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溜め息
しおりを挟む部屋に戻るとノアはベッドの上で静かに眠っていた。
身体に掛けられた毛布を捲ると、シャツの形の白い膝丈の寝衣を着ている。会議の間に侍従がノアの身体を綺麗にして着せたものだ。
改めてノアの顔を見つめる。
金色の細くて柔らかい髪にスッと通った鼻筋と雪のように白く滑らかな肌にそっと伏せられた長い睫毛、熟れた果実のような赤くて瑞々しい唇。
日々その華奢な身体で私の激しい『躾』を受けて肉欲にまみれてもなお神聖なオーラを纏い、とても高潔な清廉さを失わない。見るものの心を一瞬で掌握し、蕩けさせる妖艶な色気。
この世のどんな生物や造形物より美しい。
自然と溜め息が零れてしまう。
「……ん…っ」
ふいにノアが寝返りを打ってこちらを向き、薄っすらと眼を開いた。
キラキラと潤んだ金色の瞳に目を、心を奪われて思わず息を呑む。
「ノア…、外へ出てみるか?」
オリバーがノアの髪を優しく撫でながら問いかけると、ノアは寝呆けた様子で無言のまま小さく頷いたのを見てノアを軽々と横抱きに抱え上げて部屋を出て、そこから程近い後宮の庭園の湖の桟橋の先端にある東屋まで連れ出した。
ノアを庭園に出した時、今まで降り続いていた小雨が嘘のように止んで雲の隙間から久しぶりの美しい青空が見えた。
腕の中で再び眠りに落ちたノアを膝に座らさる形で東屋のソファに腰を下ろす。
「ノア……、ノア…。目を覚ませ。」
「………ん、……や…っ」
ノアの身体を小さく揺らすと、ノアは顔をしかめながらゆっくりと目を開いた。
「………………!?」
「ここは後宮の庭園だ。気に入ったか?」
目を開いて飛び込んできたいつもとは違う景色に驚きつつもノアは景色に釘付けのままだったが、その瞳に僅かに光が宿ったのを見てオリバーの心は躍り、暫くお互い無言のままで景色を楽しむことにした。
雨上がりの空から差し込む柔らかな日差しに照らされて樹々も水面も生き生きとしてキラキラと輝き、心地良い風が包み込むように爽やかに優しく吹き抜けていく。
オリバーが何気なくノアの脚に触れるとノアはピクリと小さく反応した。
その反応を見て、再びノアの太腿に手を添えて肌の上を滑らせてみると両膝を小さく擦り合わせてモジモジしている。
まだ媚薬が残っていて敏感になっているのだろう。最近はずっと強い薬で我を忘れさせていたから…。
少し赤らんだ顔と潤んだ瞳を見てノアの顎に手を添えて上を向かせてその唇に甘いキスを落とす。
「………あ…っ、ん…」
くちゅくちゅと音を立てて深く舌を絡め合う。ぎゅっとオリバーの胸元の服を掴んでいるノアの手が快楽で小さく震えていた。
キスをしながらノアの太腿に這わせた手を股の間に差し込むと、ノアが慌てて口を離しオリバーの服を掴んでいたその手がオリバーの手を掴んで制した。
「…いや…だ…っ」
「何故?」
「…こんな…とこ…、で、…んんっ」
ノアの言葉を最後まで聞くこともなくオリバーは再びノアの唇を奪い、無理矢理ノアの脚の間に腕を入れるとある事に気付いた。
「……おや、下着は身につけていないのか。」
キスをしながらニヤリと笑って呟くその言葉にノアはオリバーの手を退けようと抵抗するがびくともせず、そのまま小さなペニスを指でなぞられると身体がビクッと大きく跳ねた。
「………っ、んぅ…っ」
くすぐり続けていると、柔らかかったペニスが徐々に硬くなり塞いだ口から零れだすノアの熱い吐息にオリバーの興奮は増していく。
「ほら、ここがこんなに気持ち良さそうに涎を垂らして喜んでいるぞ?」
小さなペニスから先走りの液が溢れて擦っている手からにちゅにちゅといやらしい音が聞こえる。
「あ…っ、や、…んん……っ!!」
オリバーはノアの脚を無理矢理開かせて背面座位の体勢にしてノアのペニスをシゴきながら器用に服のボタンを全て外して前をはだけさせた。
「さぁ、よく見せてみろ。」
殆ど全裸に近い格好で肌に直接触れる風をノアの身体は敏感に感じ取り、先程より更に多くの先走りの液が溢れてくる。
ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ
「ノア、聞こえるか?いつ誰の目に付くかも分からぬというのにこんな格好でこんな卑猥で可愛らしい音を立てて…。…ああ、外の方が興奮するのか?ここからも涎が溢れ出している。ああ、凄いじゃないか。尻の方まで垂れてきている。ほら…、見てみろ。」
そう言うとオリバーはノアの膣口にもう片方の手の指を滑らせ、それをノアの顔の前で見せつけた。太陽の光を浴びて愛液で濡れた指がぬらぬらと卑猥な輝きを放っている。
「あ…ッ!!う…んん…ッ、…やぁ…っ」
ノアは羞恥心で顔を真っ赤にしながらその指を隠す様に手で握って身を捩った。
オリバーはその抵抗を抑えつけるかのようにペニスをしごく手の動きを早める。
「ひぁ…っ!!あ、ん…っ、…んんっ」
時折、先程のように膣口を指でなぞるとノアの身体が快感で小さく震える。
「……や、…いや…、あっ、だ…め…っ!や…っ!……はぁ、あん…っ!んん…っ」
屋外だからなのかいつもより控え目な嬌声をあげて快楽の波に再び呑まれていく。
「あっ、あっ、はぁ…、や、…だめ…、って…!ああ…っ!!」
「嘘をつくな…!こんなにぐちゃぐちゃに濡れているくせに…っ!!ほら、こっちを見て…、口を開けろ。」
嬉しそうにオリバーが耳元で囁くがノアは振り向かず、この屈辱に耐えるようにグッと強く瞼を閉じて押し寄せる快楽と闘っていた。
先程から珍しく抵抗を見せている。
羞恥心で理性が戻ってきたのか…?
いや…、時間的に薬が切れてくる頃か。
この久しぶりのノアの抵抗にオリバーは興奮した。
ペニスを攻めている手の動きは緩めぬまま膣口を弄っていた手で顎を掴み、ノアの顔をこちらに向けようとした。
「……、やぁ……っ!!!!」
ガリッ
「……ッッ!!?」
顎を掴んだオリバーの指に噛みつき顔を真っ赤に染めながら吐息と共に透明な熱い液をペニスの先から吐き出してノアは呆気なく絶頂を迎えた。
「……っ、痛……っ!!」
オリバーが慌ててノアの口から噛まれた指を引き抜いた。ジンジンと痺れるような痛みを感じる箇所を見てみるとくっきりと歯形のついた部分に薄らと血が滲んでいた。
「……っ、全く…っ、お前はまた…っ!」
思わずカッとなってオリバーが叱ろうとしたその時、絶頂を迎えて気を失ったノアの身体がズルリと膝の上からずり下がって床に落ちそうになり、慌ててその身体を抱き寄せた。
「……ノアっ!?」
抱き寄せたノアの顔を見ると、グッタリしながらも穏やかな寝顔で眠っている。
その寝顔を見て何故かオリバーの中で混み上げた怒りがスーッと収まっていく。
「全く……、お前は…、不思議な奴だ」
ポツリと呟き、はぁ、とゆっくりと深い溜め息をついてノアを再び横抱きに抱え上げたオリバーの顔は今までにない程とても穏やかな表情をしていた。
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