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第2章

30.そのキスを僕の体は覚え続けている

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約1週間が経って、葬儀は誠しめやかにに行われた。といっても土に埋葬されたコロさんに、聖職者と言われる人が何かを唱えていたくらいで、細かい所は覚えていない。ただ何となく僕はぼーっとしながらそれを眺めていた。

この世界に取って死は前世より身近で、冒険者にとってそれは更に身近な物らしいけど、納得は仕様が無かった。

クエスト中の不運な事故にするのは嫌だったのだけど、村長がコロさんの事を変異体と戦い、村を救った英雄として周りに話をしてくれたため、僕の村と中腹の村の人々がたくさんたくさん参列してくれた。

「・・・・」

僕は自分の唇を触る。あれはキスだったのだろうか。それとも別れの挨拶的なものだろうか。

『森の国の、そういうのも聞いとけばよかったなあ』

心の中で呟いて、僕は彼女について祈った。出来る事ならコロさんの死が僕のせいで、全ての業が僕にあったって事で、コロさんは転生でもして、次は温かい家庭で、戦いとは縁のない、幸せな暮らしが出来ますようにと。

心からの願いだったけど、女神からの交信は一切なく、僕は空を見上げながら、女神に中指を突き立てた。

「レンくん。修行しよう!」

マナは最近こればかり言う。自分が強ければコロさんを助けられたと責任を感じているらしい。3歳児が何を言ってるんだと思ったけど、自分も3歳児なので何も言えない。

「そうだな」

僕は強くなりたい。物事の道理を捻じ曲げられるような、勇者の強さはが手に入らないことは分かっている。でもどんなに汚い手を使っても、大事な人の命と自分の命、どっちかを差し出すことを選べる強さくらいは欲しいのだ。

僕はその日から不慣れな木の剣を持つことになる。村長に頼み込み、剣の稽古をつけてもらう。

それから4年の月日が経った頃、僕の街に騎士団が現れ、次のハードモードな人生が、幕を開けることになる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と言う訳で第2章終了です。長かったような短かったような、ストックが無いような・・・

第3章は少しばかり時間が飛びます。正直このペースで投稿がキツく・・・

お気に入り登録しといてください。次期に埋もれていきます。たぶん。

明日も21時30分更新です。

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