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第2章:AIオートマトンの退廃――人間を求めし末路の体現

2章1話 海水浴[挿絵あり]-美しき美少女の戯れ

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「ひゃっほー!!」

「やっぱり海は最高にゃるねえええ!!」

現在湊達がいるのは――海、そう、美少女達の可愛い美しき太ももを拝める夢の場所である。

「お兄さんと一緒に海にこれて、なんだか幸せ」

「ミミ、俺もこの時を楽しんでるぜ、マジで」

湊の側で優雅に水に浮かびながら、笑顔で彼との会話を楽しむミミの姿がそこにあった。ミミはその可愛らしい美しいピンクのショートカットをなびかせながら、艶かしい白い水着を身につけ、湊に感謝の言葉を送る。



「湊君、学院に入ってから早速海にきちゃうなんて、随分ハーレム生活を謳歌してるじゃんか。ふんふんふん」

「そそ、そうですよお湊っちいい!あの転入試験以降、湊っちの学院内での評価は爆上がりなんだからあ。その、美少女達にちやほらされて、鼻の下ばかり伸ばしちゃメっですよ?」

ブラックピースは相変わらず能天気な口ぶりで、鼻をふんふんと鳴らして湊のことをおちょくる。それに同感ですとホワイトピースもまた彼女に同意の気持ちを示した。

湊が魔法女学院の2学年に入るための試験を受けて1ヶ月が早くも経過した。当初、試験会場に現れた湊はパンツ一丁、さらには身体にミミより付けられた束縛痕が存在していたため、とんだど変態が魔法女学院に入学してくると認識されてしまった。しかし1戦目の試験でペペットとの勝負に打ち勝ってから、湊の使用する特異的な魔法に皆が魅了された。

それから奇跡的にブラックピースとホワイトピース、さらにはレミーとの勝負にも打ち勝ち、その初印象は完全に覆された。今では、逞しき新進気鋭の魔法使いとして学院の生徒達に認識され、意外にも、湊に好意を抱く女子生徒は非常に多い。

「いや、誤解だってマジで」

「ふんふんふん。まあ、湊君がこの可愛い女子達の国――魔法女学院に入ったからには、勿論男に飢えた女子生徒の餌食にならない訳がないんだけどねえ」

「怖いこと言うなよ……マジで珍現象が最近多発してんだから、笑えないぞブラックピース……」

湊が魔法女学院に入ってから数日でその現象は生じた。彼のロッカーに何故か大量の縄と、寮室番号が書かれた置き手紙が入れられるという現象が起き始めたのだ。恐らくはミミにより付けられし真っ赤な縄の跡を試験の試合会場で目撃した女子生徒が、湊にそのような趣味があると勘違いしたのだろう。その状態で湊に好意を持ち、そのようなものをロッカーに潜ませたと考えられる。

「女性の端くれとしてこの僕が言うのもあれだけど、あの試合の湊君は結構かっこよかったからねええ。ふんふんふん。正直僕もきゅんっときたものがあるよ」

「まあ、純粋にかっこいいと言われるのは嬉しいけど……」

ブラックピースも湊に負かされた対戦相手の1人である。その彼女もまた、湊の戦い方には魅力を感じたようで、彼のことをかっこよかったと表現した。
また、そんな2人の会話を遮るように白髪ロリっ子が口を挟んだ。

「皆よ聞くのじゃ!!このお兄いさんの力を与えし魔眼の精霊は我ぞ!!僕の素晴らしき魔法に魅了されろにゃるう!!」

「ふふ、マーニャさんったら可愛い」

魔法女学院に入学し、湊が魔眼持ちであるということが学院生徒に公開された。その魔眼に宿る精霊がマーニャであるとも説明が通っており、こうして彼女は誇らしげに湊に魅了されし生徒達の前に顕現することが多くなった。生徒達からは湊が飼い主、マーニャが可愛い子猫ちゃんのような扱いを受けている。

勿論ワールドクロックのこと、マーニャが魔神であることは秘密である。あくまで魔眼に宿る可愛い精霊ちゃんという位置付けで通っている。

「湊君が魔眼持ちで、こんな可愛い子猫を飼っているなんて、初めて聞いた時は驚いたよ僕。ふんふんふん」

「おい、そこのブラックピースとやら。僕は飼われている訳じゃないにゃる!!僕は高貴な精霊ぞ!」

「高貴な精霊にしては、ちょっと君の胸はボリュームが少なくて女性の持つ威厳に欠けるよねえ。ふんふんふん。ロリ猫ちゃん!」

「おっ、おま!?ロリ猫言うなにゃる!まだまだ成長過程なだけにゃるよ!!」

ブラックピースがマーニャをロリ猫呼ばわりし、それにプンプンと怒る彼女の姿があった。さらにはそのぺったんこな胸を指摘され、怒り心頭なようであった。そのマーニャに反応するように、青色長髪の美しい少女が彼女を宥めた。

「マーニャ様、大丈夫です。まだまだマーニャ様のお胸は成長して、力強く、立派な女性へと近づいていきますよ」

「ほらほら、レミーの言うことを聞くにゃる、ブラックピース!!僕はまだ未来というものがあるのじゃあ!!ふん、見てろにゃる、いつかボインボインのビッグブレスをぶちかましてやるにゃるよ」

レミーがマーニャを宥める発言をした途端、それを完全に真実と受け止めて急に自信を付け、ブラックピースに言い返した。しかし直接口には出さなかったが、湊はマーニャが魔神であり、途方もない時を生きてきたことを知っている。その時間の流れを感じさせない程、彼女の胸はぺったんこである。そのため、本当にこれから彼女の身体に成長が生じるのかは疑問が残る所であった。

「マーニャさんみたいに私も頑張らなくちゃ。ちゃんと毎日身体のケアをして、お兄さんに認められる女性にならなきゃだね」

「お、ミミも僕のビッグなお胸への野心に魅了されたかにゃ?2人でコラーゲン食を取って、ビッグボインになろうにゃる!」

「ふふ、一緒に頑張ろうねマーニャさん!」

「やっぱりお前はいい奴にゃるねえ!2人で目指すにゃる!高貴な女性のビッグボインを!」

ミミとマーニャはかなり仲が良い。ミミは明るく元気なマーニャが大好きであり、マーニャもまた自身に気軽に優しく話しかけてくるミミがお気に入りのようであった。
対してブラックピースはやや他人をおちょくる面があるため、マーニャはいつも弄られてプンプンと怒ってしまう場面が多々見られる。とは言っても確執がある訳ではなく、仲が悪い訳ではないが。

「全くお前らは……仲が良いんだか、悪いんだか分からねえな」

湊は彼女達の小さな言い争いにやれやれと首を振りながらため息をついた。しかしその姿を見たミミが、つかさず海水をえいやと彼に掛けてやった。

「うわっ!ちょ、何するミミー!!」

「そんな顔してちゃ楽しめないじゃん、お兄さん。いたずらしちゃうよ?」

「いくらミミでも怒っちゃうぞ、ほらあ!!」

ミミは案外おちゃめな性格である。湊と一緒にいる時間も長く、だんだんと2人の仲は深まり、このようにじゃれあう機会も多くなった。

「じゃあ私も参加させていただきます、湊様。えい!!」

「うわっ!れ、レミーまでえ!」

ミミが湊と戯れある姿に拗ねるように、レミーがその戯れに参加してきた。彼女が自身の浸かる海に両手を沈ませ、えいやと湊に勢いよく掛けてやった。AIオートマトンの彼女であるが、現在のテクノロジーでは防水は当たり前。彼女もまた皆と同じように海水浴を楽しんでいた。

「くそ、皆で俺をいじめやがって!こうなったら……逃げる!!」

皆とはレミーとミミの海水攻撃から避けるように、浸かる海水から足を出しては入れてを繰り返して走り始めた。

「ま、待て、お兄さん!!」

「湊様!逃しませんよ!!」

ミミとレミーもまた無邪気に湊の姿を追いかけるように走り出した。

「追いつけるもんなら追いついてみろ、ミミ、レミー!!」

湊は全力で笑いながら彼女たちから距離をとるように走る。しかし、それを見たホワイトピースが彼に魔法を詠唱する。

「湊っち、あの試合の屈辱をここで返上しちゃうぞ⭐︎静的アロー!!」

ホワイトピースの手元に弓が出現し、静的アローと魔法詠唱されると、矢が湊に勢いよく放たれた。彼を貫通した矢は消失し、一方で身体には何のダメージもない。しかし、直後に彼の身体は硬直し、全く動かなくなってしまった。

「やめろホワイトピー……」

「ふふ、ホワイトピースちゃんってば、結構暴れん坊さんなんだから」

「やっちゃいなさい、ミミ!!」

ホワイトピースがミミとレミーを援護する形で静的アローを放った後、湊の身体は動きを止め、その隙にミミとレミーが彼の元に辿り着いた。

「お兄さん、捕まえた」

「湊様、捕まえました」

ミミとレミーが湊を捕まえた後、ブラックピースとマーニャがその側に走り寄ってきた。

「お兄さん、喰らえニャル、こちょこちょ攻撃じゃ!!」

「湊君、結構良い身体してるじゃんか、ふんふんふん。いじめちゃうぞ!こちょこちょこちょー」

マーニャとブラックピースが湊の身体をくすぐり回し、数秒後に彼の硬直が解けて悲鳴をあげた。

「あははあはあは。や、やめろおおお!!へひいいいい」

全身をくすぐられ、湊は耐えられずに悲鳴とも思える笑い声をあげ始めた。さらにはそれに抵抗しようと、思いっきり身体を踏ん張り、海にダイブするようにマーニャとブラックピース目掛けてジャンプをした。
急な行動にミミとレミーの拘束から放たれ、その場近くにいたホワイトピース以外の5人が思いっきり転んで海水に突っ込んでしまった。

「だだだ、大丈夫ですかああ!って、わあ!!」

その光景に驚いて、急いで駆け寄ってきたホワイトピースもまた躓いて転んでしまい、一同6人は全員頭まで海水を被る形となった。

「ふふ、変なのお兄さん」

「湊君、濡れ濡れじゃないか、ふんふんふん」

「わわわ、みんな、びしょ濡れですうう」

「湊様、お身体大丈夫でしょうか?つい興奮してしまい……」

「くそやられたにゃる!失敬は許さないのじゃ!!」

みんなが楽しそうに、微笑ましく、笑顔でこの海水浴を楽しんでいる。湊、ミミ、レミー、マーニャ、ブラックピース、ホワイトピースの6人は、明日の出発に備えて今日を全力で謳歌しているのだ。

「明日、出発か……」

湊はそんな楽しい時間を享受しながら、その濡れた髪を持ちあげて真っ青の空を眺めた。この仲良しの6人ならばきっと乗り越えられるとそう信じて。

「狼の血族の殲滅……か」

そう1人呟いて、また6人の楽しい海水浴を謳歌するように自身の発言を忘れていったのだった。









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