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◆episode6
~隠されていた真実と罠~
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封印された地の磐戸を開く為に立場の違う者達が共に協力をするという方向性が決まったまではよかったが、磐戸を開く為の具体的な方法が全く分からない為、まずはそれぞれが知っている情報を出す事となった。
「あの磐戸の封印は、古き者クラスでしか扱うことが出来ない強力な術が施されているのは間違いないと思うのじゃが…」
かつて力ずくで地の磐戸を開けようと試みた事があるアオであったが、全く歯が立たなかった事を思い出して苦い表情を浮かべる。
「スサも自分では開ける事が出来ないって言ってたけど、そんな磐戸の中に通じる勝手口をアオはよく作れたね」
感心した様なピリカの言葉にアオは「前にも話したと思うが、無理やり空間を捻じ曲げて繋げたと言ったであろう? たまたま空間の構成粒子が薄くなって封印の術の影響が弱まって干渉できそうな小さな箇所を磐戸の横に見つける事ができたから出来た事であった…じゃが、そのままでは穴を修復してしまうので時空間エアロックを噛ませて勝手口という体裁を保つしかなかったがの」と肩を竦める。
アオが利用した時空間エアロックというものは、小型で簡易的なものであるから、少し負荷がかかるだけで簡単に吹き飛ぶと言ってアオは苦笑いをした。
「あらあら…時空間エアロックだなんて、銀河連合のどこの部署から拝借してきましたの?」
そんなサクヤの問いかけにアオは「時空管理部の倉庫からちょいと拝借した」と悪戯っ子の様な表情を浮かべる。そんな青龍がおかしかったのかサクヤが「いけない人ね」と言ってクスクスと笑った。
「そもそも時空間なんてもの勝手に塞がったりするものなのか?」
時空間をどうこうするなど、全く想像もつかない話にエルは素朴な疑問を口にする。
「時空間もまた波の性質を持ち合わせておるからな、呼吸をする様に空間粒子の密度が濃くなったり薄くなったりという動きをしておるんじゃが、波動が違う空間と繋がる穴が開くと、元の空間の波動を安定させる為に濃い空間粒子が流れ込んで塞いでしまうんじゃ」
「…?」
よく分からないといった様子のエルに、サクヤが「時空間の構造は肉の衣——身体と同じようなもので空間の穴はいわば怪我の様なもの。怪我をしたら身体はその怪我を治そうとするでしょ?」とエルが理解しやすいようにかみ砕いて説明を加えた。
「あ…なんとなくイメージだけならできる」
「漠然とで構わないから、そういうものだとだけわかっていれば問題はありませんわ」
エルにサクヤは優しく微笑んだ。
「我が作った勝手口の様な小さな空間の穴なら、宇宙全体の時空間に及ぼす影響など微々たるものであるが、スサ様の様な強大な思念体存在を許容する事が出来る時空間となるとそれなりのキャパシティが必要となるので、磐戸の中と外が異なる時空間であるのはそのせいであろうな」
アオの話の内容はピリカやエルにとって難解なものであったが、サクヤはその意見に同意をする。
「無理に異なる時空間の壁を壊して大穴を開ければ、周囲の時空間にも大きな影響を与えて時空雪崩を引き起こす可能性も高いですものね――おそらくスサ様は本当はご自分で磐戸を破る力をお持ちなんでしょうけど、それを懸念してあの場所にずっと留まられているのではないかとわたくしは考えておりますのよ」
サクヤの言葉にピリカは首を傾げ「どういう事?」と尋ねる。
「簡単に説明すると、スサ様が下手に動くとこの銀河世界が壊れるので、スサ様は自分から動くのをやめているってお話」
「…スサとその時空間とかいうやつの何が関係あるの?」
「時空間って連続体だから、どこか一部に強い力が加わるだけで規則性が無くなって簡単に壊れてしまうのよ――それを私たちは便宜上、時空雪崩と呼んでいるのだけど、説明を聞いているだけじゃわかりにくいわよね…」
ポカンとするピリカにサクヤはそう言うと、自分の首飾りを外して見せる。
「この首飾り全体が時空間だと思って下さいね――この首飾りはたくさんの石が連なってできているでしょ? たとえばこの石が「現在」という瞬間で、現在を起点に見て、それよりも古い場所にある石は「過去」であり、新しい場所にあるのが「未来」…」
サクヤはそこまで話すと、おもむろに首飾の紐を引きちぎった。
「あ!」
首飾りを構成していた石が飛び散るのを見てピリカは思わず声を上げる。
「こうなってしまったらもう首飾りとしての存在ではなくなってしまったわよね? 首飾りの意味が無くなったと同時に、石たちの相対性がなくなってしまったから、過去現在未来といった意味もなくなってしまったでしょ? 世界が壊れるっていうのはこういう事」
少しは理解していただけたかしら? というサクヤの問いかけにピリカが少し考え込む。
「ん~…スサが世界を大事にしてるってのはわかった」
それを聞いたサクヤは一瞬きょとんとなり、その次の瞬間笑い出した。
「あなた面白い子ね。…そう、スサさまはこの星を…この世界を愛しておられているの」
「一つの銀河世界の時空間列が壊れてもスサ様自身に問題がある訳ではないが、お優しいお方であるからな」
そう言うとアオは小さなため息を漏らすと「多少手間ではあるが、もう一度他の星を探して雛形を作り直す方法もあったというのに、この辺境の星に非常に愛着を持たれておるからの」と呟いた。
「あら、貴方も同じではありませんか。いろいろ文句をいいながらも、この星に生きる者達を守るために随分長く留まり続けているんですもの」
アオのぼやきにサクヤはそう言ってクスクス笑う。
「我もスサさまの側で雛型計画のお手伝いをさせていただいておったからの――邪魔が入っていろいろ不都合が生じてしまう事となってしまったが、このまま捨て置いて滅びるのを見守るだけというのも我の性分ではないのでな」
そんなアオの言葉を聞いていたエルが疑問を口にする。
「でもさ、前から不思議に思っていたんだけど、アオって俺たちには使えないいろんな事が出来るのに、困りごとの手助けをお願いされても直接手を貸す事はしないよな? その理由ってなんなんだ?」
神やその化身という存在は、困った者を助けたり、願い事を叶えてくれる存在であるとばかり思っていたが、実際にそのような場面があってもアオは一切手を貸す事はなかった事がエルはずっと引っ掛かっていたらしい。
「そういう決まり事となっておると前にも説明をしたと思うが?」
「銀河連合とかが巨人族への直接介入から手を引いていたからって理由じゃないのか? それだったら、また銀河連合が直接介入を再開したんだから、その決まり事も無効になったと思うんだけど」
銀河連合が再介入して新統治政府が樹立されてからも、各方面の調整といった裏方の仕事はしていたようではあったが、神様やその化身といわれている者達は、未だ困っている者達を助ける様な奇跡的な働きは一切していないようにみえた。
「神様や神の化身やお使いって言われている存在は、苦しんでいる者達を助けるのが仕事じゃないのか?」
そんなエルの疑問にアオは呆れ顔になる。
「まだ勘違いしておるようじゃな。我らは弱き者たちの願いをかなえる為の召使ではないぞ――そもそも大神とは宇宙法則そのものだとサタンと面会した折にも話しておったと思うが」
「確かにそんな話になっていたのは俺もあの場所にいたから聞いていたけど、それって俺達レベルから見れば神様の神様みたいな存在の話だと思っていた」
そんなエルの言葉を聞いていたサクヤが微笑む。
「その解釈は間違っていないわ――ただね、この物質世界は何の為に存在しているのかを思い出せば、困っている存在の手助けを直接しない理由というのが判ると思うのだけど」
「物質界の存在理由?」
「そう。宇宙の雛型がどうこうといったわたくし達高次元生命体の事情ではなく、本来の理由」
「私知ってる! 物質界にはいろんな波動の魂が集まるから、そこでいろいろ経験して魂を成長させる為なんでしょ?」
「良く出来ました」
サクヤはピリカに笑顔で頷くとエルに向き直る。
「物質界で発生している個々の問題は、それぞれの学びの為に起きている事だから、かならずそこに答えが隠れているのよ――その答えを探し悟る事が魂の学びとなるから、私達が物質界に存在する者たちの悩みごとの解決の為に直接手を出す事は無いの。子供の宿題を親がやっちゃったら、子供の勉強にはならないでしょ?」
ただ宇宙人や高次元生命体が原因となり物質界に悪影響が出ている事に関しては、それぞれの役目に応じて対応をしているという事であった。
「サタンが蒔いた「あやま知」や地の磐戸の問題については我らの責任であるので、事態の収拾の為に我らもこうして動いておるという訳じゃ」
「そう言う事だったのか…」
ようやくエルは納得したのか、そう言うと頷く。
エルの疑問が解決して話に一区切りがついたのを確認してサクヤは、ずっと黙って控えていたヲキに「貴方たちに伝わっている磐戸開きの儀の伝承を教えて下さるかしら?」と声をかけた。
「伝承は間違っておるという話でしたが…よろしいのでしょうか?」
不安そうなヲキの言葉にサクヤは頷き、アオは「我はそなたらの儀を何度か見掛けてはおるが全てを見知っておる訳ではないのでどこがどう悪いのか指摘しようがない――すべてを聞かせてもらえるか?」とヲキを促す。
「そういう事でしたら…」
少し安心した様な様子でヲキはそう言うと、先祖代々から伝承されてきた、地の磐戸開きの儀について語り始めた。
王仁の末裔であるオニたちの隠れ里には、この世界の秩序を司る大神様がいたが、巨人達の出来の悪さに大神様は怒ってしまい「地の磐戸」の中にお隠れになってしまい、この世界は無秩序となってしまった。という話が代々受け継がれてきたという。
「——最初の段階から事実とは違った話になっておるが、まあいい…続きを聞かせてもらおう」
苦虫を噛みつぶしたようなアオの言葉に促され、ヲキは話を続ける。
「我ら王仁族は巨人族を指導する立場にあったので、大神様が地の磐戸の中へお隠れになった責任を感じて、地の磐戸から大神様が出てきていただくように、磐戸開きの儀式を続けております」
磐戸開きの儀式は毎年決められた太陽と月の位置になった時に執り行われる事となっており、今年は昨夜深夜から今朝がその刻であったのだという。
「太陽と月の配置はこの星の時空間に強く影響を及ぼす重要な役割がありますので、星々の配置まで条件には入ってはいませんが、一応理にかなってますわね」
話を聞いていたサクヤがそう言って頷く。
「では、地の磐戸開きの儀について具体的な説明に入らせていただきます」
ヲキはそう言うと、儀式の流れについて説明を始めた。
地の磐戸の前に忌竹を四方に配置し結界を張り、その結界の中に火櫓を儀式の前日までに設置をする。
儀式は該当日の深夜零時。日付けが変わると同時に始められ、霊山より湧き出た清めの水を撒く先達を先頭に、オニたちは結界内に並んで入って火櫓を取り囲み、世話役の長であるヲキが祝詞を奏上の後、火櫓に火が放たれ、オニたちの唄と舞が祈りを込められて行われるという流れとなっていた。
「巨人族たちが行っておる祈りの儀式も同じようなセオリー通りの流れではあるが、すっかり形骸化しておるの」
やはりといった様子でアオはそう言うと「所作の一つ一つに意味があるのじゃが、その理由について聞いておるか?」とヲキに尋ねると、ヲキは力なく首を左右に振る。
「前日までの結界を張ったりなどの準備は、儀式の場の波長を整え場を清めるというのは、いわば会場の掃除をして、儀式の場を整えるというだけのものであるから、そう深く考える必要はない」
そう言ってアオは小さく笑う。
「儀式当日に日付けが変わると同時というあたりで、既に大切な太陽と月の配置が微妙に狂うておるが、許容範囲といったところではある——次に清めの水を撒くのは、さらに場を清め場の波長を上げるという意味があるので、それは問題は無い」
問題が無いというアオの言葉を聞いてヲキは少しホッとした表情を浮かべる。
「奏上する祝詞はどのようなものじゃ?」
「大祓の祝詞でございます」
即答するヲキの言葉を聞いてピリカが首を傾げる。
「それなぁに?」
「わかりやすく説明すると、知らない間に天の法則…宇宙のルールや地の法則…この星のルールを違反してしまっているから、その違反項目を自分で申告して大神様に許してもらう為の手続きの様なものね」
「謝ったら許してくれるの?」
不思議そうな顔をするピリカにサクヤは小さく笑う。
「言葉だけで謝ればいい話ではないけれど、自分がどんな罪を重ねてきたのか理解していないと改めようがないですからね」
「そりゃそうか。自分が悪い事をしたってわからなきゃ、反省しようがないもんな」とエルが納得した様に頷く。
「…まあ、大祓の祝詞といっても長い年月が経っている間に受け継いだ者たちによって改変が繰り返されておるし、古き者たちや伊弉諾が黄泉の国より帰り着き清めの為に使っていた「天津祝詞の大祝詞事」も既に失われた強力な清めの言霊…この者達ではその事も今や知り様がないので仕方がない話じゃな」
「改変…一言一句すべてを覚えよ。その言葉を勝手に変えてはいけないと言い伝えられていると聞かせれておりましたのに、実際にはそんな事が…」
自分たちが正しく伝承されていたと思っていたものは改変を繰り返されていたものと知り、ヲキを始めオニ達はショックを隠せない様であった。
「「あやま知」は欲に巧妙に忍び寄って、本物となり代わるのが常であるからのう――それは王仁たちであっても例外ではなかったという事じゃ」
慰めにもならないアオの言葉にヲキががっくりとうなだれる。
「今まで語って来た地の磐戸開きの儀の説明はまだ序章の部分であろう…続きを聞かせてもらえるかな?」
「はい…」
ヲキは暗い表情で儀式についての続きを話し始めた。
「祈りの唄と踊りは秩序を司る大神様を慰め、祈りの思いを増幅させる為、全ての所作を合わせて奉納を行い、その後に大神様への貢物を捧げる儀を執り行います」
「スサ様への貢物?」
この話はサクヤ自身初耳だったらしく怪訝な顔になる。
「はい…大神様の復活を祈り、生命力の塊である心の臓を献上させていただいております」
「!!」
ヲキの言葉を聞いた瞬間、サクヤは驚きのあまり言葉を失う。
「ちょっと待て、心の臓と言ったな、その様なものを何故に⁈」
かなり厳しい口調のアオの詰問にヲキはおびえる様に言葉を返す。
「大神様が磐戸からお出ましになってつつがなくお働きいただけますよう、大神様の血肉として頂く為に一族の中から選ばれた者を贄として選び、その者の心の臓を捧げております」
それを聞いた瞬間、アオは天を仰ぎ盛大なため息を吐く。
「ここでもか…アトランティス末期、ムー、マヤやインカ、古代エジプトの統治時代然り、この星の文明が繁栄する度に太陽や神に贄を捧げれば喜んでもらえる、その返礼として天の恵みを得ることが出来ると信じ込む輩が湧いてくる――贄は穢れであるから一切そのような事をしてはならぬと、何度も固く禁じておるのに、いつまでたっても無くならぬのぅ…まこと嘆かわしい事じゃ」
そんなアオの嘆きにヲキは真剣な様子で「我らは犠牲を厭いませぬ――大神様がお出ましになられる為とあれば、喜んで潔く命を散らす所存でございます」と一族の覚悟を口にした。それを聞いたサクヤは悲しみの表情を浮かべる。
「命は喜びという花を咲かす為にありますの。散る為にあるのではありません」
「大神様のお役に立つのであれば、それは我らの喜びでございます」
珍しくヲキはサクヤに反論をすると、サクヤは悲しそうに無言で左右に首を振った。そんなサクヤの想いを代弁する様にアオが「自己満足の為に尊い命を散らすとは愚かな事じゃ」と呟いた。
「そもそも神は与えっぱなしじゃ――貢物など要求はせぬ。うぬがここに存在しておるのも、水も空気も大神が魂の学びの為に与えたものではないか。何一つ自分が生み出したものではないにも関わらず、それを自分のものとして捧げるなどとおこがましいにも程があるわ」
怒りを通り越して呆れたのかアオは「何かに対して対価を要求するのは悪魔がする事である事すらわからなくなっておる様ではどうしようもない」と言うと、それ以上オニたちの話を聞いていても仕方がないといった様子で席を立った。
「…みんなでスサをあそこから出す相談するんじゃなかったの?」
「時間の無駄じゃ。清浄でなければいけない場を贄で穢しているようでは話にならぬ」
ピリカの問いかけにアオは吐き捨てるように答えた。
「難しい事よくわかんないけど、アオが本気で怒ってるのは判った…他の方法考えるしかないね。エル、行こ」
ピリカはそう言うと、横にいたエルを促し、アオの肩に飛び乗る。
「…行ってしまわれるのですか?」
残念そうなサクヤにアオは頷く。
「世話になった。——サタンが仕込んだ「あやま知」の欲に付け込んだ罠がこんな場所にまで根を張っておってはどうしようもない」
苦い表情のまま館を出るアオとは対照的に、ピリカは「サクヤちゃんまたね」と無邪気に手を振る。そんな客人を見送ったサクヤは深いため息を吐いた。
「あの磐戸の封印は、古き者クラスでしか扱うことが出来ない強力な術が施されているのは間違いないと思うのじゃが…」
かつて力ずくで地の磐戸を開けようと試みた事があるアオであったが、全く歯が立たなかった事を思い出して苦い表情を浮かべる。
「スサも自分では開ける事が出来ないって言ってたけど、そんな磐戸の中に通じる勝手口をアオはよく作れたね」
感心した様なピリカの言葉にアオは「前にも話したと思うが、無理やり空間を捻じ曲げて繋げたと言ったであろう? たまたま空間の構成粒子が薄くなって封印の術の影響が弱まって干渉できそうな小さな箇所を磐戸の横に見つける事ができたから出来た事であった…じゃが、そのままでは穴を修復してしまうので時空間エアロックを噛ませて勝手口という体裁を保つしかなかったがの」と肩を竦める。
アオが利用した時空間エアロックというものは、小型で簡易的なものであるから、少し負荷がかかるだけで簡単に吹き飛ぶと言ってアオは苦笑いをした。
「あらあら…時空間エアロックだなんて、銀河連合のどこの部署から拝借してきましたの?」
そんなサクヤの問いかけにアオは「時空管理部の倉庫からちょいと拝借した」と悪戯っ子の様な表情を浮かべる。そんな青龍がおかしかったのかサクヤが「いけない人ね」と言ってクスクスと笑った。
「そもそも時空間なんてもの勝手に塞がったりするものなのか?」
時空間をどうこうするなど、全く想像もつかない話にエルは素朴な疑問を口にする。
「時空間もまた波の性質を持ち合わせておるからな、呼吸をする様に空間粒子の密度が濃くなったり薄くなったりという動きをしておるんじゃが、波動が違う空間と繋がる穴が開くと、元の空間の波動を安定させる為に濃い空間粒子が流れ込んで塞いでしまうんじゃ」
「…?」
よく分からないといった様子のエルに、サクヤが「時空間の構造は肉の衣——身体と同じようなもので空間の穴はいわば怪我の様なもの。怪我をしたら身体はその怪我を治そうとするでしょ?」とエルが理解しやすいようにかみ砕いて説明を加えた。
「あ…なんとなくイメージだけならできる」
「漠然とで構わないから、そういうものだとだけわかっていれば問題はありませんわ」
エルにサクヤは優しく微笑んだ。
「我が作った勝手口の様な小さな空間の穴なら、宇宙全体の時空間に及ぼす影響など微々たるものであるが、スサ様の様な強大な思念体存在を許容する事が出来る時空間となるとそれなりのキャパシティが必要となるので、磐戸の中と外が異なる時空間であるのはそのせいであろうな」
アオの話の内容はピリカやエルにとって難解なものであったが、サクヤはその意見に同意をする。
「無理に異なる時空間の壁を壊して大穴を開ければ、周囲の時空間にも大きな影響を与えて時空雪崩を引き起こす可能性も高いですものね――おそらくスサ様は本当はご自分で磐戸を破る力をお持ちなんでしょうけど、それを懸念してあの場所にずっと留まられているのではないかとわたくしは考えておりますのよ」
サクヤの言葉にピリカは首を傾げ「どういう事?」と尋ねる。
「簡単に説明すると、スサ様が下手に動くとこの銀河世界が壊れるので、スサ様は自分から動くのをやめているってお話」
「…スサとその時空間とかいうやつの何が関係あるの?」
「時空間って連続体だから、どこか一部に強い力が加わるだけで規則性が無くなって簡単に壊れてしまうのよ――それを私たちは便宜上、時空雪崩と呼んでいるのだけど、説明を聞いているだけじゃわかりにくいわよね…」
ポカンとするピリカにサクヤはそう言うと、自分の首飾りを外して見せる。
「この首飾り全体が時空間だと思って下さいね――この首飾りはたくさんの石が連なってできているでしょ? たとえばこの石が「現在」という瞬間で、現在を起点に見て、それよりも古い場所にある石は「過去」であり、新しい場所にあるのが「未来」…」
サクヤはそこまで話すと、おもむろに首飾の紐を引きちぎった。
「あ!」
首飾りを構成していた石が飛び散るのを見てピリカは思わず声を上げる。
「こうなってしまったらもう首飾りとしての存在ではなくなってしまったわよね? 首飾りの意味が無くなったと同時に、石たちの相対性がなくなってしまったから、過去現在未来といった意味もなくなってしまったでしょ? 世界が壊れるっていうのはこういう事」
少しは理解していただけたかしら? というサクヤの問いかけにピリカが少し考え込む。
「ん~…スサが世界を大事にしてるってのはわかった」
それを聞いたサクヤは一瞬きょとんとなり、その次の瞬間笑い出した。
「あなた面白い子ね。…そう、スサさまはこの星を…この世界を愛しておられているの」
「一つの銀河世界の時空間列が壊れてもスサ様自身に問題がある訳ではないが、お優しいお方であるからな」
そう言うとアオは小さなため息を漏らすと「多少手間ではあるが、もう一度他の星を探して雛形を作り直す方法もあったというのに、この辺境の星に非常に愛着を持たれておるからの」と呟いた。
「あら、貴方も同じではありませんか。いろいろ文句をいいながらも、この星に生きる者達を守るために随分長く留まり続けているんですもの」
アオのぼやきにサクヤはそう言ってクスクス笑う。
「我もスサさまの側で雛型計画のお手伝いをさせていただいておったからの――邪魔が入っていろいろ不都合が生じてしまう事となってしまったが、このまま捨て置いて滅びるのを見守るだけというのも我の性分ではないのでな」
そんなアオの言葉を聞いていたエルが疑問を口にする。
「でもさ、前から不思議に思っていたんだけど、アオって俺たちには使えないいろんな事が出来るのに、困りごとの手助けをお願いされても直接手を貸す事はしないよな? その理由ってなんなんだ?」
神やその化身という存在は、困った者を助けたり、願い事を叶えてくれる存在であるとばかり思っていたが、実際にそのような場面があってもアオは一切手を貸す事はなかった事がエルはずっと引っ掛かっていたらしい。
「そういう決まり事となっておると前にも説明をしたと思うが?」
「銀河連合とかが巨人族への直接介入から手を引いていたからって理由じゃないのか? それだったら、また銀河連合が直接介入を再開したんだから、その決まり事も無効になったと思うんだけど」
銀河連合が再介入して新統治政府が樹立されてからも、各方面の調整といった裏方の仕事はしていたようではあったが、神様やその化身といわれている者達は、未だ困っている者達を助ける様な奇跡的な働きは一切していないようにみえた。
「神様や神の化身やお使いって言われている存在は、苦しんでいる者達を助けるのが仕事じゃないのか?」
そんなエルの疑問にアオは呆れ顔になる。
「まだ勘違いしておるようじゃな。我らは弱き者たちの願いをかなえる為の召使ではないぞ――そもそも大神とは宇宙法則そのものだとサタンと面会した折にも話しておったと思うが」
「確かにそんな話になっていたのは俺もあの場所にいたから聞いていたけど、それって俺達レベルから見れば神様の神様みたいな存在の話だと思っていた」
そんなエルの言葉を聞いていたサクヤが微笑む。
「その解釈は間違っていないわ――ただね、この物質世界は何の為に存在しているのかを思い出せば、困っている存在の手助けを直接しない理由というのが判ると思うのだけど」
「物質界の存在理由?」
「そう。宇宙の雛型がどうこうといったわたくし達高次元生命体の事情ではなく、本来の理由」
「私知ってる! 物質界にはいろんな波動の魂が集まるから、そこでいろいろ経験して魂を成長させる為なんでしょ?」
「良く出来ました」
サクヤはピリカに笑顔で頷くとエルに向き直る。
「物質界で発生している個々の問題は、それぞれの学びの為に起きている事だから、かならずそこに答えが隠れているのよ――その答えを探し悟る事が魂の学びとなるから、私達が物質界に存在する者たちの悩みごとの解決の為に直接手を出す事は無いの。子供の宿題を親がやっちゃったら、子供の勉強にはならないでしょ?」
ただ宇宙人や高次元生命体が原因となり物質界に悪影響が出ている事に関しては、それぞれの役目に応じて対応をしているという事であった。
「サタンが蒔いた「あやま知」や地の磐戸の問題については我らの責任であるので、事態の収拾の為に我らもこうして動いておるという訳じゃ」
「そう言う事だったのか…」
ようやくエルは納得したのか、そう言うと頷く。
エルの疑問が解決して話に一区切りがついたのを確認してサクヤは、ずっと黙って控えていたヲキに「貴方たちに伝わっている磐戸開きの儀の伝承を教えて下さるかしら?」と声をかけた。
「伝承は間違っておるという話でしたが…よろしいのでしょうか?」
不安そうなヲキの言葉にサクヤは頷き、アオは「我はそなたらの儀を何度か見掛けてはおるが全てを見知っておる訳ではないのでどこがどう悪いのか指摘しようがない――すべてを聞かせてもらえるか?」とヲキを促す。
「そういう事でしたら…」
少し安心した様な様子でヲキはそう言うと、先祖代々から伝承されてきた、地の磐戸開きの儀について語り始めた。
王仁の末裔であるオニたちの隠れ里には、この世界の秩序を司る大神様がいたが、巨人達の出来の悪さに大神様は怒ってしまい「地の磐戸」の中にお隠れになってしまい、この世界は無秩序となってしまった。という話が代々受け継がれてきたという。
「——最初の段階から事実とは違った話になっておるが、まあいい…続きを聞かせてもらおう」
苦虫を噛みつぶしたようなアオの言葉に促され、ヲキは話を続ける。
「我ら王仁族は巨人族を指導する立場にあったので、大神様が地の磐戸の中へお隠れになった責任を感じて、地の磐戸から大神様が出てきていただくように、磐戸開きの儀式を続けております」
磐戸開きの儀式は毎年決められた太陽と月の位置になった時に執り行われる事となっており、今年は昨夜深夜から今朝がその刻であったのだという。
「太陽と月の配置はこの星の時空間に強く影響を及ぼす重要な役割がありますので、星々の配置まで条件には入ってはいませんが、一応理にかなってますわね」
話を聞いていたサクヤがそう言って頷く。
「では、地の磐戸開きの儀について具体的な説明に入らせていただきます」
ヲキはそう言うと、儀式の流れについて説明を始めた。
地の磐戸の前に忌竹を四方に配置し結界を張り、その結界の中に火櫓を儀式の前日までに設置をする。
儀式は該当日の深夜零時。日付けが変わると同時に始められ、霊山より湧き出た清めの水を撒く先達を先頭に、オニたちは結界内に並んで入って火櫓を取り囲み、世話役の長であるヲキが祝詞を奏上の後、火櫓に火が放たれ、オニたちの唄と舞が祈りを込められて行われるという流れとなっていた。
「巨人族たちが行っておる祈りの儀式も同じようなセオリー通りの流れではあるが、すっかり形骸化しておるの」
やはりといった様子でアオはそう言うと「所作の一つ一つに意味があるのじゃが、その理由について聞いておるか?」とヲキに尋ねると、ヲキは力なく首を左右に振る。
「前日までの結界を張ったりなどの準備は、儀式の場の波長を整え場を清めるというのは、いわば会場の掃除をして、儀式の場を整えるというだけのものであるから、そう深く考える必要はない」
そう言ってアオは小さく笑う。
「儀式当日に日付けが変わると同時というあたりで、既に大切な太陽と月の配置が微妙に狂うておるが、許容範囲といったところではある——次に清めの水を撒くのは、さらに場を清め場の波長を上げるという意味があるので、それは問題は無い」
問題が無いというアオの言葉を聞いてヲキは少しホッとした表情を浮かべる。
「奏上する祝詞はどのようなものじゃ?」
「大祓の祝詞でございます」
即答するヲキの言葉を聞いてピリカが首を傾げる。
「それなぁに?」
「わかりやすく説明すると、知らない間に天の法則…宇宙のルールや地の法則…この星のルールを違反してしまっているから、その違反項目を自分で申告して大神様に許してもらう為の手続きの様なものね」
「謝ったら許してくれるの?」
不思議そうな顔をするピリカにサクヤは小さく笑う。
「言葉だけで謝ればいい話ではないけれど、自分がどんな罪を重ねてきたのか理解していないと改めようがないですからね」
「そりゃそうか。自分が悪い事をしたってわからなきゃ、反省しようがないもんな」とエルが納得した様に頷く。
「…まあ、大祓の祝詞といっても長い年月が経っている間に受け継いだ者たちによって改変が繰り返されておるし、古き者たちや伊弉諾が黄泉の国より帰り着き清めの為に使っていた「天津祝詞の大祝詞事」も既に失われた強力な清めの言霊…この者達ではその事も今や知り様がないので仕方がない話じゃな」
「改変…一言一句すべてを覚えよ。その言葉を勝手に変えてはいけないと言い伝えられていると聞かせれておりましたのに、実際にはそんな事が…」
自分たちが正しく伝承されていたと思っていたものは改変を繰り返されていたものと知り、ヲキを始めオニ達はショックを隠せない様であった。
「「あやま知」は欲に巧妙に忍び寄って、本物となり代わるのが常であるからのう――それは王仁たちであっても例外ではなかったという事じゃ」
慰めにもならないアオの言葉にヲキががっくりとうなだれる。
「今まで語って来た地の磐戸開きの儀の説明はまだ序章の部分であろう…続きを聞かせてもらえるかな?」
「はい…」
ヲキは暗い表情で儀式についての続きを話し始めた。
「祈りの唄と踊りは秩序を司る大神様を慰め、祈りの思いを増幅させる為、全ての所作を合わせて奉納を行い、その後に大神様への貢物を捧げる儀を執り行います」
「スサ様への貢物?」
この話はサクヤ自身初耳だったらしく怪訝な顔になる。
「はい…大神様の復活を祈り、生命力の塊である心の臓を献上させていただいております」
「!!」
ヲキの言葉を聞いた瞬間、サクヤは驚きのあまり言葉を失う。
「ちょっと待て、心の臓と言ったな、その様なものを何故に⁈」
かなり厳しい口調のアオの詰問にヲキはおびえる様に言葉を返す。
「大神様が磐戸からお出ましになってつつがなくお働きいただけますよう、大神様の血肉として頂く為に一族の中から選ばれた者を贄として選び、その者の心の臓を捧げております」
それを聞いた瞬間、アオは天を仰ぎ盛大なため息を吐く。
「ここでもか…アトランティス末期、ムー、マヤやインカ、古代エジプトの統治時代然り、この星の文明が繁栄する度に太陽や神に贄を捧げれば喜んでもらえる、その返礼として天の恵みを得ることが出来ると信じ込む輩が湧いてくる――贄は穢れであるから一切そのような事をしてはならぬと、何度も固く禁じておるのに、いつまでたっても無くならぬのぅ…まこと嘆かわしい事じゃ」
そんなアオの嘆きにヲキは真剣な様子で「我らは犠牲を厭いませぬ――大神様がお出ましになられる為とあれば、喜んで潔く命を散らす所存でございます」と一族の覚悟を口にした。それを聞いたサクヤは悲しみの表情を浮かべる。
「命は喜びという花を咲かす為にありますの。散る為にあるのではありません」
「大神様のお役に立つのであれば、それは我らの喜びでございます」
珍しくヲキはサクヤに反論をすると、サクヤは悲しそうに無言で左右に首を振った。そんなサクヤの想いを代弁する様にアオが「自己満足の為に尊い命を散らすとは愚かな事じゃ」と呟いた。
「そもそも神は与えっぱなしじゃ――貢物など要求はせぬ。うぬがここに存在しておるのも、水も空気も大神が魂の学びの為に与えたものではないか。何一つ自分が生み出したものではないにも関わらず、それを自分のものとして捧げるなどとおこがましいにも程があるわ」
怒りを通り越して呆れたのかアオは「何かに対して対価を要求するのは悪魔がする事である事すらわからなくなっておる様ではどうしようもない」と言うと、それ以上オニたちの話を聞いていても仕方がないといった様子で席を立った。
「…みんなでスサをあそこから出す相談するんじゃなかったの?」
「時間の無駄じゃ。清浄でなければいけない場を贄で穢しているようでは話にならぬ」
ピリカの問いかけにアオは吐き捨てるように答えた。
「難しい事よくわかんないけど、アオが本気で怒ってるのは判った…他の方法考えるしかないね。エル、行こ」
ピリカはそう言うと、横にいたエルを促し、アオの肩に飛び乗る。
「…行ってしまわれるのですか?」
残念そうなサクヤにアオは頷く。
「世話になった。——サタンが仕込んだ「あやま知」の欲に付け込んだ罠がこんな場所にまで根を張っておってはどうしようもない」
苦い表情のまま館を出るアオとは対照的に、ピリカは「サクヤちゃんまたね」と無邪気に手を振る。そんな客人を見送ったサクヤは深いため息を吐いた。
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