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一章 リアーデ編
6 リアーデの街 服屋と宿屋の母娘(親子)
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街の中に入ると、ミルを待っていたようで、一人男性が近寄ってきた。
「ミルさん遅かったじゃないですか。何かあったのかと心配で、入口まで見に来たところだったんです」
「いやぁすまないね、街の近くまで来たあたりで足を挫いてしまって、休んでいたところ、彼が助けてくれたんだよ」
「そうだったんですか。それはありがとうございます。それで足の方は?」
「大したことないさ。ご覧のとおり、歩くだけならなんともない」
そう言ってミルは、迎えに来てくれた男性の前まで歩き、足を平気だと見せた。
「それじゃあカズさん、迎えが来てくれたようなので、私はここで失礼します。今回はありがとうございました。冒険者ギルドは、一つ目の道を右に曲がって、真っ直ぐ行った突き当たりにあります」
「分かりました。ありがとうございます。それでは、足の方をお大事に」
ミルにそう言って、カズは荷物を迎えに来た人に渡し、言われた道を進み冒険者ギルドへと向かった。
周りの建物は村と比べると、ほとんどが石造りで頑丈そうだなぁ。
村の建物は、木造ばかりだったし。
キョロキョロと周りを見て歩いていたら、カズはいつの間にか冒険者ギルドの前まで来た。
……冒険者って、やっぱり厳つい人が多いのか? 入るのちょっと躊躇するなぁ。
カズは意を決して中に入った。
中には数人の人がいるだけだった。
右側には二階に上がる階段と、壁には何枚もの紙が貼ってある。
左側には四人から六人ほど座れる机と、椅子のセットが四組あった。
そして正面には受付があったので、カズはそこに向かった。
受付には若い女性職員が、一人いるだけだ。
まずい若い女性と、ほとんど話したことなんかない。
どうして話しかけよう……(緊張する)
カズが迷っていると、受付の女性が話し掛けてきた。
「冒険者ギルドへようこそ。仕事の依頼ですか? 素材の買い取りですか? それともギルドへの登録ですか?」
「あ、えーっと、ギルドに登録をしたいのですが」
「はい。ギルドへの登録ですね。ではこちらの登録用紙に、必要事項を書いて下さい」
そう言われ、俺は登録用紙に『名前、年令、性別、職業』を書いて受付の女性に渡した。(書くとこ少ないな)
「ヤマギク カズ様は旅人ですか。だから少し変わった格好をしてるんですね。あっ、失礼しました。あとは登録料1,000GLになります」
登録料がかかるのか! 俺は懐から出すふりをして【アイテムボックス】から銀貨を出し、登録料1,000GL払った。
「これで『仮登録完了』です」
「仮登録ですか?」
「はい。本登録は『ギルドカード』を受け取りのときにおこないます。ギルドの説明も、そのときいたしますのでご了承ください。ギルドカードは明日のお昼にはできますので、明日の昼から三日以内に取りにきてください。それを過ぎますと無効になり、五十日が経ちませんと、再登録はできませんのでご注意下さい」
「分かりました」
そう言ってカズはギルドを出て、今夜の宿探しと、変に思われないように、新たに服も探すことにした。
どうしようかと考えて、行商人のミルが行った方に向かえば、店が多くあるんじゃないかと思い、カズはミルが行った方向に歩き出した。
暫く歩くと、さまざまな店が見えてきた。
食堂に酒場、道具屋に武器屋、少し先に行った広場には露店が多く出ていた。
広場を見て歩いていたら、古着が出ていたので、どんな物があるか見ていたら、誰かが横からカズに声を掛けてきた。
「あなたは先程の……何かお探しで?」
声を掛けて来たのは、ミルを迎えに来ていた、30歳前後ぐらいの男性だった。
「ちょっと服を探してまして」
「この辺りでは、あまり見かけない格好ですからね。宜しければ、うちの店に来ませんか?」
「あなたのお店にですか?」
「はい。私の店の一つは、服も取り扱っていますから、どうぞお越しください」
「恥ずかしながら、手持ちがそんなにないので、古着で済まそうかと」
「でしたら、そちらの着ている物を買い取らせて下さい。珍しい物なので是非とも、それにミルさんも、お世話になったことですし」
「そうですか? ではお願いします」
「店はすぐそこですので、ご案内致します。申し遅れました。私はこのリアーデで商売をしている『シャルヴィネ』と申します」
「あ、俺は…」
「ミルさんから聞いて存じております。カズさんですね」
「あ、はいそうです。ずいぶん親しいようですが、ミルさんとは長い付き合いなんですか?」
「えぇ。私に商売の基本を教えてくれた方なんですよ。私の恩師ですね。さぁここが私の店です」
シャルヴィネの服屋に到着した。
周りと比べても遜色ない立派な店だ。
店のなかに入り、どんな服がいいか聞かれたので、動きやすい格好が良いですと言うと、幾つか勧められた。
渡された物の一つに着替えてから、着ていた上着とデニムのズボンを渡した。
じっくり見て珍しい物だと、シャルヴィネは喜んでいた。
「ではこれは、差額の買い取り代金です」
金貨二枚と銀貨五枚(25,000GL)渡された。
「こんなに? 多くないですか?」
「珍しい物を売ってもらったのと、ミルさんを助けてくださったお礼です」
「そんな大したことは、してないんですが」
「そんなことはないですよ。そのちょっとしたことが良いのです」
「ありがとうございます。あと申し訳ないのですが、どこか安い宿屋とか、ご存知ないですか?」
「それでしたら、先程の広場を抜けた先の路地にある『ココット亭』に行かれたらどうでしょうか? 旅人と行商人や冒険者など色々な方がよく使われる宿です。母と娘の二人でやっている良い宿屋ですよ」
「ココット亭ですか、分かりました行ってみます。ありがとうございました」
「こちらこそ。また何かあれば、何時でもお越しください」
シャルヴィネのお店を出たら、日が暮れて薄暗くなってきたので、急いで言われたとおり広場を抜け、先の路地に行った。
そうしたらすぐに『宿屋ココット亭』と看板が出ていたので、そのまま店の中に入った。
「いらっしゃいませ。ようこそココット亭へ」
「いらっしゃい」
活発でショートヘアーの若い女性が、元気良くあいさつしてきた。
それに続いて受付にいた、ポッチャリした年配の女性が、挨拶してきたので、受付に行き部屋の空きを尋ねた。
「あの泊まりたいんですが、部屋空いてますか?」
「一泊6,800GLで、朝か夕どちらか一食付で7,500GL。両方で8,000GLだよ。夕食付なら今からでも食べれるよ」
「とりあえず、二食付で一泊お願いします」
そう言って、一泊二食付の料金8,000GL払った。
「あいよ。食事は、そこの扉を入った所が食堂だ。部屋は娘に案内させるから」
「お客さんを部屋へ案内しておくれ」
「は~い。ただ今ご案内します。こちらへどうぞ」
娘と言われた若い女性が、二階の部屋に案内してくれた。
「お客さんのお部屋はこちらです。食事はすぐに召し上がりますか? それでしたら一階の食堂へどうぞ」
「部屋は分かりました。では食事をしたいので、食堂に行きます」
カズはそう言って食堂に行った。
するとさっきまで受付いた、年配の女性がすでに厨房で料理をしていた。
完成した料理を、娘さんが運んできた。
「早いですね。もう出来たんですか?」
「今日夕食を食べるお客さんは、あなた一人だけですから」
出てきたのは、肉野菜炒めと野菜のスープ。(どちらも味付けは、塩と何かの香草)
あとはパンだが、思ったより量がある(村の宿屋はスープがなかったが、似たような感じだったな)
「そうですか。じゃあ、いただきます」
「どうぞ。あ、私『キッシュ』って言います。それであっちが、私の母親で女将の『ココット』親子二人で店をやってます」
「カズですよろしく。キッシュさん」
食事をしていると、向かいの席に座って色々と話してきた。
なんか人懐っこくて、話やすい明るい娘だな。(親戚の子供のみたい)
「キッシュでいいですよ。カズさんは荷物があまりないようですが、旅行ですか? お仕事ですか?」
「俺は……旅をしているものだけど、今は仕事探しもしてるかな。今日冒険者ギルドで、仮登録してきたとこなんだ」
「じゃあ、冒険者になるんですか?」
「身分証がなかったから、そのために登録しようかと思ったんだけど、この辺の冒険者って何してるの?」
「う~ん、街での雑用とか、素材採取なんてのもあったかな、依頼があれば街の外で獣やモンスターの討伐なんかをやってますね」
「へぇ。結構詳しいね」
「仲良くなった冒険者のお客さんに、教えてもらったんですよ」
「そうなんだ! 話しも参考にもなったし、楽しかったよ。食事ごちそうさま」
「私もお話しできて楽しかった。いつもはお母さんに仕事しろとか、お客さん迷惑になるって、怒られるんだよね。でも今日は珍しく、何も言われなかった」
「それじゃあ、俺部屋に戻るよ」
「うん。じゃ~ね~。またお話してね」
食堂を出て、受付の横を過ぎ階段へと上がっているとき、女将のココットさんが話し掛けてきた。
「食事中に娘が悪いね」
「いえ、楽しく食事ができて良かったです」
「そうかい。娘に仕事ばかりさせてね、友達もあまりいないんだよ。また良かったら話し相手にでも、なってやってくれよ」
「えぇ構いませんよ」
「ありがとよ。兄さん」
なぜか初見で、娘の友達になってくれと、言われてるみたいだった。
そういえば、よく兄さんとか言われるな、なんでだ?
部屋に戻り、中にはベットに机と椅子が一組、壁には小さな鏡があった。
鏡を覗いて見たら、二十代の頃の俺がいた。
ステータス変更したとき、年令を24歳にしたからか、見ためが若返ったのか! (だから兄さんと言われたわけか)
こちらの世界に来てから、まだ二日目の夜か。
村から歩き二日かかる距離を、数時間で街に着いてしまったからな。
明日は、冒険者ギルドに行って本登録し、説明を聞いて……情報を集めるためには、やっぱり冒険者になった方がいいな。
所持金も心もとないし、残金35,000GL(三万五千円)か。
それなりに大きな街に来たが、やはり『電気』なんて無いな。
街頭は火だったし、宿の中もろうそくのようだ。
宿は村よりここの方が安かったな。(村でボラれたかな?)
そんなことを考えてたら、眠くなってきたので、寝ることとした。
「ミルさん遅かったじゃないですか。何かあったのかと心配で、入口まで見に来たところだったんです」
「いやぁすまないね、街の近くまで来たあたりで足を挫いてしまって、休んでいたところ、彼が助けてくれたんだよ」
「そうだったんですか。それはありがとうございます。それで足の方は?」
「大したことないさ。ご覧のとおり、歩くだけならなんともない」
そう言ってミルは、迎えに来てくれた男性の前まで歩き、足を平気だと見せた。
「それじゃあカズさん、迎えが来てくれたようなので、私はここで失礼します。今回はありがとうございました。冒険者ギルドは、一つ目の道を右に曲がって、真っ直ぐ行った突き当たりにあります」
「分かりました。ありがとうございます。それでは、足の方をお大事に」
ミルにそう言って、カズは荷物を迎えに来た人に渡し、言われた道を進み冒険者ギルドへと向かった。
周りの建物は村と比べると、ほとんどが石造りで頑丈そうだなぁ。
村の建物は、木造ばかりだったし。
キョロキョロと周りを見て歩いていたら、カズはいつの間にか冒険者ギルドの前まで来た。
……冒険者って、やっぱり厳つい人が多いのか? 入るのちょっと躊躇するなぁ。
カズは意を決して中に入った。
中には数人の人がいるだけだった。
右側には二階に上がる階段と、壁には何枚もの紙が貼ってある。
左側には四人から六人ほど座れる机と、椅子のセットが四組あった。
そして正面には受付があったので、カズはそこに向かった。
受付には若い女性職員が、一人いるだけだ。
まずい若い女性と、ほとんど話したことなんかない。
どうして話しかけよう……(緊張する)
カズが迷っていると、受付の女性が話し掛けてきた。
「冒険者ギルドへようこそ。仕事の依頼ですか? 素材の買い取りですか? それともギルドへの登録ですか?」
「あ、えーっと、ギルドに登録をしたいのですが」
「はい。ギルドへの登録ですね。ではこちらの登録用紙に、必要事項を書いて下さい」
そう言われ、俺は登録用紙に『名前、年令、性別、職業』を書いて受付の女性に渡した。(書くとこ少ないな)
「ヤマギク カズ様は旅人ですか。だから少し変わった格好をしてるんですね。あっ、失礼しました。あとは登録料1,000GLになります」
登録料がかかるのか! 俺は懐から出すふりをして【アイテムボックス】から銀貨を出し、登録料1,000GL払った。
「これで『仮登録完了』です」
「仮登録ですか?」
「はい。本登録は『ギルドカード』を受け取りのときにおこないます。ギルドの説明も、そのときいたしますのでご了承ください。ギルドカードは明日のお昼にはできますので、明日の昼から三日以内に取りにきてください。それを過ぎますと無効になり、五十日が経ちませんと、再登録はできませんのでご注意下さい」
「分かりました」
そう言ってカズはギルドを出て、今夜の宿探しと、変に思われないように、新たに服も探すことにした。
どうしようかと考えて、行商人のミルが行った方に向かえば、店が多くあるんじゃないかと思い、カズはミルが行った方向に歩き出した。
暫く歩くと、さまざまな店が見えてきた。
食堂に酒場、道具屋に武器屋、少し先に行った広場には露店が多く出ていた。
広場を見て歩いていたら、古着が出ていたので、どんな物があるか見ていたら、誰かが横からカズに声を掛けてきた。
「あなたは先程の……何かお探しで?」
声を掛けて来たのは、ミルを迎えに来ていた、30歳前後ぐらいの男性だった。
「ちょっと服を探してまして」
「この辺りでは、あまり見かけない格好ですからね。宜しければ、うちの店に来ませんか?」
「あなたのお店にですか?」
「はい。私の店の一つは、服も取り扱っていますから、どうぞお越しください」
「恥ずかしながら、手持ちがそんなにないので、古着で済まそうかと」
「でしたら、そちらの着ている物を買い取らせて下さい。珍しい物なので是非とも、それにミルさんも、お世話になったことですし」
「そうですか? ではお願いします」
「店はすぐそこですので、ご案内致します。申し遅れました。私はこのリアーデで商売をしている『シャルヴィネ』と申します」
「あ、俺は…」
「ミルさんから聞いて存じております。カズさんですね」
「あ、はいそうです。ずいぶん親しいようですが、ミルさんとは長い付き合いなんですか?」
「えぇ。私に商売の基本を教えてくれた方なんですよ。私の恩師ですね。さぁここが私の店です」
シャルヴィネの服屋に到着した。
周りと比べても遜色ない立派な店だ。
店のなかに入り、どんな服がいいか聞かれたので、動きやすい格好が良いですと言うと、幾つか勧められた。
渡された物の一つに着替えてから、着ていた上着とデニムのズボンを渡した。
じっくり見て珍しい物だと、シャルヴィネは喜んでいた。
「ではこれは、差額の買い取り代金です」
金貨二枚と銀貨五枚(25,000GL)渡された。
「こんなに? 多くないですか?」
「珍しい物を売ってもらったのと、ミルさんを助けてくださったお礼です」
「そんな大したことは、してないんですが」
「そんなことはないですよ。そのちょっとしたことが良いのです」
「ありがとうございます。あと申し訳ないのですが、どこか安い宿屋とか、ご存知ないですか?」
「それでしたら、先程の広場を抜けた先の路地にある『ココット亭』に行かれたらどうでしょうか? 旅人と行商人や冒険者など色々な方がよく使われる宿です。母と娘の二人でやっている良い宿屋ですよ」
「ココット亭ですか、分かりました行ってみます。ありがとうございました」
「こちらこそ。また何かあれば、何時でもお越しください」
シャルヴィネのお店を出たら、日が暮れて薄暗くなってきたので、急いで言われたとおり広場を抜け、先の路地に行った。
そうしたらすぐに『宿屋ココット亭』と看板が出ていたので、そのまま店の中に入った。
「いらっしゃいませ。ようこそココット亭へ」
「いらっしゃい」
活発でショートヘアーの若い女性が、元気良くあいさつしてきた。
それに続いて受付にいた、ポッチャリした年配の女性が、挨拶してきたので、受付に行き部屋の空きを尋ねた。
「あの泊まりたいんですが、部屋空いてますか?」
「一泊6,800GLで、朝か夕どちらか一食付で7,500GL。両方で8,000GLだよ。夕食付なら今からでも食べれるよ」
「とりあえず、二食付で一泊お願いします」
そう言って、一泊二食付の料金8,000GL払った。
「あいよ。食事は、そこの扉を入った所が食堂だ。部屋は娘に案内させるから」
「お客さんを部屋へ案内しておくれ」
「は~い。ただ今ご案内します。こちらへどうぞ」
娘と言われた若い女性が、二階の部屋に案内してくれた。
「お客さんのお部屋はこちらです。食事はすぐに召し上がりますか? それでしたら一階の食堂へどうぞ」
「部屋は分かりました。では食事をしたいので、食堂に行きます」
カズはそう言って食堂に行った。
するとさっきまで受付いた、年配の女性がすでに厨房で料理をしていた。
完成した料理を、娘さんが運んできた。
「早いですね。もう出来たんですか?」
「今日夕食を食べるお客さんは、あなた一人だけですから」
出てきたのは、肉野菜炒めと野菜のスープ。(どちらも味付けは、塩と何かの香草)
あとはパンだが、思ったより量がある(村の宿屋はスープがなかったが、似たような感じだったな)
「そうですか。じゃあ、いただきます」
「どうぞ。あ、私『キッシュ』って言います。それであっちが、私の母親で女将の『ココット』親子二人で店をやってます」
「カズですよろしく。キッシュさん」
食事をしていると、向かいの席に座って色々と話してきた。
なんか人懐っこくて、話やすい明るい娘だな。(親戚の子供のみたい)
「キッシュでいいですよ。カズさんは荷物があまりないようですが、旅行ですか? お仕事ですか?」
「俺は……旅をしているものだけど、今は仕事探しもしてるかな。今日冒険者ギルドで、仮登録してきたとこなんだ」
「じゃあ、冒険者になるんですか?」
「身分証がなかったから、そのために登録しようかと思ったんだけど、この辺の冒険者って何してるの?」
「う~ん、街での雑用とか、素材採取なんてのもあったかな、依頼があれば街の外で獣やモンスターの討伐なんかをやってますね」
「へぇ。結構詳しいね」
「仲良くなった冒険者のお客さんに、教えてもらったんですよ」
「そうなんだ! 話しも参考にもなったし、楽しかったよ。食事ごちそうさま」
「私もお話しできて楽しかった。いつもはお母さんに仕事しろとか、お客さん迷惑になるって、怒られるんだよね。でも今日は珍しく、何も言われなかった」
「それじゃあ、俺部屋に戻るよ」
「うん。じゃ~ね~。またお話してね」
食堂を出て、受付の横を過ぎ階段へと上がっているとき、女将のココットさんが話し掛けてきた。
「食事中に娘が悪いね」
「いえ、楽しく食事ができて良かったです」
「そうかい。娘に仕事ばかりさせてね、友達もあまりいないんだよ。また良かったら話し相手にでも、なってやってくれよ」
「えぇ構いませんよ」
「ありがとよ。兄さん」
なぜか初見で、娘の友達になってくれと、言われてるみたいだった。
そういえば、よく兄さんとか言われるな、なんでだ?
部屋に戻り、中にはベットに机と椅子が一組、壁には小さな鏡があった。
鏡を覗いて見たら、二十代の頃の俺がいた。
ステータス変更したとき、年令を24歳にしたからか、見ためが若返ったのか! (だから兄さんと言われたわけか)
こちらの世界に来てから、まだ二日目の夜か。
村から歩き二日かかる距離を、数時間で街に着いてしまったからな。
明日は、冒険者ギルドに行って本登録し、説明を聞いて……情報を集めるためには、やっぱり冒険者になった方がいいな。
所持金も心もとないし、残金35,000GL(三万五千円)か。
それなりに大きな街に来たが、やはり『電気』なんて無いな。
街頭は火だったし、宿の中もろうそくのようだ。
宿は村よりここの方が安かったな。(村でボラれたかな?)
そんなことを考えてたら、眠くなってきたので、寝ることとした。
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