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朝
しおりを挟む朝、夜が完全に明けた頃、目が覚めてノアが隣にいることにあの出来事は夢ではなかったのだと実感して安堵した。
執事にバルコニーのテーブルに少し遅めの朝食を用意させてノアを起こし、一緒に朝食を取ろうと誘うと「要らない」と拒否された。
もしかしたら『躾』として毎回のように行っていた浣腸を恐れているのではないかと考え、「もう『躾』はしないから、約束する」と何度も懇願すると、渋々だが少しだけ水とデザートのゼリーのみ口にしてくれた。
「………ふふっ」
それだけで嬉しく感じてしまい、思わず笑みが溢れる。
「………なに?」
ノアを見つめて微笑む私に、ノアが手を止めて冷たい声で返してきた。
「あ、…ああ、悪い…、ノアとこのように過ごせることが本当に嬉しくて…。つい、…な。…ふふっ」
緩みきっているであろう私の顔をノアは顔を少ししかめて蔑むように見つめ返し、持っていたスプーンを遠くに放り投げると突然立ち上がって歩き出した。
「……ノア…!?」
カチーーン
スプーンが床に落ちた音が先程までの私の穏やかな心の熱を一瞬で奪って背筋が凍り、全身から血の気が引いていく。
「…っ!!?……ノ、…ノア…!?ま…っ、待て…っ!!…あ…っ、…わ、悪かった…っ!もう笑ったりなど…っ!!」
「食事は終わりだ。」
「悪かった!!すまない…っ!気をつけるから…っ」
動揺して引き留めようとする私の言葉にノアは振り向きもせずに冷たく言い放つとスタスタと歩き続け、ベッドに腰掛けて着ていた夜着と下着を乱暴に脱ぎ捨てて裸になった。
「セックスしよう。」
朝の澄んだ空気に包まれた部屋の中で挑発的な眼で私を見つめ、口角を僅かに上げてクスッと笑う。
清々しい朝に似つかわしくない言葉。
そして今までのノアではあり得ない言葉を口にして全裸で首輪だけを付けた姿で妖艶な雰囲気と色気を余す事なく全身から放つノア。
その姿に私は眩暈がするほど興奮した。
「…っ、ノア…、無理はするな…。」
今すぐ抱き潰してしまいたい欲求にかられる浅ましい自分を何とか諫めてノアを気遣う。
「欲しいんだろう?俺との子供を。」
ふふっと、色気を出して妖艶に微笑むノアの姿が不思議と神々しくさえ見えてきて、私は吸い寄せられるようにノアの元へ向かいベッドの横に跪くと、真っ白なシーツの上に無造作に投げられたノアの艶めかしい足先にまるで神に祈りを捧げる敬虔な信者のように恭しくそっと口付けをした。
跪いて足に口付けをするのは服従の証。
「ああ、欲しい…。…だが、私はもう間違えない。あの時は傷付けてしまって本当に申し訳なかった。私は…愛するお前を今度こそ必ず大切にすると固く誓ったのだ。私はノアと深く愛し合って出来たノアとの子が欲しい。私達の愛の証を両手で抱き止めたい。だから……。」
私の想いを誠心誠意ノアに伝えたくて必死だった。
「もう決して今までのように無理にはしない。絶対に傷付けたりしない。私はノアを心から愛している。だからこそ…、ノアと心まで繋がりたい…。そしてその先に二人の愛の証として子を育みたいだけなんだ…。」
ノアは私が誓いを立てて、想いを伝えている間にも関わらず、サイドテーブルの一番上の引き出しに手を伸ばし、中をゴソゴソと漁って何かを取り出していたが、私は敢えて構うことなく足の指先やふくらはぎや膝下に何度も唇を落としながら誠心誠意想いを伝え続ける。
「愛してる。心から…。頼む…、信じて欲しい…っ。本当に私はお前を…。」
口付けを続けようとする私の口元にノアが手を添えて制した。
「俺はもうお前のものだ。」
その言葉に胸がドクンと高鳴り、ノアの顔を見上げるといつも使っていた媚薬の錠剤を手にしていて、私がそれが媚薬だと気付いて止ようとした時にはもう遅く、ノアはそれを口に含んでゴクリと飲み込んだ。
「………さぁ…。来いよ。」
錠剤が入った小瓶を雑に投げ、金色の瞳を潤ませながら囁かれたノアの言葉に誘われて、抗えぬまま私はノアをゆっくりと押し倒して深いキスを交わした。
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