103 / 784
二章 アヴァランチェ編
98 獣魔契約の内容
しおりを挟む
さて面倒な事も済んだし、王都の場所を確認しないと。
「ハ…クシュン! 風邪か? いや誰か噂でもしてるのかな? しかし雲が邪魔で、地上が見えないな」
「なんだカズ。下界が見たいのか?」
「元々山頂から、王都の場所を確かめる予定だったんだ」
「そんな事なら、少し雲を晴らくしてやろう」
「そんな事が出来るのか?」
「我が作り出したからな」
「作り出した? そういえばステータスを見たとき、魔法に『《水風》テリトリー・クラウド』とあったが、あれか?」
「その通りだ!」
「《水風》ってのは、二つの属性を使った魔法で良いんだよな」
「合成魔法を知らんのか?」
「合成魔法?」
「合成魔法は、二つ以上の魔法を合わせて、一つの新たな魔法を作り出す事だ!」
「ほぉ! 『《氷風》ブリザードブレス』ってのも合成魔法なんだろ。『ユニーク』とあったが、あれは白真しか使えないのか?」
「いかにも。我が作り出した、最大の威力をもつ、攻撃の一つだ!」
「お前いきなり、最大威力の攻撃を、俺にしたのかよ!」
「大抵は、あのブリザードブレスであっけなく終わるのだが、まさか耐えれるとはな」
「おい白真!」
「なんだ? 我がブレスの事か! 耐えたとしても、あの威力には驚いたであろう」
「もう何発か殴らせろ!」
「なぜだ!」
「今の話を聞いたら、イラッときた」
「我が負けて、カズの従属になっから、良いではないか。それより下界を見るのであろう。直ぐに雲を晴らすゆえ、殴るのは勘弁してくれ」
「……ああ、分かったよ。それでこの雲は、姿を隠す為だけか?」
「いや。この雲は我が領域だ。勝手に入って来た者がいたら、感知出来るようになっておる。それに雪も降らせる事により、我がスキルの発動条件も満たせるのでな!」
「だから俺が雲の中で、どこにいるか、正確な場所が分かっていたのか」
「その通りだ! しかし目の前に居る今もだが、カズの魔力どころか、気配も感じないぞ」
「ああ。俺がスキルの段階を上げて、使用してるからだな」
スキル【隠蔽】を『5』から『1』に戻した。
「おっ! カズの魔力を感じるぞ」
「どうでもいいから、早く雲を散らしてくれよ」
「相分かった。では……」
「どうした? 早くやってくれよ」
「カズの攻撃で体が痺れて、言う事を聞かんのだ」
「仕方ないな。口開けて」
「なぜだ?」
「いいから!」
俺は【アイテムボックス】から原液の回復薬が入った小ビンを取り出し、大口を開けている白真に、回復薬を飲ませた。
「おっ! おおっ!! 先程の痺れがなくなり、傷が治っておるぞ! カズなんだ今のは?」
「回復薬を飲ませただけ」
「ここまで効くとは、かなり強力な回復薬を持っておるのだな」
「自作だよ」
「なんと! そんな物も作れるのか!」
「いいから早く、雲をなんとかしろよ!」
「そうであったな」
白真が翼を広げ、魔力を込めて一扇ぎすると、雲が薄くなり、地上がうっすらと見えてきた。
「カズよ。あれが王都と呼ばれている場所だ」
雲が散り、先に見えた王都は、アヴァランチェより遥かに大きい都市だった。
あれが王都か。
飛んでいっても、人が居る辺りまでは、目立つから行けないし……到着までには、あと数日掛かるかな。
あの辺りから歩いて、街道に出ればいいか。
よし方角も分かったから、行くとしよう。
「〈フライ〉」
「待たれよ」
「何? 急いでるんだけど」
「獣魔契約をしたのだから、我はカズに付いて行けば良いか?」
「白真が付いてきたら、大事になるだろ!」
「しかし契約したのでなぁ」
「付いて来なくていいから。白真は今まで通り、静かに暮らしていれば良いんじゃないの。あっ! 他の種族に迷惑かけたり、むやみに攻撃したりするなよ」
「分かっておる」
「おっとこんな所で、道草を食ってる場合じゃない、早く王都へ行かないと」
「う、うむそうか……我に用がある時は、いつでも呼ぶなり、来るなりするが良い」
「呼ぶってどうやって?」
「それなら獣魔契約について、一通り説明するゆえ、暫し待たれよ」
「急いでるんだけどな」
「我が急にカズを訪ねて、王都に行ってはまずかろう」
「それはそうだけど……分かった説明を聞くから、手短にな」
俺はもう一度、地面に降りた。
「承知! 先ずは獣魔契約した者同士は魔力を共有出来るのだ。戦闘時には、片一方が魔力を回復し、もう一方が魔法を使い攻撃するなどしてな」
「そいつは便利だな。それで魔力を共有する為には、接触してないと無理なのか?」
「互いの強さによるのぅ。我とカズならば、ここ山頂から麓まで離れていても、魔力の共有は出来よう」
「それで呼ぶって言ってけど、どういうことだ?」
「それはな、互いの魔力交換をしてだな…」
「魔力交換?」
「冒険者の言うところの、パーティーを組む、と言ったところだ」
「ほう」
「まあ獣魔契約した者同士は、その時点で魔力交換がなされておるから、関係ないがな」
「なんだ。じゃあ言うなよ」
「カズが聞いたから、理解しやすく、説明しておるのではないか」
「ああ悪かったよ。先に進めて」
「それなら話すより、実際にやってみせよう」
「『カズ。我の声が聞こえるか?』」
「お! 言葉を発してないのに、白真の声が聞こえる」
「『うまくいった様だ。カズも言葉に出さずに、我に話し掛けようと、念ずるだけで良い』」
「『これで良いのか?』」
「『上々だ。聞こえておるぞ! 因みにこれは《念話》と言う』」
念話……これはアイツ(チャラ神=管理神)が話す時に、やっていた事と同じか!?
「『なるほど念話ね。しかし、王都からでも通じるのか? 結構距離があるぞ』」
「『強力な結界で、隔離されたりしていなければ、その程度の距離など、とるに足らん事だ』」
「そんなもんか」
「『そんなものだ!』」
「他に何かあるか?」
「あとは召喚ぐらいか」
「召喚!?」
「うむ。これは従属してる方が、主の元に即座に転移する事だ」
「どうやるんだ?」
「念話と同じだ。ただ多くの魔力を消費して、呪文詠唱で時間を食う為に、使う者はあまり見なかったな。まあ大抵は、常に主と共におるから、召喚する事などないのでな」
「ふ~ん。じゃあ必要ないか」
「待て待て! 一応覚えておれ。我はカズと、常におる訳ではないのだから」
「分かったから早くしてくれ」
「ならば教えるので、実際にやってみようではないか!」
「召喚に失敗して、バラバラになった白真が、出てくるとかはないよな」
「恐ろしい事を言うな! そんな事はない。召喚に失敗したら、転移しないだけだ」
「そうか。良かったよ」
「先ずは念話をしたように、我に呼び掛けてみよ」
「『これでいいか?』」
「『うむ。念話はそのままで、次に召喚する為の、詠唱をするのだが、カズは呪文を知らんよな』」
「『知る訳ないだろ。で、どういった呪文なんだ?』」
「『では我の後に続いて唱えよ。《我と契約せし者よ。我が呼び掛けに答え、我が障害を打ち崩す為に、我が魔力を糧とし、我が力となりて……》』」
「待った!」
「な、なんだカズ? まだ詠唱の途中ではないか!」
「長い。今ので、どの程度なんだ?」
「まだ半分も唱えとらんぞ」
「そりゃあ召喚しない訳だ。何かアイテムを使って、詠唱を省略したり出来ないのか?」
「していたぞ。大抵は水晶に、召喚の付与をして、代用していたな」
「白真は持って無いのか?」
「無い。我も召喚などせんからな」
「ハァー」
さてどうするか……一応【万物ノ眼】で、白真のステータスにある、獣魔契約を詳しく調べてみるか。
「黙ってどうしたカズ?」
「……! 白真」
「なんだ?」
「獣魔契約に使う召喚って、どれも詠唱する呪文は、同じなのか?」
「同じではないだろう。召喚する者が、無駄な魔力を使わず、効率よく召喚出来るように、作ったり変えたりする者もおるからな!」
「ならさっき詠唱した呪文は?」
「我が考えたのだ! 中々良かろう!」
「……なら今回の呪文詠唱に関したら、決まった呪文は無いって事か!」
「昔は契約した時点で、召喚に必要な呪文が、自然と意識に入って来たのだが、二百年ほど前からか、制限はが弱まったみたいでな、契約した者同士が了承すれば、呪文は自ら作り上げればよくなったのだ」
「なら呪文詠唱を短くすれば、誰でも簡単に使えるんじゃないのか?」
「その場合は大量の魔力を消費するゆえ、効率良く周囲のマナ(魔力)を使えるようにすると、詠唱が長くなるのだ」
「ならほど。召喚は従属させてる方が、強制する訳じゃないんだな」
「うむ。制限が弱まってからは、従属してる方にも、召喚されるか否か、選べるようになったのだ」
「なら獣魔契約の、召喚を覚えても良いか」
「カズは変わってるのぉ。従属した者の事を気に掛けるとは」
「変わり者か……」
「気分を害したか?」
「いや。よく言われるし、別に気にしていない」
「そうか。主たるカズを害したと思うた」
「以外と主の思いなんだな」
「そ、そんな事はない。我を屈服させた者だから……まぁなんと言うか、こうなったのも、この世界を管理(神)する者に、何かあったのかも知れんな」
あ……あぁ……今は、アレ(チャラ神=管理神)だからな。
「世界は穏やかになったが、常に戦っていた我には、少し退屈になった……」
「何を遠くを見て、黄昏がれてるんだよ。退屈な世界は嫌いか?」
「いや。今の世も悪くない。たまに我を討伐しようとする、阿呆もおるしな」
「そうか。それじゃあ、俺はそろそろ行く。だいぶ時間を食ったからな。召喚はまた今度にする」
「うむ了承した。カズに召喚されるのを、楽しみにしておこう」
「最後まで偉そうだな」
白真と別れ、誰にも見られないように、低空で王都方角へ飛んで向かう。
「ハ…クシュン! 風邪か? いや誰か噂でもしてるのかな? しかし雲が邪魔で、地上が見えないな」
「なんだカズ。下界が見たいのか?」
「元々山頂から、王都の場所を確かめる予定だったんだ」
「そんな事なら、少し雲を晴らくしてやろう」
「そんな事が出来るのか?」
「我が作り出したからな」
「作り出した? そういえばステータスを見たとき、魔法に『《水風》テリトリー・クラウド』とあったが、あれか?」
「その通りだ!」
「《水風》ってのは、二つの属性を使った魔法で良いんだよな」
「合成魔法を知らんのか?」
「合成魔法?」
「合成魔法は、二つ以上の魔法を合わせて、一つの新たな魔法を作り出す事だ!」
「ほぉ! 『《氷風》ブリザードブレス』ってのも合成魔法なんだろ。『ユニーク』とあったが、あれは白真しか使えないのか?」
「いかにも。我が作り出した、最大の威力をもつ、攻撃の一つだ!」
「お前いきなり、最大威力の攻撃を、俺にしたのかよ!」
「大抵は、あのブリザードブレスであっけなく終わるのだが、まさか耐えれるとはな」
「おい白真!」
「なんだ? 我がブレスの事か! 耐えたとしても、あの威力には驚いたであろう」
「もう何発か殴らせろ!」
「なぜだ!」
「今の話を聞いたら、イラッときた」
「我が負けて、カズの従属になっから、良いではないか。それより下界を見るのであろう。直ぐに雲を晴らすゆえ、殴るのは勘弁してくれ」
「……ああ、分かったよ。それでこの雲は、姿を隠す為だけか?」
「いや。この雲は我が領域だ。勝手に入って来た者がいたら、感知出来るようになっておる。それに雪も降らせる事により、我がスキルの発動条件も満たせるのでな!」
「だから俺が雲の中で、どこにいるか、正確な場所が分かっていたのか」
「その通りだ! しかし目の前に居る今もだが、カズの魔力どころか、気配も感じないぞ」
「ああ。俺がスキルの段階を上げて、使用してるからだな」
スキル【隠蔽】を『5』から『1』に戻した。
「おっ! カズの魔力を感じるぞ」
「どうでもいいから、早く雲を散らしてくれよ」
「相分かった。では……」
「どうした? 早くやってくれよ」
「カズの攻撃で体が痺れて、言う事を聞かんのだ」
「仕方ないな。口開けて」
「なぜだ?」
「いいから!」
俺は【アイテムボックス】から原液の回復薬が入った小ビンを取り出し、大口を開けている白真に、回復薬を飲ませた。
「おっ! おおっ!! 先程の痺れがなくなり、傷が治っておるぞ! カズなんだ今のは?」
「回復薬を飲ませただけ」
「ここまで効くとは、かなり強力な回復薬を持っておるのだな」
「自作だよ」
「なんと! そんな物も作れるのか!」
「いいから早く、雲をなんとかしろよ!」
「そうであったな」
白真が翼を広げ、魔力を込めて一扇ぎすると、雲が薄くなり、地上がうっすらと見えてきた。
「カズよ。あれが王都と呼ばれている場所だ」
雲が散り、先に見えた王都は、アヴァランチェより遥かに大きい都市だった。
あれが王都か。
飛んでいっても、人が居る辺りまでは、目立つから行けないし……到着までには、あと数日掛かるかな。
あの辺りから歩いて、街道に出ればいいか。
よし方角も分かったから、行くとしよう。
「〈フライ〉」
「待たれよ」
「何? 急いでるんだけど」
「獣魔契約をしたのだから、我はカズに付いて行けば良いか?」
「白真が付いてきたら、大事になるだろ!」
「しかし契約したのでなぁ」
「付いて来なくていいから。白真は今まで通り、静かに暮らしていれば良いんじゃないの。あっ! 他の種族に迷惑かけたり、むやみに攻撃したりするなよ」
「分かっておる」
「おっとこんな所で、道草を食ってる場合じゃない、早く王都へ行かないと」
「う、うむそうか……我に用がある時は、いつでも呼ぶなり、来るなりするが良い」
「呼ぶってどうやって?」
「それなら獣魔契約について、一通り説明するゆえ、暫し待たれよ」
「急いでるんだけどな」
「我が急にカズを訪ねて、王都に行ってはまずかろう」
「それはそうだけど……分かった説明を聞くから、手短にな」
俺はもう一度、地面に降りた。
「承知! 先ずは獣魔契約した者同士は魔力を共有出来るのだ。戦闘時には、片一方が魔力を回復し、もう一方が魔法を使い攻撃するなどしてな」
「そいつは便利だな。それで魔力を共有する為には、接触してないと無理なのか?」
「互いの強さによるのぅ。我とカズならば、ここ山頂から麓まで離れていても、魔力の共有は出来よう」
「それで呼ぶって言ってけど、どういうことだ?」
「それはな、互いの魔力交換をしてだな…」
「魔力交換?」
「冒険者の言うところの、パーティーを組む、と言ったところだ」
「ほう」
「まあ獣魔契約した者同士は、その時点で魔力交換がなされておるから、関係ないがな」
「なんだ。じゃあ言うなよ」
「カズが聞いたから、理解しやすく、説明しておるのではないか」
「ああ悪かったよ。先に進めて」
「それなら話すより、実際にやってみせよう」
「『カズ。我の声が聞こえるか?』」
「お! 言葉を発してないのに、白真の声が聞こえる」
「『うまくいった様だ。カズも言葉に出さずに、我に話し掛けようと、念ずるだけで良い』」
「『これで良いのか?』」
「『上々だ。聞こえておるぞ! 因みにこれは《念話》と言う』」
念話……これはアイツ(チャラ神=管理神)が話す時に、やっていた事と同じか!?
「『なるほど念話ね。しかし、王都からでも通じるのか? 結構距離があるぞ』」
「『強力な結界で、隔離されたりしていなければ、その程度の距離など、とるに足らん事だ』」
「そんなもんか」
「『そんなものだ!』」
「他に何かあるか?」
「あとは召喚ぐらいか」
「召喚!?」
「うむ。これは従属してる方が、主の元に即座に転移する事だ」
「どうやるんだ?」
「念話と同じだ。ただ多くの魔力を消費して、呪文詠唱で時間を食う為に、使う者はあまり見なかったな。まあ大抵は、常に主と共におるから、召喚する事などないのでな」
「ふ~ん。じゃあ必要ないか」
「待て待て! 一応覚えておれ。我はカズと、常におる訳ではないのだから」
「分かったから早くしてくれ」
「ならば教えるので、実際にやってみようではないか!」
「召喚に失敗して、バラバラになった白真が、出てくるとかはないよな」
「恐ろしい事を言うな! そんな事はない。召喚に失敗したら、転移しないだけだ」
「そうか。良かったよ」
「先ずは念話をしたように、我に呼び掛けてみよ」
「『これでいいか?』」
「『うむ。念話はそのままで、次に召喚する為の、詠唱をするのだが、カズは呪文を知らんよな』」
「『知る訳ないだろ。で、どういった呪文なんだ?』」
「『では我の後に続いて唱えよ。《我と契約せし者よ。我が呼び掛けに答え、我が障害を打ち崩す為に、我が魔力を糧とし、我が力となりて……》』」
「待った!」
「な、なんだカズ? まだ詠唱の途中ではないか!」
「長い。今ので、どの程度なんだ?」
「まだ半分も唱えとらんぞ」
「そりゃあ召喚しない訳だ。何かアイテムを使って、詠唱を省略したり出来ないのか?」
「していたぞ。大抵は水晶に、召喚の付与をして、代用していたな」
「白真は持って無いのか?」
「無い。我も召喚などせんからな」
「ハァー」
さてどうするか……一応【万物ノ眼】で、白真のステータスにある、獣魔契約を詳しく調べてみるか。
「黙ってどうしたカズ?」
「……! 白真」
「なんだ?」
「獣魔契約に使う召喚って、どれも詠唱する呪文は、同じなのか?」
「同じではないだろう。召喚する者が、無駄な魔力を使わず、効率よく召喚出来るように、作ったり変えたりする者もおるからな!」
「ならさっき詠唱した呪文は?」
「我が考えたのだ! 中々良かろう!」
「……なら今回の呪文詠唱に関したら、決まった呪文は無いって事か!」
「昔は契約した時点で、召喚に必要な呪文が、自然と意識に入って来たのだが、二百年ほど前からか、制限はが弱まったみたいでな、契約した者同士が了承すれば、呪文は自ら作り上げればよくなったのだ」
「なら呪文詠唱を短くすれば、誰でも簡単に使えるんじゃないのか?」
「その場合は大量の魔力を消費するゆえ、効率良く周囲のマナ(魔力)を使えるようにすると、詠唱が長くなるのだ」
「ならほど。召喚は従属させてる方が、強制する訳じゃないんだな」
「うむ。制限が弱まってからは、従属してる方にも、召喚されるか否か、選べるようになったのだ」
「なら獣魔契約の、召喚を覚えても良いか」
「カズは変わってるのぉ。従属した者の事を気に掛けるとは」
「変わり者か……」
「気分を害したか?」
「いや。よく言われるし、別に気にしていない」
「そうか。主たるカズを害したと思うた」
「以外と主の思いなんだな」
「そ、そんな事はない。我を屈服させた者だから……まぁなんと言うか、こうなったのも、この世界を管理(神)する者に、何かあったのかも知れんな」
あ……あぁ……今は、アレ(チャラ神=管理神)だからな。
「世界は穏やかになったが、常に戦っていた我には、少し退屈になった……」
「何を遠くを見て、黄昏がれてるんだよ。退屈な世界は嫌いか?」
「いや。今の世も悪くない。たまに我を討伐しようとする、阿呆もおるしな」
「そうか。それじゃあ、俺はそろそろ行く。だいぶ時間を食ったからな。召喚はまた今度にする」
「うむ了承した。カズに召喚されるのを、楽しみにしておこう」
「最後まで偉そうだな」
白真と別れ、誰にも見られないように、低空で王都方角へ飛んで向かう。
34
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
転生農家の俺、賢者の遺産を手に入れたので帝国を揺るがす大発明を連発する
昼から山猫
ファンタジー
地方農村に生まれたグレンは、前世はただの会社員だった転生者。特別な力はないが、ある日、村外れの洞窟で古代賢者の秘蔵書庫を発見。そこには世界を変える魔法理論や失われた工学が眠っていた。
グレンは農村の暮らしを少しでも良くするため、古代技術を応用し、便利な道具や魔法道具を続々と開発。村は繁栄し、噂は隣領や都市まで広がる。
しかし、帝国の魔術師団がその力を独占しようとグレンを狙い始める。領主達の思惑、帝国の陰謀、動き出す反乱軍。知恵と工夫で世界を変えたグレンは、これから巻き起こる激動にどう立ち向かうのか。
田舎者が賢者の遺産で世界へ挑む物語。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる