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一章 リアーデ編
20 依頼をこなしてランクを上げよう 6 薬草の呼び名と 酷い店と 癒しの娘
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このまま街に戻って、木材屋に配達終了の報告に行くのは早過ぎるので、どこかで時間を潰すことにする。
カズは薬草と毒消草の素材を採取する依頼を受けたままだったのを思い出し、街に入らずにぐるっと回って、南側にある草原へ薬草採取に行く。
すでに多く採ってあるが、あって困る物でもない、があまり取り過ぎないように、気を付けるようにする。
それから二時間ほと薬草と毒消草の採取をして街へと戻り、木材屋に配達終了の報告に行った。
「えーと、リンドウさん居ますか?」
カズが訪ねると、奥の作業場から店主のリンドウが出てきた。
「カズさん、遠くまでの配達ご苦労様でした」
「構いませんよ。ではこれを、受け取り証明の紙です」
「はい、確かに。何か問題はありませんでした?」
「そうですね……いや、特に問題はなかったです」
「今回は急ぎで申し訳なかったです。また、お願いします」
「こちらこそ、時間が合えば、またよろしくお願いします」
カズは挨拶を済ませて、ギルドへと戻る。
そういえ、昼飯食べてないや。
まあいいか、今食べたら夕食が入らなくなるしな。
ギルドに着いたそうそうに、カズは受付に居るクリスパに手招きされた。
「カズさん依頼は無事終わりましたか?」
「ええ。なんとか終わりました」
「それでは報酬を……」
「あ、ちょっと待ってください。薬草と、毒消草採取の依頼を受けてから、一度も納めてないので、それの報酬も一緒に良いですか?」
「はい構いませんよ。では、素材受取場の部屋で、素材を渡して来てください」
「あのう、またギルマ…」
「安心してください、今日はギルマスじゃありませんから。素材受取の担当が居ますので」
そう言われ、カズは素材受取部屋へ行く。
部屋に入ると、初めて見る男性がエプロン姿で居た。
「いらっしゃい。今日の用事は?」
「薬草と毒消草を納めに来ました」
「ならここに出してくれ」
前回と同じで、横の台を指差してきた。
今日採取した分と合わせて、薬草596本で毒消草358本ある中から、薬草200本と毒消草100本を【アイテムボックス】から出して、台の上に置いた。
「ああ、あんたが例の……。結構量があるな。数えるからちょっと待っててくれ」
もくもくと数えては十束づつにし、紙にメモをして、ようやく終わった。
「回復草が200本で、毒消草が100本だな。じゃあ、この紙を受付に渡してくれ」
「はい。分かりました」
なんで薬草だけは、回復草って言われてるんだ? 俺はなんとなく気になったので、男性に聞いてみた。
「あの、ちょっと聞きたいんですが、薬草だけなんで回復草って言われてるんですか?」
「別にたいした意味はないよ。回復草も、毒消草も『引っ括めて薬草』さ。これと決まって必要なときは、個別の薬草名で依頼を出してるだけさ」
「そうなんですか!」
「殆んどは依頼書に薬草採取しか書いてないのさ」
「分かりました。ありがとうございます」
だから採るときに調べたら、薬草じゃなくて回復草って出てたのか! これからは、何を採取すればいいか聞こうかな。
素材受取部屋を出たカズは、受付に戻り渡された紙をクリスパに出す。
「結構採ってたんですね。では木材屋での報酬と、薬草採取の引き取り値を合わせて、金貨五枚です」
薬草採取の引き取り値を差し引くと、木材屋の報酬が金貨2枚! やけに多いな。
「クリスパさん、今回の報酬やけに多くのないですか?」
「そんなことないですよ。指名依頼もありますし、村への配達依頼もありましたから。ただ低ランクの方への報酬としては、多いですね。薬草採取は別として」
「薬草採取は別ですか?」
「あれは薬草の見分ける知識と、採る量で変わりますし、個人の能力で多い少ないが出る依頼ですから。こんなに採る方は、滅多にいませんが」
「そうですか。それでクリスパさん、あの話は(ギルマスへの報告)どうなりましたか?」
「あれ(ギルマスへの報告)でしたら、今調整中ですので、早ければ明日にでも会ってもらいます」
「明日……」
「カズさんは、これからどうします? 日が暮れるまでは、まだ時間がありますよ」
「う~ん…あ! ソーサリーカードを買いに行ってみます」
「ソーサリーカードですか。でしたら、中央広場の露店以外にも、装備屋に行けば、冒険者が使うようなカードが置いてありますよ」
「装備屋に冒険者が使うカードか、行ってみるかな。場所はどこにありますか?」
「南門から中央広場へ向かう道の東側ですね。報酬が入ったからといって、無駄遣いしないように!」
「子供じゃないんですから」
「それもそうね。それでは、あの話(ギルマスへの報告)の続きは、また夜にしましょう」
クリスパが急に小声で話してきた。
「分かりましたが、もうお酒は無いですよ」
「な、私をなんだと思ってるんですか!」
「ちょっ、クリスパさん声が大きい」
「は! カズさんが余計なこと言うからでしょ。もう、早く行きなさい!」
「はいはい行きますよ(やぶへびだったな)」
ギルドを出たカズは、装備屋を探しに、南門へと続く道を歩いて行った。
まだ来たこともない場所なので、キョロキョと辺りを見渡しながら店を探す。
すると『リアーデ装備屋1号店』と書いてある店を見つける。
「リアーデ1号店……系列店なのか? この街のどこかにあるのかな? とりあえず入ってみるか」
店の中入ると、木製や革製の鎧や盾があり、数は少ないが鉄製の物もある。
あとは、さまざまな大きさの剣に槍、他には弓にハンマーまである。
どうも、駆け出しの冒険者が来る店のような感じだ。
値段も銀貨数枚で買える物ばかりで、中古かとカズは思った。
ソーサリーカードが見あたらないので、店主に聞いてみることにした。
「すいま……あのう『ソーサリーカード』ってありますか?」
「ソーサリーカード。それならこっちにあるぞ」
店の人が答え、ソーサリーカードは店の奥にあるようだ。
「冒険者か? なんのソーサリーカードが欲しいんだ?」
「こちらには、何が置いてありますか?」
「新米の冒険者か。ならこっちへ来い、種類は少ないが見てみろ」
ーーーーーーーー
『銅板製(小)』
・《火》 魔力量(多) 銅貨五枚(500GL)
・《水》 魔力量(多) 銅貨五枚(500GL)
・《光》 魔力量(多) 銅貨五枚(500GL)
『銅板製』
・《火》 ファイアーボール (単 弱) 銀貨一枚 銅貨五枚(1,500GL)
・《風》 エアースラッシュ (単 弱) 銀貨一枚 銅貨五枚(1,500GL)
ーーーーーーーー
「その3枚の小さい銅板のカード方は、露店売ってる物と同じ効果だが、魔力量が多く込められている。そっちの2枚の銅板のカードは、魔法が込められてる」
常にタメ口の店主は、めんどくさそうに説明しだした。
「書いてある『単と弱』は何ですか?」
「『単』は単発で『弱』は威力が低いことだ。この辺の獣やモンスターなら、一撃で倒せる程度の威力はあるぞ」
どうするか、使って見ないと分からないから、物は試しに数枚買ってクリスパさんに聞いてみるか。
「どうすんだ買うのか? 冷やかしか」
「じゃあ、火の小さいカード1枚と、魔法カードを1枚づつください」
「カード3枚で、銀貨三枚と銅貨五枚だ。使い方は分かるな、間違えてもここで魔力を流すな」
カズは言われた金額を払い、態度の悪い店主からカードを受け取り店を出る。
「腹立たしいなぁ! (冒険者相手にしてる店って、こんな態度の人ばかりじゃないよな)
気分が悪いままココット亭に戻る、するとキッシュが気になったのか声をかけてきた。
「カズさんお帰りなさい。どうしたんですか? 何か嫌なことでも……あ! もしかしてまたクリ姉を怒らせたんですか?」
「クリスパさんは関係ないよ。ちょっと買い物に行ったら、店の人が態度が酷くてね」
カズは買い物にしたときの話をキッシュにした。
「それは酷いですね。この街でも、そういう人たまに居るんですよ。同じ街に住んでる人として恥ずかしいです」
「ごめん愚痴なんか言って、キッシュが気に病むことないからさ」
「気にしないでください。カズさんにはいつもお世話になってますから」
良い娘だ、なんて良い娘だ! 嫌な事あってもキッシュと話してると癒される。
ここに泊まっていて良かったぁ。
カズは薬草と毒消草の素材を採取する依頼を受けたままだったのを思い出し、街に入らずにぐるっと回って、南側にある草原へ薬草採取に行く。
すでに多く採ってあるが、あって困る物でもない、があまり取り過ぎないように、気を付けるようにする。
それから二時間ほと薬草と毒消草の採取をして街へと戻り、木材屋に配達終了の報告に行った。
「えーと、リンドウさん居ますか?」
カズが訪ねると、奥の作業場から店主のリンドウが出てきた。
「カズさん、遠くまでの配達ご苦労様でした」
「構いませんよ。ではこれを、受け取り証明の紙です」
「はい、確かに。何か問題はありませんでした?」
「そうですね……いや、特に問題はなかったです」
「今回は急ぎで申し訳なかったです。また、お願いします」
「こちらこそ、時間が合えば、またよろしくお願いします」
カズは挨拶を済ませて、ギルドへと戻る。
そういえ、昼飯食べてないや。
まあいいか、今食べたら夕食が入らなくなるしな。
ギルドに着いたそうそうに、カズは受付に居るクリスパに手招きされた。
「カズさん依頼は無事終わりましたか?」
「ええ。なんとか終わりました」
「それでは報酬を……」
「あ、ちょっと待ってください。薬草と、毒消草採取の依頼を受けてから、一度も納めてないので、それの報酬も一緒に良いですか?」
「はい構いませんよ。では、素材受取場の部屋で、素材を渡して来てください」
「あのう、またギルマ…」
「安心してください、今日はギルマスじゃありませんから。素材受取の担当が居ますので」
そう言われ、カズは素材受取部屋へ行く。
部屋に入ると、初めて見る男性がエプロン姿で居た。
「いらっしゃい。今日の用事は?」
「薬草と毒消草を納めに来ました」
「ならここに出してくれ」
前回と同じで、横の台を指差してきた。
今日採取した分と合わせて、薬草596本で毒消草358本ある中から、薬草200本と毒消草100本を【アイテムボックス】から出して、台の上に置いた。
「ああ、あんたが例の……。結構量があるな。数えるからちょっと待っててくれ」
もくもくと数えては十束づつにし、紙にメモをして、ようやく終わった。
「回復草が200本で、毒消草が100本だな。じゃあ、この紙を受付に渡してくれ」
「はい。分かりました」
なんで薬草だけは、回復草って言われてるんだ? 俺はなんとなく気になったので、男性に聞いてみた。
「あの、ちょっと聞きたいんですが、薬草だけなんで回復草って言われてるんですか?」
「別にたいした意味はないよ。回復草も、毒消草も『引っ括めて薬草』さ。これと決まって必要なときは、個別の薬草名で依頼を出してるだけさ」
「そうなんですか!」
「殆んどは依頼書に薬草採取しか書いてないのさ」
「分かりました。ありがとうございます」
だから採るときに調べたら、薬草じゃなくて回復草って出てたのか! これからは、何を採取すればいいか聞こうかな。
素材受取部屋を出たカズは、受付に戻り渡された紙をクリスパに出す。
「結構採ってたんですね。では木材屋での報酬と、薬草採取の引き取り値を合わせて、金貨五枚です」
薬草採取の引き取り値を差し引くと、木材屋の報酬が金貨2枚! やけに多いな。
「クリスパさん、今回の報酬やけに多くのないですか?」
「そんなことないですよ。指名依頼もありますし、村への配達依頼もありましたから。ただ低ランクの方への報酬としては、多いですね。薬草採取は別として」
「薬草採取は別ですか?」
「あれは薬草の見分ける知識と、採る量で変わりますし、個人の能力で多い少ないが出る依頼ですから。こんなに採る方は、滅多にいませんが」
「そうですか。それでクリスパさん、あの話は(ギルマスへの報告)どうなりましたか?」
「あれ(ギルマスへの報告)でしたら、今調整中ですので、早ければ明日にでも会ってもらいます」
「明日……」
「カズさんは、これからどうします? 日が暮れるまでは、まだ時間がありますよ」
「う~ん…あ! ソーサリーカードを買いに行ってみます」
「ソーサリーカードですか。でしたら、中央広場の露店以外にも、装備屋に行けば、冒険者が使うようなカードが置いてありますよ」
「装備屋に冒険者が使うカードか、行ってみるかな。場所はどこにありますか?」
「南門から中央広場へ向かう道の東側ですね。報酬が入ったからといって、無駄遣いしないように!」
「子供じゃないんですから」
「それもそうね。それでは、あの話(ギルマスへの報告)の続きは、また夜にしましょう」
クリスパが急に小声で話してきた。
「分かりましたが、もうお酒は無いですよ」
「な、私をなんだと思ってるんですか!」
「ちょっ、クリスパさん声が大きい」
「は! カズさんが余計なこと言うからでしょ。もう、早く行きなさい!」
「はいはい行きますよ(やぶへびだったな)」
ギルドを出たカズは、装備屋を探しに、南門へと続く道を歩いて行った。
まだ来たこともない場所なので、キョロキョと辺りを見渡しながら店を探す。
すると『リアーデ装備屋1号店』と書いてある店を見つける。
「リアーデ1号店……系列店なのか? この街のどこかにあるのかな? とりあえず入ってみるか」
店の中入ると、木製や革製の鎧や盾があり、数は少ないが鉄製の物もある。
あとは、さまざまな大きさの剣に槍、他には弓にハンマーまである。
どうも、駆け出しの冒険者が来る店のような感じだ。
値段も銀貨数枚で買える物ばかりで、中古かとカズは思った。
ソーサリーカードが見あたらないので、店主に聞いてみることにした。
「すいま……あのう『ソーサリーカード』ってありますか?」
「ソーサリーカード。それならこっちにあるぞ」
店の人が答え、ソーサリーカードは店の奥にあるようだ。
「冒険者か? なんのソーサリーカードが欲しいんだ?」
「こちらには、何が置いてありますか?」
「新米の冒険者か。ならこっちへ来い、種類は少ないが見てみろ」
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『銅板製(小)』
・《火》 魔力量(多) 銅貨五枚(500GL)
・《水》 魔力量(多) 銅貨五枚(500GL)
・《光》 魔力量(多) 銅貨五枚(500GL)
『銅板製』
・《火》 ファイアーボール (単 弱) 銀貨一枚 銅貨五枚(1,500GL)
・《風》 エアースラッシュ (単 弱) 銀貨一枚 銅貨五枚(1,500GL)
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「その3枚の小さい銅板のカード方は、露店売ってる物と同じ効果だが、魔力量が多く込められている。そっちの2枚の銅板のカードは、魔法が込められてる」
常にタメ口の店主は、めんどくさそうに説明しだした。
「書いてある『単と弱』は何ですか?」
「『単』は単発で『弱』は威力が低いことだ。この辺の獣やモンスターなら、一撃で倒せる程度の威力はあるぞ」
どうするか、使って見ないと分からないから、物は試しに数枚買ってクリスパさんに聞いてみるか。
「どうすんだ買うのか? 冷やかしか」
「じゃあ、火の小さいカード1枚と、魔法カードを1枚づつください」
「カード3枚で、銀貨三枚と銅貨五枚だ。使い方は分かるな、間違えてもここで魔力を流すな」
カズは言われた金額を払い、態度の悪い店主からカードを受け取り店を出る。
「腹立たしいなぁ! (冒険者相手にしてる店って、こんな態度の人ばかりじゃないよな)
気分が悪いままココット亭に戻る、するとキッシュが気になったのか声をかけてきた。
「カズさんお帰りなさい。どうしたんですか? 何か嫌なことでも……あ! もしかしてまたクリ姉を怒らせたんですか?」
「クリスパさんは関係ないよ。ちょっと買い物に行ったら、店の人が態度が酷くてね」
カズは買い物にしたときの話をキッシュにした。
「それは酷いですね。この街でも、そういう人たまに居るんですよ。同じ街に住んでる人として恥ずかしいです」
「ごめん愚痴なんか言って、キッシュが気に病むことないからさ」
「気にしないでください。カズさんにはいつもお世話になってますから」
良い娘だ、なんて良い娘だ! 嫌な事あってもキッシュと話してると癒される。
ここに泊まっていて良かったぁ。
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