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僕の幼馴染みは顔面詐欺だ。
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「ねえ、早く起きてよ。僕まで遅刻しちゃうでしょ?本当に寝汚いなあ・・・」
僕、森口真は朝から不平不満を吐いていた。
勿論好きでこんなことをしているわけではないのだが。
「うぅん・・、あと五分・・。」
原因はこれ、僕の幼馴染みである佐野翔太のせいだ。
幼稚園の時からの付き合いであるこの男は所謂”ダメ男”と呼ばれる部類の人間だった。
容姿は申し分ないくらい整っている。
ふわふわと思わず撫でたくなるような明るい茶色の髪に、引き込まれるようなエメラルドグリーンの瞳。
きっとこの容姿に騙されて近づく奴は翔太の生活能力のなさに幻滅し、三日と立たず離れていくだろう。
十二年間も付き合っている僕が言うんだから間違いない、断言する。
翔太と言う人間は朝は起きられないし、食事中はぽろぽろと食べ物を落とし、置き忘れは勿論、携帯を握りしめているというのに「あれ?携帯どこ行った?」なんていう始末である。老人か。
本当に幼稚園の時に会った以来全く成長していないのだ。
放っておく訳にもいかないので、仕方なく真が毎朝起こしに来ているのだ。
真は幼稚園の時からずっとこいつのお世話係をしている。
「んん・・・、ぁあ、しん・・?おはよぅ・・・。」
「おはようじゃないよ、もうっ早く着替えて朝ご飯食べなよ。あと三十分で出るよ。」
目が覚めたららしい翔太をベッドから引きずり下ろし、制服をハンガーごと投げつけた。
痛いよ~なんて声が聞こえるがそんなことお構いなしに翔太のバッグをあさり中身を整える。
「え、翔太、教材は?置いてきたの?今日締め切りの課題やった?」
「あ~・・・、今日だっけ?まだ終わってないかも・・・、真見せて?」
「はいはい。ほんと、感謝してよね。」
着替え終わり完全に目が覚めたらしい翔太は「今日もありがとう」というと僕のほっぺたにチュッとキスをする。
「だから、それ辞めろっていってるでしょ。なんでキスするの?」
「いつも言ってるでしょ?お礼のチューだよって。もうこのやりとり十二年間やってるんだから慣れてよ。」
パチンとウインクする仕草でさえ様になっているのだから気障な男だ。
だがしかし目線を顔から下にずらしてみると、ワイシャツのボタンを途中から掛け違えていた。
せっかくの顔面偏差値が台無しである。
「えぇ・・、翔太、ボタン掛け違えてる。ほらちゃんと立って。」
バタンも留められないのかと呆れながらも直してやる。
「本当に翔太は僕がいないと駄目なんだから!」
「そうだね。俺はもう真がいないと死んじゃうかもね。」
「・・・くだらないこと言ってないでさっさとご飯食べなよ。」
翔太のワイシャツの袖をひっつかむとダイニングまで引っ張った。
こいつには僕がいないと本当に駄目だと思う。
「真が居なくなったら俺ナニするかわかんないよ。」
だからちゃんとお世話してね。真。
僕、森口真は朝から不平不満を吐いていた。
勿論好きでこんなことをしているわけではないのだが。
「うぅん・・、あと五分・・。」
原因はこれ、僕の幼馴染みである佐野翔太のせいだ。
幼稚園の時からの付き合いであるこの男は所謂”ダメ男”と呼ばれる部類の人間だった。
容姿は申し分ないくらい整っている。
ふわふわと思わず撫でたくなるような明るい茶色の髪に、引き込まれるようなエメラルドグリーンの瞳。
きっとこの容姿に騙されて近づく奴は翔太の生活能力のなさに幻滅し、三日と立たず離れていくだろう。
十二年間も付き合っている僕が言うんだから間違いない、断言する。
翔太と言う人間は朝は起きられないし、食事中はぽろぽろと食べ物を落とし、置き忘れは勿論、携帯を握りしめているというのに「あれ?携帯どこ行った?」なんていう始末である。老人か。
本当に幼稚園の時に会った以来全く成長していないのだ。
放っておく訳にもいかないので、仕方なく真が毎朝起こしに来ているのだ。
真は幼稚園の時からずっとこいつのお世話係をしている。
「んん・・・、ぁあ、しん・・?おはよぅ・・・。」
「おはようじゃないよ、もうっ早く着替えて朝ご飯食べなよ。あと三十分で出るよ。」
目が覚めたららしい翔太をベッドから引きずり下ろし、制服をハンガーごと投げつけた。
痛いよ~なんて声が聞こえるがそんなことお構いなしに翔太のバッグをあさり中身を整える。
「え、翔太、教材は?置いてきたの?今日締め切りの課題やった?」
「あ~・・・、今日だっけ?まだ終わってないかも・・・、真見せて?」
「はいはい。ほんと、感謝してよね。」
着替え終わり完全に目が覚めたらしい翔太は「今日もありがとう」というと僕のほっぺたにチュッとキスをする。
「だから、それ辞めろっていってるでしょ。なんでキスするの?」
「いつも言ってるでしょ?お礼のチューだよって。もうこのやりとり十二年間やってるんだから慣れてよ。」
パチンとウインクする仕草でさえ様になっているのだから気障な男だ。
だがしかし目線を顔から下にずらしてみると、ワイシャツのボタンを途中から掛け違えていた。
せっかくの顔面偏差値が台無しである。
「えぇ・・、翔太、ボタン掛け違えてる。ほらちゃんと立って。」
バタンも留められないのかと呆れながらも直してやる。
「本当に翔太は僕がいないと駄目なんだから!」
「そうだね。俺はもう真がいないと死んじゃうかもね。」
「・・・くだらないこと言ってないでさっさとご飯食べなよ。」
翔太のワイシャツの袖をひっつかむとダイニングまで引っ張った。
こいつには僕がいないと本当に駄目だと思う。
「真が居なくなったら俺ナニするかわかんないよ。」
だからちゃんとお世話してね。真。
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