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匂い
しおりを挟むぱちゅん、ぱちゅん、ばちゅっ、ぐちゅ
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ
「あんっ♡あっ、あっ、あっ、あん」
卑猥な音が部屋の中を満たしていく。
「ねぇ…っ!ヨル…、そんな卑猥なおねだり、誰に教わった…!?」
グレタがギシギシと大きなベッドが軋むほど激しく俺を攻め立てながら問いかける。
「…オリバー様に言わされてたのっ?」
「…ちが…っ、あん♡…その名前…っ、やだ…っ、はぁっ、あっ、あっ♡…や…ぁっ、激し…っ!!…だめ、…んっ、あっ」
「教えて!?ねぇ、ヨル…ッッ?!」
「…っあ゛あ゛ぅぅっ!!」
ズンッとひときわ強く最奥を貫かれて俺の全身に鳥肌が立つ。
「……と…ま……っ、あっ♡…っはぁ、あんっ、あっ、気持ち…ぃ…っ♡あんっ」
「……何?」
「あっ、んっ、んっ♡…ブラッ……ド…っ、が…っ、あん♡…とっ…、あっ♡あっ、…と…ま……っ、…ッッあ゛っ、あぁっ!…そこ…っ♡…あんっ♡」
「………ああ…、ブラッド…、伯爵…、そうか…。そう…、だったな。」
動きが止まってグレタの声が先程より低く穏やかになり、俺を貫いていた肉棒をズルリと抜いた。
「…あ…ん…っ、…っリュカ…?!」
俺は起き上がってリュカの首に腕を絡ませて飛びついた。肩を見ると、痣になった歯形の傷跡がくっきりと付いている。
「……ヨル…。」
俺を優しく包み込むように抱き止めるリュカの腕が堪らなく愛しい。
「……リュカ…っ、リュカ…っ!」
広い胸、逞しい肩、男性にしては華奢だけどしなやかな筋肉のシルエットがとても美しい。リュカに似ているグレタの身体。何よりその魂の清らかさと温もりに包み込まれてこれ以上ないほどの幸せを噛み締める。
「この耳…、可愛いな。」
俺の頭に着けられた玩具の猫耳にそっと触れながらリュカが呟く。
「……ふふっ、グレタに着けてもらったの。似合ってる…?」
膝の上に跨り、尻尾をクネクネとしならせてリュカの太腿を甘えるように撫でた。甘えたりおねだりするのが下手な俺はブラッドに接するトマを思い出しながら精一杯リュカに甘える。
「…とても似合ってる。可愛いよ。食べたくなるくらいだ。」
猫耳を撫でていた手が俺の首筋に降りてきて耳朶の裏を指先でくすぐる。それだけで絶頂に達してしまいそうなほど嬉しくて心地良い。
「リュカ…。俺を食べて…」
そう言ってリュカの口に唇を寄せる。
舌を絡めて深いキスを繰り返しながら、まだ硬くそびえる肉棒を再び俺の膣内に呑み込んでいく。
「…っ、はは…、逆に食べられているみたいだ…っ」
下腹部に力を入れて膣内をぎゅっと締めるとリュカの形がわかる。
俺の中に、身体の中にリュカを感じる。
胸がいっぱいになって苦しくなった。
もっと、もっともっと奥にきて…。
リュカを感じたい。
もっと…、身体の奥深く、一番奥で…。
祈るような気持ちで俺はリュカの股間に自分のお尻を押し付ける。
「リュカ…っ、好き…っ、ずっと一緒にいたいよ…っ!!」
「…っ、ヨル…、愛してる…っ、愛してる…っ」
リュカは俺を強く抱き締めて肩を掴んで下に押し下げた。肉棒の先が子宮口を貫いて奥に入り込んでくる。
「ひぁぅ…っ!!あ゛ぁ…っ♡…あんっ♡…っいい…、リュカ…っ!もっ…と!」
リュカに深く貫かれ、揺さぶられながら快楽を貪る。
初めてグレタと身体を重ねた時、リュカの魂を感じた。そしてそのリュカの魂の部分にまとわりつく嗅ぎ慣れた匂い。
『死』の匂い…。
絶頂に達する瞬間にグレタの口から発せられた言葉。
「ヨル…肩、噛んで…っ、いつもみたいに…っ!!強く…っ!」
俺はその言葉のまま、グレタの肩を思いきり噛み締めた。
「ああ、ヨルっ、嬉しい…っ、もっと、もっと強く…っ!!ヨルっ!ヨル!…ずっと一緒にいたかった…!」
「俺…もっ、ずっと…ずっと…、んぅっ」
絶頂に達した後、頭がどんどん冷静さを取り戻していってふと気が付いた。
「肩を噛んで」
「いつもみたいに」
そんな言葉、トマだって知らない。
グレタにだって話してない。
グレタも俺とリュカが知り合いだって知ったのも数日前だし。その間、リュカとも会っている様子もなかった。
リュカと二人だけの秘密。
その時に俺はグレタの中にリュカの魂がいることを確信した。
恐らくリュカの身体は死の淵を彷徨って魂だけが自分にとても似たオーラを持つ弟のグレタに辿り着いているのだと初めは思った。
死んでいるのなら既に『導き手の迎え』が来ているはずだから…。
もし生死を彷徨っているのならすぐに身体に戻るべきだけど、魂と身体の繋がりが全く見えない。
死してなお、迎えが来ないままここに存在するのはおかしい…。
それとも『死の導き手』である俺の元に導きを求めて現れているのか…?
導き手の役目は他の精霊に引き継いでいるはずなのに何故俺の元へ…?
数日間に渡って何度も抱き合い、何度も思い切り噛んでくっきりと歯型が付いていたはずなのに、ある日目が覚めるとグレタの肩には傷跡が全く残っていなかった。
そしていつの間にかリュカとグレタがまた入れ替わっていたことに気付いた。
リュカの時は傷跡が浮かび上がり、グレタの時は綺麗に消える。
グレタはその数日間の記憶もなく、全く気付いていない様子で、リュカが現れるのは決まって身体を重ねる時だった。
こんな現象は初めてだ。
戸惑いながらも何度もこうしてグレタの中のリュカの魂に抱かれ続けた。
日に日に濃くなる『死の匂い』。
疑念を抱えて夜明けの太陽を待ちながら、トマへ強く助けを求めた。
俺は…、どうしたらいい?
その時、俺は初めて『死の恐怖』というものを知った。
遺された者の強い想い、そして哀しみ。
失いたくない、失いたくないよ。
俺を置いていかないで。
独りにしないで…。
ねぇ、トマ…。俺どうしたらいいの?
リュカを失いたくないよ。
神様になんか渡したくない…。
助けて…、助けて、トマ……。
--…けど、トマからの返事は相変わらずなかった。
いつまでもこうして居られないのはわかっている。
だから俺は余計にリュカを求めた。
少しでも離れるのが辛くて、怖くて、グレタにまとわりついた。グレタの姿が見えなくなると、リュカと一緒に消えてしまったのではないかと強い不安と孤独感に襲われた。きっと迷惑だろうなと思いつつもどうしても止められなかった。
グレタはそんな俺を疎ましく思うどころか、常に優しく接してくれた。
それに甘えてリュカに会いたくてトマを思い出して試行錯誤しながら、グレタを何度も誘惑した。
「……ヨル?…身体、辛いか…?」
腰の動きを止めてリュカが俺の顔を心配そうに覗き込む。
ピンクサファイアの澄んだ瞳が揺れながら俺を見つめる。リュカもグレタもこの美しい瞳の輝きは魂の美しさと同じ。魂の美しさは身体の穢れに比例しない。
「ううん…、大丈夫…。」
リュカの頬に手を添えて微笑んでみせる。
「リュカがもっと欲しい…。」
「ヨル…、好きだ…。ずっと…ずっとヨルに触れたかった。」
俺の身体を気遣ったのか、繋がったままリュカにベッドに寝かされる。
俺はリュカの手を握っておへその下に添えさせた。
「触れてるよ…。俺の中まで。リュカでいっぱい…。」
微笑んでみせるとリュカの表情が歪んだ。瞳に涙を溜めて、再びゆっくりと膣内を擦り上げる。
「……んっ……♡…んん、あ…っ♡」
穏やかな快楽の波に揺られ、残り僅かな至福の時間を全身で噛み締めた。
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