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一章 リアーデ編
7 冒険者ギルド ギルド規約 と 初めての依頼
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◇◆◇◆◇
翌朝目が覚めて、カズはもう一度鏡を見るが、やはり若くなってた。
嬉しいやらそうでもないやらで、今自分が24歳だってことを、忘れないようにしないと。
部屋から出て一階の食堂に下りてくと、昨日は見なかった数人のお客さんいた。
女将のココットと娘のキッシュが、食事の支度をしていた。
キッシュがカズに気付いた。
「カズさんおはようございます。朝食いかがですか?」
「おはよう。いただくよ」
空いてた席にカズが座ると、キッシュが食事を持ってきた。
焼きたてのパンと、ゆで卵と昨日と同じスープだった。
「カズさん、今日はどこかに行くんですか?」
「お昼頃、冒険者ギルドに本登録と、ギルドカードを受け取りに行くことくらいかな」
それを聞いていた女将のココットが、近寄って小声で話してきた。
「暇なら買い出しの手伝いしてくれないかい? そのかわりに、もう一泊してくれるなら二食付で7,000GLにサービスするからさ。どうだい?」
「ええ構いませんよ。それじゃあ、もう一泊お願いします」
「じゃあ決まりだ。食事が済んだら、娘と買い出しよろしく」
カズは今夜の宿代を渡した。
「分かりました(んっ……娘と? ココットさん、それを先に言ってくれよ。若い女の子と買い物……)」
食事を終えたカズは、キッシュと一緒に露店の並ぶ広場へと向かった。
「カズさんすいません、お母さんが無理言って」
「べ、別にいいさ時間もあるし、宿代も安くしてくれたから(ちょっと緊張する)」
「割引目的で仕方なく来たんですか? こんな可愛い子と一緒に、お買い物できるんですよ! なんちゃって。えへへ」
「自分で言うんかい! アハハは」
キッシュと楽しげな会話をしながら、露店が並ぶ広場へと歩いて行く。
……うぉ~!! なんだこの会話、リア充か! 異世界に来て初めてのデート……!?
いや違うただの買い出しの手伝いだ、だから落ち着け平常心だ。
「カズさん、最初はこの店でお肉を買います。その次はあの店で野菜を、そのあとはあっちで調味料を買って……」
「随分と買うね」
「今日は荷物持ちのカズさんがいるから、足りなかった物は全部買えますからね!」
「お手柔らかに」
二人ともいっぱいの荷物を持って、ココット亭に戻った。
途中知り合いなのか女性の売り子に『二人仲良くデートかい?』と、冗談混じりで話してきて、キッシュが顔を少し赤くしながら『ただの買い出しで、こっちはお手伝いしてくれてる人』と、あわてて否定していた。
デート……こっちまで照れるな。
否定されると分かっていたが、ちょっと傷つく。
買い出しを終えて、ココット亭に戻ってきた。
カズは荷物を置いてキッシュは買ってきた物を、すぐに片付け始める。
カズが手伝おうとしたが、とめられた。
「ありがとうございます。カズさんは用事があるんでから、あとは私がやりますから大丈夫です」
「そうか、悪いね」
「とんでもない、もう十分ですよ。あまりやってもらうと、お母さんに怒られちゃいます」
俺はキッシュに、冒険者ギルドへ行ってくると言って、その場を離れた。
店の出口まで行くと、女将さん声を掛けてきた。
「お疲れさん。また頼むよサービスするからさぁ」
「あ、はい。それじゃ行ってきます」
ココット亭を出て、昨日行った冒険者ギルドへ向う。
十数分ほどでギルドに到着しので中に入ると、今日も数人いるだけで空いている。
カズはそのまま受付に行くと、昨日と同じ女性がいた。
カズに気付き話し掛けてくる。
「こんにちは。昨日仮登録にいらした……え~とヤマギク カズ様ですね。ギルドカードは出来てますので、さっそく本登録でよろしいですか」
「はい。お願いします」
「ではまず、ギルドカードに血を一滴垂らしてください。それと昨日書いていただいた登録用紙に、指に血をつけて押してください」
受付の女性は、小さなナイフを渡してきた。
「は、はい。分かりました。(血判するのか!)」
カズはナイフを受け取り、指に傷をつけギルドカードに血を一滴垂らし、登録用紙に血判をする。
「はい。これで本登録完了です。ではこれよりギルドカード及び、冒険者ギルドでの説明をいします」
「あ、はい。お願いします」
「まずはギルドカードですが、カズ様は一番低い『Fランク(鉄製)』になります。新米冒険者と言われる方は、Eランクからとなります。ランクは上から『S.A.B.C.D.E.F』となっております。Fランクの方々は、各街や村に出入りするために、身分証として持っている方が多いです。ギルドカードは、ランクによって素材が異なり『EランクとFランクは鉄製』『Dランクは青銅製』のようになっており、ランクが上がることに変わります」
ギルドカードでも、Fランクは通行書みたいなあつかいだから、登録が簡単に出来るんだな。
それでギルドカードはランクによって、素材がかわると。
ならカードを見ただけで、ランクが分かるってことか。
「ギルドカードには『有効期限』がございます。Fランクは『五十日間と猶予期間が二日』ございます。その間に三つの依頼(クエスト)達成が、更新の条件です。殆どの方は、街の雑用などの仕事を受けて、済ます方が多いですね」
街の雑用か、掃除とかかな?
「カードの更新は、猶予期間日を入れた有効期限『合計五十二日以内』どこの街の冒険者ギルドでもよろしいので、更新料金1,000GLをお支払いください。条件が達成されていれば、そこから更に、猶予日を入れた五十二日間が有効になります。有効期限は、ランクにより条件が異なります。期限を過ぎますと、Cランク以下のギルドカードは『消滅』して、無くなってしまいますのでご注意下さい。その際に再発行する場合はペナルティとして、金貨十枚(100,000GL)お支払いただきます。紛失した場合でも同額かかりますので、お気をつけください」
「カードが消滅するんですか!?」
「はい」
俺は落としたりしないように、受け取ったギルドカードを、懐にしまうふりをして【アイテムボックス】に入れた。
「なお依頼は、一つ上のランクまでしか選べませんので、ご了承ください。実力や実績などにより、ギルド側から許可しかねる場合もごさいます」
「Eランクに上がる条件はなんですか?」
「Eランクに上がる条件は、最低でも『10の依頼達成』が必要です。依頼はあちらの壁に依頼書が貼られていますので、そこからご自分でできそうなものを選んで、受付に持ってきて下さい」
「他に素材の買い取り等かございますが、それはその都度ご説明いたします。何かご質問はございますが?」
「依頼は今日からでもできますか?」
「はい。大丈夫です」
そう言われたので、俺は壁に貼ってある依頼書を見に行った。
ランクごとに整理されて貼ってあり、依頼には有効期限があるらしい。
まずは街中で簡単にできそうな依頼を探した。
木材屋の荷運びに、広場で店の後片付けか、この二つなら時間的にも大丈夫そうだな。
カズは二枚の依頼書をはがして、受付に持っていった。
「この依頼を、お願いします」
「はい。木材屋の荷運びと、広場での後片付けですね。承りました。では作業がおわりましたら、依頼人の方にサインをもらってきてください」
「分かりました」
そう言ってギルドを出たカズは、依頼書に簡単な地図が書いてあったので、それを見て木材屋に向かった。(マップのスキルでもあれば良かったなぁ)
人通りが少なくなってきた辺りまで来ると、加工した木の匂いがしてきた。
カズは木材屋に入り、依頼を受けてきたと言うと、一人の男性が出てきて、作業の説明をしてきた。
「ここにある木材を、あそこの倉庫に運んでくれ。それじゃたのむぞ」
俺は言われたとおり、数十本ある5mほどの太い木を、どんどんと倉庫の中に運んでいった。(全然軽い)
「あのう、終わりました」
「なに?」
ものの三十分程で運び終わったため、作業説明をした男性は驚いていた。
カズが依頼書にサインをもらって、行こうとすると、男性がもう一つと言ってきた。
「すまないが、追加で数本の加工した木材を、家具屋に持っていってくれないか? オレここを離れられないんだ。ギルドにはあとで連絡しとくから」
「良いですよ。家具屋の場所だけ教えて下さい」
俺は家具屋の場所を聞いて、頼まれた木材を持って家具屋に向かった。
少し離れていたので、時間がかかった。
追加とか言われること、よくあるのかな? 次の依頼までに間に合うから、受けたけど。
カズは家具屋に木材を届けて、時間的にも調度良さそうなので、次の依頼がある広場へ向かう。
広場に着き依頼主の魚屋を探し、店の人に作業内容を聞いた。
「今日で店を閉めて、また魚を仕入れに他の街に行くから、露店の後片付けを頼むよ。解体した露店は、この先の倉庫にしまっておいてくれ」
「分かりました(どうも露店は、街が貸し出してるようだな)」
簡単な組み立て式みたいな作りで、そんなに大変ではなかった。
ただ少し重いようなので、魚屋のおじさん一人では大変そうだ。(俺は全然余裕)
解体と倉庫への運びでも、大して時間はかからなかった。
作業も終了したので、依頼書にサインをもらって行こうとした。
「これ余り物の魚だけど、良かったら持ってってよ。早く片付いて助かったから」
「ありがとうございます」
俺は数匹の魚をもらった。
尻尾のあたりを縄で縛って、持ちやすくしてくれてある。
これどうしようかな? ココット亭に持って帰ってあげるか。(迷惑かな?)
依頼報告は明日でも大丈夫そうだから、このままココット亭に戻ろう。
店に入ると、女将さんとキッシュが入口に居た。
「依頼先の魚屋さんで、余った魚を貰ったんだけど、良かったらみんなで食べてください」
「え、いいの? やったー! こんなにいっぱい。魚ひさしぶり」
「これキッシュ、お礼も言わないで、先に喜んでるんじゃないよ。それに、まだ掃除中だろ」
「ごめんなさい。カズさんありがとう」
「ありがとう。じゃあ今日の夕食は、他のお客さんにも魚を出すとしますか」
「俺だけじゃ食べきれませんし、みんなで食べてもらった方が助かりますから。良ければ、夕食の支度手伝います」
「お客さんに手伝わせるわけには行かないよ」
「いえ、どんな料理をするのか興味もありますし、魚を持ち込んだのも俺ですから。それに宿代もまけてもらったわけですし」
「そうかい。じゃあ頼むよ。もうすぐ娘も掃除を終えて来るから」
キッシュはまだ掃除中。
俺は料理の手伝いをするため、女将と食堂に行った。(火は薪でもつかってるのかな?)
翌朝目が覚めて、カズはもう一度鏡を見るが、やはり若くなってた。
嬉しいやらそうでもないやらで、今自分が24歳だってことを、忘れないようにしないと。
部屋から出て一階の食堂に下りてくと、昨日は見なかった数人のお客さんいた。
女将のココットと娘のキッシュが、食事の支度をしていた。
キッシュがカズに気付いた。
「カズさんおはようございます。朝食いかがですか?」
「おはよう。いただくよ」
空いてた席にカズが座ると、キッシュが食事を持ってきた。
焼きたてのパンと、ゆで卵と昨日と同じスープだった。
「カズさん、今日はどこかに行くんですか?」
「お昼頃、冒険者ギルドに本登録と、ギルドカードを受け取りに行くことくらいかな」
それを聞いていた女将のココットが、近寄って小声で話してきた。
「暇なら買い出しの手伝いしてくれないかい? そのかわりに、もう一泊してくれるなら二食付で7,000GLにサービスするからさ。どうだい?」
「ええ構いませんよ。それじゃあ、もう一泊お願いします」
「じゃあ決まりだ。食事が済んだら、娘と買い出しよろしく」
カズは今夜の宿代を渡した。
「分かりました(んっ……娘と? ココットさん、それを先に言ってくれよ。若い女の子と買い物……)」
食事を終えたカズは、キッシュと一緒に露店の並ぶ広場へと向かった。
「カズさんすいません、お母さんが無理言って」
「べ、別にいいさ時間もあるし、宿代も安くしてくれたから(ちょっと緊張する)」
「割引目的で仕方なく来たんですか? こんな可愛い子と一緒に、お買い物できるんですよ! なんちゃって。えへへ」
「自分で言うんかい! アハハは」
キッシュと楽しげな会話をしながら、露店が並ぶ広場へと歩いて行く。
……うぉ~!! なんだこの会話、リア充か! 異世界に来て初めてのデート……!?
いや違うただの買い出しの手伝いだ、だから落ち着け平常心だ。
「カズさん、最初はこの店でお肉を買います。その次はあの店で野菜を、そのあとはあっちで調味料を買って……」
「随分と買うね」
「今日は荷物持ちのカズさんがいるから、足りなかった物は全部買えますからね!」
「お手柔らかに」
二人ともいっぱいの荷物を持って、ココット亭に戻った。
途中知り合いなのか女性の売り子に『二人仲良くデートかい?』と、冗談混じりで話してきて、キッシュが顔を少し赤くしながら『ただの買い出しで、こっちはお手伝いしてくれてる人』と、あわてて否定していた。
デート……こっちまで照れるな。
否定されると分かっていたが、ちょっと傷つく。
買い出しを終えて、ココット亭に戻ってきた。
カズは荷物を置いてキッシュは買ってきた物を、すぐに片付け始める。
カズが手伝おうとしたが、とめられた。
「ありがとうございます。カズさんは用事があるんでから、あとは私がやりますから大丈夫です」
「そうか、悪いね」
「とんでもない、もう十分ですよ。あまりやってもらうと、お母さんに怒られちゃいます」
俺はキッシュに、冒険者ギルドへ行ってくると言って、その場を離れた。
店の出口まで行くと、女将さん声を掛けてきた。
「お疲れさん。また頼むよサービスするからさぁ」
「あ、はい。それじゃ行ってきます」
ココット亭を出て、昨日行った冒険者ギルドへ向う。
十数分ほどでギルドに到着しので中に入ると、今日も数人いるだけで空いている。
カズはそのまま受付に行くと、昨日と同じ女性がいた。
カズに気付き話し掛けてくる。
「こんにちは。昨日仮登録にいらした……え~とヤマギク カズ様ですね。ギルドカードは出来てますので、さっそく本登録でよろしいですか」
「はい。お願いします」
「ではまず、ギルドカードに血を一滴垂らしてください。それと昨日書いていただいた登録用紙に、指に血をつけて押してください」
受付の女性は、小さなナイフを渡してきた。
「は、はい。分かりました。(血判するのか!)」
カズはナイフを受け取り、指に傷をつけギルドカードに血を一滴垂らし、登録用紙に血判をする。
「はい。これで本登録完了です。ではこれよりギルドカード及び、冒険者ギルドでの説明をいします」
「あ、はい。お願いします」
「まずはギルドカードですが、カズ様は一番低い『Fランク(鉄製)』になります。新米冒険者と言われる方は、Eランクからとなります。ランクは上から『S.A.B.C.D.E.F』となっております。Fランクの方々は、各街や村に出入りするために、身分証として持っている方が多いです。ギルドカードは、ランクによって素材が異なり『EランクとFランクは鉄製』『Dランクは青銅製』のようになっており、ランクが上がることに変わります」
ギルドカードでも、Fランクは通行書みたいなあつかいだから、登録が簡単に出来るんだな。
それでギルドカードはランクによって、素材がかわると。
ならカードを見ただけで、ランクが分かるってことか。
「ギルドカードには『有効期限』がございます。Fランクは『五十日間と猶予期間が二日』ございます。その間に三つの依頼(クエスト)達成が、更新の条件です。殆どの方は、街の雑用などの仕事を受けて、済ます方が多いですね」
街の雑用か、掃除とかかな?
「カードの更新は、猶予期間日を入れた有効期限『合計五十二日以内』どこの街の冒険者ギルドでもよろしいので、更新料金1,000GLをお支払いください。条件が達成されていれば、そこから更に、猶予日を入れた五十二日間が有効になります。有効期限は、ランクにより条件が異なります。期限を過ぎますと、Cランク以下のギルドカードは『消滅』して、無くなってしまいますのでご注意下さい。その際に再発行する場合はペナルティとして、金貨十枚(100,000GL)お支払いただきます。紛失した場合でも同額かかりますので、お気をつけください」
「カードが消滅するんですか!?」
「はい」
俺は落としたりしないように、受け取ったギルドカードを、懐にしまうふりをして【アイテムボックス】に入れた。
「なお依頼は、一つ上のランクまでしか選べませんので、ご了承ください。実力や実績などにより、ギルド側から許可しかねる場合もごさいます」
「Eランクに上がる条件はなんですか?」
「Eランクに上がる条件は、最低でも『10の依頼達成』が必要です。依頼はあちらの壁に依頼書が貼られていますので、そこからご自分でできそうなものを選んで、受付に持ってきて下さい」
「他に素材の買い取り等かございますが、それはその都度ご説明いたします。何かご質問はございますが?」
「依頼は今日からでもできますか?」
「はい。大丈夫です」
そう言われたので、俺は壁に貼ってある依頼書を見に行った。
ランクごとに整理されて貼ってあり、依頼には有効期限があるらしい。
まずは街中で簡単にできそうな依頼を探した。
木材屋の荷運びに、広場で店の後片付けか、この二つなら時間的にも大丈夫そうだな。
カズは二枚の依頼書をはがして、受付に持っていった。
「この依頼を、お願いします」
「はい。木材屋の荷運びと、広場での後片付けですね。承りました。では作業がおわりましたら、依頼人の方にサインをもらってきてください」
「分かりました」
そう言ってギルドを出たカズは、依頼書に簡単な地図が書いてあったので、それを見て木材屋に向かった。(マップのスキルでもあれば良かったなぁ)
人通りが少なくなってきた辺りまで来ると、加工した木の匂いがしてきた。
カズは木材屋に入り、依頼を受けてきたと言うと、一人の男性が出てきて、作業の説明をしてきた。
「ここにある木材を、あそこの倉庫に運んでくれ。それじゃたのむぞ」
俺は言われたとおり、数十本ある5mほどの太い木を、どんどんと倉庫の中に運んでいった。(全然軽い)
「あのう、終わりました」
「なに?」
ものの三十分程で運び終わったため、作業説明をした男性は驚いていた。
カズが依頼書にサインをもらって、行こうとすると、男性がもう一つと言ってきた。
「すまないが、追加で数本の加工した木材を、家具屋に持っていってくれないか? オレここを離れられないんだ。ギルドにはあとで連絡しとくから」
「良いですよ。家具屋の場所だけ教えて下さい」
俺は家具屋の場所を聞いて、頼まれた木材を持って家具屋に向かった。
少し離れていたので、時間がかかった。
追加とか言われること、よくあるのかな? 次の依頼までに間に合うから、受けたけど。
カズは家具屋に木材を届けて、時間的にも調度良さそうなので、次の依頼がある広場へ向かう。
広場に着き依頼主の魚屋を探し、店の人に作業内容を聞いた。
「今日で店を閉めて、また魚を仕入れに他の街に行くから、露店の後片付けを頼むよ。解体した露店は、この先の倉庫にしまっておいてくれ」
「分かりました(どうも露店は、街が貸し出してるようだな)」
簡単な組み立て式みたいな作りで、そんなに大変ではなかった。
ただ少し重いようなので、魚屋のおじさん一人では大変そうだ。(俺は全然余裕)
解体と倉庫への運びでも、大して時間はかからなかった。
作業も終了したので、依頼書にサインをもらって行こうとした。
「これ余り物の魚だけど、良かったら持ってってよ。早く片付いて助かったから」
「ありがとうございます」
俺は数匹の魚をもらった。
尻尾のあたりを縄で縛って、持ちやすくしてくれてある。
これどうしようかな? ココット亭に持って帰ってあげるか。(迷惑かな?)
依頼報告は明日でも大丈夫そうだから、このままココット亭に戻ろう。
店に入ると、女将さんとキッシュが入口に居た。
「依頼先の魚屋さんで、余った魚を貰ったんだけど、良かったらみんなで食べてください」
「え、いいの? やったー! こんなにいっぱい。魚ひさしぶり」
「これキッシュ、お礼も言わないで、先に喜んでるんじゃないよ。それに、まだ掃除中だろ」
「ごめんなさい。カズさんありがとう」
「ありがとう。じゃあ今日の夕食は、他のお客さんにも魚を出すとしますか」
「俺だけじゃ食べきれませんし、みんなで食べてもらった方が助かりますから。良ければ、夕食の支度手伝います」
「お客さんに手伝わせるわけには行かないよ」
「いえ、どんな料理をするのか興味もありますし、魚を持ち込んだのも俺ですから。それに宿代もまけてもらったわけですし」
「そうかい。じゃあ頼むよ。もうすぐ娘も掃除を終えて来るから」
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