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ミニうどんと天丼セット
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次郎さんととらさんが座っている長椅子にミニうどんと天丼セットを置いた。
「腹減った~。ってなんだこれ…。隣のはほうとう…か?」
次郎さんは目を丸くしていた。
「そちらはうどんです。よく混ぜて召し上がって下さい。」
今度はとらさんが質問してきた。
「じゃ、これは?玄米の上に山菜やらがのっているみたいだが…。」
やっぱり天ぷらも見たことないか。
「上にのっているのは天ぷらって言います。ご飯と一緒に食べると美味しいですよ。」
「ほぉう、黄色いのが周り付いてるんだな。」
衣の事を説明しようと思ったら、次郎さんがとらさんに声を上げる。
「そんなことより早く食べましょうよ。どこかの誰かのせいで食べ損ねているんですよ。」
「はて…、誰だったか…。」
とらさんは顎を触りながら店の天井を見上げた。
次郎さんはそんなとらさんを横目で睨んだ。
「あんただよ。」
「せっかくの料理が冷めてしまう。ほら、食べるぞ。」
とらさんは次郎さんを置いて天丼を食べ始め、次郎さんは食べる直前までぶつぶつ何かを呟いていた。
この人達を満足させられなかったら結婚…。
満足してもらえる自信があるから勝負に出たのだが、胸の鼓動が体中に鳴り響く。
サク、サク…と部屋中に天ぷらを食べる音だけが響き渡る。
次郎さんは天ぷらを一口かじりご飯を流し込んで食べていた。
食べ方からして気に入ってくれたのだろうか?
でももしかしたらお腹が減っているからかもしれない…と心の奥底で思い不安になる。
空腹は最高のスパイスとも言うので油断は出来ない。
肝心のとらさんはというとゆっくり天丼を食べていた。
味わって食べているのか、口に合わなかったのかよくわからない。
私がじーっととらさんを見ていたら、目が合ってしまった。
とらさんはふっと目を細め笑った。
「そんなに見つめられると照れるな。」
美味しいと思ってくれているか不安でつい見過ぎてしまった。
「…っすいません。」
「料理の感想だが後にしてくれ…。少し本気でいく。」
「わ、わかりました…。」
本気でいくってどうゆう事だろうと頭に疑問が浮かぶ。
隣で次郎さんが最後の一口をゴクリと飲み込みとらさんを飽きれた様子で見ている。
「何かっこつけてるんですか…。いらないなら俺が全部食べましょうか?」
「くっはははっ、可愛い女の子がいるからついな。だが、これは次郎とて譲れん。」
とらさんは次郎さんの問いかけに大笑いしている。
最初この店にいた頃の威圧感はいつの間にか消えていた。
そう感じたのは私だけだったのかな。
とらさんは箸を持ち直し、一気に天丼を食べはじめた。
次郎さんよりもすごくいい食べっぷりだ。
その勢いにびっくりして口がポカンと開く。
本気でいくの意味をこの時やっと理解したのだった。
「おい、おい、おいってば!!」
次郎さんが私を呼んでいる事に遅れて気づく。
「あっ、はい!」
「これ、おかわりできんの?」
いつの間にか次郎さんはうどんも食べて完食していた。
「天丼のおかわりなら作れますけど…。」
次郎さんはチラリと隣のとらさんを見てから私に注文した。
「じゃ、これ五つ。」
「わかりました。」
噓でしょ…五つってと内心思いながら調理場に向かった。
この時代これぐらい食べるのが普通なのかな、時次さんやりゅうさんもそれぐらい食べてるし…。
天丼五つ作り終わるころにはとらさんも食べ終わっていた。
「俺が二つで、この人に三つな。」
次郎さんは私から天丼を取ると一言そう言って食べ始めた。
とらさんにも天丼を渡すとありがとうと言って直ぐ豪快に食べ始める。
三つ目の途中でお腹が落ち着てきたのか少しずつ料理の感想を言ってくれるようになった。
最初に話題に上がったのはうどんだった。
天丼を口にかっ込みながら次郎さんが最初に話始めた。
「こんなくそ熱い日にほうとうかよとも思ったが、ほうとう自体が冷えてて驚いた。」
ほうとうじゃなくてうどんなんだけどな…。
「次郎、ほうとうじゃなくてうどんだ。味自体は似てるけどな。確かに冷たいのにも驚いたがこのつゆに俺は驚いたな。初めて食べる味なのに食べた事あるような気がする…。鰹節の味がするがこの料理に入っているようには見えなかった。」
とらさんは目を閉じて天丼を食べながらうどんの味を思い出しているみたい。
「そうでしたっけ…。モグモグ。美味しけりゃ何でも良くないですか。」
次郎さんは何が入っているかあんまり興味が無いらしく、とらさんの話を聞くだけ聞いていた。
とらさんは気になる様子だったので軽く材料と料理方法を説明した。
「えーっと、しょうゆ…味噌の汁を温めてそこに鰹節を入れ出汁を取ったものがこのうどんのたれになってます。ちなみに天丼にもこのたれを使っていて少し味を変えてます。」
「やはり鰹節が入っていたか…。だが、この天丼のたれも一緒のものだとは思わなかったなぁ。」
とらさんは食べている天丼を見て、天ぷらを一口かじった。
次郎さんはただただ黙々と天丼をむさぼっている。
「この天ぷらというものを初めて食べたが……美味いな。具材は肉、山菜っていうのはわかるが、この具の周りに付いているのが何なのか全くわからん。これは…一体…。」
「だから美味ければ何でもいいじゃないですか。何が入っていようが別によくないっすか。」
とらさんはやはり何が入っているか気になるらしく、今度は天ぷらの推理を始めたが天ぷらだけは何が入っているかわからないらしい。
初めて食べる人に天ぷらに入ってるものを当てるのは難しい無理もない…。
私がとらさんの立場だったら絶対わからない。
ちなみに天ぷらの料理法が広まったのは室町時代。
鉄砲と共に南蛮料理としてポルトガルから伝わったとか。
江戸時代ぐらいには現代と同じ感じの天ぷらが食べられていたらしい。
本当天ぷら作った人天才だ。
材料が気になるとらさんの為に天ぷらについても軽く説明したのだが次郎さんがなぜか一番驚いていた。
どうやら聞くだけきいてたみたい。
「えぇー!これ饂飩粉使ってんのかよ!!気づかねぇ…。」
次郎さん…さっきまでどうでもいいって言ってたのに…。
「確かに思いもよらなかったな…饂飩粉か。にしても…美味いなぁ。俺はちなみにこの山菜の天ぷらが一番好きだな。この山菜の独特の風味が何とも言えん。この衣とやらによく合っている。」
とらさんは饂飩粉が材料に入っている事に静かに驚いていたが、山菜の天ぷらをかじりコクリと頷いて山菜の美味さを次郎さんに話していた。
山菜の天ぷらは私も好きで、とらさんが言っている事に心から同意した。
山菜は大人の味って感じかな。
小さい頃はあんまり好きでは無かったが、大人になって食べてみたら味と風味に感動した。
「いやいや、やっぱり肉でしょ。食べごたえも天ぷらとの相性も一番いいと思います。」
次郎さんのお気に入りは鶏肉らしく、とらさんに鶏肉のどこがいいかを説明をしていた。
男の子にはボリューム感もあって誰でも食べやすい味だよね。
現代でもお年寄りから小さい子供まで幅広い人に人気の天ぷらだった。
とらさんは次郎さんの言葉にやれやれと首を振り私を見た。
目が合い一瞬ドキリとしてしまう。
うっ、一生の不覚…この人には絶対トキメキはしないと思っていたのだが…。
私の心はイケメンの笑顔には弱いらしい…。
「すまないが…もう一杯ずつ天丼とやらを頼めるか。どうやら次郎に山菜天ぷらの良さをを教えなければいけないらしい…。」
「望むところです!」
あれ…なんか雲行きが怪しくなってきた。
どうやら自分の好きなものを相手に理解してもらいたいみたいだけど…。
多分、無理なような気がする。
とにかく、天丼作ってこよう…。
「腹減った~。ってなんだこれ…。隣のはほうとう…か?」
次郎さんは目を丸くしていた。
「そちらはうどんです。よく混ぜて召し上がって下さい。」
今度はとらさんが質問してきた。
「じゃ、これは?玄米の上に山菜やらがのっているみたいだが…。」
やっぱり天ぷらも見たことないか。
「上にのっているのは天ぷらって言います。ご飯と一緒に食べると美味しいですよ。」
「ほぉう、黄色いのが周り付いてるんだな。」
衣の事を説明しようと思ったら、次郎さんがとらさんに声を上げる。
「そんなことより早く食べましょうよ。どこかの誰かのせいで食べ損ねているんですよ。」
「はて…、誰だったか…。」
とらさんは顎を触りながら店の天井を見上げた。
次郎さんはそんなとらさんを横目で睨んだ。
「あんただよ。」
「せっかくの料理が冷めてしまう。ほら、食べるぞ。」
とらさんは次郎さんを置いて天丼を食べ始め、次郎さんは食べる直前までぶつぶつ何かを呟いていた。
この人達を満足させられなかったら結婚…。
満足してもらえる自信があるから勝負に出たのだが、胸の鼓動が体中に鳴り響く。
サク、サク…と部屋中に天ぷらを食べる音だけが響き渡る。
次郎さんは天ぷらを一口かじりご飯を流し込んで食べていた。
食べ方からして気に入ってくれたのだろうか?
でももしかしたらお腹が減っているからかもしれない…と心の奥底で思い不安になる。
空腹は最高のスパイスとも言うので油断は出来ない。
肝心のとらさんはというとゆっくり天丼を食べていた。
味わって食べているのか、口に合わなかったのかよくわからない。
私がじーっととらさんを見ていたら、目が合ってしまった。
とらさんはふっと目を細め笑った。
「そんなに見つめられると照れるな。」
美味しいと思ってくれているか不安でつい見過ぎてしまった。
「…っすいません。」
「料理の感想だが後にしてくれ…。少し本気でいく。」
「わ、わかりました…。」
本気でいくってどうゆう事だろうと頭に疑問が浮かぶ。
隣で次郎さんが最後の一口をゴクリと飲み込みとらさんを飽きれた様子で見ている。
「何かっこつけてるんですか…。いらないなら俺が全部食べましょうか?」
「くっはははっ、可愛い女の子がいるからついな。だが、これは次郎とて譲れん。」
とらさんは次郎さんの問いかけに大笑いしている。
最初この店にいた頃の威圧感はいつの間にか消えていた。
そう感じたのは私だけだったのかな。
とらさんは箸を持ち直し、一気に天丼を食べはじめた。
次郎さんよりもすごくいい食べっぷりだ。
その勢いにびっくりして口がポカンと開く。
本気でいくの意味をこの時やっと理解したのだった。
「おい、おい、おいってば!!」
次郎さんが私を呼んでいる事に遅れて気づく。
「あっ、はい!」
「これ、おかわりできんの?」
いつの間にか次郎さんはうどんも食べて完食していた。
「天丼のおかわりなら作れますけど…。」
次郎さんはチラリと隣のとらさんを見てから私に注文した。
「じゃ、これ五つ。」
「わかりました。」
噓でしょ…五つってと内心思いながら調理場に向かった。
この時代これぐらい食べるのが普通なのかな、時次さんやりゅうさんもそれぐらい食べてるし…。
天丼五つ作り終わるころにはとらさんも食べ終わっていた。
「俺が二つで、この人に三つな。」
次郎さんは私から天丼を取ると一言そう言って食べ始めた。
とらさんにも天丼を渡すとありがとうと言って直ぐ豪快に食べ始める。
三つ目の途中でお腹が落ち着てきたのか少しずつ料理の感想を言ってくれるようになった。
最初に話題に上がったのはうどんだった。
天丼を口にかっ込みながら次郎さんが最初に話始めた。
「こんなくそ熱い日にほうとうかよとも思ったが、ほうとう自体が冷えてて驚いた。」
ほうとうじゃなくてうどんなんだけどな…。
「次郎、ほうとうじゃなくてうどんだ。味自体は似てるけどな。確かに冷たいのにも驚いたがこのつゆに俺は驚いたな。初めて食べる味なのに食べた事あるような気がする…。鰹節の味がするがこの料理に入っているようには見えなかった。」
とらさんは目を閉じて天丼を食べながらうどんの味を思い出しているみたい。
「そうでしたっけ…。モグモグ。美味しけりゃ何でも良くないですか。」
次郎さんは何が入っているかあんまり興味が無いらしく、とらさんの話を聞くだけ聞いていた。
とらさんは気になる様子だったので軽く材料と料理方法を説明した。
「えーっと、しょうゆ…味噌の汁を温めてそこに鰹節を入れ出汁を取ったものがこのうどんのたれになってます。ちなみに天丼にもこのたれを使っていて少し味を変えてます。」
「やはり鰹節が入っていたか…。だが、この天丼のたれも一緒のものだとは思わなかったなぁ。」
とらさんは食べている天丼を見て、天ぷらを一口かじった。
次郎さんはただただ黙々と天丼をむさぼっている。
「この天ぷらというものを初めて食べたが……美味いな。具材は肉、山菜っていうのはわかるが、この具の周りに付いているのが何なのか全くわからん。これは…一体…。」
「だから美味ければ何でもいいじゃないですか。何が入っていようが別によくないっすか。」
とらさんはやはり何が入っているか気になるらしく、今度は天ぷらの推理を始めたが天ぷらだけは何が入っているかわからないらしい。
初めて食べる人に天ぷらに入ってるものを当てるのは難しい無理もない…。
私がとらさんの立場だったら絶対わからない。
ちなみに天ぷらの料理法が広まったのは室町時代。
鉄砲と共に南蛮料理としてポルトガルから伝わったとか。
江戸時代ぐらいには現代と同じ感じの天ぷらが食べられていたらしい。
本当天ぷら作った人天才だ。
材料が気になるとらさんの為に天ぷらについても軽く説明したのだが次郎さんがなぜか一番驚いていた。
どうやら聞くだけきいてたみたい。
「えぇー!これ饂飩粉使ってんのかよ!!気づかねぇ…。」
次郎さん…さっきまでどうでもいいって言ってたのに…。
「確かに思いもよらなかったな…饂飩粉か。にしても…美味いなぁ。俺はちなみにこの山菜の天ぷらが一番好きだな。この山菜の独特の風味が何とも言えん。この衣とやらによく合っている。」
とらさんは饂飩粉が材料に入っている事に静かに驚いていたが、山菜の天ぷらをかじりコクリと頷いて山菜の美味さを次郎さんに話していた。
山菜の天ぷらは私も好きで、とらさんが言っている事に心から同意した。
山菜は大人の味って感じかな。
小さい頃はあんまり好きでは無かったが、大人になって食べてみたら味と風味に感動した。
「いやいや、やっぱり肉でしょ。食べごたえも天ぷらとの相性も一番いいと思います。」
次郎さんのお気に入りは鶏肉らしく、とらさんに鶏肉のどこがいいかを説明をしていた。
男の子にはボリューム感もあって誰でも食べやすい味だよね。
現代でもお年寄りから小さい子供まで幅広い人に人気の天ぷらだった。
とらさんは次郎さんの言葉にやれやれと首を振り私を見た。
目が合い一瞬ドキリとしてしまう。
うっ、一生の不覚…この人には絶対トキメキはしないと思っていたのだが…。
私の心はイケメンの笑顔には弱いらしい…。
「すまないが…もう一杯ずつ天丼とやらを頼めるか。どうやら次郎に山菜天ぷらの良さをを教えなければいけないらしい…。」
「望むところです!」
あれ…なんか雲行きが怪しくなってきた。
どうやら自分の好きなものを相手に理解してもらいたいみたいだけど…。
多分、無理なような気がする。
とにかく、天丼作ってこよう…。
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