【R18】性奴隷の憂鬱な夢

神の加護

ーー数日前、カリス王国にて。

カリス王国の国王オリバーは王宮の自室で1人、窓の外に降りしきる雨を見ながらワイングラスを傾けていた。

先程、諜報部隊の隊長と面会し、最近ルーカスが不審な動きをしていると報告があった。報告によると希少種がいる檻に度々忍び込み、暫く過ごしているにも関わらず何も情報を報告してこない、と。

そして諜報部隊の隊員と情報屋が相次いで殺された。どう考えてもルーカスの犯行としか思えない。

ークソッ！どいつもこいつも使えぬ！
ルーカスめ、私を裏切るつもりか！？

もしくは希少種に手をつけたのか…！？
卑しい真似をしおって…！！

やはり元々はただの性奴隷だ。

今までが従順でグレタの兄だからと過度な期待をしてしまっていたのかもしれない…。


カリス王国の国王にのみ与えられた｟神の加護｠ーー。

それは親から子へ、子から孫へと子供が生まれると同時に王族の長子に受け継がれる。

｟神の加護｠がある限り肉体はある一定の時期から歳をとらず、精霊の力でさえ跳ね除ける鉄壁の守りを持つ。

幼い頃に父や教育係などからその話を聞いて私もいつか即位して子を授かり、その子供に受け継いでいくのだろうと漠然と思っていた時もあった。

しかしある時、私が｟加護｠を受け継いだと同時に急激に老衰していく父を見て幼心に強い恐怖を感じてしまった。

生きてきた年数の分、その勢いは凄まじいそうだ。

私にも子供は生まれたが｟加護｠を継承する前に皆殺した。


そうすることで私は永遠に生き続ける。

皆、子供に早々と受け継いできてしまったので本当に死なないのかは誰も証明は出来ていないが、私が証明する。

私は人類の永遠の夢『不老不死』を手に入れたのだ。

曾祖父や祖父や父は、皆この素晴らしい力を子供に渡してしまったのか。


｟神の加護｠とは即ち【呪い】でもある。絶大な鉄壁の力を持つ代償として必ずその分リスクは生じる。

長く生きれば生きるほど死や急激な老衰への恐怖や孤独に苛まれる。

なにより、自然の摂理に反している為か精霊には嫌われて魔法が使えない。だから歴代の国王は強力な魔石や魔道具を集めて本来の「鉄壁の守り」と併せて己の権力を保持してきた。

子孫を残すためか性欲も強くて処理に苦労する。

そんな中で奴隷の希少種コレクションは私の数少ない楽しみでもある。
奴隷を蹂躙している時は孤独や国政への悩みなど、全てを忘れられる。

グレタも美しく希少なエルフ族で長命だから長く楽しめたが、そろそろ新鮮味も欲しいものだ。

黒髪黒眼の希少種…楽しみだ。

しかも膨大な魔力を持っている可能性がある。

魔法が使えない私にとっては何としても手に入れたい…ーー。

神の力のみならず精霊の力…、魔法も手に入れてしまえば私には恐れるものは何もなくなるはずだ。

子供の頃に見た古い文献には｟加護｠を持つ者が精霊の寵愛を受けた魔力の強い者と子を成し、子が成長して｟加護｠を継承する際に伴侶の魔力に守られ『死』から逃れることが出来たと読んだことがある…。

あくまでもおとぎ話のような確証のない話ではあるが、この機会に試してみる価値はありそうだ。

子を成して駄目そうならまた殺してしまえばいいだけだ。

早く…、早く手に入れて試してみたい。

こんなに好奇心と期待に胸が躍るのは一体いつぶりだろうか？



ーーーもはや下の者は使えぬ。


私が直々に指揮をとり、まずはルーカスを始末した後に不審な金の動きを理由に不届き者の醜い豚を処刑して何もかも奪ってやる。

ダメ押しで性奴隷にうつつを抜かしていると噂を流して、貧しい生活を送っている国民感情を煽ってやれば簡単に事は進むだろう。

オリバーは残りのワインを飲み干して諜報部隊の隊長を再び部屋へ呼び出し、指示を出した。