【R18】性奴隷の憂鬱な夢

なみ

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ブラッド達が駆けつけた時、ルーシェの顔は真っ白で足元は血の海だった。

ブラッド達は背筋が凍った。

次の瞬間、ルーシェの股間から漆黒の物体がぬるっと産み出され、あっという間に消えていった。

何が起きたのか全く理解出来なかったが、とりあえずルーシェが危ないということだけは解った。

すぐに医師に診てもらったが医師の持つ透視の秘術でルーシェのお腹を確認したところ子供の姿はなく、堕胎しているという事だけだった。

黒い物体の正体は誰も解らず、側にいたギルに聞いてみてもショックが大きかったのか直前の出来事どころか帰省していた事さえ全く覚えておらず、混乱して訳の分からない事をブツブツと呟いていた。

ブラッドの指示で医師が鎮静剤を打ち、数日間は暫く様子を見てとりあえずなんとか落ち着いたところで学園へ帰っていった。

ルーシェはあれからずっと眠ったままだ。以前一ヶ月ほど起きなかった事があったが、今回は眠ったままもう二ヶ月になる。

今回は本当にもう目を覚まさないのではないか。子供を失って、ルーシェも失ったら…今度こそ私は……。

それにが…子供だったとして、ルーシェはそれを見ている。
我が子があんな姿で跡形もなく消えてしまったなんて…。
ああ、なんと伝えればいいのが…。

ブラッドの心は不安と悲しみに満ちていた。

医師の定期診療を受けていた時、ルーシェの睫毛が震える。眩しそうに顔を歪めたかと思うと、ゆっくり瞼を開けた。

「ルーシェ…!?」

良かった……良かった…!!!!
ブラッドの目に涙が滲む。

「あ……、ヨル……?」

「…ん?何だ?」

「僕の…赤ちゃん…」

ルーシェがその言葉を言うと皆が戸惑った。ルーシェは自分のを見ている。

ブラッドは覚悟を決めた。

「ルーシェ…、子供は…死んだ。」

「死んだ…?何言ってるの?」

「………っっ」

ルーシェのキョトンとした顔にブラッドは言葉を詰まらせ涙を流した。

「赤ちゃん、ちゃんと生きてるよ」

「赤ちゃんはずっと僕の傍にいるんだ」

ルーシェは無邪気に笑った。

ブラッドは辛すぎて、もうそれ以上何も言えなかった。

言おうとしても言葉が喉に詰まってうまく紡ぎ出せなかった。

医師には何度も確認してもらっている。
ルーシェはきっと現実を受け入れられていないんだ。私を含め皆がそう思った。

「奥様は精神的にかなり傷付いておられるようです。ですが、きっと時間が真実を教えてくれるでしょう。…とにかく否定せず、静かに現実を受け入れるのを待ちましょう。」

医師はそう言って、帰って行った。



ルーシェの体力が戻ってくると、屋上庭園に移した。

あれ以来、ルーシェは何もない所を見て話しかけたり笑ったりしている。

ブラッドは自分がルーシェを壊してしまったのだと酷く落ち込んだ。

しかし、何があってもずっと愛し抜くと誓った。医師の言う通りルーシェの話は否定せずに気長に、静かに見守ることにした。

いつしかルーシェの女体化は止まり、少しだけ青年らしくなってきた。
ペニスの形も以前の大きさに戻り、僅かだが身長も伸びて筋肉がついてきたように思える。

ルーシェも成長期だ。
きっと年相応の成長と言えばそうかもしれない。

青年らしくなりつつも、ふとした瞬間の見るものの心を蕩けさせるような妖艶な色気と、決して穢してはいけない聖域のような清純さを併存させた不思議な雰囲気を醸し出していた。

ある日、ルーシェが髪を切りたいと言い出した。ブラッドはこの艶のある美しい黒髪が大好きで決して切らせたくはなかったが、好きにさせてあげることにした。

ルーシェの希望通り魔法で初めて会った時と同じ前髪は眉毛にかかるくらいで襟足はスッキリ刈り上げて切ってあげた。

「え?…いいんだよ、これくらいで。ヨル、知らないの?カンリューヘアって言うんだよ。…え?僕はこれが良いの!」

何もない場所に向かって話しながら、ルーシェがぷぅっと頬を膨らませる。

ルーシェが言うには話しているのは自分の子供で、子供の名前は『ヨル』というらしい。

「ヨルか…。ではフルネームはヨル・エイデンだな。」

そう言うとミョウジ!?そう言えばご主人様のフルネーム、聞いたことなかった!と目を輝かせて言うので、代々どこの地の領主もファーストネームは自分の領土の名前を授かっている、と教えるととても感心していた。


ブラッドはそんな無邪気で純粋なルーシェがとても愛おしかった。

「…ヨルは気に入ってなさそうか?」

「前髪もう少し短くてもいいんじゃない?だって!あとカンリューとか意味わかんないとかって……。僕はこれが好きなのにな」

椅子に座ってルーシェが足を子供のように無邪気にパタパタと揺らしながら言う。見た目の年齢よりもずっと幼いその仕草がとても清純で可愛いらしく庇護欲を掻き立てられる。


本当に穏やかだ。

こんなに穏やかで無邪気な笑顔を見れるなら、いっそこのままでいいのかもとさえ思えてくる。

ブラッドは優しく微笑んで、ルーシェの話を聞いていた。

夜になるとルーシェは一気に雰囲気が変わる。窓の外のどこか遠くを見つめて物思いにふけっている。

およその実年齢より大人びたその表情が夜の静かな雰囲気と相まってとても艶めかしい色気を出している。


まるで別人のようだった。

気が触れた人間はまともな人間より魅力的で美しく見える、とはこういう事なのだろうか…?

なんというか…とても神々しい。

でも今までの壊れてしまった奴隷達とは違う…。時々訳の分からない事を言うものの、一応ちゃんと私との会話も出来ているし…。違和感もあったがそれ以上にルーシェの魅力が勝ってしまってどうでもよく感じてきてしまう。

ずっと、ずっと愛してるから……。


ルーシェが堕胎して以来、ブラッドはルーシェを抱いていない。

セックスの代わりにたくさんキスをして、たくさん抱き締めた。
それだけでブラッドの心は満たされるようになった。

たくさん傷付けて壊してしまった罪悪感と、愛し過ぎるが故に、側にいてくれるだけで。笑ってくれているだけでいいと思うようになっていた。
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