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幕末動乱篇2 尊王攘夷への道
尊王攘夷への道(1)
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公儀が外国と結んだ条約を巡って港を開くか、あくまでも鎖国を続けるか、交易はしないが寄港を許すかという問題があった。
鎖国・開国・夷狄である外国人を討つべき・外国と戦えるまでは相手を利用すべき・公儀のもとで政治を行う・帝こそ政治の中心等意見の交錯もあってたくさんの主義主張が乱れ飛んでいた。
主義主張が政治闘争となると血なまぐさい事件にもつながっていく。
長州も安政の大獄で亡くなった吉田松陰先生の教えを受けた松下村塾塾生と理解者である改革派を中心とする組、公儀に従うことが重要と考える保守的な組ができつつあった。俊輔は、松下村塾生であり、その縁と桂小五郎の手付(従者)として改革派の一員として活動していた。
聞多はお役目の傍ら、江川塾という洋学塾に通い、西洋学や西洋砲術を学んでいた。あわせて、道場にも通うはずだったが、剣術はあまりうまくならなかったらしく、道場に通うのはやめたらしかった。
そもそも江戸の藩邸にある藩校でも鍛錬はできる。殿のお側で恥ずかしく無く、警護ができりゃええという始末だった。
長州藩の政治は、朝廷から下された密勅と「航海遠略策」という政策により、大きなうねりを作られることになった。朝廷からくだされた密勅とは夷狄を討つ攘夷の実行を促すもの。「航海遠略策」とは藩の重鎮長井雅楽が献策したものだった。攘夷を前提とすることなく、諸外国との貿易を進めるもので、その前提として朝廷と幕府の協力公武合体を唱えていた。とはいうもの、政策の実施は幕府が執り行うことにもあり批判も多く出てくるものだった。
長州内も一枚板とはならず、派閥を生むことになった。派閥争いは権力闘争となり、血の流れる原因ともなっていく。
「桂さん、急にお呼びって、何があったのですか」
俊輔が桂の部屋に呼ばれていた。
「私も周布様から説明を受けたばかりで、どうするか決めきれていないが。朝廷から公儀のやり方に不満のある旨の密勅を頂いた。我らも何か動かねばならぬということだ。君にも今まで以上に働いてもらうことになる」
「はい、わかりました。大丈夫です」
「それと、高杉が江戸に来る。世子様の御小姓だ。君も知っておるだろう」
「はい、もちろん」
「これは読んだことがあるか」
桂がそれほど厚くない冊子を差し出してきた。
「航海遠略策だ。多分高杉も読んでいるはずだ。君も読んでおけ」
俊輔が受け取って、ぱらぱらめくっていると、桂が話しかけた。
「高杉の動きにも気を配ってほしいんだ。予想がつかないからな」
「はいわかりました」
俊輔はそう言って下がろうとした。あっという顔をしていた桂を見ていた。すると桂は「これも持っていけ」と小さな箱を渡してきた。
部屋を出てちょっと中をみると金平糖が入っていた。品川弥二郎にでもあげれば喜ぶなあなど考えていた。
鎖国・開国・夷狄である外国人を討つべき・外国と戦えるまでは相手を利用すべき・公儀のもとで政治を行う・帝こそ政治の中心等意見の交錯もあってたくさんの主義主張が乱れ飛んでいた。
主義主張が政治闘争となると血なまぐさい事件にもつながっていく。
長州も安政の大獄で亡くなった吉田松陰先生の教えを受けた松下村塾塾生と理解者である改革派を中心とする組、公儀に従うことが重要と考える保守的な組ができつつあった。俊輔は、松下村塾生であり、その縁と桂小五郎の手付(従者)として改革派の一員として活動していた。
聞多はお役目の傍ら、江川塾という洋学塾に通い、西洋学や西洋砲術を学んでいた。あわせて、道場にも通うはずだったが、剣術はあまりうまくならなかったらしく、道場に通うのはやめたらしかった。
そもそも江戸の藩邸にある藩校でも鍛錬はできる。殿のお側で恥ずかしく無く、警護ができりゃええという始末だった。
長州藩の政治は、朝廷から下された密勅と「航海遠略策」という政策により、大きなうねりを作られることになった。朝廷からくだされた密勅とは夷狄を討つ攘夷の実行を促すもの。「航海遠略策」とは藩の重鎮長井雅楽が献策したものだった。攘夷を前提とすることなく、諸外国との貿易を進めるもので、その前提として朝廷と幕府の協力公武合体を唱えていた。とはいうもの、政策の実施は幕府が執り行うことにもあり批判も多く出てくるものだった。
長州内も一枚板とはならず、派閥を生むことになった。派閥争いは権力闘争となり、血の流れる原因ともなっていく。
「桂さん、急にお呼びって、何があったのですか」
俊輔が桂の部屋に呼ばれていた。
「私も周布様から説明を受けたばかりで、どうするか決めきれていないが。朝廷から公儀のやり方に不満のある旨の密勅を頂いた。我らも何か動かねばならぬということだ。君にも今まで以上に働いてもらうことになる」
「はい、わかりました。大丈夫です」
「それと、高杉が江戸に来る。世子様の御小姓だ。君も知っておるだろう」
「はい、もちろん」
「これは読んだことがあるか」
桂がそれほど厚くない冊子を差し出してきた。
「航海遠略策だ。多分高杉も読んでいるはずだ。君も読んでおけ」
俊輔が受け取って、ぱらぱらめくっていると、桂が話しかけた。
「高杉の動きにも気を配ってほしいんだ。予想がつかないからな」
「はいわかりました」
俊輔はそう言って下がろうとした。あっという顔をしていた桂を見ていた。すると桂は「これも持っていけ」と小さな箱を渡してきた。
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