上 下
92 / 784
二章 アヴァランチェ編

87 謎の魔法古書 と 空間を繋ぐ魔法

しおりを挟む
 あの後、空間を繋げて移動出来る魔法『ゲート』を、人に見られないようにしながら、どの程度使えるか、何度も試した。

 今の場所から、依頼で水晶の採掘に行った山へ移動してみた。
 そして次は、氷結花を採取した、北の山脈にある森の中へ。
 最後に、この世界に初めて来た、森の入口に移動した。
 それで分かったことは、アヴァランチェとリアーデ程の距離なら、問題なく移動出来ると言うことだ。
 これだけ何度もゲートを使ったのだから、魔力の消費も多いと思い、調べてみた。

 ステータス確認(魔力)
 
【魔力】: 4418/4500

 大して、魔力は減っていなかった。
 ゲートを使ったのが、10回だから、一度の使用で、8程度しか消費していない。
 これは距離や、移動する際の、人や物量によって変わるか、また調べておこう。
 この魔法が使えることは、黙っていた方が良さそうだな。
 この本には、他に役に立つ魔法が書いてあるか、今度じっくり読んでみることにする。
 今は【アイテムボックス】に、入れておく。

 あっ、アヴァランチェから離れることを、アレナリア達に話すんだった!
 人が来ないから、もう少しこの森で、考えてから戻ろう。
 今度は、イノボアが出てきても、逃げる必要もないからな。

 そのまま俺は、最初に来た森で、話す内容を考えてから、アレナリアの家に帰ることにした。
 アヴァランチェに戻る時に、試しに無詠唱で使ってみる。

 〈ゲート〉

 目前の空間が歪み、通り抜けると、元居た廃屋に出た。
 どうやら無詠唱での発動も、問題なさそうだ。
 アヴァランチェに戻った俺は【マップ】を頼りに、入り組んだ裏路地を抜けて、いつもの、見なれた大通りへと出て、帰路に就く。

 「ただいま」

 家に入ったが、まだ誰も帰って来てなかった。
 俺は自分の寝部屋に行き、誰かが戻って来るまで、さっきの本を読むことにした。
 転移の魔法が書いてあったのは、本の中程あたりだった。
 たまたま開いたページの内容が、違っていたら、この本を持ち帰っては、いなかっただろう。

 本を読んでいくと、最初の数ページは、魔法の基本や、属性について書かれていた。
 これはクリスパさんと、アレナリアに聞いた内容と、ほぼ同じだった。
 そして幾つかの魔法が出てきたが、始めの方は、初級魔法のファイヤーボール等がのっていて、知っている魔法ばかりだった。

 そして本をめくっていると、重力と飛翔と書いてあるページを見つけて、そこを読んでみることにした。

 すると重力魔法は、この世界の魔法とは異なり『異世界から来た者が、創造して創り出した魔法』で、この世界で使える者は、現在極わずかと書いてある。

 飛翔が書いてあるページには、風魔法を使い、風をまとい体を浮かせ、風を放出することによって、飛翔出来る。
 ただし、魔力消費が多い。
 なお、重力魔力と組み合わせることにより、魔力消費は、格段少なくなると、書いてあった。

 重力に飛翔も気になるが『異世界から来た者』と書いてあるのが重要だ!
 この本は、俺と同じ世界から来た人が書いたのか、関係のある人が、書いた可能性が高い本だと分かった。
 ただこの本を持っていた店主の老人は、本があることさえ忘れていたと言っていたから、入手元は不明だろうな。
 やはり王都に行って調べた方が、異世界から来た人のことが、分かるかもしれないな。
 それまでは取りあえず、この本に書いてある魔法を、使えるようになっていこう。

 すると、玄関の扉が開き、誰かが戻ってきた。

「ただいま」

「たっだいま~!」

「キッシュはいつも元気ね」

 三人が帰って来たようだ。

「おかえり」

「カズ兄ぃ帰ったたんだ!」

「今日は、早いのね。あの後、依頼を受けなかったの?」

「うんちょっとね。アレナリアも、二人と一緒に出掛けたって聞いたから、どこに行ってたの?」

「収穫祭の下見と、買い物よ」

「明日はの夕方から、前夜祭が始まるから、キッシュとアレナリアをつれて、三人で見て回る店に、目星をつけといたのよ」

「それよりカズ兄ぃ、教えてもらったソースを作ってみたから、味見して!」

「ああ。マヨネーズ出来たの? 凄いね」

 キッシュが、小ビンを三つ出した。

 見た目はそれっぽいが、味はどうなんだろう?
 さっそく少しずつ舐めて、味を確めてみることにする。
 一つ目は柔らか過ぎで、二つ目は油が分離しているところごある。
 三つ目の物は、酸味が少し弱いが、お酢を使ったマヨネーズに、近い物だと思った。

「これが近いかな味かな。少し酸味が弱いけどね」

「それじゃあキッシュ、今度はその近い物を基準に、作ってみましょうか」

「そうだね」

「なら夕食は、その試作品を使った料理しましょうよ」

「アレナリアさん、それいいね」

 いつものアレナリアとキッシュだ。
 王都に行く話は、食後にしよう。
 せっかく、マヨネーズに近い物が出来て喜んでるのに、水を差したら悪いからな。

 夕食の支度は、買い物をしてきたキッシュとクリスパが二人で作っていた。
 アレナリアは、食後にお風呂に入りたいから、湯船にお湯を入れてくれと、俺に言ってきた。
 お風呂に行き、湯船にお湯を入れてたら、アレナリアが乾燥させた花ビラを持ってきた。
 以前に、いいに香りのするお湯が気に入ったようで、今度は自分で買ってきたようだ。
 湯船にお湯を入れた後、出来た夕食を皆で食べた。

 食後に、アヴァランチェを出る話をしようかと思ったら、アレナリアとキッシュが直ぐにお風呂へと入っていった。
 仕方がないので、後片付けをして、寝る前に話をしようと思って考えていたら、クリスパが話し掛けてきた。

「洗い物なら、私がやりますよ」

「クリスパさんも、お風呂へ入りに行ったかと……」

「今日は、キッシュとアレナリアの二人で、入るように言ったの。三人だと少し狭いから」

「それもそうですね。三人だと、ちょっと狭いですかね」

「二人なら狭くなくて、入れそうなら、キッシュ達が出たら、私とカズさんで入りましょうか」

「そうですね……」

「(あれ? いつもと反応が違うわ)カズさん、何かあったんですか?」

「えっ、何ですか?」

「ボーッとして、何か私達に、言いたいことが、あるんですかる?」

「え、あ……クリスパさんは、いつも鋭いですね」

「今回は、カズさんの反応が、いつもと違うからです!」

「反応?」

「今言ったことですよ」

「何か言いました?」

「私と一緒に、お風呂入りましょうかって」

「なっ、何を言ってるんですか! またそうやってからかって!」

「そうそう。その反応をしてくれないと、つまらないじゃないの」

「つまらないって、俺が真に受けたらどうするの?」

「それはそれで、別にいいわ」

「……」

「ちょっと黙らないでよ。言ってる私が恥ずかしいわ。それで私達に、何を話したいのかしら?」

「隠すつもりはないので、皆がお風呂から出て、寝る前になった話しますよ」

「そう。それじゃあ、早い方が良さそうだから、私もキッシュ達と一緒に、入ってこようかしら。少し狭いけど」

 クリスパは後片付けの手伝いを終えて、キッシュとアレナリアが入っているお風呂に、入りにいった。


「あれ? やっぱりクリ姉も一緒に入るの?」

「ええ。今日のお風呂は、いい香りがするから、入ってきちゃった」

「三人だとまた狭いわね」

「アレナリアが小さいから、大丈夫よ」

「余計なお世話よ! クリスパのそれ(胸)が邪魔なのよ!」

「そうね。アレナリアは、そのあたり(胸)が、スッキリしてて良いわよね。肩もこらないでしょうし」

「ムキィー! 何よこんなの!」


 またやってるよ。
 一応、男の俺も居るんだけどな。
 聞こえるように、わざとやってるんじゃないのか?
 台所に居ても聞こえてくるから、部屋に居ることにした。
 部屋に居て暫くしていたら、三人がお風呂から出てきたので、今度は俺が入ることにした。
 三人は椅子に座り、ほてった体を冷ましている。
 お風呂場は、ほのかに甘い花の香りがした。
 そして覚悟を決め、お風呂から出て、俺が依頼で、王都に行くことになったと、三人に話すことにする。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

転生農家の俺、賢者の遺産を手に入れたので帝国を揺るがす大発明を連発する

昼から山猫
ファンタジー
地方農村に生まれたグレンは、前世はただの会社員だった転生者。特別な力はないが、ある日、村外れの洞窟で古代賢者の秘蔵書庫を発見。そこには世界を変える魔法理論や失われた工学が眠っていた。 グレンは農村の暮らしを少しでも良くするため、古代技術を応用し、便利な道具や魔法道具を続々と開発。村は繁栄し、噂は隣領や都市まで広がる。 しかし、帝国の魔術師団がその力を独占しようとグレンを狙い始める。領主達の思惑、帝国の陰謀、動き出す反乱軍。知恵と工夫で世界を変えたグレンは、これから巻き起こる激動にどう立ち向かうのか。 田舎者が賢者の遺産で世界へ挑む物語。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位! 死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。 閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話 2作目になります。 まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。 「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」

処理中です...