上 下
4 / 5

俺の幼馴染みはとてつもなく可愛い。

しおりを挟む
「僕、森口しんって言うの!あなたのお名前は??」

幼稚園の入園式後、初めてのクラスメートの中でも俺と席が隣だった真は、俺に話しかけてくれた。
当時の真はまごうことなく天使だった。
つやつやとして天使のわっかがある綺麗な黒髪に、今にもこぼれ落ちてしまいそうな飴色の瞳。
なにも塗っていないはずの唇は果実かのようにぷるぷるとしていて今思うとその場で食べてしまえば良かった。

「俺は佐野しょうた、だよ!よろしくな!真!!」

年齢が小さかったのもあり保護者が居ないところでは遊べなかったので、俺たちの活動範囲は園内だけだった。
小学生に上がった俺は、その後この状況がどれだけ恵まれていたか思い知ることになる。


事件があったのは小学校にも慣れていた夏休み前のこと。
この日はたまたま昇降口で会った真と、久しぶりに一緒に帰っていた。
小学校ではクラスがバラバラになってしまった俺たちは話すこと事態が久しぶりだった。

だから背後から忍び寄ってくる黒いバンに気づかなかった。
意識を失う前に見たのは真が黒い何かに覆われているところ。



意識を取り戻して最初に目に入ったのはガムテープで口元を止められて、俺の前に横たわる真。
声を出そうとしても俺の口から言葉が発せられることはなかった。

いまでも誘拐犯が言っていたことを一語一句覚えている。
あいつらは真を見て、可愛いと。
「児童ポルノに出すつもりで攫ったけどまず俺が具合を見てもいいよな?」
「処女の方が高く付くんだから手を出すなよ。」
と、そう言ったんだ。
真を児童ポルノ?処女?
俺はその時それらの意味が分からなかった。
でも、こいつらが真を傷つけようとしているのだけは理解出来た。
目が覚めているのは俺だけで、真はまだ眠ったままだった。
いっそそのまま眠っていてほしかった。
こんな穢れていて、汚いやつらを真の視界に入ってほしくなかった。

男たちがカチャカチャと機械の準備をし始めたとき、真の目が覚めてしまった。
きっと最初はこの状況を理解出来なかったんだろう。
俺と目を合わせて、しばらく俺と目を合わせた後キョロキョロと周りを観察すると、自分が誘拐されたことを理解し、酷く怯え始めた。
嗚咽が漏れはじめた真に男が気づき、周りの奴に声をかける。
すると男たちはあろうことか真に跨がったのだ。

一人はカメラを構え、一人は真の着ていた衣服を脱がせ始めた。

やめてくれ!その汚い手で真に触れないで!!!
今まで静かだった俺が暴れたことで服をぬがせていた手が止まる。
綺麗な雫を沢山溜めた目がこっちを向く。
そう、俺だけを見てて。
俺だけを_____






俺はそのあと殴られ気絶。
再び目を覚ますと俺は病院のベッドで寝ていた。
親と警察が言っていたのは、連れ去られるところを見ていた人が警察に通報してくれていたらしく、車の車種とナンバーが分かっていたため真は行為をされることなく返された。

真はショックによりこの一連の騒動のことだけを忘れてしまった。
俺はそれが嬉しかった。
あの男たちのことを忘れていてくれて、無垢な真のまま俺の手元に戻ってきたんだと。

それから俺は真を守れるように勉強し、知識を身につけた。
真がおれから離れていかないように俺は真がいないと生きていけないということを真に染みこませた。
いざという時に真を守れるように身体も鍛えた。

全て俺の真のため。
同じ高校にいけるように真の説得もした。

この先、真が家をでようものなら俺も着いていくし、就職するようなら俺も同じところに受かって見せよう。
なんなら俺から離れられないように俺が真を雇ってもいい。
真が離れていかないように何でもする。

これが俺の生きる意味だから。
真が俺のそばで幸せで居てくれることが。
俺のそばで、だけどね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者は俺にだけ冷たい

円みやび
BL
藍沢奏多は王子様と噂されるほどのイケメン。 そんなイケメンの婚約者である古川優一は日々の奏多の行動に傷つきながらも文句を言えずにいた。 それでも過去の思い出から奏多との別れを決意できない優一。 しかし、奏多とΩの絡みを見てしまい全てを終わらせることを決める。 ザマァ系を期待している方にはご期待に沿えないかもしれません。 前半は受け君がだいぶ不憫です。 他との絡みが少しだけあります。 あまりキツイ言葉でコメントするのはやめて欲しいです。 ただの素人の小説です。 ご容赦ください。

潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話

あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは マフィアのボスの愛人まで潜入していた。 だがある日、それがボスにバレて、 執着監禁されちゃって、 幸せになっちゃう話 少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に メロメロに溺愛されちゃう。 そんなハッピー寄りなティーストです! ▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、 雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです! _____ ▶︎タイトルそのうち変えます 2022/05/16変更! 拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話 ▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です 2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。   ▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎ _____

俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

葉月
BL
彼女に振られた夜、何もかも平凡な『佐々木真司』は、何もかも完璧な『立花蓮』に、泥酔していたところを介抱してもらったと言う、最悪な状態で出会った。 真司は蓮に何かお礼がしたいと申し出ると、蓮は「私の手料理を一緒に食べていただけませんか?』と言われ… 平凡なサラリーマンもエリートサラリーマン。住む世界が違う二人が出会い。 二人の関係はどう変わっていくのか… 平凡サラリーマン×スパダリサラリーマンの、濃厚イチャラブストーリー♡ 本編(攻め、真司)終了後、受け蓮sideがスタートします。 エロ濃厚な部分は<エロス>と、記載しています。 本編は完結作品です٩(๑´꒳ `๑٩) 他にも何点か投稿しているので、もし宜しければ覗いてやってください(❃´◡`❃)

ゲイバレした学年一のイケメンは、その日の放課後、陰キャで平凡な俺を犯した

しゅうじつ
BL
学年一のイケメン、玉木 宝一郎がゲイバレした。 学校中は大騒ぎするなか、ひとつの疑問が皆の頭に浮かぶ。 学年一のイケメン、玉木 宝一郎がが好きな相手は誰なのか。 その日の放課後、陰キャでゲームオタクの俺は偶然、そのイケメン玉木宝一郎と遭遇し、なぜか密室に閉じ込められ2人きりに。 陰キャで平凡のゲームオタクに、とてつもなく執着している美形くんのお話。 美形攻め×平凡受け

【本編完結】オメガだからって甘く見てるから溺愛する羽目になるんだよっ!

天田れおぽん
BL
♡ 番わせました ♡ ❁「第11回BL小説大賞」参加します ❁ 本編の改稿、入れ替えは終了しました。 第11回BL小説大賞」参加しておりますのでよろしくお願い致します。 『オメガだからって溺愛したわけじゃないんだよっ』の第二話が変な位置にありましたので修正しました。       m(_ _)m ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆  結婚って、こんなもんだっけ?  ご機嫌で風呂から上がってきたオレはドアを開けて驚いた。  素っ裸の知らない男がベッドの上にいたからだ。 「やあ。はじめまして。わたしが今日からキミの夫になるルノワールだ」 「あっ、ああ。オレはミカエルだ」 「さぁミカエル。初夜を始めようか」 「……はぁ? 白い結婚じゃなかったのかよ」 「何を言ってるんだキミは。オメガにヤる以外の価値などない」 「そんなわけあるかぁっ!」  裸の股間を蹴り飛ばして始まる、ふたりの物語 ――――。 ♪ ―――――――――――――― ♪        登場人物 ミカエル・ランバート伯爵家子息(18歳) オメガ男子 魔道具作りの天才 魔力も高い 薄茶の髪と瞳 色気のある小悪魔系 オメガとしては大きい身長178センチ ルノワール・シェリング侯爵(22歳) アルファ男子 剣術が得意 銀髪青い目 女性っぽい美形 アルファとしては小ぶりで細身な身長182センチ 能力は高いが、女っぽい見た目で損している ※ ゆるゆる設定です ・なんちゃってオメガバース ・異世界なんで魔法使える ・オメガが無双する ・アルファは残念カワイイ(予定) ・保険的ゆるゆるR18

ざまぁされた小悪党の俺が、主人公様と過ごす溺愛スローライフ!?

嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
わんこ系執着攻めヒーロー×卑屈な小悪党転生者、凸凹溺愛スローライフ!? やり込んでいたゲームそっくりの世界に異世界転生して、自分こそがチート主人公だとイキリまくっていた男、セイン……こと本名・佐出征時。 しかし彼は、この世界の『真の主人公』である青年ヒイロと出会い、彼に嫉妬するあまり殺害計画を企て、犯罪者として追放されてしまう。 自分がいわゆる『ざまぁされる悪役』ポジションだと気付いたセインは絶望し、孤独に野垂れ死ぬ……はずが!! 『真の主人公』であるヒイロは彼を助けて、おまけに、「僕は君に惚れている」と告げてきて!? 山奥の小屋で二人きり、始まるのは奇妙な溺愛スローライフ。 しかしどうやら、ヒイロの溺愛にはワケがありそうで……? 凸凹コンビな二人の繰り広げるラブコメディです。R18要素はラストにちょこっとだけ予定。 完結まで執筆済み、毎日投稿予定。

虎獣人から番になってと迫られて、怖がりの僕は今にも失神しそうです(した)

兎騎かなで
BL
文学部の大学生、紺野静樹は突然異世界に飛ばされ、虎顔の獣人と出会った。怖がりの静樹は内心大パニック。 「と、虎⁉︎ 牙が怖すぎるっ、食べられる……! あ、意識が……」 「わーい! やっと起きたね人間さん! ……あれ、また寝ちゃったの?」 どうやら見た目は恐ろしいが親切な白虎の獣人、タオに保護されたらしい。 幼い頃に猫に噛まれたせいで獣の牙が大の苦手である静樹は、彼の一挙一動にびくびくと怯えてしまう。 そんな中、タオは静樹を番にしたいと迫ってきて……? 「シズキってかわいくっていい匂いだね、大好きだよ! 番になってほしいなあ」 「嫌です無理です、死んじゃいます……っ!」 無邪気な虎獣人と、臆病な異世界人のドタバタラブストーリー。 流血表現あります。

βの僕、激強αのせいでΩにされた話

ずー子
BL
オメガバース。BL。主人公君はβ→Ω。 αに言い寄られるがβなので相手にせず、Ωの優等生に片想いをしている。それがαにバレて色々あってΩになっちゃう話です。 β(Ω)視点→α視点。アレな感じですが、ちゃんとラブラブエッチです。 他の小説サイトにも登録してます。

処理中です...