Santa is…

Atelier Sfida

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サンタさんはね…

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本当にいるんだよ。


「今年からは君が、サンタクロースになるんだ。
クリスマスには君が、この子を笑顔にするんだよ」


僕が君のパパになった年のクリスマス
サンタさんが現れて、こう言ったんだ。



信じるかい?


***   ***


君が、サンタさんへ
初めてお手紙を書いてきた時

僕は嬉しくって嬉しくって、封を開ける手が震えたよ。


サンタさんのために、一生懸命書いた手紙。


今ではこれは、僕の宝物の一つだ。


そして君への初めてのクリスマスプレゼント



本当にこれでいいのかな。

サンタさんからのプレゼントって思ってくれるかな。

喜んでくれたらいいな。


そんなことを思いながら
押し入れに隠したんだ。


***   ***


クリスマスの朝は大変だった。

プレゼントを抱えた君は


「サンタさんがきた!」


って、大はしゃぎ。


それから僕は毎年
クリスマスが来るのが楽しみになったんだ。


***   ***


いつからか君は

「サンタさんに会ってみたい」

って言うようになった。


サンタを信じていれば、
いつか会えるよ、って言ってたけれど
ある年のサンタさんへの手紙


『本物のサンタさんに会いたい』


と書かれていた。



本物の…どう言うことだったんだろう。



『本物のサンタさんに会いたい』


それ以外
何も書かれていなかった。
覚えているかい?


***


その年は何のプレゼントも用意出来ないまま
イヴの夜を迎えた。

君はニコニコしながら部屋に入って行ったけど
僕らは、それからは溜め息しか出なかった。
クリスマスの夜なのに。


そうしたらね


窓を叩く音が聞こえたんだ。


そしてカーテンを開けてみると
見覚えのある顔の人が立っていた。


僕はびっくりして声が出なかった。


大きな箱を抱えていたその人は
それを持って君の部屋に行き
枕元にそれを置いた。

それから彼は
僕らが用意したミルクとクッキーを食べて
出て行った。

そして去り際にこう言ったんだ。


「サンタを信じていれば、いつか必ず会えますよ。
なぜなら…」


そうだ。


僕は君が生まれた時に、彼に会ったんだ。
そして君のためのサンタクロースに任命されたんだ。


彼はニッコリ笑って、そしてまた旅立って行った。



この話、君は信じるかい?



サンタさんはね
本当にいるんだよ。



追伸:
サンタさんは帰りにこうも言っていたんだ。
僕たちにもプレゼントがあるって。

何だったと思う?

それは君と同じくらい
最高の宝物だったんだよ。
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