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二章 アヴァランチェ編

67 料理 と お酒 と お風呂でくぁ~

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 夕食には買っておいた魚と、各野菜と肉を使った揚げ物を作ることにした。
 こんな山間部で魚が手に入るとは思わなかったが、すぐ横を流れている川で獲れるようだ。

 そんな訳で先ずは、各野菜(蓮根 玉ねぎ 人参 ジャガイモ)などの似た野菜を、使う大きさに切る。
 ジャガイモはそのまま、人参は半分程の大きさにしてから茹でておく。
 次は魚を三枚おろしにして、塩を振り暫く放置。
 今度は肉を小さく切り、ひき肉状にしておく。
 パン粉が無いので、パンから作ることにするが、今はこれと言った道具が無いので、粗めのパン粉になる。

 支度が出来たら次は、茹でておいた人参を適度の大きさに切り、ジャガイモは皮をむき、大きめの器に入れて潰す作業を、うしろで見ているアレナリアにやらせることにする。

「アレナリアこれ潰してて」

「そのまま食べるんじゃないのね。全部潰していいのかしら?」

「良いよ全部潰しちゃって。熱いから気を付けて」

 アレナリアがジャガイモを潰してる間に、ひき肉と微塵切りにした、玉ねぎ 人参を、軽く炒めておく。
 味付けは塩と胡椒だけだ。
 なんせ香辛料の類いが、今はよくわからないから、使うのをやめた。
 しかし胡椒が簡単に買えるとは、思わなかった。
 異世界だとお決まりで、胡椒がバカ高いと思ったからだ。

「カズ出来たよ」

「ありがとう」

 アレナリアから潰したジャガイモを受け取り、半分を違う器に入れて分ける。
 潰したジャガイモの半分に、軽く炒めたひき肉と玉ねぎ 人参を入れて混ぜ、それを小判形にして置いておく。

 今度は塩を振って置いた魚をから出てきた水分を取り除き、食べやすい大きさに切る。
 あとは小麦粉に溶いた卵と、パン粉をつけて揚げるだけ。

 他の食材に匂いが移らないように、先ずは野菜、そして小判状に成形したジャガイモ、最後に魚を揚げることにする。
 鍋に油を入れて次々と揚げてく。
 カラット揚げる為に、油から引き上げる時に、余分な油を落とし切ることをしっかりとする。

 揚げ物の次は、残りの潰したジャガイモに、茹でてイチョウ切りにた人参と、薄く切った玉ねぎを入れて混ぜ、塩 胡椒とマヨネーズを加えて、さらに混ぜ合わせ『ポテトサラダ』が出来上がり。

 そして忘れちゃいけない肝心のこれ、ギルマスからもらった酢漬けの野菜(瓜類)
 これを少しだけ使うので小ビンから取り出し、それを細かく切り、人参 玉ねぎ 蓮根も微塵切りにして一緒に器に入れて、マヨネーズを加えて混ぜ合わせれば、酸味のきいた『タルタルソース』が出来上がる!

 全ての作業を終えたら、今日食べる分以外は【アイテムボックス】に入れて、作った品をアレナリアが待つテーブルへ運んで、少し早いが夕食にすることにした。
 残念なことに、とんかつソースもウイスターソースも無い。
 ……作れるかな?

「アレナリア出来たよ!」

「カズカズ! あの食欲をそそる音と匂いはなんだ! また変わった物を作ったのか!」

「変わったのって、商店や露店でも肉を揚げたのとか売ってるでしょ。それと似たような物だよ」

「そうなのか? それより早く早く!」

「言っておくけど、味の保証はしないよ!」

「大丈夫カズが作ったから!」

 だからそれは、なんの理由にもなってないと思うけど。
 まぁいいか素人料理でも、食べれない訳じゃないから。

「こっちが野菜これが魚で、こいつがアレナリアも手伝ってくれた『コロッケ』と、ポテトサラダね。ちょっと酸っぱいかも知れないけど、このソースつけて食べてみて」

「酸っぱいのか?」

「ちょっとだけね」

 アレナリアは試しに、魚のフライにタルタルソースをつけて、口に放り込んだ。 
 最初は酸っぱそうな顔をしたと思ったら、なんともなかったのか、今度は野菜のフライにつけて食べた。

「カズカズ! このソース美味しいわよ! マヨネーズの中に色々と入ってるけど」

「そう。細かく切った野菜とマヨネーズを混ぜ合わせ物。ロウカスクさんからもらった酢漬けの野菜も、少し入れてあるから、ちょっと酸っぱいけどね」

「私これくらいなら平気よ! むしろ好きだわ! 今まで苦手だった魚独特の味も、このソースが消してくれて、とても美味しいわ!」

「それは良かったね」

「こっちのコロ……」

「コロッケか?」

「そう。コロッケもホクホクして、中に入ってるお肉の味も、しっかりしてて美味しいわ。それにこっちのポテトサラダ? だったかしら」

「ああポテサラね」

「これも良いわ! マヨネーズたっぷり入ってて、タマゴサラダも良いけど、ポテサラも良いわね」

 今日も良く語るな。
 そんな解説しなくてもいいのに。
 さて、俺は買っておいた、麦のシュワシュワ酒を飲みながら食べるとする。

「おいカズ、それはなんだ?」

「麦シュワの酒だけど!」

「自分ばかりズルいわよ! 私にも飲ませなさいよ!」

「アレナリアお酒飲めるの?」

「ロウカスクとパーティーを組んで、依頼をしてた頃は、よく飲んでたわよ」

「……酒乱じゃないよね」

「酒乱?」

「お酒飲むと、暴れだしたりしないよね」

「私を酒場で飲んでる連中と一緒にしないで。カズより飲んでる年数は、長いんだから大丈夫よ!」

「それなら……はいどーぞ」

 アレナリアの前に『麦シュワ』の酒を入れたコップを渡した。

 年齢的にみても、俺の数倍生きてるんだから、飲ませても問題はないだろう。
 酒乱じゃなくても、酒豪だったりして。
 そんなことを思いつつ、久し振りの酒を喉に流し込む!

「くぅ~! 久々のこの感じ良いですな! 揚げた蓮根のシャキシャキ感も合って最高!」

「ねぇカズ! この麦シュワ凄く冷えてるわ!」

「あぁそれはアイスバレットで出した氷で、冷しておいた麦シュワを、アイテムボックスにしまって置いたんだよ」

「アイスバレットって攻撃魔法の? そんなことに使う人を、見たことないわ」

「攻撃魔法でも、使い方次第だから」

「相変わらず変わってるわね」

「ありがとう」

「ウフフッ変なの。カズ、麦シュワおかわり」

「ハイハイ。飲み過ぎないように」

 このあとアレナリアと、麦シュワを飲みながら揚げ物を食べて、早目の夕食を食べ終えた。
 そして、後片付けをし始めたら……

「ちょっとカズぅ……中身が無いわよぉ……もう一杯ちょうだぃ~」

「アレナリア、飲み過ぎないようにって言ったでしょ」

「飲み過ぎてないも~ん。だから、麦シュワちょ~だい」

「もう終わり!」

「うえぇ~ん……やだぁーまだ飲むのー! カズと飲むのー!」

 泣き上戸なのか、甘海老上戸なのか、小さい子供みたいにわがままになってるよ! 
 まったく、どの口が大丈夫と言ったんだか。
 これからは、飲ませない方がいいかもな。

「良い娘だから、今日はもう終わり」

「……」

「? アレナリア」

「……スゥー……スゥー」

 寝てるよ! しょうがないなぁもう。
 こんな無防備で寝てさ、ちっこくても、一応女性なんだから、少しは警戒してほしいもんだよな。

 などと思いながらも、アレナリアを抱き上げて、部屋のベットに運び寝かせた。
 なんか少し疲れたので、お風呂場に行き、魔力変換で出したお湯を、湯船に溜めて入ることにした。
 この世界に来て初めての、お風呂だ。
  体を〈クリア〉の魔法でキレイにしてから湯船に浸かる。

「くぁ~……」

 なぜか湯に浸かると、声が出るんだよなぁ。
 湯船の広さも、足が伸ばせるから十分だし、これは良い!

「いやぁ~極楽極楽!」

 暫く入っていると眠くなってきたので、お風呂から出て、自分の部屋に行って寝ることにした。
 いつもなら、夕食を食べている時間だからな。
 今日ぐらいは、ゆっくり寝るとする。

 ベットに横になってから寝つくまで、そんなに時間は掛からなかった。
 お風呂に入ることでリラックスすることができた。
 こちらの世界に来てからの疲れが、どっと出たようだ。




ーーーーーーーーーーーーーーー


「ねぇカズ、今日も一緒に寝て良いでしょ~」

「アレナリアさんばっかり、ズルいですよ。私もカズ兄と一緒に寝る!」

「キッシュ! いつの間に? アレナリアも何? 一緒になんか寝てないでしょ」

「カズ何言ってるの? 昨日も一緒に寝たでしょ。カズったら寝ぼけて、私のこと強く抱きしめたじゃないの」

「いいな~。私もカズ兄にギュって、してもらいたい」

「キッシュも何言って……! あぁ~これ夢だ! 以前にも見たっけな。今回はクリスパさんは、居ないようだな」

「カズ兄ギュってして!」

「ズルいわよ! カズ私にもギュってして!」

 お風呂に入ってリラックス出来たら、今度は、欲求不満にでもなったか?
 まあ夢の中でなら良いか。

「カズ兄」

「カズ」

「ハイハイ分かったよ。ギュっとしてあげるよ!」

「わ~いカズ兄大好き!」

「私だってカズ好きよ!」

 これは夢だから、夢の中だけのこと。


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