タイムリープ!?異世界転移したと思ったら、魔法都市とAIサイバーパンク都市の戦争に巻き込まれちゃった

第2章：AIオートマトンの退廃――人間を求めし末路の体現

2章0話 自分の居場所[挿絵あり]

「俺は一体どこで道を踏み外したんだろうな」

巨体を揺らしてコンクリートに深々と腰かける男が、1人の少女にそう呟いた。男は横に何人かの部下を引き連れながら、彼女を目の前に呼び寄せた。

辺り一面には超高層ビルが立ち並び、怪しいネオンサイオンのような掲示板が多数存在していた。高度に都市が発展しており、テクノロジーの高度さが伺える街並みをしていた。

「別に俺は悪事がしたい訳じゃなかった。だけど、だんだんと心が真っ黒に染まって、今いるこの場所が愛おしくてたまらなくなったんだ」

男は手元にある電子部品のようなものを手に取り、それをその少女に見せながら問いかける。

「この電子ドラッグに頼らなきゃ幸福を感じない、粗末な人生がこの都市にはゴロゴロと転がってやがる」

電子ドラッグと呼んだその電子部品をそっと横のコンクリートに置いた。その直後、力一杯に拳を振りかざし、その電子部品を粉々に粉砕してしまった。

「情けないな俺は」

「そんなことないよ」

少女はその男にそっと近づき、彼の目を見つめながらその発言を否定した。

「私を育ててくれたじゃん」

少女の言葉に救われるように、彼が安堵し、彼女の頭をそっと撫でてやった。男のその巨体に合わないようなその仕草は、どこか彼の心の弱さが生み出すものなのだろうか。

「お前だけが、俺の生きる希望だよ。罪悪感が紛れる……」

その少女を優しく愛でた男。その瞳には涙が見られた。

「これが人間の心を模した俺たちの末路か」

そう言い残し、その巨体を持つ男と連れの少女は静かに夜の街へと消えていった。