人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
上 下
16 / 801
一章 リアーデ編

14 明かした経緯

しおりを挟む
 人に歴史ありか……俺なんか異世界に来ただけで、大したことないのかもな。
 こんな話聞いたら、どう答えたらいいのか……。

 「クリスパさんも、いろいろあったんですね。街に戻って来たら、すぐにココット亭に来なかったんですか?」

「どんな顔して会ったらいいか分からなくてね。そんなときに、カズさんがココット亭に泊まってるって言ったから、勇気を出して今日来たの。利用したみたいでごめんなさい」

「元気で戻って来ただけで、あたし達は十分だよ。またここに住んでも良いんだよ」

「ありがとう義母さん。でも大丈夫よ。今はギルドで仕事もあるし、それに同じ街に住んでるんだから、いつでも会えるわ」

「それもそうだ。クリスパももう大人だし、一人でも生きて行けるくらいに、強くもなったんだね。それでも寂しければ、いつ戻って来ても良いんだよ。家族なんだから」

 ぐぅ~すやすや

「フフっ。キッシュ寝ちゃったね」

「久しぶりに会えて、嬉しかったんだな」

「さてあたしはキッシュを寝かせて来るけど、クリスパは泊まってくだろ。キッシュの部屋で良いかい?」

「うん! 寝るとき勝手に行くわ。ありがとう」

「じゃあ今日はおひらき……」

「何を言っているの? 本来はカズさんの話を聞かせてもらう約束でしょ!」

「ですよねぇ……覚えてましたか。でもこんな話を聞かされて、しかも感動の再会の後で、俺の話なんか……」

「義母さん、さっきの残ったお酒持ってくね。さぁここじゃ何だから、カズさんの部屋行きましょうか! もちろん、嫌なんて言わないわよね」

「……はい」

 夜に女性と部屋で二人っきりでドッキドキ! じゃな~い、退路を絶たれた。
 なんで『はい』って返事してんのさ俺。
 ……お酒飲んで、寝落ちしてくれないかな。

「あ、私お酒は弱くはないので、すぐには寝ませんよ」

「う……(考えてることバレバレか!)」

 そのままクリスパと部屋に行き、残りすくない酒を飲みながら、カズは話をする羽目になった。

「さてカズさん、話してもらいましょうか」

「う……その前に、なんで会って数日しか経ってない俺に、あんな話をしたんですか? そんな信用されるようなことを、した覚えはないんですが」

「う~ん。何でかな? 私の勘! それに義母さんやキッシュと話をしているの見て、カズさん悪い人には見えなかったから」

「そんなことくらいで?」

「それにギルドでも敬語ばっか使ってるから。冒険者なんて、特に実力があると、態度が大きくなる連中ばかりし、実力がなくても態度だけ大きい人もいるけどね」

「そんなもんですか」

「そんなもんです! 最初に見たときは、変わった人が来たと思ったけど。見たことない服装だったし、キョロキョロしてたから」

 目立たないようにしてたつもりなんだけど、逆に目立ってたのか。

「それに眼鏡で見ても、なんともなかったから、大丈夫と思ったんです」

「眼鏡? そう言えば、今日はかけてないですね」

「あの眼鏡はギルド所有の魔道具で、ギルド内で何か騒動を起こそうとしてる人が居たら、魔力の流れに変化が出るから、それを色で感知できる道具なの。付けてる本人は、少しずつ魔力を使うし、必ずしも当てになるわけじゃないけどね。経験かな」

 ステータスのある世界だからと言って、数値だけ上げれば言いわけじゃないのか。
 帰る方法探すためには、色んなことをして、経験を積まないとな。

「それじゃあ、あと……」

「もう良いですね。そろそろ話を聞かせてくれないと怒りますよ! なんなら朝まででも、付き合いましょうか!」

「本当のこと言っても、信じてもらえないと思いますが……」

「いいから話して!」

 もう駄目か……仕方ない、なるようになれだ!

「単刀直入に言います……俺、この世界の人間じゃないんです」

「からかってるの? 怒りこるよ! 殴ぐるよ!」

「だから言ったんですよ。それに、クリスパさん口調変わってませんか」

「ギルドでの私は仕事の顔なの。私のことをあれだけ話したんだから、カズさん相手に、もう遠慮なんかしません!」

「是非とも遠慮して、いつもの口調に戻ってくれて、構わないんですけど」

「私のことはどうでもいいから、とっとと本当のことを話しなさい!」

 どうするか……ステータス見せれば信じてくれるか? 他の人に見せることできるのかな? 試して見るか。

 ステータス確認

 カズの正面に、ステータス画面が出てきた。

「クリスパさん、これ見えますか?」

「何? なんにもないじゃないのよ!

 やっぱり駄目なのかな? ……んっ! それなら。

「ステータス確認」

 今度は俺は言葉に出してみた。
 するとステータス画面が、少し濃くなったような気がした。

「クリスパさん、これ見えますか?」

「またなんな…の……? これステータス画面? さっきまで何にもなかったのに」

 言葉に出すと、他の人に見せることができるんだ!

「見えるんですね。俺のステータスです」

 クリスパは目を見開いて、ステータス画面をまじまじと見て目をこすり、見間違いではないことを確認していた。

「なんですかこれは? 何かの魔法かスキルで作りあげたステータスですか? それとも本当にカズさんのステータス……え…うそ…こんな……私酔ってるのかな?」

「もしも~し。クリスパさん大丈夫ですか? 今日はもう休んだ方がい…い……」

「何を言ってるの! これが本当なら……続きを……先程の話、続きを聞かせて! この世界の人間じゃないとか言ってた、つ・づ・き!! 早く!」

「は、はい。分かりましたから。落ち着いて、そんなに迫ってこなくても……」

 ほろ酔い状態のクリスパに、押し攻め立てられ、カズは 壁際まで追い詰められた。
 一旦落ち着いて、二人ともベットに座り話を始めた。

「じゃあ、俺がこちらの世界に来てからのことを、ざっと説明します」

 そこで俺は、一部を変えて話した。
 家を出たら森に居て、なぜか持っていた手紙を読み、ステータスを設定して初めてスライムとイノボアを倒し、レベルが異常に上がったこと。
 偶然西の村に行くことができ、街の行き方を聞いてリアーデの街へ向かい、行商人と会ってから冒険者ギルドの存在へ。
 そしてココット亭に来た経緯と、この数日間の出来事を話した。
 管理神(チャラ神)のことは、会ったと言わず、夢に出てきたと。(何となく、会ったとは言いたくなかった)

「本当のことなんですよ…ね……」

「信じられないと思いますが……」

「信じられないけど、ウソだとは思わないわ」

「俺のことを知ったクリスパさんは、全てギルドに報告しますか?」

「分からないけど。私には荷が重すぎるわね。ギルマスに相談するか、暫く考えるわ」

「大事になるようであれば、俺は街を出ます。女将さんやキッシュ、それにクリスパさんにも、迷惑かかるでしょうし」

「ギルドへ勝手に報告なんてしないわ。ギルマスに言う前に……先にカズさんに聞く…わ……眠い」

「そうしてもらえればありがたいです」

「何よ。私の話なんか…より……よっぽ…ど……」

 ぐぅ~すぅ~むにゃむにゃ

「寝ちゃったよ。お~い、クリスパさん」

 無防備過ぎないかまったく……こうなったら仕方ないな。 


 クリスパをそのままベットに寝かせて、カズは部屋を出て、食堂の長椅子で横になり寝た。


 ◇◆◇◆◇


 翌朝食堂の扉が開き、女将が入ってきて起こされた。

「おや! カズ、こんな所で寝てたのかい?」

 俺は女将さんの声で起き、長椅子で寝ていることを忘れて、床に転がり落ちた。

「痛たたた。女将さんおはようございます」

「部屋で寝たんじゃなかったのかい?」

「クリスパさんが話してる途中で寝てしまったので、ベットに寝かせて、俺はここで寝てたんです」

「一緒のベットで寝ちまえば良かったじゃないか」

「な、何を言ってるんですか!」

「冗談だよ。あのベットに二人は狭いだろ」

 何を言ってきてるんだか、未経験の俺には寝込みを、なんてハードルが高過ぎる。

「さて朝食の準備手伝いますか」

「いいよ。あんまり眠れなかったんだろ」

 そのとき入口の扉が開き、キッシュが入ってきた。

「あ、カズさん。おはよう」

「キッシュおはよう」

「今日は早いですね。クリ姉は帰っちゃったの?」

「俺の部屋で寝てるよ」

「え! カズさんの部屋? クリ姉と一緒寝たんですか!?」

「違う違う。あの後部屋でクリスパさんと話をしてたら寝ちゃったから、クリスパさんをベットに寝かせて、俺は食堂に来て寝てたの」

「な~んだ、そうだったんだ。それじゃあ、クリ姉起こして来る」
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

【二度目の異世界、三度目の勇者】魔王となった彼女を討つために

南風
ファンタジー
かつて竜魔王を討ち、異世界を救った勇者イサム。 使命を果たし、現代でつまらない日々を送っていた彼は、再び異世界に転移をする。 平和にしたはずの異世界で待ち受けていたのは、竜魔王の復活。 その正体は――かつての仲間だった彼女が、竜魔王と化した姿だった。 狂愛と許されざる罪を抱えた彼女を前に、イサムは新たな戦いへと身を投じる。 命を懸けたその戦いの果てに、彼が掴むのは平和か、それとも赦しなき運命か――。

異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳
ファンタジー
 楽しく親子4人で生活していたある日、交通事故にあい命を落とした...はずなんだけど...?? 神様の御好意により新たな世界で新たな人生を歩むことに!!! 冒険あり、魔法あり、魔物や獣人、エルフ、ドワーフなどの多種多様な人達がいる世界で親子4人とその親子を護り生活する世界最強のドラゴン達とのお話です。

処理中です...