人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

135 ハンデ戦の結果

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 カズが鑑定した腕輪のことをネメシアに言うと、気付かれネメシアは更に実力を出して攻撃してきた。
 ネメシアの攻撃にカズは避ける事が出来ず、思いっきり蹴り飛ばされた。

「痛ったぁ……(こんなに痛いのは、白真に攻撃されて以来だ)」

「頑丈な奴だな。なら今度は、コイツ(木剣)で行くからな!」

「木剣持って、俺まだ持ってないよ」

「そんなの知るか! 最初っから持って無かったお前が悪いんだよ! ちなみにそれ(弱体化の腕輪)は、ギルドが所有してる物だから壊すなよ」

「なっ!」

 冗談じゃない、こんな状態であれ(木剣)の攻撃食らったら……
 どうやって外すんだこれ? ギルドが所有する物だから壊すなって言うし。
 俺も取りあえず身体強化と肉体強化を使って、木剣での攻撃に耐えられるようにしないと。

 カズはスキルと魔法を使って、体を強化し起き上がると、その隙にネメシアが接近して、木剣で斬りかかる。
 カズはネメシアの木剣の間合いから出る為に、後ろに飛び退く。
 木剣の初撃かわされたネメシアは、更に踏み込み、一気にカズに近付く。
 武器を持って無いカズは〈アイスシールド〉で、自分とネメシアの間に、分厚い氷の壁を作り、ネメシアが繰り出す木剣の攻撃から、身を守り距離をとる。

「チッ、あと少しだったのに」

「本気出そうとしてない? 模擬戦じゃなかったの!」

「そうか本気が良いのか? ならコイツ(分厚い氷の壁)をぶっ壊して、遠慮なくやらせてもらうぜ!」

 カズは分厚い氷の壁で、ネメシアと距離がとれたので、今になってネメシアのステータスを確認することにした。
 今までのカズなら、数値だけでも相手のステータスを常に確認していたが、それが原因で口を滑らせ、面倒な事になった経験があったから、絡まれそうになったりしなければ、人のステータスを勝手に見るようなことは、しなくなっていた。
 だか今回はそれが裏目になった。
 カズは口には出さずに、ネメシアのステータスを調べた。

 《分析》ステータス確認、対象ネメシア。


 名前 : ネメシア 
 年齢 : 26
 性別 : 女
 種族 : 人
 職業 : 魔法剣士
 ランク: B
 レベル: 65
 力  : 941(+31)
 魔力 : 735(+20)
 敏捷 : 598(+35)
 運  : 32

 【装備品】
 タイガーズロードの革鎧一式 : 力 +30 魔力 +20 敏捷 +35

 防止の指輪3 : 盗聴・透視・情報(ステータス)を防止する。(絶対では無い)

 訓練用木剣 : 力 +1

 【戦闘スキル】
 ・剣術
 ・格闘術

 《攻》ソードラッシュ
 《攻・魔》フレイムブレイク
 《強》肉体強化 
 《強》筋力強化 
 《強》斬撃強化
 《強》武器強化
 
 【魔法属性】《火・風・光・無》
 《火》ファイヤーボール
 《火》ファイヤーボム
 《火》ファイヤージャベリン
 《風》エアースラッシュ
 《風》エアーバースト
 《風》エアーボム
 《光》ライト
 《光》フラッシュ
 《無》身体強化


 ネメシアが装備してる『防止の指輪3』の効果もあるせいか、今はここまでしか見ることが出来ない。
 ステータスはクリスパと同等だが、アイテムを装備してる分、ネメシアの方が少し高い。
 ネメシアのステータスを確認し終えると同時に、氷の壁が破壊され、ネメシアが魔法を放ちながらカズに接近する。

「これで守る壁は無くなったぞ! 〈ファイヤーボール〉」

「十分に時間が稼げたので、壊されても問題ないです〈ウォータージェット〉」

 ネメシアが放ったファイヤーボールを、カズがウォータージェットで掻き消した。

「だったらこれはどうだ! 〈フラッシュ〉」

「まぶしぃ〈ダークミスト〉」

 ネメシアは強い光で、目を眩ませにかかるが、カズは透かさず黒霧を発生させ光を遮る。

「チッ、なら〈エアーボム〉」

 ネメシアの魔法で、巨大な風船が破裂したような大きな音と風が起き、黒霧を吹き飛ばした。

「これで見えたぞ!」

「〈アースウォール〉」

「隠れてばかりじゃ勝てないぜ!」

「〈アースハンド〉」

「おっと、捕まるか!」

 カズは土の壁で姿を隠すと、そのまま壁から巨大な土の手を作りだし、ネメシアを捕らえようとする。
 しかしネメシアは、木剣で土の指を切り落とし、拘束されるのを防ぐ。
 カズはこの隙に、木剣を取りに行く。

「剣で私に勝てると思ってるのか!」

「さぁどうでしょうか(刀剣術スキルがあるとはいえ、素人の俺がどこまで相手をすることが出来るか、試すには良い機会だ)」

 ネメシアの鋭い打ち込みをなんとか防いでいたカズだが、フェイントに連撃と剣の腕だけでは、ネメシアにまったく勝てない。 

「そろそろ終らせてやるよ《ソードラッシュ》」

 ネメシアは攻撃スキルを使用すると、木剣の攻撃速度が上がり、カズに攻撃が当たりだす。
 しかし寸前のところで、なんとか避けているので、当たってもかする程度で大きなダメージには至らない。

「クソッ、あと少しなのに。仕方ねぇこれならっ!」

 ネメシアが一度木剣を引き、魔力を木剣に流して、魔法剣士ならではの攻撃スキルを使用する。

「《フレイムブレイク》」

「うぉ! 剣が燃えてる!」

「これが魔法剣士の戦い方だ!」

「ネメシアやり過ぎですよ!」

 モルトがカズとネメシアの間に割り込み、ネメシアを止めようとする。
 しかしネメシアの攻撃は止まらない。

「ちょ、モルトさん危ない! (なんでこのタイミングで出てきたの?)」

 その状況を見たカズは、モルトが危険だと判断して、無詠唱で重力魔法を使い、ネメシアの動きを鈍らせる。

 〈グラヴィティ〉この人は模擬戦だってのに、頭に血が上ってるのかよ!

「う…体が重っ…な、なんだ!?」

「〈フリーズ〉〈アイスロック〉」

 カズはフリーズの魔法で、燃えていたネメシアの木剣を凍らせ、アイスロックで両手両足を氷で固めて拘束した。(両手両足を凍らせた訳ではなく、氷で閉じ込めた感じになっている)

「うわっ冷てぇ! 何しやがる!」

「止めに入って来たモルトさんを、巻き込んでどうするだよ! 少しは頭を冷やせ! 大丈夫ですかモルトさん」

「儂はなんとも……」

 モルトは両手両足を、氷で拘束されて倒れているネメシアと、それをやったカズを交互に見ていた。
 カズはそれに気付き、自分のやったことを確認した。

「……あ(ついかっとなって、やってしまった。弱体化の腕輪があるせいで、魔力の加減が、うまくいかないんだよな)」

「カズ君は大丈夫ですか?」

「かすり傷ですので、大丈夫です」

「傷は大丈夫そうですが、魔力の方はどうなんですか?」

「魔力ですか(魔力のみステータス確認)」

  魔力 : 3764/4250(魔力 - 250)

 結構減ってるが、全然大丈夫だなやっぱり。
 元の魔力が減ってるのは『弱体化の腕輪』の影響だろけど、減りが多くないか?

「魔力残量は大丈夫なんですが、これ(弱体化の腕輪)なんとかなりませんか?」

「ネメシアが始めに何かしてると思いましたが、そんな物をカズ君に着けたとは……ネメシア!」

「な、なんだよ」

「あなたという人は、あれ(弱体化の腕輪)は、実力差がある者が、模擬戦や訓練をする際に、お互いの了承を得て、特別に使用するアイテムじゃないですか。それをあなたは!」

「じじぃだって見てただろ、それを着けてたってこれだぞ」

 ネメシアは自分の両手足にある氷を見て、モルトに訴えかける。

「だからと言って…」

「しかも2個はめた状態で、アイツよりランクの高い私がこれだからな!」

「……」

 モルトはネメシアが勝手な事をして、悪いのだと分かっていたが……もし倒れているのが、ネメシアではなくカズだったら、こんなに考えることもなかった。
 モルトはカズと出会ったからの事を、思い返していた。
 貴族のお屋敷に行って、起こった出来事に、討伐依頼から帰ってきたネメシアが言った『アイツはおかしい』の言葉。
 それに今日倉庫で出した、大量の凍ったストーンシャークに、それを魔力変化を使って、全て溶かしてしまった事。(モルトは大量魔力使う魔力変化で、氷を溶かしたと思っている)
 しかもそのあとに、依頼をしてきたと聞いて、いったい模擬戦前にどれだけ魔力を消費したのか。
 それなにのカズは『魔力残量は大丈夫だと』言っているので、意味が解らなくなっていた。
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