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二章 アヴァランチェ編
98 獣魔契約の内容
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さて面倒な事も済んだし、王都の場所を確認しないと。
「ハ…クシュン! 風邪か? いや誰か噂でもしてるのかな? しかし雲が邪魔で、地上が見えないな」
「なんだカズ。下界が見たいのか?」
「元々山頂から、王都の場所を確かめる予定だったんだ」
「そんな事なら、少し雲を晴らくしてやろう」
「そんな事が出来るのか?」
「我が作り出したからな」
「作り出した? そういえばステータスを見たとき、魔法に『《水風》テリトリー・クラウド』とあったが、あれか?」
「その通りだ!」
「《水風》ってのは、二つの属性を使った魔法で良いんだよな」
「合成魔法を知らんのか?」
「合成魔法?」
「合成魔法は、二つ以上の魔法を合わせて、一つの新たな魔法を作り出す事だ!」
「ほぉ! 『《氷風》ブリザードブレス』ってのも合成魔法なんだろ。『ユニーク』とあったが、あれは白真しか使えないのか?」
「いかにも。我が作り出した、最大の威力をもつ、攻撃の一つだ!」
「お前いきなり、最大威力の攻撃を、俺にしたのかよ!」
「大抵は、あのブリザードブレスであっけなく終わるのだが、まさか耐えれるとはな」
「おい白真!」
「なんだ? 我がブレスの事か! 耐えたとしても、あの威力には驚いたであろう」
「もう何発か殴らせろ!」
「なぜだ!」
「今の話を聞いたら、イラッときた」
「我が負けて、カズの従属になっから、良いではないか。それより下界を見るのであろう。直ぐに雲を晴らすゆえ、殴るのは勘弁してくれ」
「……ああ、分かったよ。それでこの雲は、姿を隠す為だけか?」
「いや。この雲は我が領域だ。勝手に入って来た者がいたら、感知出来るようになっておる。それに雪も降らせる事により、我がスキルの発動条件も満たせるのでな!」
「だから俺が雲の中で、どこにいるか、正確な場所が分かっていたのか」
「その通りだ! しかし目の前に居る今もだが、カズの魔力どころか、気配も感じないぞ」
「ああ。俺がスキルの段階を上げて、使用してるからだな」
スキル【隠蔽】を『5』から『1』に戻した。
「おっ! カズの魔力を感じるぞ」
「どうでもいいから、早く雲を散らしてくれよ」
「相分かった。では……」
「どうした? 早くやってくれよ」
「カズの攻撃で体が痺れて、言う事を聞かんのだ」
「仕方ないな。口開けて」
「なぜだ?」
「いいから!」
俺は【アイテムボックス】から原液の回復薬が入った小ビンを取り出し、大口を開けている白真に、回復薬を飲ませた。
「おっ! おおっ!! 先程の痺れがなくなり、傷が治っておるぞ! カズなんだ今のは?」
「回復薬を飲ませただけ」
「ここまで効くとは、かなり強力な回復薬を持っておるのだな」
「自作だよ」
「なんと! そんな物も作れるのか!」
「いいから早く、雲をなんとかしろよ!」
「そうであったな」
白真が翼を広げ、魔力を込めて一扇ぎすると、雲が薄くなり、地上がうっすらと見えてきた。
「カズよ。あれが王都と呼ばれている場所だ」
雲が散り、先に見えた王都は、アヴァランチェより遥かに大きい都市だった。
あれが王都か。
飛んでいっても、人が居る辺りまでは、目立つから行けないし……到着までには、あと数日掛かるかな。
あの辺りから歩いて、街道に出ればいいか。
よし方角も分かったから、行くとしよう。
「〈フライ〉」
「待たれよ」
「何? 急いでるんだけど」
「獣魔契約をしたのだから、我はカズに付いて行けば良いか?」
「白真が付いてきたら、大事になるだろ!」
「しかし契約したのでなぁ」
「付いて来なくていいから。白真は今まで通り、静かに暮らしていれば良いんじゃないの。あっ! 他の種族に迷惑かけたり、むやみに攻撃したりするなよ」
「分かっておる」
「おっとこんな所で、道草を食ってる場合じゃない、早く王都へ行かないと」
「う、うむそうか……我に用がある時は、いつでも呼ぶなり、来るなりするが良い」
「呼ぶってどうやって?」
「それなら獣魔契約について、一通り説明するゆえ、暫し待たれよ」
「急いでるんだけどな」
「我が急にカズを訪ねて、王都に行ってはまずかろう」
「それはそうだけど……分かった説明を聞くから、手短にな」
俺はもう一度、地面に降りた。
「承知! 先ずは獣魔契約した者同士は魔力を共有出来るのだ。戦闘時には、片一方が魔力を回復し、もう一方が魔法を使い攻撃するなどしてな」
「そいつは便利だな。それで魔力を共有する為には、接触してないと無理なのか?」
「互いの強さによるのぅ。我とカズならば、ここ山頂から麓まで離れていても、魔力の共有は出来よう」
「それで呼ぶって言ってけど、どういうことだ?」
「それはな、互いの魔力交換をしてだな…」
「魔力交換?」
「冒険者の言うところの、パーティーを組む、と言ったところだ」
「ほう」
「まあ獣魔契約した者同士は、その時点で魔力交換がなされておるから、関係ないがな」
「なんだ。じゃあ言うなよ」
「カズが聞いたから、理解しやすく、説明しておるのではないか」
「ああ悪かったよ。先に進めて」
「それなら話すより、実際にやってみせよう」
「『カズ。我の声が聞こえるか?』」
「お! 言葉を発してないのに、白真の声が聞こえる」
「『うまくいった様だ。カズも言葉に出さずに、我に話し掛けようと、念ずるだけで良い』」
「『これで良いのか?』」
「『上々だ。聞こえておるぞ! 因みにこれは《念話》と言う』」
念話……これはアイツ(チャラ神=管理神)が話す時に、やっていた事と同じか!?
「『なるほど念話ね。しかし、王都からでも通じるのか? 結構距離があるぞ』」
「『強力な結界で、隔離されたりしていなければ、その程度の距離など、とるに足らん事だ』」
「そんなもんか」
「『そんなものだ!』」
「他に何かあるか?」
「あとは召喚ぐらいか」
「召喚!?」
「うむ。これは従属してる方が、主の元に即座に転移する事だ」
「どうやるんだ?」
「念話と同じだ。ただ多くの魔力を消費して、呪文詠唱で時間を食う為に、使う者はあまり見なかったな。まあ大抵は、常に主と共におるから、召喚する事などないのでな」
「ふ~ん。じゃあ必要ないか」
「待て待て! 一応覚えておれ。我はカズと、常におる訳ではないのだから」
「分かったから早くしてくれ」
「ならば教えるので、実際にやってみようではないか!」
「召喚に失敗して、バラバラになった白真が、出てくるとかはないよな」
「恐ろしい事を言うな! そんな事はない。召喚に失敗したら、転移しないだけだ」
「そうか。良かったよ」
「先ずは念話をしたように、我に呼び掛けてみよ」
「『これでいいか?』」
「『うむ。念話はそのままで、次に召喚する為の、詠唱をするのだが、カズは呪文を知らんよな』」
「『知る訳ないだろ。で、どういった呪文なんだ?』」
「『では我の後に続いて唱えよ。《我と契約せし者よ。我が呼び掛けに答え、我が障害を打ち崩す為に、我が魔力を糧とし、我が力となりて……》』」
「待った!」
「な、なんだカズ? まだ詠唱の途中ではないか!」
「長い。今ので、どの程度なんだ?」
「まだ半分も唱えとらんぞ」
「そりゃあ召喚しない訳だ。何かアイテムを使って、詠唱を省略したり出来ないのか?」
「していたぞ。大抵は水晶に、召喚の付与をして、代用していたな」
「白真は持って無いのか?」
「無い。我も召喚などせんからな」
「ハァー」
さてどうするか……一応【万物ノ眼】で、白真のステータスにある、獣魔契約を詳しく調べてみるか。
「黙ってどうしたカズ?」
「……! 白真」
「なんだ?」
「獣魔契約に使う召喚って、どれも詠唱する呪文は、同じなのか?」
「同じではないだろう。召喚する者が、無駄な魔力を使わず、効率よく召喚出来るように、作ったり変えたりする者もおるからな!」
「ならさっき詠唱した呪文は?」
「我が考えたのだ! 中々良かろう!」
「……なら今回の呪文詠唱に関したら、決まった呪文は無いって事か!」
「昔は契約した時点で、召喚に必要な呪文が、自然と意識に入って来たのだが、二百年ほど前からか、制限はが弱まったみたいでな、契約した者同士が了承すれば、呪文は自ら作り上げればよくなったのだ」
「なら呪文詠唱を短くすれば、誰でも簡単に使えるんじゃないのか?」
「その場合は大量の魔力を消費するゆえ、効率良く周囲のマナ(魔力)を使えるようにすると、詠唱が長くなるのだ」
「ならほど。召喚は従属させてる方が、強制する訳じゃないんだな」
「うむ。制限が弱まってからは、従属してる方にも、召喚されるか否か、選べるようになったのだ」
「なら獣魔契約の、召喚を覚えても良いか」
「カズは変わってるのぉ。従属した者の事を気に掛けるとは」
「変わり者か……」
「気分を害したか?」
「いや。よく言われるし、別に気にしていない」
「そうか。主たるカズを害したと思うた」
「以外と主の思いなんだな」
「そ、そんな事はない。我を屈服させた者だから……まぁなんと言うか、こうなったのも、この世界を管理(神)する者に、何かあったのかも知れんな」
あ……あぁ……今は、アレ(チャラ神=管理神)だからな。
「世界は穏やかになったが、常に戦っていた我には、少し退屈になった……」
「何を遠くを見て、黄昏がれてるんだよ。退屈な世界は嫌いか?」
「いや。今の世も悪くない。たまに我を討伐しようとする、阿呆もおるしな」
「そうか。それじゃあ、俺はそろそろ行く。だいぶ時間を食ったからな。召喚はまた今度にする」
「うむ了承した。カズに召喚されるのを、楽しみにしておこう」
「最後まで偉そうだな」
白真と別れ、誰にも見られないように、低空で王都方角へ飛んで向かう。
「ハ…クシュン! 風邪か? いや誰か噂でもしてるのかな? しかし雲が邪魔で、地上が見えないな」
「なんだカズ。下界が見たいのか?」
「元々山頂から、王都の場所を確かめる予定だったんだ」
「そんな事なら、少し雲を晴らくしてやろう」
「そんな事が出来るのか?」
「我が作り出したからな」
「作り出した? そういえばステータスを見たとき、魔法に『《水風》テリトリー・クラウド』とあったが、あれか?」
「その通りだ!」
「《水風》ってのは、二つの属性を使った魔法で良いんだよな」
「合成魔法を知らんのか?」
「合成魔法?」
「合成魔法は、二つ以上の魔法を合わせて、一つの新たな魔法を作り出す事だ!」
「ほぉ! 『《氷風》ブリザードブレス』ってのも合成魔法なんだろ。『ユニーク』とあったが、あれは白真しか使えないのか?」
「いかにも。我が作り出した、最大の威力をもつ、攻撃の一つだ!」
「お前いきなり、最大威力の攻撃を、俺にしたのかよ!」
「大抵は、あのブリザードブレスであっけなく終わるのだが、まさか耐えれるとはな」
「おい白真!」
「なんだ? 我がブレスの事か! 耐えたとしても、あの威力には驚いたであろう」
「もう何発か殴らせろ!」
「なぜだ!」
「今の話を聞いたら、イラッときた」
「我が負けて、カズの従属になっから、良いではないか。それより下界を見るのであろう。直ぐに雲を晴らすゆえ、殴るのは勘弁してくれ」
「……ああ、分かったよ。それでこの雲は、姿を隠す為だけか?」
「いや。この雲は我が領域だ。勝手に入って来た者がいたら、感知出来るようになっておる。それに雪も降らせる事により、我がスキルの発動条件も満たせるのでな!」
「だから俺が雲の中で、どこにいるか、正確な場所が分かっていたのか」
「その通りだ! しかし目の前に居る今もだが、カズの魔力どころか、気配も感じないぞ」
「ああ。俺がスキルの段階を上げて、使用してるからだな」
スキル【隠蔽】を『5』から『1』に戻した。
「おっ! カズの魔力を感じるぞ」
「どうでもいいから、早く雲を散らしてくれよ」
「相分かった。では……」
「どうした? 早くやってくれよ」
「カズの攻撃で体が痺れて、言う事を聞かんのだ」
「仕方ないな。口開けて」
「なぜだ?」
「いいから!」
俺は【アイテムボックス】から原液の回復薬が入った小ビンを取り出し、大口を開けている白真に、回復薬を飲ませた。
「おっ! おおっ!! 先程の痺れがなくなり、傷が治っておるぞ! カズなんだ今のは?」
「回復薬を飲ませただけ」
「ここまで効くとは、かなり強力な回復薬を持っておるのだな」
「自作だよ」
「なんと! そんな物も作れるのか!」
「いいから早く、雲をなんとかしろよ!」
「そうであったな」
白真が翼を広げ、魔力を込めて一扇ぎすると、雲が薄くなり、地上がうっすらと見えてきた。
「カズよ。あれが王都と呼ばれている場所だ」
雲が散り、先に見えた王都は、アヴァランチェより遥かに大きい都市だった。
あれが王都か。
飛んでいっても、人が居る辺りまでは、目立つから行けないし……到着までには、あと数日掛かるかな。
あの辺りから歩いて、街道に出ればいいか。
よし方角も分かったから、行くとしよう。
「〈フライ〉」
「待たれよ」
「何? 急いでるんだけど」
「獣魔契約をしたのだから、我はカズに付いて行けば良いか?」
「白真が付いてきたら、大事になるだろ!」
「しかし契約したのでなぁ」
「付いて来なくていいから。白真は今まで通り、静かに暮らしていれば良いんじゃないの。あっ! 他の種族に迷惑かけたり、むやみに攻撃したりするなよ」
「分かっておる」
「おっとこんな所で、道草を食ってる場合じゃない、早く王都へ行かないと」
「う、うむそうか……我に用がある時は、いつでも呼ぶなり、来るなりするが良い」
「呼ぶってどうやって?」
「それなら獣魔契約について、一通り説明するゆえ、暫し待たれよ」
「急いでるんだけどな」
「我が急にカズを訪ねて、王都に行ってはまずかろう」
「それはそうだけど……分かった説明を聞くから、手短にな」
俺はもう一度、地面に降りた。
「承知! 先ずは獣魔契約した者同士は魔力を共有出来るのだ。戦闘時には、片一方が魔力を回復し、もう一方が魔法を使い攻撃するなどしてな」
「そいつは便利だな。それで魔力を共有する為には、接触してないと無理なのか?」
「互いの強さによるのぅ。我とカズならば、ここ山頂から麓まで離れていても、魔力の共有は出来よう」
「それで呼ぶって言ってけど、どういうことだ?」
「それはな、互いの魔力交換をしてだな…」
「魔力交換?」
「冒険者の言うところの、パーティーを組む、と言ったところだ」
「ほう」
「まあ獣魔契約した者同士は、その時点で魔力交換がなされておるから、関係ないがな」
「なんだ。じゃあ言うなよ」
「カズが聞いたから、理解しやすく、説明しておるのではないか」
「ああ悪かったよ。先に進めて」
「それなら話すより、実際にやってみせよう」
「『カズ。我の声が聞こえるか?』」
「お! 言葉を発してないのに、白真の声が聞こえる」
「『うまくいった様だ。カズも言葉に出さずに、我に話し掛けようと、念ずるだけで良い』」
「『これで良いのか?』」
「『上々だ。聞こえておるぞ! 因みにこれは《念話》と言う』」
念話……これはアイツ(チャラ神=管理神)が話す時に、やっていた事と同じか!?
「『なるほど念話ね。しかし、王都からでも通じるのか? 結構距離があるぞ』」
「『強力な結界で、隔離されたりしていなければ、その程度の距離など、とるに足らん事だ』」
「そんなもんか」
「『そんなものだ!』」
「他に何かあるか?」
「あとは召喚ぐらいか」
「召喚!?」
「うむ。これは従属してる方が、主の元に即座に転移する事だ」
「どうやるんだ?」
「念話と同じだ。ただ多くの魔力を消費して、呪文詠唱で時間を食う為に、使う者はあまり見なかったな。まあ大抵は、常に主と共におるから、召喚する事などないのでな」
「ふ~ん。じゃあ必要ないか」
「待て待て! 一応覚えておれ。我はカズと、常におる訳ではないのだから」
「分かったから早くしてくれ」
「ならば教えるので、実際にやってみようではないか!」
「召喚に失敗して、バラバラになった白真が、出てくるとかはないよな」
「恐ろしい事を言うな! そんな事はない。召喚に失敗したら、転移しないだけだ」
「そうか。良かったよ」
「先ずは念話をしたように、我に呼び掛けてみよ」
「『これでいいか?』」
「『うむ。念話はそのままで、次に召喚する為の、詠唱をするのだが、カズは呪文を知らんよな』」
「『知る訳ないだろ。で、どういった呪文なんだ?』」
「『では我の後に続いて唱えよ。《我と契約せし者よ。我が呼び掛けに答え、我が障害を打ち崩す為に、我が魔力を糧とし、我が力となりて……》』」
「待った!」
「な、なんだカズ? まだ詠唱の途中ではないか!」
「長い。今ので、どの程度なんだ?」
「まだ半分も唱えとらんぞ」
「そりゃあ召喚しない訳だ。何かアイテムを使って、詠唱を省略したり出来ないのか?」
「していたぞ。大抵は水晶に、召喚の付与をして、代用していたな」
「白真は持って無いのか?」
「無い。我も召喚などせんからな」
「ハァー」
さてどうするか……一応【万物ノ眼】で、白真のステータスにある、獣魔契約を詳しく調べてみるか。
「黙ってどうしたカズ?」
「……! 白真」
「なんだ?」
「獣魔契約に使う召喚って、どれも詠唱する呪文は、同じなのか?」
「同じではないだろう。召喚する者が、無駄な魔力を使わず、効率よく召喚出来るように、作ったり変えたりする者もおるからな!」
「ならさっき詠唱した呪文は?」
「我が考えたのだ! 中々良かろう!」
「……なら今回の呪文詠唱に関したら、決まった呪文は無いって事か!」
「昔は契約した時点で、召喚に必要な呪文が、自然と意識に入って来たのだが、二百年ほど前からか、制限はが弱まったみたいでな、契約した者同士が了承すれば、呪文は自ら作り上げればよくなったのだ」
「なら呪文詠唱を短くすれば、誰でも簡単に使えるんじゃないのか?」
「その場合は大量の魔力を消費するゆえ、効率良く周囲のマナ(魔力)を使えるようにすると、詠唱が長くなるのだ」
「ならほど。召喚は従属させてる方が、強制する訳じゃないんだな」
「うむ。制限が弱まってからは、従属してる方にも、召喚されるか否か、選べるようになったのだ」
「なら獣魔契約の、召喚を覚えても良いか」
「カズは変わってるのぉ。従属した者の事を気に掛けるとは」
「変わり者か……」
「気分を害したか?」
「いや。よく言われるし、別に気にしていない」
「そうか。主たるカズを害したと思うた」
「以外と主の思いなんだな」
「そ、そんな事はない。我を屈服させた者だから……まぁなんと言うか、こうなったのも、この世界を管理(神)する者に、何かあったのかも知れんな」
あ……あぁ……今は、アレ(チャラ神=管理神)だからな。
「世界は穏やかになったが、常に戦っていた我には、少し退屈になった……」
「何を遠くを見て、黄昏がれてるんだよ。退屈な世界は嫌いか?」
「いや。今の世も悪くない。たまに我を討伐しようとする、阿呆もおるしな」
「そうか。それじゃあ、俺はそろそろ行く。だいぶ時間を食ったからな。召喚はまた今度にする」
「うむ了承した。カズに召喚されるのを、楽しみにしておこう」
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