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第2章:AIオートマトンの退廃――人間を求めし末路の体現
2章5話 卑猥なハプニング[挿絵あり]
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「おお、でっかあ……」
退廃都市レッドメイルには大都市ラブシェリーより貸し出された小型移動用の機体で向かうとクイーンハートより聞いていた湊。しかしその機体はこれでも小型なのかと、旅客機程の大きさがあり驚いていた。
6人で使用するには十分に大きすぎる機体であり、恐らくはかなりゆったりとリラックスして移動することができるであろう。
「す、凄いなこの機体!これがテクノロジーの産物かあ。ふんふんふん」
「す、凄いですううう。これに乗ってレッドメイルに行くんだね。ちょっとだけ旅路は楽しそうかも」
ブラックピースとホワイトピースの両者もその機体の大きさに驚いているようであった。
機体は全身が黒色であり、金属的なてかりが非常にカッコイイものであった。
しかし気になる所があり――
「レミー、1ついいか。これで退廃都市レッドメイルに移動するとして、こんな機体で向かったら相手にも勘付かれんじゃないのか……」
湊の心配も当然のもので、レッドメイルにこのような機体で向かったのなら、ペペルカや AIプラグマター、エイリアスダンショウに警戒される可能性があるのではと考えた。
しかし――
「湊様、ご安心を。この機体は光学迷彩機能がございます。相手に気づかれずに移動することも容易です」
「光学迷彩機能まであるのか……すげえなおい」
湊の心配も杞憂に終わったようで、光学迷彩機能により、その姿を透明化するようであった。そのため、相手にもこちらの動向を悟られずに済む。
「湊きゅん、そして他のみんな。退廃都市レッドメイルでは、くれぐれも自身の命を優先して行動するんだよ。いいね」
クイーンハートの助言を貰いながら、一同は機体に乗り込み始めた。
「行ってくるぜクイーンハート!俺とミミを襲ったペペルカ野郎をぶっ倒してくる」
「お兄さんと一緒に、彼女らの殲滅、きっと果たしてきます」
「湊様含め、皆さん全員で帰還できるように全力でサポートして参ります、クイーンハート校長」
「行ってくるわクイーンハート校長。まあ、ホワイトの命は僕がちゃんと守ってあげるからさ、ふんふんふん」
「い、行ってきますね校長。き、きっと皆んな無事で戻ってきます、からあ……でもちょっと不安……」
「行ってくるのにゃクイーンハート!!湊は飼い主である僕がちゃんと面倒見てやるのにゃる!安心するのじゃ!」
皆が機体に乗り込みながら、クイーンハートに出陣の言葉を送った。
「行ってらっしゃい、みんな――」
機体が浮遊し始め、上空まで瞬時に移動、その後に光学迷彩により透明化して姿を消した。徐々にクイーンハートの姿が小さくなり、湊達は退廃都市レッドメイルへと出発した。
「レミー、レッドメイルまでどれくらい時間が掛かるんだ?」
「およそ1日程度でしょうか」
「1日!?こんなに早い速度でこの機体は移動しているのに、1日は掛かるのかよ」
湊達一行はレッドメイルに移動し始めた訳だが、現在この機体は非常に早い速度で移動をしている。それなのに、その退廃都市レッドメイルに移動するのに1日は掛かるというのだ。
「湊様、ワールドインパクトでは魔法の世界と地球の地形が融合しました。そのため大陸はその形を変え、面積も非常に大きなものとなりました。それもあり、移動にもある程度時間が掛かります」
「そうなの……か。まあ、この広々とした機体なら1日時間が掛かってもくつろげるけどさ」
ワールドインパクトによる地形の融合により、大陸は非常に大きなものへと変化しているようであった。そのため、この機体でも退廃都市レッドメイルには移動に時間が掛かるらしい。
「時間が掛かるのは分かったにゃるが、ずっとジッと座っているのも暇にゃるね」
「ふふ。マーニャ様の言う通り、少々暇な時間が続くかもしれませんね。しかし、皆さんに配ったイヤリング型携帯端末は映画をみたり、ゲームをしたりもできますよ」
そう言ってレミーはマーニャの端末を起動させて、様々な動画を見せてあげた。
「どうですかマーニャ様?好きな動画はございましたか?」
「凄い技術なるねこのイヤリング。こんなふうに映像を見ることもできるのかにゃ。僕はこのほのぼの猫ちゃんの日常動画が気にいったのじゃ」
マーニャはいくつかの動画を閲覧する中で、ある配信者がアップロードしていた猫ちゃんの動画を気に入ったようであった。
「流石が猫同士だなマーニャ!好きな動画も猫に関するものなんて、ふんふんふん」
ブラックピースはいつも通りマーニャに茶々を入れた。
「うるさいにゃる。お前は黙ってろにゃる。他にも見てみるのじゃ」
そう言ってマーニャは端末を操作して、様様な動画コンテンツを漁っていった。すると、空中に投影されるモニターにある表示されるあるアイコンに注目した。
「ん、このR18って書かれている動画はなんなのにゃ?」
「え、ちょ、ちょっとそれは……マ、マーニャ様には早すぎます」
レミーが何かに気づいたようにマーニャに呟いたが、それに気づかずに彼女はそのR18と書かれた動画を押してしまった。
「う、うわあ何にゃるこれええ!!」
その映像には2体の可愛らしいAIオートマトンが映されており、1体の男性個体を全裸で囲んでいる動画が映し出された。さらには何やらオイルのような液体を身体に塗り、非常に卑猥な内容の動画が流され始めた。さらに音量設定をミスったのか、機体内に爆音でいやらしい音声が流れてしまった。
「お、お“お”お“お”、これは、アダルトコンテンツにゃるかあ“あ”!!」
「うわ、マーニャ!!何て動画を見てんだよお前えええ!!」
「違うのじゃ湊!!アダルト動画なんて知らないで開いたのじゃ!!誤解じゃああ!!」
マーニャは急いで動画コンテンツを閉じようと、空中に投影されたモニターを連打し始めた。
しかし――
「なんじゃあああ!?僕は動画を閉じるボタンを押したはずなのじゃ!!なんか別の動画が開いたのじゃ!てかこれもアダルト動画にゃるう!なんじゃああああ!?」
「マ、マーニャ様!間違って広告を押してしまっています!」
「こ、広告じゃと!?」
マーニャは動画を止めるためにバツボタンを押したつもりであったが、その直後に別の広告バナーが表示されて、動画再生終了を阻止されてしまった。代わりにその広告先の変態動画も押下して流してしまった。
「くそ、止まれ、止まるにゃる!!くそおおお!」
マーニャはパニックになり、ボタンを適当に連打しまくった。その結果、何やら別の広告バナーを押したようで――
「うわあ、今度はなんじゃああ!?ウ、ウイルスが検出されましたじゃとおお!?お、お金も請求されているにゃる。何?サブスクライブオプション加入……お、お金が掛かるコンテンツを押してしまったのかにゃあ!!」
「マーニャ様、大丈夫です!真に受けてはなりません!それは詐欺広告ですので、そのまま動画を閉じてもらっても大丈夫です!!」
マーニャが押した広告バナーは他のサイトにリンクされており、ウイルス検出の赤文字が大きく表示される形となった。さらにはそのサブスクライブオプションに加入しましたとの文字が表示され、お金が請求される警告が画面に映し出された。
レミーはつかさずにそれは詐欺広告ですとフォローを入れた。
「マ、マーニャさん、だ、大丈夫!!」
ミミがその騒動が心配になり、マーニャの元に駆け寄った。そしてフォローを入れようと彼女の画面に目をやるが……
「こ、これは……す、凄い卑猥な……お、お兄さんはみちゃだめ!!」
ミミは湊の目を隠すように手を配置して、その動画の内容を確認した。あらゆる広告をパニックで押しまくったマーニャのモニターには、あらゆるR18動画が表示されていた。
「レ、レミーちゃん、これは一体……」
「ミミちゃん、その……AIオートマトンにもせ、性欲があるの。せ、説明したみたいに、ファミリー個体が現在、大都市ラブシェリーの主流で……そ、その、男性個体のために、あ、アダルト動画も一般に流通してるの!!」
ミミはレミーにそのAIオートマトン同士のR18動画に説明を求めた。見た目は人間と変わらないため、ミミ達から見てもかなり卑猥な内容であった。しかし、 AIオートマトン同士のプレー動画が流通しているのは一見不思議に思えた。AIオートマトンがR18動画等に興味があるのかと。
しかし、レミーが昨日説明したファミリー個体は生殖可能な個体であり、それを鑑みるに、性欲を満たすためにこのような動画が流通していても不思議なものではなかった。
「そ、それは分かったけど……でも、例えばこの動画は一体……」
ミミは湊の目を押さえながら、顔を真っ赤にしてある1つの動画を指差した。その動画は、2人の男女の AIオートマトンが互いにオイルらしきものを手に取り、あれこれ卑猥な行動を行う内容であった。
「ミ、ミミちゃん……こ、これは、その、『オイルもの』と呼ばれるジャンルのR18動画で……」
「オ、オイルものだと!!」
ミミに目を塞がれた湊が、そのレミーの『オイルもの』という言葉に反応を示した。
「そ、そうです…… AIオートマトンの機械部品に必要な潤滑オイルを、その、過剰に注入して……動作の滑らかさを向上させて、いろいろ、めちょめちょする内容でして……」
「そんな AIオートマトンの性癖なんて知らねえにゃるよ!!聞いてねえにゃる!!いいからこの動画を止めてくれなのじゃあ”!!」
レミーがAIオートマトンの間で流行している『オイルもの』というジャンルの動画の説明を始めが、そんなの聞いてない聞きたくないとマーニャが反応し、怒鳴り声をあげた。
「はい!只今動画をお止めします、マーニャ様!」
顔を真っ赤にするレミーがマーニャの端末を操作し始めた。1つずつ確実に動画を閉じていき、全てのR18動画を終了することに成功した。
「ぐふん、ぐふん。ミ、ミミー!」
マーニャが泣きながらミミの元へと向かい、彼女に抱きしめてもらった。
「よしよし、怖かったねマーニャさん」
「うん……怖かったよミミー。お金を請求された時はどうしようかと思ったにゃる。ぐすん」
ミミが優しくマーニャを撫で撫でし、優しく諭した。
「マーニャさん、こういう動画はもっと成長してから一緒にみようね」
「うん……気をつけるにゃる、ミミ……」
「よしよし、マーニャさん、怖かったね。大丈夫だよ」
湊はミミとマーニャの会話に違和感を覚えたが、一先ずこの騒動は落ち着いたためよしとした。
「はあ、これもファミリー個体が人間を求めすぎたことで生じた欠陥なのかもなあ……はあ」
湊はそっと機体の外へと目線を移して、そう呟いたのであった。
退廃都市レッドメイルには大都市ラブシェリーより貸し出された小型移動用の機体で向かうとクイーンハートより聞いていた湊。しかしその機体はこれでも小型なのかと、旅客機程の大きさがあり驚いていた。
6人で使用するには十分に大きすぎる機体であり、恐らくはかなりゆったりとリラックスして移動することができるであろう。
「す、凄いなこの機体!これがテクノロジーの産物かあ。ふんふんふん」
「す、凄いですううう。これに乗ってレッドメイルに行くんだね。ちょっとだけ旅路は楽しそうかも」
ブラックピースとホワイトピースの両者もその機体の大きさに驚いているようであった。
機体は全身が黒色であり、金属的なてかりが非常にカッコイイものであった。
しかし気になる所があり――
「レミー、1ついいか。これで退廃都市レッドメイルに移動するとして、こんな機体で向かったら相手にも勘付かれんじゃないのか……」
湊の心配も当然のもので、レッドメイルにこのような機体で向かったのなら、ペペルカや AIプラグマター、エイリアスダンショウに警戒される可能性があるのではと考えた。
しかし――
「湊様、ご安心を。この機体は光学迷彩機能がございます。相手に気づかれずに移動することも容易です」
「光学迷彩機能まであるのか……すげえなおい」
湊の心配も杞憂に終わったようで、光学迷彩機能により、その姿を透明化するようであった。そのため、相手にもこちらの動向を悟られずに済む。
「湊きゅん、そして他のみんな。退廃都市レッドメイルでは、くれぐれも自身の命を優先して行動するんだよ。いいね」
クイーンハートの助言を貰いながら、一同は機体に乗り込み始めた。
「行ってくるぜクイーンハート!俺とミミを襲ったペペルカ野郎をぶっ倒してくる」
「お兄さんと一緒に、彼女らの殲滅、きっと果たしてきます」
「湊様含め、皆さん全員で帰還できるように全力でサポートして参ります、クイーンハート校長」
「行ってくるわクイーンハート校長。まあ、ホワイトの命は僕がちゃんと守ってあげるからさ、ふんふんふん」
「い、行ってきますね校長。き、きっと皆んな無事で戻ってきます、からあ……でもちょっと不安……」
「行ってくるのにゃクイーンハート!!湊は飼い主である僕がちゃんと面倒見てやるのにゃる!安心するのじゃ!」
皆が機体に乗り込みながら、クイーンハートに出陣の言葉を送った。
「行ってらっしゃい、みんな――」
機体が浮遊し始め、上空まで瞬時に移動、その後に光学迷彩により透明化して姿を消した。徐々にクイーンハートの姿が小さくなり、湊達は退廃都市レッドメイルへと出発した。
「レミー、レッドメイルまでどれくらい時間が掛かるんだ?」
「およそ1日程度でしょうか」
「1日!?こんなに早い速度でこの機体は移動しているのに、1日は掛かるのかよ」
湊達一行はレッドメイルに移動し始めた訳だが、現在この機体は非常に早い速度で移動をしている。それなのに、その退廃都市レッドメイルに移動するのに1日は掛かるというのだ。
「湊様、ワールドインパクトでは魔法の世界と地球の地形が融合しました。そのため大陸はその形を変え、面積も非常に大きなものとなりました。それもあり、移動にもある程度時間が掛かります」
「そうなの……か。まあ、この広々とした機体なら1日時間が掛かってもくつろげるけどさ」
ワールドインパクトによる地形の融合により、大陸は非常に大きなものへと変化しているようであった。そのため、この機体でも退廃都市レッドメイルには移動に時間が掛かるらしい。
「時間が掛かるのは分かったにゃるが、ずっとジッと座っているのも暇にゃるね」
「ふふ。マーニャ様の言う通り、少々暇な時間が続くかもしれませんね。しかし、皆さんに配ったイヤリング型携帯端末は映画をみたり、ゲームをしたりもできますよ」
そう言ってレミーはマーニャの端末を起動させて、様々な動画を見せてあげた。
「どうですかマーニャ様?好きな動画はございましたか?」
「凄い技術なるねこのイヤリング。こんなふうに映像を見ることもできるのかにゃ。僕はこのほのぼの猫ちゃんの日常動画が気にいったのじゃ」
マーニャはいくつかの動画を閲覧する中で、ある配信者がアップロードしていた猫ちゃんの動画を気に入ったようであった。
「流石が猫同士だなマーニャ!好きな動画も猫に関するものなんて、ふんふんふん」
ブラックピースはいつも通りマーニャに茶々を入れた。
「うるさいにゃる。お前は黙ってろにゃる。他にも見てみるのじゃ」
そう言ってマーニャは端末を操作して、様様な動画コンテンツを漁っていった。すると、空中に投影されるモニターにある表示されるあるアイコンに注目した。
「ん、このR18って書かれている動画はなんなのにゃ?」
「え、ちょ、ちょっとそれは……マ、マーニャ様には早すぎます」
レミーが何かに気づいたようにマーニャに呟いたが、それに気づかずに彼女はそのR18と書かれた動画を押してしまった。
「う、うわあ何にゃるこれええ!!」
その映像には2体の可愛らしいAIオートマトンが映されており、1体の男性個体を全裸で囲んでいる動画が映し出された。さらには何やらオイルのような液体を身体に塗り、非常に卑猥な内容の動画が流され始めた。さらに音量設定をミスったのか、機体内に爆音でいやらしい音声が流れてしまった。
「お、お“お”お“お”、これは、アダルトコンテンツにゃるかあ“あ”!!」
「うわ、マーニャ!!何て動画を見てんだよお前えええ!!」
「違うのじゃ湊!!アダルト動画なんて知らないで開いたのじゃ!!誤解じゃああ!!」
マーニャは急いで動画コンテンツを閉じようと、空中に投影されたモニターを連打し始めた。
しかし――
「なんじゃあああ!?僕は動画を閉じるボタンを押したはずなのじゃ!!なんか別の動画が開いたのじゃ!てかこれもアダルト動画にゃるう!なんじゃああああ!?」
「マ、マーニャ様!間違って広告を押してしまっています!」
「こ、広告じゃと!?」
マーニャは動画を止めるためにバツボタンを押したつもりであったが、その直後に別の広告バナーが表示されて、動画再生終了を阻止されてしまった。代わりにその広告先の変態動画も押下して流してしまった。
「くそ、止まれ、止まるにゃる!!くそおおお!」
マーニャはパニックになり、ボタンを適当に連打しまくった。その結果、何やら別の広告バナーを押したようで――
「うわあ、今度はなんじゃああ!?ウ、ウイルスが検出されましたじゃとおお!?お、お金も請求されているにゃる。何?サブスクライブオプション加入……お、お金が掛かるコンテンツを押してしまったのかにゃあ!!」
「マーニャ様、大丈夫です!真に受けてはなりません!それは詐欺広告ですので、そのまま動画を閉じてもらっても大丈夫です!!」
マーニャが押した広告バナーは他のサイトにリンクされており、ウイルス検出の赤文字が大きく表示される形となった。さらにはそのサブスクライブオプションに加入しましたとの文字が表示され、お金が請求される警告が画面に映し出された。
レミーはつかさずにそれは詐欺広告ですとフォローを入れた。
「マ、マーニャさん、だ、大丈夫!!」
ミミがその騒動が心配になり、マーニャの元に駆け寄った。そしてフォローを入れようと彼女の画面に目をやるが……
「こ、これは……す、凄い卑猥な……お、お兄さんはみちゃだめ!!」
ミミは湊の目を隠すように手を配置して、その動画の内容を確認した。あらゆる広告をパニックで押しまくったマーニャのモニターには、あらゆるR18動画が表示されていた。
「レ、レミーちゃん、これは一体……」
「ミミちゃん、その……AIオートマトンにもせ、性欲があるの。せ、説明したみたいに、ファミリー個体が現在、大都市ラブシェリーの主流で……そ、その、男性個体のために、あ、アダルト動画も一般に流通してるの!!」
ミミはレミーにそのAIオートマトン同士のR18動画に説明を求めた。見た目は人間と変わらないため、ミミ達から見てもかなり卑猥な内容であった。しかし、 AIオートマトン同士のプレー動画が流通しているのは一見不思議に思えた。AIオートマトンがR18動画等に興味があるのかと。
しかし、レミーが昨日説明したファミリー個体は生殖可能な個体であり、それを鑑みるに、性欲を満たすためにこのような動画が流通していても不思議なものではなかった。
「そ、それは分かったけど……でも、例えばこの動画は一体……」
ミミは湊の目を押さえながら、顔を真っ赤にしてある1つの動画を指差した。その動画は、2人の男女の AIオートマトンが互いにオイルらしきものを手に取り、あれこれ卑猥な行動を行う内容であった。
「ミ、ミミちゃん……こ、これは、その、『オイルもの』と呼ばれるジャンルのR18動画で……」
「オ、オイルものだと!!」
ミミに目を塞がれた湊が、そのレミーの『オイルもの』という言葉に反応を示した。
「そ、そうです…… AIオートマトンの機械部品に必要な潤滑オイルを、その、過剰に注入して……動作の滑らかさを向上させて、いろいろ、めちょめちょする内容でして……」
「そんな AIオートマトンの性癖なんて知らねえにゃるよ!!聞いてねえにゃる!!いいからこの動画を止めてくれなのじゃあ”!!」
レミーがAIオートマトンの間で流行している『オイルもの』というジャンルの動画の説明を始めが、そんなの聞いてない聞きたくないとマーニャが反応し、怒鳴り声をあげた。
「はい!只今動画をお止めします、マーニャ様!」
顔を真っ赤にするレミーがマーニャの端末を操作し始めた。1つずつ確実に動画を閉じていき、全てのR18動画を終了することに成功した。
「ぐふん、ぐふん。ミ、ミミー!」
マーニャが泣きながらミミの元へと向かい、彼女に抱きしめてもらった。
「よしよし、怖かったねマーニャさん」
「うん……怖かったよミミー。お金を請求された時はどうしようかと思ったにゃる。ぐすん」
ミミが優しくマーニャを撫で撫でし、優しく諭した。
「マーニャさん、こういう動画はもっと成長してから一緒にみようね」
「うん……気をつけるにゃる、ミミ……」
「よしよし、マーニャさん、怖かったね。大丈夫だよ」
湊はミミとマーニャの会話に違和感を覚えたが、一先ずこの騒動は落ち着いたためよしとした。
「はあ、これもファミリー個体が人間を求めすぎたことで生じた欠陥なのかもなあ……はあ」
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