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第1章:全てを司りし時計の行く末
1章19話 透過効果
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「僕の魔力属性はそのまま時空間系にゃる」
湊はマーニャに魔力の属性について聞いたが、そのまま時空間属性というカテゴリーがあるようであった。
「店主さん、もしも時空間属性の魔力を込めたらどうなるんだ?」
「時空間属性?その属性は確かに聞いたことあるが、現在本当に存在してるかが謎だなあ。俺にもどうなるか分からないねえ」
やはりとは思ったが、時空間属性の魔法なんて一般に使用されているイメージがなかった。そのため、店主もその属性魔力を短剣に込めた際の結果が分からずにいた。
「お兄さん、もしも短剣を選ぶなら、属性付加用のものを選んでみてはどう?」
「どうして、ミミ?」
「マーニャさんのような属性は珍しいから、もしかしたら新発見があると思って」
湊は確かにとミミの意見を聞いていた。前例があるのかは分からないが、時空間魔法は非常に希少な存在であることが分かった。そのため、その属性魔力を短剣に込めた際にどんな結果になるかは興味ある内容だった。
「分かった、店主さん。属性付加用の短剣を1つ下さい」
「承知した。じゃあ、購入するのは誘導鉄杭と属性付加用の汎用短剣でいいかな」
「はい、お願いします」
店主は湊の購入を確認すると、軽く包装した後に渡してくれた。
「ミミ、武器を買ってくれてありがとな。いつか絶対恩返しするからな」
「お兄さん、いつか美味しい食べ物を奢ってくれるのを楽しみしてるよ……ふふ」
ミミはそう言って軽くウインクして合図してみせるのだった。
「じゃあ早速魔法女学院に戻って、訓練場に行って武器を試してみる?お兄いさん」
「そんな所あるのか!じゃあ早速、買った武器で試し切りしてみようかな」
そう言って、湊とミミ、マーニャは魔法女学院の訓練場に向かうのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ここが訓練場かあ」
湊達は現在、魔法女学院の構内にある訓練場に来ていた。この訓練場では大きい平な敷地に所々にオブジェクトが設置されている。それに向かって魔法を放ったり、それを剣で切ったりして、技術の訓練を行うことができる仕様であった。
「じゃあ、初めは誘導鉄杭でも試してみるかな」
「そうしましょう、お兄さん」
「そうするにゃる、僕も残消転移が上手く機能するのか確認したいのじゃ」
マーニャも湊の購入した誘導鉄杭に興味を示したのか、顕現してた。
「それにしても、ちょっと気まずいかも……」
現在利用している訓練場であるが、魔法女学院生徒も利用している最中である。さらにはミミと共に男の子が横にいるため、目線が痛い所があった。
「気にしててもしょうがねえか。さて、じゃああのオブジェクトに向かって投げてみるかな」
そう言って湊は、腰に携えたポーチに収納された複数の誘導鉄杭の内、1本を取り出してオブジェクトに投げた。
「えい!やべっちょっとズレたかも!」
「なにやっるのにゃお兄さん、手元がぶれてるのにゃ」
石ころと違い、誘導鉄杭は棒状であるため、投げるにはややコツが必要であった。湊は手がぶれてしまい、当初狙っていたオブジェクトから外れる軌道でそれを投げてしまった。
「あっ!凄え……!!」
湊は外したかと思った誘導鉄杭が見事にオブジェクトに刺さるのを見た。この誘導鉄杭には初めから軌道修正の呪縛符が刻まれており、多少軌道がズレて投げられても、意図した所に向かって補正が掛かる仕様になっていた。元々小鳥の狩猟に利用されている誘導鉄杭は、軌道補正こそ強力なものの、戦闘における主戦力になる程の威力はない。
それでも、空間系魔法残消転移を利用するにあたる戦術用武器としては非常に優秀であった。
「いいもの買ったにゃるねえ、お兄さん!ミミに感謝にゃる」
「そうだな、ありがとな、ミミ!」
「えへ、それならよかった、お兄さん」
誘導鉄杭の有効性が皆の前で証明され、湊はそれを買ってくれたミミに感謝を述べた。ミミは嬉しそうに頬を赤くしながら少し俯いた。
「じゃあ次は、この属性付加用の短剣を試してみるかな」
武器屋の店主に教えて貰った、属性付加用の短剣。リービル大森林で襲撃された際に、敵の男が利用していた雷刀は、通常の武器に魔力を流したもので、切れ味の向上などの効果が発現しているようだった。
武器への属性付加は一般的な技術らしいが、当のマーニャは時空間属性の魔力を持っていると聞く。希少な属性であるため、その魔力を短剣に込めるとどんな効果が発現するかは誰も予想できなかった。
「マーニャ、この短剣に魔力を込めて貰えるか?」
「分かったにゃる!僕もどうなるか楽しみなのじゃ、いくぞ!!」
マーニャが短剣に魔力を込めた。
「おお、これは!」
時空間属性の魔力が込められた短剣は紫色の光を放ちながら発光し、何やら不気味な色味を呈していた。
「で、これで何ができるようになった訳?」
「うーん、分からないにゃる……」
短剣は紫色の光を放ちながら発光し、なんだかかっこいい見た目をしているものの、一体どんな効果が発現しているかが謎であった。
「まあ兎に角オブジェクトでも切ってみるか、えい!」
湊はその短剣でオブジェクトを切ってみた。しかし通常の短剣と何も変わらないそれは、確かに切れ味は良いものの、特に変わった様子はなかった。
「マーニャ、切れ味もあんまり変わってないような気がするんだが」
「うーん、時空間属性魔力を短剣に込めてみたものの、イマイチその効果が分からないにゃるねえ……」
マーニャ、湊は共にその短剣の効果に関して疑問を抱いていた。今の所、切れ味やその他性質が何も変化していないからである。
「分からねえな、ほれ、ほれ、ほれ」
湊は兎に角、短剣をブンブンと振って魔法か何か出ないか試してみた。
「何やってるにゃるかお兄さん」
「いやなんか適当に短剣振ってたら魔法でも出るんじゃないかって」
「出てないにゃる」
「やっぱそうだよなあ……ってやべ、手が滑った」
「あぶ!!あぶねえにゃるお兄さん!!」
湊が適当にブンブンと振っていた短剣を誤って手から離してしまい、それがマーニャの顔を掠めるように地面へ落下した。
「殺すきかにゃる!?」
「ごめんごめん、悪かったよ」
「全く……しょうがない奴にゃるね、お兄さんは。ほれ、拾ってやるから大事に扱うにゃる。ってあれ?」
マーニャは湊に忠告しながらも、その優しさから短剣を拾ってあげるような素振りを見せた。しかし、マーニャが落ちたはずの短剣を探すが、地面には何も落ちていなかった。
「あれ……あの短剣、どこにいったにゃるか?」
「え、ここら辺に落ちたよな?」
「あれれ、もしかしてこの下かにゃる!?」
マーニャが何かに気づいたように、短剣が落ちたはずの辺りにしゃがみ込み、その地面に手を当てた。
「お兄さん、この地面の下から短剣に残る僕の魔力が感じるにゃる」
「地面の中から?なんで!?」
「分からないにゃ……でも、一旦ここを掘り返してみるのじゃ」
そう言ってマーニャは地面を掘り返し始めた。
「マーニャ、お前やっぱり猫っぽいよな……」
「うるせえにゃる」
地面を掘るマーニャの姿であるが、猫がトイレをした後に地面を掘る姿に酷似しており、湊的にはその光景がおかしかった。
「マーニャさん、猫みたいで可愛い」
「ミミ!お前までそんなこと言うにゃるか!」
ミミも湊に同感のようで、マーニャを可愛いと言ってみせる。しかしマーニャはそれが嬉しい訳ではないようで、猫みたいな仕草をやや小馬鹿にされているように感じてプンプンしている。
「ほれ、僕がセンチメンタリズムに浸る前に、とっととこの掘り返した短剣を受け取るのにゃ」
「ありがと、マーニャ。それにしても落とした短剣が地面に埋もれていた理由はなんだ?」
湊が偶然落とした短剣が地面に埋もれていたこの現象。恐らくは時空間属性の魔力を短剣に込めたことが原因であったが、イマイチその効果がよく分からなかった。するとミミが口を開いた。
「お兄さん、落としたってことは、短剣を手から離したってことだよね?」
「ミミ、そりゃあ勿論そうだが……」
「今度はそこのオブジェクトに向かって投げたらどうなるの?短剣は手から離れる訳だから、何か新しいこと、わかるかも……」
「確かにそうだな。じゃあ投げてみるぞ、えい」
ミミの言う通り、短剣を落として地面に埋まったと言うことは、今度短剣を投げたらどうなるかが気になった。そのため早速湊は短剣を投げてみた。
「へっ?姿が消えた?」
異様な光景であった。湊はこの訓練場に投げたオブジェクトに向けて短剣を投げたが、なんと姿が一瞬消えてオブジェクトには接触せずに短剣がどっかに行ってしまった。
湊とマーニャ、ミミは短剣がどこに行ったのかとオブジェクトに近づくと、なんとオブジェクトには傷が一切つかず、その背後の地面に刺さっていたのだった。
「お兄さん、分かったにゃる!この短剣は一瞬姿を消して、オブジェクトの前後の空間を飛び越えて背後の地面に刺さったにゃる!」
「マジか!ということはこの短剣は……」
「そうにゃる。投げた後、幾つかの物体を空間的にすり抜けて、顕現した後初めて突き刺さるにゃる」
時空間属性魔力を短剣に込めた結果、物体をすり抜ける短剣が生まれてしまったのだった。
「お兄さんこれ……新発見だよね……凄い……」
「ああ。物体をすり抜ける短剣か……」
いつどのように使用するかはまだ理解に及ばなかったが、一方で応用が効きそうな効果であることは確かめられた。
「待てよ、じゃあこの誘導鉄杭に時空間属性魔力を込めたらどうなるんだ?」
「やってみるにゃる、お兄さん!」
湊は同様に、属性付加用の短剣以外に、誘導鉄杭に時空間属性魔力を込めて投げたらどうなるか試してみた。すると結果は同じで――
「物体をすり抜けやがった……」
湊、そしてマーニャが気づいた時空間属性魔力の応用技――武器に魔力を込めて投げると、物体をすり抜ける効果を発現させることが可能なその技法は、戦闘における新たな戦術的テクニックを生み出すのであった。
湊はマーニャに魔力の属性について聞いたが、そのまま時空間属性というカテゴリーがあるようであった。
「店主さん、もしも時空間属性の魔力を込めたらどうなるんだ?」
「時空間属性?その属性は確かに聞いたことあるが、現在本当に存在してるかが謎だなあ。俺にもどうなるか分からないねえ」
やはりとは思ったが、時空間属性の魔法なんて一般に使用されているイメージがなかった。そのため、店主もその属性魔力を短剣に込めた際の結果が分からずにいた。
「お兄さん、もしも短剣を選ぶなら、属性付加用のものを選んでみてはどう?」
「どうして、ミミ?」
「マーニャさんのような属性は珍しいから、もしかしたら新発見があると思って」
湊は確かにとミミの意見を聞いていた。前例があるのかは分からないが、時空間魔法は非常に希少な存在であることが分かった。そのため、その属性魔力を短剣に込めた際にどんな結果になるかは興味ある内容だった。
「分かった、店主さん。属性付加用の短剣を1つ下さい」
「承知した。じゃあ、購入するのは誘導鉄杭と属性付加用の汎用短剣でいいかな」
「はい、お願いします」
店主は湊の購入を確認すると、軽く包装した後に渡してくれた。
「ミミ、武器を買ってくれてありがとな。いつか絶対恩返しするからな」
「お兄さん、いつか美味しい食べ物を奢ってくれるのを楽しみしてるよ……ふふ」
ミミはそう言って軽くウインクして合図してみせるのだった。
「じゃあ早速魔法女学院に戻って、訓練場に行って武器を試してみる?お兄いさん」
「そんな所あるのか!じゃあ早速、買った武器で試し切りしてみようかな」
そう言って、湊とミミ、マーニャは魔法女学院の訓練場に向かうのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ここが訓練場かあ」
湊達は現在、魔法女学院の構内にある訓練場に来ていた。この訓練場では大きい平な敷地に所々にオブジェクトが設置されている。それに向かって魔法を放ったり、それを剣で切ったりして、技術の訓練を行うことができる仕様であった。
「じゃあ、初めは誘導鉄杭でも試してみるかな」
「そうしましょう、お兄さん」
「そうするにゃる、僕も残消転移が上手く機能するのか確認したいのじゃ」
マーニャも湊の購入した誘導鉄杭に興味を示したのか、顕現してた。
「それにしても、ちょっと気まずいかも……」
現在利用している訓練場であるが、魔法女学院生徒も利用している最中である。さらにはミミと共に男の子が横にいるため、目線が痛い所があった。
「気にしててもしょうがねえか。さて、じゃああのオブジェクトに向かって投げてみるかな」
そう言って湊は、腰に携えたポーチに収納された複数の誘導鉄杭の内、1本を取り出してオブジェクトに投げた。
「えい!やべっちょっとズレたかも!」
「なにやっるのにゃお兄さん、手元がぶれてるのにゃ」
石ころと違い、誘導鉄杭は棒状であるため、投げるにはややコツが必要であった。湊は手がぶれてしまい、当初狙っていたオブジェクトから外れる軌道でそれを投げてしまった。
「あっ!凄え……!!」
湊は外したかと思った誘導鉄杭が見事にオブジェクトに刺さるのを見た。この誘導鉄杭には初めから軌道修正の呪縛符が刻まれており、多少軌道がズレて投げられても、意図した所に向かって補正が掛かる仕様になっていた。元々小鳥の狩猟に利用されている誘導鉄杭は、軌道補正こそ強力なものの、戦闘における主戦力になる程の威力はない。
それでも、空間系魔法残消転移を利用するにあたる戦術用武器としては非常に優秀であった。
「いいもの買ったにゃるねえ、お兄さん!ミミに感謝にゃる」
「そうだな、ありがとな、ミミ!」
「えへ、それならよかった、お兄さん」
誘導鉄杭の有効性が皆の前で証明され、湊はそれを買ってくれたミミに感謝を述べた。ミミは嬉しそうに頬を赤くしながら少し俯いた。
「じゃあ次は、この属性付加用の短剣を試してみるかな」
武器屋の店主に教えて貰った、属性付加用の短剣。リービル大森林で襲撃された際に、敵の男が利用していた雷刀は、通常の武器に魔力を流したもので、切れ味の向上などの効果が発現しているようだった。
武器への属性付加は一般的な技術らしいが、当のマーニャは時空間属性の魔力を持っていると聞く。希少な属性であるため、その魔力を短剣に込めるとどんな効果が発現するかは誰も予想できなかった。
「マーニャ、この短剣に魔力を込めて貰えるか?」
「分かったにゃる!僕もどうなるか楽しみなのじゃ、いくぞ!!」
マーニャが短剣に魔力を込めた。
「おお、これは!」
時空間属性の魔力が込められた短剣は紫色の光を放ちながら発光し、何やら不気味な色味を呈していた。
「で、これで何ができるようになった訳?」
「うーん、分からないにゃる……」
短剣は紫色の光を放ちながら発光し、なんだかかっこいい見た目をしているものの、一体どんな効果が発現しているかが謎であった。
「まあ兎に角オブジェクトでも切ってみるか、えい!」
湊はその短剣でオブジェクトを切ってみた。しかし通常の短剣と何も変わらないそれは、確かに切れ味は良いものの、特に変わった様子はなかった。
「マーニャ、切れ味もあんまり変わってないような気がするんだが」
「うーん、時空間属性魔力を短剣に込めてみたものの、イマイチその効果が分からないにゃるねえ……」
マーニャ、湊は共にその短剣の効果に関して疑問を抱いていた。今の所、切れ味やその他性質が何も変化していないからである。
「分からねえな、ほれ、ほれ、ほれ」
湊は兎に角、短剣をブンブンと振って魔法か何か出ないか試してみた。
「何やってるにゃるかお兄さん」
「いやなんか適当に短剣振ってたら魔法でも出るんじゃないかって」
「出てないにゃる」
「やっぱそうだよなあ……ってやべ、手が滑った」
「あぶ!!あぶねえにゃるお兄さん!!」
湊が適当にブンブンと振っていた短剣を誤って手から離してしまい、それがマーニャの顔を掠めるように地面へ落下した。
「殺すきかにゃる!?」
「ごめんごめん、悪かったよ」
「全く……しょうがない奴にゃるね、お兄さんは。ほれ、拾ってやるから大事に扱うにゃる。ってあれ?」
マーニャは湊に忠告しながらも、その優しさから短剣を拾ってあげるような素振りを見せた。しかし、マーニャが落ちたはずの短剣を探すが、地面には何も落ちていなかった。
「あれ……あの短剣、どこにいったにゃるか?」
「え、ここら辺に落ちたよな?」
「あれれ、もしかしてこの下かにゃる!?」
マーニャが何かに気づいたように、短剣が落ちたはずの辺りにしゃがみ込み、その地面に手を当てた。
「お兄さん、この地面の下から短剣に残る僕の魔力が感じるにゃる」
「地面の中から?なんで!?」
「分からないにゃ……でも、一旦ここを掘り返してみるのじゃ」
そう言ってマーニャは地面を掘り返し始めた。
「マーニャ、お前やっぱり猫っぽいよな……」
「うるせえにゃる」
地面を掘るマーニャの姿であるが、猫がトイレをした後に地面を掘る姿に酷似しており、湊的にはその光景がおかしかった。
「マーニャさん、猫みたいで可愛い」
「ミミ!お前までそんなこと言うにゃるか!」
ミミも湊に同感のようで、マーニャを可愛いと言ってみせる。しかしマーニャはそれが嬉しい訳ではないようで、猫みたいな仕草をやや小馬鹿にされているように感じてプンプンしている。
「ほれ、僕がセンチメンタリズムに浸る前に、とっととこの掘り返した短剣を受け取るのにゃ」
「ありがと、マーニャ。それにしても落とした短剣が地面に埋もれていた理由はなんだ?」
湊が偶然落とした短剣が地面に埋もれていたこの現象。恐らくは時空間属性の魔力を短剣に込めたことが原因であったが、イマイチその効果がよく分からなかった。するとミミが口を開いた。
「お兄さん、落としたってことは、短剣を手から離したってことだよね?」
「ミミ、そりゃあ勿論そうだが……」
「今度はそこのオブジェクトに向かって投げたらどうなるの?短剣は手から離れる訳だから、何か新しいこと、わかるかも……」
「確かにそうだな。じゃあ投げてみるぞ、えい」
ミミの言う通り、短剣を落として地面に埋まったと言うことは、今度短剣を投げたらどうなるかが気になった。そのため早速湊は短剣を投げてみた。
「へっ?姿が消えた?」
異様な光景であった。湊はこの訓練場に投げたオブジェクトに向けて短剣を投げたが、なんと姿が一瞬消えてオブジェクトには接触せずに短剣がどっかに行ってしまった。
湊とマーニャ、ミミは短剣がどこに行ったのかとオブジェクトに近づくと、なんとオブジェクトには傷が一切つかず、その背後の地面に刺さっていたのだった。
「お兄さん、分かったにゃる!この短剣は一瞬姿を消して、オブジェクトの前後の空間を飛び越えて背後の地面に刺さったにゃる!」
「マジか!ということはこの短剣は……」
「そうにゃる。投げた後、幾つかの物体を空間的にすり抜けて、顕現した後初めて突き刺さるにゃる」
時空間属性魔力を短剣に込めた結果、物体をすり抜ける短剣が生まれてしまったのだった。
「お兄さんこれ……新発見だよね……凄い……」
「ああ。物体をすり抜ける短剣か……」
いつどのように使用するかはまだ理解に及ばなかったが、一方で応用が効きそうな効果であることは確かめられた。
「待てよ、じゃあこの誘導鉄杭に時空間属性魔力を込めたらどうなるんだ?」
「やってみるにゃる、お兄さん!」
湊は同様に、属性付加用の短剣以外に、誘導鉄杭に時空間属性魔力を込めて投げたらどうなるか試してみた。すると結果は同じで――
「物体をすり抜けやがった……」
湊、そしてマーニャが気づいた時空間属性魔力の応用技――武器に魔力を込めて投げると、物体をすり抜ける効果を発現させることが可能なその技法は、戦闘における新たな戦術的テクニックを生み出すのであった。
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