人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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二章 アヴァランチェ編

42 訓練場の出来事 と 通信魔道具

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「……気分のいいことじゃないですし、思い出すと腹が立つので、あまり話したくはないんですが……(聞いた後のアレナリアがなぁ)」

 俺は、絡んできた冒険者四人らと、訓練場に入ってからのことを話した。

 訓練場に入るなり最初に突っ掛かってきた男が、俺を殴ってきた。
 もちろん避けることも出来たが、わざと殴られ地面に転がる。
 それを皮切りに、他の三人も、起き上がろうとしている俺にたいして、殴るや蹴るやでリンチ状態。

 暫くすると再度自分達のパーティーに入って、荷物持ちをしろと、何度も強要してきたので、もちろん断り続けた。
 強要されては殴られて、殴られては強要されてが繰り返された。
 気が晴れたのか、とうとう絡んできた冒険者四人は、諦めて訓練場を出ていった。


「ざっとこんな感じです」

 アレナリアが無言で部屋を出て行こうとするので、扉の前に立ち出て行かないようにする。

「カズ退いて」

「どこ行く気だい?」

「決まってる。今からそいつらを肉片と化してくるわ」

「うん。駄目だね」

 それでも無理やり部屋を出て行こうとしたので、背後からアレナリアを持ち上げて部屋の奥へと連れて行く。

「それでカズ君、だいぶ汚れてはいるが、怪我はしてないようだな」

「えぇ。絡んできた連中のステータス見たんで、気付かれないように、こちらも強化したんで怪我はないです。(強化しなくても大丈夫だったけど)」

「そんなバカな連中なら、死なない程度に殴り倒しても良かったんだがな」

「これ以上目立つのも嫌だったもんで、やられたふりをしたんです。それとなぜか盗賊を倒したことを、奴ら知ってたんですよね」

「ギルド職員は知ってることだが……おそらく、どこかで職員が話しているのを、盗み聞きしてたんだろ」

「これで絡んでくる連中が、いなくなれば良いのですが」

「……やっぱり君さ、相当おかしなステータスしてないか?」

「どうしてでしょうか?」

「アレナリアのステータスを見れたのもそうだし、君に絡んできた連中だって、一応は、ランクどおりの実力があるはずだからな」

「でもランクと言っても、AランクやBランクじゃないですから」

「それでも今日の連中は、全員Cランクなんだろ。君より上なのは確かだ。それにだ、昨日受けた依頼なんだが」

「水路の掃除ですか? それが何か?」

「何かって……昼過ぎから始めて、日暮れには終わったらしいじゃないか」

「はい。そうですが」

「一人でやったら数日はかかるはずだが、君は一日どころか、半日で終わらせてるんだから変に思うだろ」

「うっ た、確かに……」

「オレが今まで出掛けてたのは、その水路を確めに行ってきたんだ。しかし驚いたよ。本当に中央広場から、南東門まで終わってたからな。いったいどうやったんだ?」

「……水圧で土砂を流して、溜まった物を掬い上げてを繰り返しで」

「さっきの話で、荷物持ちが、なんとか言ってたな。使えるのかアイテムボックス?」

「……はい」

「う~ん。君のステータスを聞きたいが、言いたくはないんだろ」

「まぁ、あんまり」

「それなら、リアーデの冒険者ギルドに連絡して、向こうのギルマスとサブマスに聞いて良いか?」

 ブレンデッドさんとクリスパさんにか。
 あの二人が話すなら、言っても良いんだろう。
 まぁ連絡するにしても、数日は掛かるだろうしな。

「構いません。その二人が良いと言うのであれば」

「よし分かった。では早速始めるか!」

 手紙でも書くのかな? 

「アレナリア、いつまでカズ君に抱えられてるんだ? 仕事だぞ」

「カズ。冷静になったから、そらそろ下ろしてちょうだい」

 部屋を出て行こうとするアレナリアを、止めに入ったまんまの状態で、話を聞かれたから、アレナリアを抱えたまま話してたっけ。

「ごめんアレナリア」

「抱くならもう少し優しくして欲しいわ」(小声)

「えっ?」

「な、何でもない! それでロウカスク仕事って何?」

「リアーデのギルマス達に、連絡を取りたいんだ」

「あれを使うのね」

「アレナリアあれって何?」

「それは……」

 アレナリアがロウカスクを見る。

「まぁ黙っていてくれるなら、言っても良いだろう。借りもあるしな」

 借り? アレナリアをからかった時のことかな?

「言うよりも、見た方が早いわ。ロウカスク」

 ロウカスクが、横幅50㎝くらいある長方形の『黒板』みたいな物を持ってきた。
 黒板のような物には、一ヶ所だけ丸い溝がある。

「何ですかそれは?」

「まぁ見てな。アレナリア」

「ええ。始めるわ」

 アレナリアが黒板のような物に、水晶玉をはめて魔力を流すと、表面に文字が浮かんできた。

「いったいこれは?」

「カズ君、焦らずに少し見てな」

 三分ほどすると、最初にあった文字が消えて、何やら他の文字が浮かんできた。
 『こちらリアーデのギルドマスターブレンデッドだ。緊急の用か?』と書いてある。

「どうやら今、ギルドに居るようだな」

「何ですかこれ?」

「遠くの場所と連絡が取れる魔道具だ。滅多に使わないんだがな。それに魔力を相当消費するし、文字でしか連絡が出来ないのが難点でな」

「凄いですね。どこにでも連絡が出来るんですか?」

「さすがに、どこにでもは無理だ。今使っている魔道具は、二枚が対になっていて、互いを記録して繋がっている為に、出来ることなんだ。ただ、これ以上離れると使えなくなる」

 う~ん、周波数が固定された無線みたいなものか!?
 でも文字だけだからメールかな?

「ってことは、他にも何枚かあって、色んな街に、緊急の連絡が出来るようになってるんですか?」

「詳しくは言えんが、そんなとこだ」

「おいロウカスク、話してないで早くしてくれないか。コイツは魔力をどんどん消費するんだから!」

「おっとすまんな。カズ君はちょっと待っててくれ」

 殆ど使わないってことは、燃費が悪いからか?
 まさかこの世界で、こんな連絡手段があるなんて驚いたな。
 でも本当に目的の場所に、繋がってるのかな?

 それから十数分のやり取りが終わり、ギルマスが魔道具を片付けはじめた。
 アレナリアは、多く魔力を消費したのか、疲れているみたいだ。

「カズ君お待たせ。ブレンデッド達の許可は出たから、ステータスの数値だけでも教えてくれ」

「その前に一つ、本当にリアーデの冒険者ギルドに繋がってたんですか?」

「まぁ当然の反応だ。相手を確認した訳じゃあ、ないないんだからな。その証拠にアレナリア」

「カズ……」

「何?」

「キッシュとは誰だ?」

「なぜそれを!?」

「クリスパが言ってきたぞ。旅立ってから数日、キッシュが寂しがっていたと……私以外に親しい娘がいるのか!」

「親しいって、アレナリアのように、撫でて可愛がってる訳じゃないけど」

「わ、私のようにって! べ、別に可愛がってもらってる訳じゃない。カズがそうしたそうだったから、相手をしてやってるまでなんだからね」

 顔をピンク色に染めたアレナリアは、疲れたのか椅子に座り、ふてくさってしまった。

「カズ君これが証拠なんだが、分かってもらえたかな」

「……まったく、ヒドイ証拠の表しかたですね。分かりました。ただし」

「分かってる他言無用だろ」

「それに、こちらも聞きたいことがあります」

「交換条件か。内容にもよるが、まぁ良いだろ」

「ほら、行くぞアレナリア」

「じゃあ見えるように表示します」

「?」

「?」

「えっ? どっか行くんですか?」

「何を言ってるんだカズ君。ステータスを見るんだから、計測する為の魔道具が置いてある部屋に、行くに決まってるだろ」

「あ~あ。そう言うことですが」

「カズよ、今見えるようにするとか言ったでしょ! 何かあるのね」

「あ、いや~……その~……」

「私はあれだけの秘密を教えたのに、カズは隠し事するの……」

「……ハイハイ分かりました。ステータス確認(数値のみ)」


【レベル】: 160 《MAX 999》

【力】  : 7400 《MAX 9999》

【魔力】 : 4500 《MAX 9999》

【敏捷】 : 4250 《MAX 9999》
 
【運】  : 46


「どうぞ」

 カズの正面に、薄い半透明のアクリル板のような物が現れた。

「何よこれ?」

「凄いな! カズ君は計測の魔道具がなくても、ステータスを表示出来るのか!」

 ロウカスクとアレナリアは驚きながらも、表示されたステータス画面を見る。
 それて更に驚く。

「おいおい! おかしいとは思っていたが、さすがにこれは……」

「なっ! なな何よ! どこがEランクの新人冒険者よ。私達より遥かに高い数値どころかなんなよのこれ! 心配することなかったわ!」

「確かにこんな数値じゃあ、Cランクの奴が束になっても、かすり傷一つもつけられんな」

「あの……もういいですか」

「あ、ああ。わざわざ見せてもらって、すまなかったな」

「今度は、俺が聞きたいことですが……」

「何でも言ってくれ。出来るだけ答えよう」

 やっとこれで、元の世界に帰る為の、有益な情報が手に入るかも知れないぞ!
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