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三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

116 現在のダンジョン活用法

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「こちらのメイドさんは、皆さん楽しい方で良いですね」

「少し気を抜き過ぎてるのは、考えものですけど、確かにあの明るさがあったお陰て、デイジー様とダリア様も、気が滅入ることなかったでしょうから、感謝しないといけないですな」

「俺に対しても、気兼ねなく話してくれるので、貴族の方が住むお屋敷なのに、緊張せずに居ることが出来てありがたいです。特にミカンとキウイさんなんかは」

「そうですか? 冒険者の方にメイドがタメ口をすると、見下されたと思い込み、いきなり斬りかかる者もおりますから、誰が相手でも、礼節を重んじる様にと教えていますが、キウイを見てるとどーも……」

「公式な場ではないですし、そう言った礼節に関しては、大丈夫だと思いますよ」

「そうでしょうか?」

「先程マーガレットさん達から、お礼を言われた時は、しっかりしてましたから、その辺りの分別は、分かってると思いますよ。だから大丈夫でしょう」

「私しよりカズ殿の方が、メイド達のことを良く分かってるますな」

「アハハ。そんなことはないですよ。それにもうジルバさんが戻ってきましたから、これで護衛の依頼も終わりですし」

「では明日街へ?」

「ええ。モルトさんが明日ギルドへ帰る時に、一緒に行こうかと思います。どこかお手頃な宿屋でも、紹介してもらいますよ」

「カズ殿は、街にへ行ってないんですか?」

「王都へ来て、すぐにギルド経由で、こちらへ氷結花を届けに来ましたから」

「そうですか。そのまま護衛をしてもらった訳ですから、お屋敷の敷地内からは出でいないと言うことですな」

「ええ。だから街の事は、まったく分かりませんね」

「なるほど。私しもモルトに頼んで、カズ殿にふさわしい宿屋を、紹介するように頼みましょう」

「ありがとうございます。ジルバさん」

「この程度なんでもありません」

「そうだ。急にこんなことを聞いて、不躾(ぶしつけ)なんですけど、ジルバさんは、ダンジョンには行ったことがありますか?」

「ダンジョンですか? 現役の頃は良く行きました。冒険者ならば、誰もが一攫千金を考えてますからな。カズ殿もダンジョンに興味が?」

「ええまぁ。あと、アーティファクトと呼ばれている魔道具等にも、興味がありまして、何か知りませんか?」

「う~ん……」

「無理な事を聞いて、不快にさせしまったのなら、すみません」

「いえいえ。冒険者ならば、一度はダンジョン探索をしてみたいと思うのは、無理もありません。ただ私しが最後にダンジョンへ入ったのは、もう十五年近く前になりますからな。現状見つかっているダンジョンは、殆どがしらみ潰しに探されて、一部商業ギルドが倉庫として使っていたり、また観光に使われてる所もありますからな」

「倉庫や観光ですか?」

「はい。比較的街の近くにある洞窟のダンジョン等は、商業ギルドが食材等の貯蔵に使ったりしてます。洞窟内部の気温が低く一定なので、食材を長期保管するのに適していると。常に誰かが警備をして、魔法やスキルまたは魔道具を使い、獣やモンスターを寄り付かないようにと、安全面も考慮しているらしいです」

「ダンジョン内部に、モンスターが発生する事はないんですか?」

「レベルの低いモンスターであれば、魔法やスキルで、発生をふせげますから大丈夫です。そもそも強力なモンスターが発生ような場所を、使おうとは思いませんから」

「それもそうですね。それで観光目的とは?」

「そうですな……少し前の暑い時期でしたら、海辺にあるダンジョンです。近くにある小島に向かって、人が通れる程の広さがある通路が、海中に出来てるんです。通路の壁が、分厚い貝殻のような物で出来ていて、しかも透き通っているので、昼間は光が入り中も明るく、海中散歩が出来ると人気らしいです」

「貝殻? 壁の貝殻が崩れたり、割れることはないんですか?」

「基本ダンジョンですから、そこは丈夫なんです。水が入ったとしても、通路は50m程しかないので、そんなに危険ではありません。海中にあると言っても、深さが3mしかありませんし、常時誰かがダンジョンの状態を調べているので、安全面は高いと思います」

「そうなんですか。それじゃあ、今ダンジョンに行く冒険者なんて、誰も居ないんですか?」

「そんなことはないです。ダンジョン内にしかない植物や鉱物がありますから、ギルドの依頼で、そういった物を採取に行くこともありますから」

「ダンジョン内で、アーティファクトが見つかることがあると聞きましたが?」

「未発見や、未探索のダンジョンであれば見つかることもありますが、危険が多いので、未探索のダンジョンに関しては、冒険者ギルドの許可が出ないと行けないです。未発見のダンジョンに関しては、運が良ければ、見つかるといったところでしょうか」

「アーティファクトは、国が管理してるようなことを聞いたんですが、見ることは出来ないんですか?」

「それは難しいです。Aランク以上の冒険者になって、何かコネがあれば見れると思いますが」

「そう…ですか。貴重な話を、ありがとうございます」

「カズ殿は、どうしてアーティファクトを見たいのですか?」

「ただの興味ですよ……(これは、元世界に帰る手掛かりを見つけるのは、難しそうだな)」

 夕食後の片付けをしていたベロニカが、一人で広間に戻ってきた。

「奥様。今日はもう休まれては? デイジー様とダリア様も、長旅でお疲れでしょう」

「ねぇお母様。今日は一緒に、寝ても良いかしら……」

「ぼ、ぼくもお母様と……」

「うふふ。今日は三人一緒に寝ましょうね!」

「はい!」

「う、うん!」

「それではお部屋に、着替えを用意し起きますので、お着替えになってからお休み下さい。今夜私しは隣の部屋に居ますので、何か御用があれば、いつでも声を掛けてください」

「ありがとう。ベロニカ」

 デイジーとダリアは、マーガレットと一緒に寝室へ向かい広間を出て行く。

「おや! どうやら奥様達は、お休みになられるようですな」

「ジルバさんも、長旅で疲れたでしょう。今夜はまだ、俺が警戒しておきますから、ゆっくり休んでください」

「どのようにして、この広いお屋敷を警戒するのか気になりますが、今夜はそのお言葉に甘えて、私しも早めに、休ませていただきます」

「はい」

「それでは失礼致します」

 ジルバはバルコニーから広間に入り、休む為に自室に向かい部屋を出て行った。
 カズも寝る部屋に戻る為に、広間を出る。
 廊下を歩いていたら、片付けを終えたアキレアがやって来た。

「カズさんも、もうお休みですか?」

「まだ休みませんが、明日モルトさんがギルドへ戻るときに、俺も行くので、その支度をしておこうかと(と言っても、特に支度はないけど)」

「明日出て行かれるんですか?」

「ええ。ジルバさんも帰って来まし、今日で頼まれた護衛も終わりですから」

「そう…ですよね。また来られますか?」

「どうでしょうか。本来なら俺がここに居るのも、おかしいんですけどね」

「カズさんを指名して依頼を出せば、また来てくださいますよね?」

「難しいと思いますよ。王都に来たばかりの、Cランク冒険者ですし、こちらのギルドでの実績も信用もないですから」

「そうですか。ではカズさんには、早くランクを上げていただかないと」

「アハハは。そう簡単に上がったら、苦労はしないでょうね」

「そう言っておきながら、すぐにBランクに上がったりして」

「もしそうだとしたら、どんな無理難題な依頼を、達成したんでしょうね」

「カズさんならやりかねないと、私は思いますが」

「ハハ……(嫌なフラグを立てないでよアキレアさん)」

「あの……もしカズさんが良ければ、奥様に頼んで、もう暫くお屋敷で働かせてもらうように、お願いしてみますけど。王都の冒険者は、人数が多いようなので、稼ぎの良い依頼を探すのも大変でしょうし」

「そのご厚意はありがたいですが、一応目的もありますから」

「そうですか……残念です」
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