悪役令嬢だって、ヒロインになりたい

ヒロインになりたいのに9

私が諦めて返事をすると、彼は満足そうに微笑んだ。
「それでは、またお会いしましょう」
「あ、はい……」
私は曖昧な返事をすることしかできなかった……。
（はぁ……結局断れなかったわ……でも悪い人ではなさそうだし大丈夫よね……？）
私は自分に言い聞かせるように心の中で呟いたのだった……。
そして授業が終わり、家へ帰ることになった。
（今日も疲れたなぁ……！早く帰って寝ようっと……！）
そんなことを考えながら歩いていると、後ろから声をかけられた。

「真菜様」
（え？誰でしょうか？）
私が振り返ると、そこには護衛の服装をしている女性が立っていた。
（あれっ！？もしかして私ストーカーされてたのかしら？）
私が戸惑っていると、彼女は優しく微笑んだ。
「真菜様、本日はお疲れになったでしょう」
（えっ？どういう意味かしら？）
私が首を傾げていると、彼女はさらに続けた。
「お部屋でお休みになられますか？」
「あ、はい……お願いしますわ……」
私が戸惑いながらも答えると、彼女は再び微笑んで言った。
「ではこちらへどうぞ」
「えっ！？ちょっと待って！まだ行くなんて言ってないわよ！」
私は慌てて逃げようとしたのだが、彼女は再び私の腕を摑んだ……！
（あっ！捕まっちゃった……！こうなったら仕方ないわね……）
私が観念していると、彼は私を家の中に招き入れた。
「真菜様、本日はゆっくりお休みになってください」
（え？どういう意味かしら？まさか……私狙われてるのかしら！？）
私が戸惑っていると、彼女はさらに続けた。
「おやすみになる前にお風呂に入られてはいかがですか？」
（お風呂……！入りたいわね！）
私が頷くと、彼女はさらに続けた。
「ご案内いたします」
私は彼女に案内されるがままに浴室へ向かった……。

「うわぁ～大きいお風呂だわ！楽しみだわ～！」
私がウキウキしながら服を脱ぎ始めると、突然彼女が入ってきた……！
（えっ！？なんで入ってくるんですか！？まさか……私を狙ってるんじゃ……）
私が慌てていると、彼女は優しく微笑んで言った。「お手伝いさせて頂きます」
（えっ？どういうことかしら……？でも断れないし……）
私が戸惑っていると、彼女は私の体を洗い始めた。
（温かいシャワーが気持ちいいわね！）
私はしばらく彼女に身を委ねることにした……。
「真菜様、お加減はいかがでしょうか？」
「あ、はい……大丈夫ですわ……」
私が答えると、彼女はさらに続けた。
「では次はお背中を流させて頂きますね」
私が慌てて首を振ると、彼女は微笑みながら言った。
「遠慮なさらないでください」
（えっ！？本当にいいのかしら……？）
私は不安に思いながらも彼女に身を任せることにした……。
彼女は私の背中を丁寧に洗いながら、私に尋ねてきた。
「真菜様、何かお悩みごとでもあるのですか？」
（えっ？どうしてそんなこと聞くのかしら？でも嘘をついてもしょうがないわね……）
私が悩んでいると、彼女は言った。
「私でよければ相談に乗りますよ？」
（うーん……どうしようかしら……？でもこのままじゃダメよね……！思い切って相談してみようかしら……？）
私が悩んでいると、彼女は再び口を開いた。
「真菜様、私に全てお話し下さい」
（あっ……そっか！私の悩みはレオンのことね……でも護衛の人に話してもいいのかしら？）
私が悩んでいると、彼女は優しく微笑んだ。
「どうかお聞かせください」
（あ、はい……わかりましたわ……）
私は意を決して悩みを打ち明けることにしたのだった……！ 
そして私は彼女に向かって話し始めた。

「実は……」私が一通り話し終えると、彼女は言った。
「なるほど……そういう事情があったのですね」
（あれっ？意外とあっさり信じてくれたわね……）
私は少し拍子抜けした。
すると彼女は続けて言った。
「レオン様は悪い人です」
（え？やっぱりそうよね……！）
私が驚いていると、彼女はさらに続けた。
「彼は危険です」
（あ、はい……確かにそうね……でも護衛の人がそんなこと言っていいの……？）
私が悩んでいると、彼女は私の目をジッと見つめたまま言った。
「真菜様、騙されてはいけません」
（えっ？どういう意味かしら？）
私が首を傾げていると、彼女は続けて言った。
「彼は裏のある人間です」
（ん？どういうことかしら……？もしかして私を試しているのかしら……？）
私が悩んでいると、彼女はさらに続けた。「レオン様を信用しないでください」
（えっ！？どうしてそこまで断言できるのかしら……？でもこれは本当のことを伝えるチャンスかもしれないわ……！）
私は決意を固めて彼女に告げることにした……。
「実は……」
私は意を決して話し始めると、彼女は真剣な表情で私の言葉に耳を傾けた。
「レオン様の正体は吸血鬼です」
（言ってしまったわ……！これで彼女がどんな反応を示すかで見極めましょう……！）
私は固唾を呑んで彼女の反応を待った……。
だが、彼女は微動だにせず、ずっと私を見つめているだけだった……。
（あれっ？どうして何も言ってくれないのかしら……？もしかして信じていないのかも……？）
私が戸惑っていると、彼女は優しく微笑んで言った。
「真菜様、ご冗談を言っている場合ではなさそうですね」
（えっ！？どういうことかしら……？まさか信じてくれたということ？）
私が驚いていると、彼女は続けて言った。
「真菜様、お部屋に戻りましょう」
（えっ？あ、はい……わかりましたわ……）
私は彼女に連れられながら浴室を後にしたのだった……。

（ふぅ～さっぱりしたわ！やっぱりお風呂に入ると気持ちいいわね！）
私が満足していると、突然扉が開き彼女が入ってきた……！
（えっ！？ちょっ……ちょっと待って……！まだ着替えも済んでないんだけど……！）
慌てる私をよそに、彼女は冷静に口を開いた。
「真菜様、お着替えをお持ちしましたのでお召しください」
（あっ……そうだったんだ……！ありがとう！）
私は心の中でお礼を言いながら着替えを受け取った。
（よしっ！今度こそ準備OKね！）私が意気込んで立ち上がろうとすると、また彼女が入ってきて腕を摑んできた……。えっ！？もしかしてまた……？）
私が困惑していると、彼女は優しく微笑んだ。
「真菜様、本日はお休みになってください」
「あ、はい……わかりましたわ……」
私が再び彼女の言葉に従い、ベッドに横になると彼女は微笑んで言った。
「おやすみなさいませ」
「はい……おやすみなさい……」
私は彼女に挨拶をして眠りについたのだった……。