に、忘れないよう今の内から《隠蔽》のスキルを『2』に、いや『3』に上げておくか。
 これで大丈夫だろう。
 第2ギルドからは俺以外に、Aランクの冒険者が一人行くと言ってたけど、いったい誰だろう? イキシアなんてことは……さすがにないよな。
 いくならんでも、サブマスが同行することはないだろ。
 明日からはゆっくり寝れるか分からないし、今日は早く寝よう。


 ◇◆◇◆◇


「ふぁ~……寝過ぎたかな」

 頭がボケーとする程良く寝たカズは、窓を開けてから部屋を出て、一階の食堂に移動した。

「おはようカズさん。今日はやけにゆっくりだね」

「おはようございます女将さん。依頼に出掛けるのは昼頃からなので、いつもより長く寝てたんです。依頼に出たら、ゆっくり寝れるか分かりませんから」

「それもそうだね」

「それと昨日紹介した、冒険者ギルドで働いてるトレニアさんが、今日から来ますので、よろしくお願いします」

「ああ、分かってるよ。はい朝食」

「いただきます」

 ラヴィオリに出された朝食を食べ終ったカズは、ギルドに向かい宿屋を出る。
 ギルドに向かい通りを歩いていると、パンの焼ける良い匂いがしたので、カズは出来立てを多めに買い【アイテムボックス】に入れた。

 遠出の依頼だからって、冷たいパンを食べることはないんだよな。
 せっかく内部時間止まってる、アイテムボックスを使えるんだから。
 これでいつでも、出来立てのパンが食べれるぞ! 本当は米が欲しいんだけど。

 昼の言われた時間までにはまた早いが、ギルドに着いたカズは、今日から一緒に行くAランクの冒険者に、挨拶をしておこうかと思い、受付で一緒に行く相手を聞くことにする。
 するとカズが話し掛けるより先に、トレニアが話し掛けてきた。

「おはようございます。カズさん」

「おはよう、トレニアさん」

「昨日はありがとうございました。お陰で泊まる所を、探さなくてすみました」

「別に構いませんよ。今日もギルドに来る前に、宿屋の女将さんに言っておきましたから。それと朝食付きの代金を払ってあるので、朝時間があれば、食べて来ると良いですよ」

「そうなんですか! それは嬉しいです。毎日朝食の用意するのがちょっと面倒で、いつも前日の残り物を食べてるんです」

「しっかりしてそうなトレニアさんでも、そうなんですね」

「あら私ったら、みっともない事を言っちゃったわ! 聞かなかった事にしてください」

「そうします。それで俺が行く依頼なんですけど、一緒に行く冒険者の方が誰か分かりますか?」

「えーっと、ちょっとお待ちを……」

 トレニアが資料を探していると、モルトがやって来た。

「トレニア、カズ君の依頼は、儂が説明をするからいいですよ」

「そうなんですか。分かりました」

「カズ君付いてきてください」

「あ、はい」

 モルトに付いて、カズは三階の会議室に移動した。
 モルトに続いて会議室の中に入ると、マントを着てフードを被った人物が一人居た。

「カズ君紹介します。今日から一緒に行く、Aランク冒険者の『ラスラ』さんです。ラスラさんこちらが、アイテムボックスを使える、Cランクのカズ君です。この依頼が無事終われば、Bランクになる予定ですので、実力的には問題ないかと」

「え!? あ、初めまして、カズです。よろしくお願いします(この依頼が無事終われば、Bランク!? 初耳ですけど)」

 カズが自己紹介をすると、ラスラは被っていたフードを外し、顔を見せてきた。
 フードの中身は、赤毛の見た目二十代後半くらいの女性だった。

「初めまして、ラスラです。今日からパーティーを組む仲間として、よろしくお願いします」

 ラスラは優しい口調で話してたので、カズは少し安心していた。

「出発の時間までもう少しあるので、私は少し用事を済ませてきます」

 ラスラは軽く会釈をして、会議室を出ていった。

「優しそうな方で良かったです。Cランクの俺が同行するので、不快に思われるかと」

「ラスラさんは、ランクで人を見ないので、安心して頼れますよ。もしラスラさんのステータスを知りたければ、本人に聞いてみてください。承諾すれば教えてくれますから、くれぐれもスキルを使って、調べようとしないでください」

「そんなことは……(見るつもりだった)」

「カズ君の気持ちは分かります。パーティーを組む相手のステータスを、確認したいと思うのは当然ですが、Bラスラ以上の方は、ギルドにステータス(一部)を開示しているので、聞けば教えてくれると思いますから。勝手にステータスを見ようとしたのがバレたら、険悪な雰囲気になりますから、絶対にしないでくださいよ」

「分かりました。パーティー内で険悪になるのは、さすがに不味いですしね(暫く一緒に行動する訳だし。冒険者ギルドが選んだ人なら大丈夫だろう)」

「言い忘れましたが、この依頼が無事終わったら、カズ君がBランクに昇格と言うのは本当ですから」

「あの話って本当なんですか!」

「はい。功績にしても実力にしても、十分だとギルマスの判断でもありますから」

「いきなりだったので、驚きましたよ」

「驚かせてしまって申し訳ない。この依頼が終わって、正式にBランクに昇格したら、カズ君にもステータスを開示してもらいますよ。全てではなくても、基準として数値だけでもギルドに登録しておきますので」

「そ、そうですよね……(ヤバい! この依頼が終わるまでに、どやって誤魔化すか考えておかないと)」

 モルトとの話が一段落したくらいで、用事を済ませたラスラが戻ってきた。

「そろそろ時間ですので、行きましょう。第4ギルドの一室に、集合することになってますから」

「はい。よろしくお願いします」

 カズはラスラに付いて行き、以前にも使用した冒険者ギルド間を移動する、転移水晶を使い、二人は集合場所の第4ギルドに転移した。
 第4ギルドに転移した二人は、集合場所である一室に移動した。
 部屋に入ると、既に一緒にパーティーを組む三人が居た。

「お待たせしました。第2ギルドから来たラスラです。そしてこちらが…」

「カズです。よろしくお願いします」

「オレは第1ギルドから来た『アイガー』だ。よろしくな!」

「おれは『イソチオ』で、コイツがBランクの『シアネト』」

「……」

「シアネトは基本無口だから、気にすることはねぇから。さっそくだが、とっとと行こうぜ」

 それに同意とシアネトは頷く。

「その前に、各ギルドから受けてきた依頼内容を確認した方が良いだろう」

「私もそれが良いと思います」

「俺も聞いておきたいです」

 第4ギルドを拠点にしている、イソチオとシアネトに待ったをかけて、各依頼内容の確認をしようと提言してのは、第1ギルドから来たアイガーだった。
 それに同意したのは、カズと共に第2ギルドから来たラスラだ。
 二対二になったので、カズもラスラと一緒にアイガーの意見に同意した。
 イソチオは少し嫌な顔を見せたが、渋々承諾した。

「ざっくりとした事しか、教えられねぇからな」

「それで構わない。オレの受けている依頼は、強大なモンスターの調査だ。既に聞いてると思うがな」

「第2ギルドの私達は、国境から少し離れた小さな村から、ある物を運搬する依頼よ。もちろんそのモンスター調査の事は聞いてるわ」

「おれ達の依頼は、盗賊団の調査予定だ。これで良いだろ。とっとと行くぞ!」

 簡単な自己紹介と挨拶を済ませた五人は、第4ギルド近くにある運搬用の荷馬車に移動した。
 荷馬車を最初に操るのは、アイガーが買って出た。
 カズを含めた他の四人は、屋寝付きの荷台に乗り王都を出発した。


 冒険者第4ギルドは、王都の北側にあり、北へと続く街道沿いに建てられており、他国から来る冒険者を見ることが出来る。
 王都で九ヶ所ある冒険者ギルドの中で、第4ギルドは粗荒っぽい冒険者が最も多い所でなので、ランクよりも腕っ節の実力主義で通っている。
 そしてカズ達が依頼で向かう先は、隣国との国境近い場所辺りだ。
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