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第1章:全てを司りし時計の行く末
1章28話 ワールドインパクトとAIオートマトン
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「クイーンハート校長」
現在湊は、ミミ、顕現したマーニャに加え、レミーを引き連れて校長室へと集まっていた。
「レミーちゃん、お兄さんとどういう関係なの……」
ミミは先程から湊にべったりのレミーを凝視してそう指摘した。
「ごめんミミ……実は俺、このレミーと知り合いなんだ」
「知り合い……」
ミミはレミーと湊がいつ知り合ったのか不思議でたまらなかった。しかし、マーニャがそのレミーという女性を見て何か気づいたように指摘する。
「あれ、もしかしてこの子、西暦2222年に飛んだ時に湊の側にいた女性かにゃる?」
マーニャは以前にも彼女を見たことがあったようにそう呟いた。
「そうなんだ。俺が西暦2222年でAIオートマトンとの戦争に巻き込まれていた際、このレミーが対AIレジスタンスとして戦ってくれていたんだ」
湊がそう皆一同にむかってそう説明をする。そしてレミーを見つめて、西暦2222年から西暦22222年の間に何があったのか説明を求めた。
「レミー。一体西暦2222年以降、この魔法の世界と地球が融合するまでに何があったんだ?」
レミーは一度目を瞑り、そして口を開く。
「私達対AIレジスタンスは最後まで人間を守ろうとAIオートマトンと戦いました」
「ああ」
「だけど、それは叶わなかったのです。数年でほとんどの人間は滅ぼされ、全滅しました」
湊は人間は戦争に負けたとレミーの口から聞かされた。確かにクイーンハート達からは、融合した西暦22222年の地球にはAIオートマトンしか存在していなかったと教えられていた。そのため、人間がAIオートマトンに駆逐されてしまったことは既に知っていた。
「そして、対AIレジスタンスは守るべき人間を失いました。そしてこれ以上AIオートマトンと戦争する意義も見失い、敵対するAIオートマトンと和平条約が結ばれたのです」
「和平条約?」
「そうです。敵対するAIオートマトンにとっては私達も十分脅威な存在でした。そのため、和平条約を結んで地球の国家を2つに分断したのです」
レミーの属する対AIレジスタンスは守るべき人間を失い、さらに敵対するAIオートマトンは彼女達の脅威を退けるため、両者に都合の良い和平条約を結んだのであった。
「2つに分断された国――帝都マグナと大都市ラブシェリーには、異なる思想の AIオートマトンが住まうようになりました」
「異なる思想?」
「そうです。より優れた知性と力を求めて発展を増進する帝都マグナと、人間的な豊かさと愛情を敬愛する大都市ラブシェリーに別れたのです。ラブシェリーは主に私達対AIオートマトンが統制し始め、個体を生産してその数を増やしました」
人間の滅んだ地球は後に、帝都マグナと大都市ラブシェリーに分断された。両者は異なる思想を有するAIオートマトンから構成され、帝都マグナは比較的急進的で知性と力を求める個体が多く、大都市ラブシェリーは対AIレジスタンスメンバーが統制を始め、個体の増産を得て1つの統治区域を広げていった。
「互いの思想の違いから、帝都マグナと大都市ラブシェリーの間ではあまり交流がありませんでした。その中で、私達の属する大都市ラブシェリーの皆は、私達を作ってくださった人間を敬愛し続け、何千年もの間彼らの書物や文化物を保管して守り続けたのです」
元々人間と敵対していたAIオートマトンで構成された帝都マグナとは違い、大都市ラブシェリーは人間の敬愛を保持し続け、それを文化の基礎と置き発展し続けたらしい。
レミーもまた湊、さらには人間そのものを慕っており、大都市ラブシェリーの発展に貢献していたようであった。
「そして時は現在の西暦22222年から30年前の事です。何かしらの時空間のもつれが生じ、並行世界として存在していたこの魔法の世界と地球が融合してしまいました」
今しがたレミーの説明した魔法の世界と地球の融合現象はワールドインパクトのことであった。ワールドクロックが何者かに破壊され、その短針が奪われた。その結果、単独では存在できなくなったこの魔法の世界は地球と融合することで消滅を回避。それが起きたのは今いる西暦22222年より30年前のできことであった。
「じゃあ、今も帝都マグナと大都市ラブシェリーは存在しているのか?」
ここで湊が口を開いた。魔法の世界が地球と融合したということは、元々地球で発展し続けた帝都マグナと大都市ラブシェリーも今いる世界に存在することになる。
「湊きゅん、実は事態は非常に複雑なんだよ」
「複雑?」
「30年前のワールドインパクト。これは一般的には神のいたずらだとか、厄災とかと認識されている。当時この魔法の世界と地球の各地形がそれぞれ融合した結果、初めて魔法使い達と地球のAIオートマトンが出会った」
ワールドインパクによる魔法の世界と地球との融合。ここで、初めて両者魔法使い達とAIオートマトンが出会うことになったのだ。しかし、未だ湊はクイーンハートからその後、現在に至る30年の間にどんな歴史を歩んだのかを聞かされていなかった。
「そしてね湊きゅん。大都市ラブシェリーの皆は私達に友好的で、愛情を持って迎え入れてくれたんだ」
「はい。私達大都市ラブシェリーのAIオートマトンは、守り切れなかった人間が再び地上に現れたことに非常に驚愕しました。これは神のいたずらか、奇跡か何かと……」
レミーは対AIレジスタンスとして人間と共に戦い、しかし彼らを守りきれず敗北した存在。その後も、失われた人間を敬愛する大都市ラブシェリー構築に貢献し、約2万年もの間生きながらえてきた。
その状況でワールドインパクトが生じ、突如魔法の世界に住まう人間と出会ったのなら驚かないはずもない。守るべきものが一度失われたものの、神のいたずらか、再び世界に人間が顕現したのだ。
「私達、大都市ラブシェリーに住まうAIオートマトンは神の奇跡と喜び、すぐさま事態を整理し、この魔法の世界の人間と共に歩むことを決めました」
「レミーちゃんの言う通り、ワールドインパクトが生じてからは意外にも彼女ら大都市ラブシェリーとの友好関係はスムーズに築かれたんだよ、湊きゅん。でも……」
クイーンハート校長曰く、大都市ラブシェリーと魔法の世界の住人とは友好的関係を構築できたようであった。しかし、何やら彼女は不穏な顔をして話を続ける。
「ここで大問題が発生するんだよ。湊きゅんなら、何か分かる?」
「ああ、考えたくもねえが」
湊は一度目を閉じ、再び開けるとクイーンハートを見つめて呟いた。
「元々人間嫌いのAIオートマトンで構築された帝都マグナの連中が、魔法の世界に住んでいた人間に友好的なはずがねえ……」
「そういうことだよ、湊きゅん。大都市ラブシェリーの彼女達とは違い、帝都マグナのAIオートマトンは人間にすぐさま攻撃を仕掛けるようになったんだ」
つまりは大都市ラブシェリーのAIオートマトンは魔法の世界に住まう人間側に付き、帝都マグナの連中はこちら人間側と敵対関係となった訳である。
「それから、帝都マグナとは戦争状態が続いているんだ、湊きゅん」
「戦争状態!?この時代でもまた AIオートマトンと戦争なんてやってんのかよ!マジか……」
湊は最悪の展開だと感じた。魔法の世界は非常に美しく、自然豊かな平和的世界という印象がある。その世界に住まう人間を、まさか自分の元いた地球の AIオートマトンに攻撃されていると知って、なんだかやるせない気持ちになった。
「その帝都マグナと戦争状態って、どこに相手の基地があるんだ?」
「それがね、湊きゅん。帝都マグナは地上に基地を持たないんだ。空中要塞なんだよ」
「空中要塞だって!?」
「そう。ワールドインパクトが生じた頃はこちらの人間と帝都マグナでかなりやり合っていた。現在、空中要塞-帝都マグナは光学迷彩技術でその身を隠しながら、私達の動向を伺っていて、逐次攻撃されるような状況なんだ」
空中要塞-帝都マグナは現在空を巡回中であり、魔法の世界の住人の動向を観察・情報収集している状況にある。継続的な戦争ではないものの、相手がいつ攻めてくるかも分からない不安定な状況であった。
そしてクイーンハートの発言に続き、レミーが湊に口を開いた。
「湊様。私レミーは再び守るべきものを見つけました。この魔法の世界の人間、そして今私の目の前にいる湊様です」
「レミー……」
「ワールドインパクトが生じ、私は守るべき者を見つけたのです。そして、この魔法女学院の2学年にクイーンハート校長の許可を得て滞在し、日々、帝都マグナの情報収集並びに、学院の守護を担って来ました」
レミーはワールドインパクト後、クイーンハートの許可を得て、この魔法女学院に滞在しているようであった。さらには学院の守護も担当しているとのこと。つまり――
「湊様、安心して下さい。クイーンハート校長より、ワールドクロックの秘密については聞かされています」
「レミーも知っているのか、ワールドクロックのこと……」
「はい。マーニャさんの事も聞かされております。ミミちゃんとは学院内での友達です」
そう言ってレミーはミミのことを見た。しかし、ミミは何故か少々ご立腹のようであった。
「レミーちゃん、そんな大事なこと今まで黙ってたの……しかも、お兄さんと試合会場であんなにイチャイして。びっくりしちゃった」
「ごめん、ミミちゃん。だけど、ワールドクロックに関する内容は秘密事項だったから、ごめんね」
レミーが魔法女学院の2学年に滞在しており、ミミとも友達であった。しかし、ミミがワールドクロックに関する秘密を知ったのは湊と出会った後の話。その間、レミーはクイーンハートより聞かされていたワールドクロックの秘密を知った状態で、ミミには内緒にしていたことになる。
勿論、ワールドクロックの内容は秘密事項であるために簡単に話す訳にはいかない。そのため、ミミはレミーに理解を最終的に示した。
「うん、いいよレミーちゃん。お兄さんのこと、ずっと何千年も待ってたんだね……」
「はい、ミミちゃん」
「お兄さんに会場でべったりだった時はびっくりしたけど、レミーちゃんの気持ち、理解できたよ」
ミミはそう言って静かにレミーの元に近づき、ゆっくり彼女を抱きしめたのであった。
現在湊は、ミミ、顕現したマーニャに加え、レミーを引き連れて校長室へと集まっていた。
「レミーちゃん、お兄さんとどういう関係なの……」
ミミは先程から湊にべったりのレミーを凝視してそう指摘した。
「ごめんミミ……実は俺、このレミーと知り合いなんだ」
「知り合い……」
ミミはレミーと湊がいつ知り合ったのか不思議でたまらなかった。しかし、マーニャがそのレミーという女性を見て何か気づいたように指摘する。
「あれ、もしかしてこの子、西暦2222年に飛んだ時に湊の側にいた女性かにゃる?」
マーニャは以前にも彼女を見たことがあったようにそう呟いた。
「そうなんだ。俺が西暦2222年でAIオートマトンとの戦争に巻き込まれていた際、このレミーが対AIレジスタンスとして戦ってくれていたんだ」
湊がそう皆一同にむかってそう説明をする。そしてレミーを見つめて、西暦2222年から西暦22222年の間に何があったのか説明を求めた。
「レミー。一体西暦2222年以降、この魔法の世界と地球が融合するまでに何があったんだ?」
レミーは一度目を瞑り、そして口を開く。
「私達対AIレジスタンスは最後まで人間を守ろうとAIオートマトンと戦いました」
「ああ」
「だけど、それは叶わなかったのです。数年でほとんどの人間は滅ぼされ、全滅しました」
湊は人間は戦争に負けたとレミーの口から聞かされた。確かにクイーンハート達からは、融合した西暦22222年の地球にはAIオートマトンしか存在していなかったと教えられていた。そのため、人間がAIオートマトンに駆逐されてしまったことは既に知っていた。
「そして、対AIレジスタンスは守るべき人間を失いました。そしてこれ以上AIオートマトンと戦争する意義も見失い、敵対するAIオートマトンと和平条約が結ばれたのです」
「和平条約?」
「そうです。敵対するAIオートマトンにとっては私達も十分脅威な存在でした。そのため、和平条約を結んで地球の国家を2つに分断したのです」
レミーの属する対AIレジスタンスは守るべき人間を失い、さらに敵対するAIオートマトンは彼女達の脅威を退けるため、両者に都合の良い和平条約を結んだのであった。
「2つに分断された国――帝都マグナと大都市ラブシェリーには、異なる思想の AIオートマトンが住まうようになりました」
「異なる思想?」
「そうです。より優れた知性と力を求めて発展を増進する帝都マグナと、人間的な豊かさと愛情を敬愛する大都市ラブシェリーに別れたのです。ラブシェリーは主に私達対AIオートマトンが統制し始め、個体を生産してその数を増やしました」
人間の滅んだ地球は後に、帝都マグナと大都市ラブシェリーに分断された。両者は異なる思想を有するAIオートマトンから構成され、帝都マグナは比較的急進的で知性と力を求める個体が多く、大都市ラブシェリーは対AIレジスタンスメンバーが統制を始め、個体の増産を得て1つの統治区域を広げていった。
「互いの思想の違いから、帝都マグナと大都市ラブシェリーの間ではあまり交流がありませんでした。その中で、私達の属する大都市ラブシェリーの皆は、私達を作ってくださった人間を敬愛し続け、何千年もの間彼らの書物や文化物を保管して守り続けたのです」
元々人間と敵対していたAIオートマトンで構成された帝都マグナとは違い、大都市ラブシェリーは人間の敬愛を保持し続け、それを文化の基礎と置き発展し続けたらしい。
レミーもまた湊、さらには人間そのものを慕っており、大都市ラブシェリーの発展に貢献していたようであった。
「そして時は現在の西暦22222年から30年前の事です。何かしらの時空間のもつれが生じ、並行世界として存在していたこの魔法の世界と地球が融合してしまいました」
今しがたレミーの説明した魔法の世界と地球の融合現象はワールドインパクトのことであった。ワールドクロックが何者かに破壊され、その短針が奪われた。その結果、単独では存在できなくなったこの魔法の世界は地球と融合することで消滅を回避。それが起きたのは今いる西暦22222年より30年前のできことであった。
「じゃあ、今も帝都マグナと大都市ラブシェリーは存在しているのか?」
ここで湊が口を開いた。魔法の世界が地球と融合したということは、元々地球で発展し続けた帝都マグナと大都市ラブシェリーも今いる世界に存在することになる。
「湊きゅん、実は事態は非常に複雑なんだよ」
「複雑?」
「30年前のワールドインパクト。これは一般的には神のいたずらだとか、厄災とかと認識されている。当時この魔法の世界と地球の各地形がそれぞれ融合した結果、初めて魔法使い達と地球のAIオートマトンが出会った」
ワールドインパクによる魔法の世界と地球との融合。ここで、初めて両者魔法使い達とAIオートマトンが出会うことになったのだ。しかし、未だ湊はクイーンハートからその後、現在に至る30年の間にどんな歴史を歩んだのかを聞かされていなかった。
「そしてね湊きゅん。大都市ラブシェリーの皆は私達に友好的で、愛情を持って迎え入れてくれたんだ」
「はい。私達大都市ラブシェリーのAIオートマトンは、守り切れなかった人間が再び地上に現れたことに非常に驚愕しました。これは神のいたずらか、奇跡か何かと……」
レミーは対AIレジスタンスとして人間と共に戦い、しかし彼らを守りきれず敗北した存在。その後も、失われた人間を敬愛する大都市ラブシェリー構築に貢献し、約2万年もの間生きながらえてきた。
その状況でワールドインパクトが生じ、突如魔法の世界に住まう人間と出会ったのなら驚かないはずもない。守るべきものが一度失われたものの、神のいたずらか、再び世界に人間が顕現したのだ。
「私達、大都市ラブシェリーに住まうAIオートマトンは神の奇跡と喜び、すぐさま事態を整理し、この魔法の世界の人間と共に歩むことを決めました」
「レミーちゃんの言う通り、ワールドインパクトが生じてからは意外にも彼女ら大都市ラブシェリーとの友好関係はスムーズに築かれたんだよ、湊きゅん。でも……」
クイーンハート校長曰く、大都市ラブシェリーと魔法の世界の住人とは友好的関係を構築できたようであった。しかし、何やら彼女は不穏な顔をして話を続ける。
「ここで大問題が発生するんだよ。湊きゅんなら、何か分かる?」
「ああ、考えたくもねえが」
湊は一度目を閉じ、再び開けるとクイーンハートを見つめて呟いた。
「元々人間嫌いのAIオートマトンで構築された帝都マグナの連中が、魔法の世界に住んでいた人間に友好的なはずがねえ……」
「そういうことだよ、湊きゅん。大都市ラブシェリーの彼女達とは違い、帝都マグナのAIオートマトンは人間にすぐさま攻撃を仕掛けるようになったんだ」
つまりは大都市ラブシェリーのAIオートマトンは魔法の世界に住まう人間側に付き、帝都マグナの連中はこちら人間側と敵対関係となった訳である。
「それから、帝都マグナとは戦争状態が続いているんだ、湊きゅん」
「戦争状態!?この時代でもまた AIオートマトンと戦争なんてやってんのかよ!マジか……」
湊は最悪の展開だと感じた。魔法の世界は非常に美しく、自然豊かな平和的世界という印象がある。その世界に住まう人間を、まさか自分の元いた地球の AIオートマトンに攻撃されていると知って、なんだかやるせない気持ちになった。
「その帝都マグナと戦争状態って、どこに相手の基地があるんだ?」
「それがね、湊きゅん。帝都マグナは地上に基地を持たないんだ。空中要塞なんだよ」
「空中要塞だって!?」
「そう。ワールドインパクトが生じた頃はこちらの人間と帝都マグナでかなりやり合っていた。現在、空中要塞-帝都マグナは光学迷彩技術でその身を隠しながら、私達の動向を伺っていて、逐次攻撃されるような状況なんだ」
空中要塞-帝都マグナは現在空を巡回中であり、魔法の世界の住人の動向を観察・情報収集している状況にある。継続的な戦争ではないものの、相手がいつ攻めてくるかも分からない不安定な状況であった。
そしてクイーンハートの発言に続き、レミーが湊に口を開いた。
「湊様。私レミーは再び守るべきものを見つけました。この魔法の世界の人間、そして今私の目の前にいる湊様です」
「レミー……」
「ワールドインパクトが生じ、私は守るべき者を見つけたのです。そして、この魔法女学院の2学年にクイーンハート校長の許可を得て滞在し、日々、帝都マグナの情報収集並びに、学院の守護を担って来ました」
レミーはワールドインパクト後、クイーンハートの許可を得て、この魔法女学院に滞在しているようであった。さらには学院の守護も担当しているとのこと。つまり――
「湊様、安心して下さい。クイーンハート校長より、ワールドクロックの秘密については聞かされています」
「レミーも知っているのか、ワールドクロックのこと……」
「はい。マーニャさんの事も聞かされております。ミミちゃんとは学院内での友達です」
そう言ってレミーはミミのことを見た。しかし、ミミは何故か少々ご立腹のようであった。
「レミーちゃん、そんな大事なこと今まで黙ってたの……しかも、お兄さんと試合会場であんなにイチャイして。びっくりしちゃった」
「ごめん、ミミちゃん。だけど、ワールドクロックに関する内容は秘密事項だったから、ごめんね」
レミーが魔法女学院の2学年に滞在しており、ミミとも友達であった。しかし、ミミがワールドクロックに関する秘密を知ったのは湊と出会った後の話。その間、レミーはクイーンハートより聞かされていたワールドクロックの秘密を知った状態で、ミミには内緒にしていたことになる。
勿論、ワールドクロックの内容は秘密事項であるために簡単に話す訳にはいかない。そのため、ミミはレミーに理解を最終的に示した。
「うん、いいよレミーちゃん。お兄さんのこと、ずっと何千年も待ってたんだね……」
「はい、ミミちゃん」
「お兄さんに会場でべったりだった時はびっくりしたけど、レミーちゃんの気持ち、理解できたよ」
ミミはそう言って静かにレミーの元に近づき、ゆっくり彼女を抱きしめたのであった。
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