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二章 アヴァランチェ編

82 住んでる理由 と 三人での入浴

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 クリスパさんとキッシュに、寝ていた俺が、アレナリアを抱きしめて寝たことを、なぜか知られていた。
 アレナリアの反応を見ると、どうやらアレナリア自身が、有ること無いことを話したらしい。
 そのせいでクリスパさんに、恐怖の笑顔を、向けられてるい状態だ。
 アレナリアいったい何を言ったんだよ!

「カズさん、黙っていたら分かりませんよ。キッシュが言ったように、毎日アレナリアと、一緒のベットで寝てるんですか? しかも、アレナリアを抱きながら」

「あ…いや…あの……た、確かに、一緒のベットで寝たことはありますが、罰と言いますか、無理にと言いますか……」

「うっ……やっぱり私なんかと一緒に……寝るのは嫌だったのね……」

「い、いや違う。アレナリアが嫌いな訳じゃなくて」

「カズ兄ひど~い。アレナリアさんが、かわいそう」

「カズさんが、そんな人だとは、思いませんでした」

 えぇ~! なんで俺が悪者扱いに、されてるんだ。

「と、取りあえず、俺がアレナリアの家に来た理由を、最初から話しますから」

 キッシュとクリスパから、冷ややかな視線を浴びながら、この都市に来て、アレナリアになつかれる様になった話から、宿無しになったことで、アレナリアの家に泊めてもらってること、それにギルドでスカレッタさん達と、昼食を一緒に食べるようになったことを話した。
 そして、ようやく誤解が解けたようで、いつもの二人に戻った。

「そう言うことなら、早く言ってくださいよ。でも私達が、アレナリアにから聞いた話と、ちょっと違いますね」

「いったい、どんな風に聞いたんですか?」

「カズさんが、一人だと寂しいから、一緒に寝てほしいって、言われたから仕方なくって」

「寂しいから、仕方なく……アレナリアどういうことかな!?」

「……」

「アレナリア!」

「……だって、一緒に寝ても、何もしてくれないんだもん。だからそう周りに言えば、カズもその気になってくれると思って……」

「アレナリアさんも、カズ兄のこと好きなんだね!」

 アレナリアの顔が赤くなっていく。

「私も思ってましたが、カズさんは、女性に対して、少々奥手過ぎませんか? いくらこの世界の人じゃないにしても」

「この世界の人じゃない……?」

「ちょ、クリスパさん」

「カズ、私に何を隠してるの?」

「アレナリアに、まだ言ってなかったんですか?」

「ちょっとカズ、どういうことよ! 私だけ除け者にするの?」

「ほら、アレナリアだってさ……キッシュはアレナリアのこと、どう見えてる?」

「アレナリアさん? 私よりちっちゃくて、白くてお人形みたいに、可愛い人」

「クリスパがキッシュに、私のことを話していたらしいのよ。それて、家の中で幻術魔法を解いた途端に、私に抱き付いてくるんですもの。驚いたわよ」

「そ、そうなんだ」

「それで、カズは私に何を隠してるの? クリスパとキッシュは知ってるんでしょ」

「……ハァー。アレナリアなら良いか。今から言うことは、絶対秘密!」

 アレナリアにも、俺が他の世界から転移して、この世界に来てしまったことと、アヴァランチェに来るまでのことを話した。
 もちろんアイツ(管理神)のせいで、こちらの世界に来たことは、誰にも言ってないので、ここでも話さない。

「他の世界から来たのなら、そのおかしな数値のステータスや、この世界の常識を知らないのも当然ね」

「黙っててごめん。他の世界から来ましたなんて、軽々しく言えないでしょ」

「それはそうね。私が聞いたこおあるのも、昔に異世界から勇者を召喚したってことぐらいだし、最初に聞いていたとしても、信じられなかったわね」

「そうでしょ。だから田舎者の旅人で通してたんだ」

「アレナリアはそれを聞いて、カズさんのことをどう思ったのかしら?」

「別に変わらないわ。いえ、一人で辛かった者同士、むしろ前より好きになったわ。だからこれからも、一緒に寝ましょうよ」

「何故そうなるだ?」

「アレナリアさん、ばっかりずる~い! 私もカズ兄と一緒に寝る」

「おいおいキッシュまで、何を言ってるのさ。クリスパさん、なんとか言ってよ」

「それじゃあ、四人で一緒に寝ましょうか!」

 ちょ、何を言ってるんだこの人は、止めてくれよ!
 三人と一緒に寝たら、理性が崩壊してしまう。

「冗談はこれくらいにして、夕食の支度をしましょうか」

「クリスパさん、その冗談はキツイよ」

「私はカズ兄と一緒に寝たいなぁ」

「私だってそうよ」

「アレナリアさんは、何度かカズ兄と一緒に寝たことあるんでしょ? いいな~。私は一度もないから…」

「話してないで、夕食の支度するから、キッシュも手伝って。アヴァランチェに居る間は、ここに泊めてもらうんだから」

「は~い」

「クリスパさん、俺がやりますよ」

「カズさんは、数日の依頼から戻って来たんだから、休んでいて」

「そうだよ。でもカズ兄の作った料理も、食べてみたいな」

「そうね……それじゃあ、明日の朝食は、カズさんにお願いしようかしら」

「分かりました。明日の朝食は、俺が作ります」

「それなら、あのカリカリのお肉と、タマゴサンドが良いわ」

「それはアレナリアが、食べたいだけでしょ」

「私もそれが良い! アレナリアさんから、凄く美味しいって聞いたから」

「私も食べてみたいわ」

「キッシュとクリスパさんもですか! 分かりました(そろそろマヨネーズが、終るんだよな)」

 この日の夕食は、話をしながらの、とても楽しい食事だった。
 俺がリアーデを旅立った後の話や、クリスパさんとアレナリアが、ここで一緒に暮らしていた時の話などを聞いた。
 夕食を食べ終わり、後片付けをしようとしたら、アレナリアがお風呂と言ってきた。

「カズが居ないと、お湯を入れるの大変なのよ」

「今直ぐに、お湯を入れてくるよ」

 お風呂場に行って、湯船にお湯を入れた。

「お風呂に入るなんて贅沢ね。私が居た頃は、殆ど使わなかったのに」

「私もお風呂に入りた~い!」

「それなら、せっかくだから、三人で先に入ってくれば」

「そうしましょ」

「みんなでお風呂だ!」

「私は一人で……」

「ほらアレナリア行きますよ」

「ちょっとクリスパ、引っ張らないでよ!」

「カズさんも一緒に入りますか?」

「なっ!」

「ふふっ冗談です」

「カズ兄覗いちゃ駄目だよ!」

「キッシュまで」

 三人はお風呂場に入っていった。

 久し振りに会ったのに、責められた次は、一緒に入るだとか覗くだとか、からかわれるだなんて。
 今になって、今日の疲れが、どっと…



「クリ姉の胸大きくて良いなぁ」

「キッシュだって、まだ大きくなるわよ」

「アレナリアさんみたいな、妹がいたら良かったなぁ」

「妹って、私の方が年上なのよ」

「だってアレナリアさん、ちっちゃくて可愛いんだもん。お肌もスベスベだし」

「ちょっと抱き付かないでよ」

「良いじゃないのアレナリア。減るもんじゃないんだから」

「どうせ私には、クリスパと違って、減るような胸はないわよ!」

「私くらいの大きさでも、肩がこって大変なのよ。ペッタンコなアレナリアは、肩がこらなくて良いわねぇ」

「ムキィー! 何よこんな胸なんか、こうしてやる!」

「いやぁ、そんに強く揉まないで、悪かったわよ」

「私もクリ姉の胸揉む~!」

「ちょ、キッシュまで! あぁ…ん……そこはダメよ……」



 お風呂で何をやってるんだ! 声が大きくて、こっちまで聞こえきてるぞ! 
 まったく……あの扉一枚の向こうで、三人が裸で……いかんいかん。
 何を考えてるんだ俺は……
 しかしタイプの違う三人と、数日一緒に住むって……駄目だ考えるな!
 今日はもう部屋に行って、気持ちを落ち着かせて寝よう。

 部屋に行く前に〈クリア〉を自分に使い、体と脱いだ服の汚れをキレイにする。
 そして悶々とした気持ちのまま部屋に行き、頭を冷やすことにしたが、気持ちは落ち着かなかった。
 しかし疲れが出たのか、直ぐに寝付くことが出来た。
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