僕が本当に欲しいのは

瑞野明青

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はじめてのひと

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 僕は一段目をクリアーした気分で、今度の機会には次をと考えていた。それはうまく行って、土曜日のホームの試合の後やってきた。絵美の携帯にメールを打って、駅で待っているように伝えた。これで、皆を車に分乗させて、スタジアムの最寄りの駅まで送りおろした後、絵美をこっそり載せて家まで送る。それはうまく行った。

「絵美ちゃん、この前のこと、僕は本気なんだ。君と付き合いたい」
 絵美の顔を見ていうことができた。絵美は少し考えていたようだった。僕には少し長い時間のように感じた。
「私も裕太さんのこともっと知りたい。OKです。あぁ、前向いて。きちんと運転する」

 笑いながら言っていた。僕は、少し口をとがらせて答えた。そして、絵美の家の近くまで行くと、人通り無い所に一旦車を止めた。

「絵美ちゃんこっち向いて」

 そう言うと、僕は運転席から腰を上げてキスをした。最初は唇を当てただけ。絵美の様子を見て、2度めは唇を吸った。そして、又離して少し焦らしてみた。3度めはディープキス。絵美の方も舌を絡めてきたのにはびっくりしたのと嬉しさもあった。

「感じる?」

 うなずく様子を見て、またキスをした。今度はキスをしながら絵美のブラウスのボタンを外した。そこから手を伸ばし、胸の膨らみに重ねていた。柔らかく、手のひらに収まる感じがちょうどよかった。その感触を楽しんだところで、胸から手を離した。

「絵美ちゃん、大丈夫?」
 絵美はあっと声を漏らすと、うなずいた。
「僕は絵美ちゃんを抱きたい。ものすごく欲しいんだ。だけど、今晩はこれで我慢する。絵美ちゃんはどうしたい」
「私は……。今晩はごめんなさい。また今度」
「今度の土曜日の試合はアウェイだよ。どこかで泊まるというのは」
「あ、あの」
「どうかした」
「私、お付き合いするのは初めてで。ちょっと、どうしたら良いか」
「僕のこと嫌い?」
「いえ、そんな。そんな事無い」
「だったら、僕がキミを欲しいと思うのもわかるよね」

 絵美はうなずいていた。

 その顔を見てしまったら、僕はまたキスをしたくなってしまっていた。そして抱き寄せてキスをした。胸に顔をうずめると絵美の匂いがした。その匂いに包まれていた後、ブラウスのボタンをはめて、車を動かした。今度は家の前に止めた。

「いいね。今度の土曜日、君を僕のものにする」
「私は裕太のものじゃない」
 そう言って絵美は睨みつけていた。そして、にっこり笑った。
「抱いて、でも、私が裕太を抱いてあげる」

 その目がとても印象的だった。僕はその澄んだ目に吸い込まれていったようだ。

 約束の日、僕は彼女を迎えに行った。

「おまたせ」
 絵美は少し緊張していたようだった。
「今日は、みんなと違うところで見るつもりなんだ。チケットも用意してあるから」
「あ、ありがとう」

 そうして、試合が終わると、予約しておいたホテルに入った。

「こんな立派なところ」
「良いじゃないか。温泉もあるんだ」

 チェックインを済まし、部屋に入った。

「これが君の分の部屋のキー」
「はい」
「お風呂に入っておいで。僕も少し遅れていくから」

 絵美を温泉に送り出して、僕はベッドに大きなバスタオルを巻いた。そして風呂に行った。帰ってきた時、まだ絵美は戻っていなかった。ドアが開く音がして、絵美が入ってきた。

「どう、少し。缶酎ハイだけど。ウーロン茶もあるよ」
「ウーロン茶を」
「最近、チームが調子よくないだろ。だから、遠征では他にも楽しみを作ろうと思って。きちんとしたホテルに泊まったり、歴史的名所に行ったり」
「確かに、お城や御朱印集めが目的になってる友だちがいる」
「そういうところにも絵美ちゃんと行きたいんだ」
「一人より二人のほうが……」

 そう言っている絵美の隣に座っていた。

「こっちを向いて」

 絵美の顔を見つめると、キスをした。まだ軽いキスだ。目をつぶっている絵美にもう一度キスをした。離す時にはぁと言う声を上げていた。僕は、タオルを巻いたベットに座って、絵美に声をかけた。

「絵美ちゃんこっちに来て」
 絵美が隣に座ると、またキスをした。そしてベッドに横たえさせた。
「きみが好きだ」
「裕太、もう一度キスをして」

 僕は絵美にキスをした。深く長く、こうして僕と君はつながっていく、そのための一歩。

 絵美の浴衣の帯を解いた。下着をつけていなかった。キスをした唇は、首筋をたどり胸元で止めた。手は胸の膨らみに優しく当てた。絵美は「うん」とか声を出し始めていた。もう一度キスをして、片手はお腹をなでて、その下にたどり着いていた。

「ねぇ、僕を抱きしめてくれないか」

 絵美は僕の背中に手を回した。その絵美を持ち上げて、膝の上に乗せると僕は彼女と一つになろうとしていた。

「苦しい。痛いかなぁ」
「あぁ、大丈夫」
「ゆっくり息をして。声を出してくれないか」

 絵美に少し刺激を与えようと腰を動かしてみた。んあぁと言葉にならない声を上げていた。耳元で声を感じると、僕の中の欲望が大きくなっていた。胸の膨らみを口にして、舌で転がした。左手で、絵美を支え、右手であいている胸をなでていた。体をのけぞらすその姿を全身で感じていた。

「どう。気持ちいい」
「私も、裕太にしたい」
 絵美の方からキスをした。僕はわざと倒れていた。絵美が僕の上に乗った形になっていた。
「絵美ちゃん。そのまま気持ちの良い様に動いてごらん」
「あぁ。裕太、私」
「絵美ちゃん、とっても素敵だ」

 僕の上で、乱れて溶けていった絵美は胸の上に崩れていった。体勢を入れ替えて、絵美の上に乗った僕は、彼女の中で形をなくしていた。そして果てた僕は、離れた。汗ばんだ体を横に並べて彼女の髪の毛を撫でた。そしてタオルには初めての印が残っていた。

 絵美はふっと起き上がって、僕にキスをした。唇だけでなく、胸にも僕がしたように舌で転がしていた。

「絵美ちゃんくすぐったい。それって、もっとしたいということ」
「わたしが、するの」

 二人で、お互いの体を弄り合って、結局くすぐりあっただけだった。僕は絵美を下に敷いてもう一度体を重ねた。
「ゆっくり息を吐いて。僕が君と一緒になりやすいから」

 そうして一緒に溶け合い、形をなくしていった。
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