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二章 アヴァランチェ編
65 討伐報告 と 貴族の世話人ジルバ
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◇◆◇◆◇
盗賊討伐を終えてギルドに着く頃には、遠くの空が明るくなってきていた。
マントを脱いでギルドに入ると、受付に夜間担当の男性職員が一人居るだけだった。
受付の男性は、俺が来たことに気付いた。
「カズさんですね。ギルマスが帰る前に伝言で『カズ君が来たらオレの部屋で待っているように』とのことです」
「分かりました。ありがとうございます」
受付の男性職員によれば、ギルマスは昨日の内に帰ったらしい。
急にこんなランク無視の依頼を押し付けておきながら、自分は家に帰って休むのかよ! と、ツッコンでやりたい。
もう夜が明けてきたので、その内ギルマスも来るだろうと思い、言われたとおりギルマスの部屋で待つことにした。
部屋に行き、接客用の長椅子に座り休むことにした。
さすがに眠気が来て、ウトウトしていると部屋の扉が開き、ギルマスが入って来た。
「おはようカズ君。今日中には戻って来るとは思っていたが、一晩で片付けて来るとはな。頼んだ正解だったようだな」
「こんな依頼をやらせた本人は、帰ってグッスリと寝てたんですか! せめてギルドで待っていても、良かったんじゃないですか?」
「ギルドで待っていても、オレに出来ることはないから、帰って寝たまでだ!」
「ハッキリと……それで現状どこまで知ってますか? 寝てたから知りませんか!」
「そう睨まんでくれ。ギルドに来る前に、衛兵に状況を聞いたから、昼頃にはギルドに連絡が来ると思う。その前にカズ君から報告を頼む」
俺は、都市を出た後から戻って来るまでの事を、ギルマスに手短に話した。
報告を聞いたギルマスは、少し不安な表情をしていた。
都市内で動きがないので、潜伏している可能性は少ないと思われたが、盗賊の中に衛兵が居たことが、その可能性を無くした。
一通り報告を済ませたので、俺は一旦帰ることにした。
ギルマスから衛兵から連絡が来ると思われる、昼過ぎにはギルドに来てくれと言われた。
了解の返事をして、俺はアレナリアの家に戻った。
家に着くとアレナリアは既に起きてた。
「お帰りカズ」
「ああ、ただいま」
「昨日ロウカスクから聞いたわ。私はギルドで待ってようとしたら、ロウカスクが、居ても何も出来ないから帰れって言われたのよ」
「別に良いよ。昼過ぎにギルドに戻らないとならないから、少し寝るよ。ああそうだ! アレナリアの朝食用意しないと」
「今日はいいわ。ギルドの食堂で何か買うから」
「大丈夫! っと言っても、昨日作っておいたタマゴサンドしかないけど」
【アイテムボックス】からテーブルにタマゴサンドを出して、俺は部屋へと行き〈クリア〉の魔法を自分に使い、汗汚れを落としてからベットに横になり寝た。
そして空腹で眼が覚めると、時間は昼を少し過ぎたくらいだったので、起きて残りのタマゴサンドを食べて、腹を満たしてからギルドに出掛けた。
まだ少し寝足りないが、呼ばれているので、のんびりとだかギルドに向かい歩いて行く。
ギルドに着き、そのままギルマスの部屋に行った。
もう既に、この光景が当たり前とかして、顔パス状態だ。
扉をノックして中に入ると、そこにはロウカスクとアレナリア以外に、昨日来ていた『ジルバ』が居た。
「カズ君来たか!」
「遅かったですか?」
「いやそんなことはないが……今ジルバさんに、今回の事を説明し終えたとこだ」
「それで俺を呼んだのは?」
「それだが、衛兵達が盗賊を捕まえてあと
ギルドに報告と情報が来てな、数人の盗賊が都市に潜んでいる可能性が出てきたんだ」
「どのからその情報が?」
「捕まえた盗賊のボスに尋問したが、口を割らなくてな、加担していた衛兵に尋問をしたら、偵察として数人が潜伏して居ると証言したらしんだ」
「それが嘘と言う、可能性もありますよね」
「そうなんだ」
「魔法で言っていることが、本当だと証明出来ないんですか?」
「相手の記憶を調べるような魔法は、現在では使える者はいないし、証明させるような魔道具は、この都市には無いかならな」
「手詰まりですか」
「冒険者には貴族や商人から、警備や護衛の依頼が多く来るだろう。もし怪しい連中を見掛けたら、ギルドに報告をしてもらうようにして、情報を即座に行き渡らせ、あとは各自で対処するしかないな」
「話の途中失礼、今回盗賊を捕らえてくれた方は、そこに居るカズ殿でよろしいのかな?」
「ジルバさん申し訳ないが、その事は申し上げられない」
「そうですか。では何故カズ殿がこちらに来たのでしょうか?」
「カズ君は以前にも、都市に潜伏していた盗賊を、探し捕まえる手助けをしてくれたことがあって、その経験が役に立つと思ったので、来てもらったんですよ」
「そうでしたか、それは失礼。私くしの勘では、カズ殿が動いてくれたと思ったんですが、どうやら勘違いのようですね」
「ジバルさんは、どうしてギルドに?」
「先日お嬢様方を拐おうとした連中と、今回の盗賊が繋がっていると言うことなので、ロウカスク殿に捕まった盗賊の事を、聞きに来た訳です」
「貴族の方なら、衛兵に聞いた方が良いんじゃないですか? 護衛のことも考えると」
「私くしは貴族ではありませんよ。それに若い頃は冒険者をしてましたから、お嬢様方の護衛をするにしても、冒険者ギルドの情報は有力と知ってますから」
「なるほど、元冒険者ならではの考えですか。余計なことを言ってしまったようで、申し訳ないです」
「とんでもない、お嬢様方の恩人であるカズ殿に謝られては、私くしが怒られてしまします。それに心配をして言ってくれたのでしょう。ありがとうございます」
「いえそんな……」
「う~ん……これはやはりカズ殿に、お嬢様方の護衛を依頼した方が……」(小声)
ぼそぼそっと、聞こえるような小声で、恐ろしいことを言ってくれてるぞ!
貴族の護衛だなんて面倒は御免だな。
「そろそろ私くしは、お屋敷へ戻らせていただきます。また何か情報がありましたらご連絡下さい」
「了解しました。その時はギルドから人を行かせます」
「それではロウカスク殿、よろしくお願いします」
ジルバは軽く会釈をして、部屋を出ていった。
「あの様子だと今回の討伐は、俺がやったと思われてますね」
「さすが元冒険者だ。侮れんな」
「侮れんなって、なんとか誤魔化してくれないんですか! 『面倒になるから正体がバレないように』って言ったじゃないですか!」
「カズ君がもう少し後に来てくれていたら、ジルバさんに会わなくて、変に怪しまれずに済んだんだかな」
「俺のせいですか!」
「そうは言ってないが……まあ良いじゃないか! カズ君には恩があるだろうから、言い触らすことはしないだろう」
「それで、このあと俺はどうすれば良いんですか? 潜伏してる可能性がある盗賊を探すんですか」
「今変に警戒して見回っても、余計に見付けにくいだろうから、外を歩く時は、それとなく警戒してくれれば良い。もし行動を起こせば分かるだろうからな」
「潜伏してるかしてないか、収穫祭までに結論が出れば良いんですがね」
「それまでまだ日数があるから、なんとかなるさ」
今更ながら、この人がギルマスで大丈夫だろうか?
「まあ用事と言っても、衛兵から来た報告を、カズ君にも聞いてもらって、合っているか確かめたかっただけなんだがな」
「それじゃあ、俺はもう帰りますよ」
「ああ、悪かったな。おっ! そうだ忘れていた、約束の漬けた野菜だ。少ないが持ってってくれ」
「そう言えば、もらってなかったですね。ありがたく頂戴します」
「ちょっと待ってカズ、私も今日は早く帰るから、一階で待ってて」
「ああそうなの、分かった。少し眠いから早くね」
俺は眠い目を擦りながら部屋を出て、一階のフロアで待ってることにした。
フロアに居ると、受付のスカレッタが暇そうにしてたので、眠気覚ましに、少し話し相手になってもらった。
「スカレッタさんお仕事お疲れさま」
「あらカズさん、どうしたんですか?」
「サブマスが来るまでに、ちょっと話し相手になってもらおうかと」
「珍しいですね。カズさんからお話相手の誘いなんて」
「ご迷惑でしたか?」
「いえ大丈夫ですよ。少しなら時間有りますから」
アレナリアが来るまで、スカレッタに最近の冒険者のことや、変わったこと等ないか聞いた。
主に冒険者達が言っていた話や噂を聞いたが、盗賊に関する情報はなかった。
そして、段々と人が多くなってきたので、話を終わることにした。(アレナリアはまだ来ない)
「スカレッタさんありがとう。仕事中話に付き合ってもらって」
「構いませんよ。暇でしたから」(ボソッ)
「そうだ! 最後に一つ、サブマスのこと、どう思いますか?」
「どう言うことでしょう?」
「容姿と言いますか、性格と言いますか、皆さんには、どんな風に見えてるのかな~っと」
盗賊討伐を終えてギルドに着く頃には、遠くの空が明るくなってきていた。
マントを脱いでギルドに入ると、受付に夜間担当の男性職員が一人居るだけだった。
受付の男性は、俺が来たことに気付いた。
「カズさんですね。ギルマスが帰る前に伝言で『カズ君が来たらオレの部屋で待っているように』とのことです」
「分かりました。ありがとうございます」
受付の男性職員によれば、ギルマスは昨日の内に帰ったらしい。
急にこんなランク無視の依頼を押し付けておきながら、自分は家に帰って休むのかよ! と、ツッコンでやりたい。
もう夜が明けてきたので、その内ギルマスも来るだろうと思い、言われたとおりギルマスの部屋で待つことにした。
部屋に行き、接客用の長椅子に座り休むことにした。
さすがに眠気が来て、ウトウトしていると部屋の扉が開き、ギルマスが入って来た。
「おはようカズ君。今日中には戻って来るとは思っていたが、一晩で片付けて来るとはな。頼んだ正解だったようだな」
「こんな依頼をやらせた本人は、帰ってグッスリと寝てたんですか! せめてギルドで待っていても、良かったんじゃないですか?」
「ギルドで待っていても、オレに出来ることはないから、帰って寝たまでだ!」
「ハッキリと……それで現状どこまで知ってますか? 寝てたから知りませんか!」
「そう睨まんでくれ。ギルドに来る前に、衛兵に状況を聞いたから、昼頃にはギルドに連絡が来ると思う。その前にカズ君から報告を頼む」
俺は、都市を出た後から戻って来るまでの事を、ギルマスに手短に話した。
報告を聞いたギルマスは、少し不安な表情をしていた。
都市内で動きがないので、潜伏している可能性は少ないと思われたが、盗賊の中に衛兵が居たことが、その可能性を無くした。
一通り報告を済ませたので、俺は一旦帰ることにした。
ギルマスから衛兵から連絡が来ると思われる、昼過ぎにはギルドに来てくれと言われた。
了解の返事をして、俺はアレナリアの家に戻った。
家に着くとアレナリアは既に起きてた。
「お帰りカズ」
「ああ、ただいま」
「昨日ロウカスクから聞いたわ。私はギルドで待ってようとしたら、ロウカスクが、居ても何も出来ないから帰れって言われたのよ」
「別に良いよ。昼過ぎにギルドに戻らないとならないから、少し寝るよ。ああそうだ! アレナリアの朝食用意しないと」
「今日はいいわ。ギルドの食堂で何か買うから」
「大丈夫! っと言っても、昨日作っておいたタマゴサンドしかないけど」
【アイテムボックス】からテーブルにタマゴサンドを出して、俺は部屋へと行き〈クリア〉の魔法を自分に使い、汗汚れを落としてからベットに横になり寝た。
そして空腹で眼が覚めると、時間は昼を少し過ぎたくらいだったので、起きて残りのタマゴサンドを食べて、腹を満たしてからギルドに出掛けた。
まだ少し寝足りないが、呼ばれているので、のんびりとだかギルドに向かい歩いて行く。
ギルドに着き、そのままギルマスの部屋に行った。
もう既に、この光景が当たり前とかして、顔パス状態だ。
扉をノックして中に入ると、そこにはロウカスクとアレナリア以外に、昨日来ていた『ジルバ』が居た。
「カズ君来たか!」
「遅かったですか?」
「いやそんなことはないが……今ジルバさんに、今回の事を説明し終えたとこだ」
「それで俺を呼んだのは?」
「それだが、衛兵達が盗賊を捕まえてあと
ギルドに報告と情報が来てな、数人の盗賊が都市に潜んでいる可能性が出てきたんだ」
「どのからその情報が?」
「捕まえた盗賊のボスに尋問したが、口を割らなくてな、加担していた衛兵に尋問をしたら、偵察として数人が潜伏して居ると証言したらしんだ」
「それが嘘と言う、可能性もありますよね」
「そうなんだ」
「魔法で言っていることが、本当だと証明出来ないんですか?」
「相手の記憶を調べるような魔法は、現在では使える者はいないし、証明させるような魔道具は、この都市には無いかならな」
「手詰まりですか」
「冒険者には貴族や商人から、警備や護衛の依頼が多く来るだろう。もし怪しい連中を見掛けたら、ギルドに報告をしてもらうようにして、情報を即座に行き渡らせ、あとは各自で対処するしかないな」
「話の途中失礼、今回盗賊を捕らえてくれた方は、そこに居るカズ殿でよろしいのかな?」
「ジルバさん申し訳ないが、その事は申し上げられない」
「そうですか。では何故カズ殿がこちらに来たのでしょうか?」
「カズ君は以前にも、都市に潜伏していた盗賊を、探し捕まえる手助けをしてくれたことがあって、その経験が役に立つと思ったので、来てもらったんですよ」
「そうでしたか、それは失礼。私くしの勘では、カズ殿が動いてくれたと思ったんですが、どうやら勘違いのようですね」
「ジバルさんは、どうしてギルドに?」
「先日お嬢様方を拐おうとした連中と、今回の盗賊が繋がっていると言うことなので、ロウカスク殿に捕まった盗賊の事を、聞きに来た訳です」
「貴族の方なら、衛兵に聞いた方が良いんじゃないですか? 護衛のことも考えると」
「私くしは貴族ではありませんよ。それに若い頃は冒険者をしてましたから、お嬢様方の護衛をするにしても、冒険者ギルドの情報は有力と知ってますから」
「なるほど、元冒険者ならではの考えですか。余計なことを言ってしまったようで、申し訳ないです」
「とんでもない、お嬢様方の恩人であるカズ殿に謝られては、私くしが怒られてしまします。それに心配をして言ってくれたのでしょう。ありがとうございます」
「いえそんな……」
「う~ん……これはやはりカズ殿に、お嬢様方の護衛を依頼した方が……」(小声)
ぼそぼそっと、聞こえるような小声で、恐ろしいことを言ってくれてるぞ!
貴族の護衛だなんて面倒は御免だな。
「そろそろ私くしは、お屋敷へ戻らせていただきます。また何か情報がありましたらご連絡下さい」
「了解しました。その時はギルドから人を行かせます」
「それではロウカスク殿、よろしくお願いします」
ジルバは軽く会釈をして、部屋を出ていった。
「あの様子だと今回の討伐は、俺がやったと思われてますね」
「さすが元冒険者だ。侮れんな」
「侮れんなって、なんとか誤魔化してくれないんですか! 『面倒になるから正体がバレないように』って言ったじゃないですか!」
「カズ君がもう少し後に来てくれていたら、ジルバさんに会わなくて、変に怪しまれずに済んだんだかな」
「俺のせいですか!」
「そうは言ってないが……まあ良いじゃないか! カズ君には恩があるだろうから、言い触らすことはしないだろう」
「それで、このあと俺はどうすれば良いんですか? 潜伏してる可能性がある盗賊を探すんですか」
「今変に警戒して見回っても、余計に見付けにくいだろうから、外を歩く時は、それとなく警戒してくれれば良い。もし行動を起こせば分かるだろうからな」
「潜伏してるかしてないか、収穫祭までに結論が出れば良いんですがね」
「それまでまだ日数があるから、なんとかなるさ」
今更ながら、この人がギルマスで大丈夫だろうか?
「まあ用事と言っても、衛兵から来た報告を、カズ君にも聞いてもらって、合っているか確かめたかっただけなんだがな」
「それじゃあ、俺はもう帰りますよ」
「ああ、悪かったな。おっ! そうだ忘れていた、約束の漬けた野菜だ。少ないが持ってってくれ」
「そう言えば、もらってなかったですね。ありがたく頂戴します」
「ちょっと待ってカズ、私も今日は早く帰るから、一階で待ってて」
「ああそうなの、分かった。少し眠いから早くね」
俺は眠い目を擦りながら部屋を出て、一階のフロアで待ってることにした。
フロアに居ると、受付のスカレッタが暇そうにしてたので、眠気覚ましに、少し話し相手になってもらった。
「スカレッタさんお仕事お疲れさま」
「あらカズさん、どうしたんですか?」
「サブマスが来るまでに、ちょっと話し相手になってもらおうかと」
「珍しいですね。カズさんからお話相手の誘いなんて」
「ご迷惑でしたか?」
「いえ大丈夫ですよ。少しなら時間有りますから」
アレナリアが来るまで、スカレッタに最近の冒険者のことや、変わったこと等ないか聞いた。
主に冒険者達が言っていた話や噂を聞いたが、盗賊に関する情報はなかった。
そして、段々と人が多くなってきたので、話を終わることにした。(アレナリアはまだ来ない)
「スカレッタさんありがとう。仕事中話に付き合ってもらって」
「構いませんよ。暇でしたから」(ボソッ)
「そうだ! 最後に一つ、サブマスのこと、どう思いますか?」
「どう言うことでしょう?」
「容姿と言いますか、性格と言いますか、皆さんには、どんな風に見えてるのかな~っと」
応援ありがとうございます!
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