最速レベルアップはダンジョン飯バフで!~ハズレスキル《料理強化》が実は経験値取得量増加のバフが可能な最強スキルでした!~

ある中管理職

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48話 クイーンゴブリンのスキル

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「あれ、召喚されたモンスターじゃない……」
「ああ。もしかすると経験値をかき集めるために各階層でゴブリン、いや他にもいろんなモンスターを育成して刈り取るつもりなのかもしれない」
「こんなのダンジョンを私物化しているようなものじゃないですか……。それにこのレベルのモンスターが当たり前のようにこんな階層にいたら新人探索者はずっと浅い層で……いいえ、最悪1階層まで似たような状況を作られてろくにレベル上げができないですよ」
「レベル上げができないだけならまだしも、危なく死人が出るところだったのはどう考えてるのか……」
「新人、というか弱い奴はどうでもいいって考えなのかもよ。だって見てあれ。クイーンゴブリンのやつ私たちを指差して……これ、一気に襲ってくるわよ」

 ホブゴブリンウォリアー、ホブゴブリンナイトは進化したことで身に纏う武具まで強化されているのか、依然と比べて汚れや穴のようなものはまるで見えず、きらりと輝くそれを見せつけるようにして俺たちのもとまで駆けだした。

 しかも、雑に突っ込むのではなくしっかり隊列を組んで。

 もはや、ミークの言うように探索者でさえただの経験値として処理してしまおうという腹なのだろうか?

「『真空波』!!」
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 範囲はかなり狭いが、一応遠距離攻撃が可能な俺とミークでまずは隊列を崩すためにスキルで攻撃。

 鎧の高い強度のせいで怯みはするものの、致命傷には繋がらない。
 だが、ある程度隙を作ってしまえば朝比奈さんが迷いなく突っ込める。

 そうなれば続けてミークがそのサポートとなって硬い奴から処理。

 俺はそんな2人の進撃を回避してきた奴らを確実に殺す。

前線に朝比奈さん、それからミーク、俺という順番で陣形を組むのが今の俺達にはあっているようだ。

ただ、敵の数は2階層と比べてもかなり多い。
 それに……。

「ミーク! 召喚モンスターだからって今回は情をかける余裕はないぞ!!」
「わ、分かってるわよ!」
「うらあああああああああああああああっ!!『ファイアボール』!!」

 今回のように敵が召喚モンスターとなるとミークの動きが若干だが鈍る。

 敵が正真正銘、分かりやすいくらい悪役だったならいいのに……。

「――それにしても、数が多い、なっ!!」
「もう、鬱陶しいわねっ!!」
「『ファイアボール』! 『ファイアボール』! ……6段攻撃!」

 そんなことを思いながらも淡々と戦いその数を減らす。
 しかし、かなりの数を殺したはずなのに、いつまでもクイーンゴブリンのもとには辿り着かない。

 というのも……。

「き、きゃあ……ぼえ゛……」
「またあいつ……。厄介過ぎるわね」

 クイーンゴブリンのスキルなのだろ、死んだホブゴブリンが出るとそれを運び出す個体が数匹いて、その死体を食うたびにクイーンゴブリンは新しいゴブリンをその口から産む。

 かなりグロテスクな絵面だが、これがほぼ永遠に続いているという地獄だ。

 さらに言えば、生まれたばかりのゴブリンにも戦闘による経験値が分配されているようで、すぐに進化。
 新しい兵はあっという間に供給される。

「ファイア、ボールっ!」
「ひなた! あなたは後ろに! 私と入れ替わりなさい!」

 ついにはダメージはなくとも疲労の蓄積が顕著な朝比奈さんが後退。
 俺たちは徐々に徐々に押し込まれる形になってしまっている。

 広い範囲スキルがあればこの状況を打開できるのだろうけど……あいにくそんなスキルは誰も持ち合わせていない。

「一旦引く、か……」

『レベルが上がりました。武器のレベルも上がりました。料理強化フェーズ1が2に――』

「待ってください。もう少し、多分もう少しで……。あとはレベル、レベルさえ上がれば……。実はずっとここに来るまでに3階層に移動するその間に、私がもっと強くなるためにどうすればいいか考えてアナウンスに質問をぶつけてました。それで、私は魔法を使えるけど、あの男のようなファイアボールを放つことはできない。でも、似たような威力の魔法をを放てる装飾品を生成できるようにはなる、らしいです。『武器装飾』、これの炎属性だけですがもう少しで条件が……」
「レベルって、あといくつですか?」
「まだ遠いんですけど……100――」
「大丈夫だと思います。なぜならゴブリン料理強化、それに料理強化のフェーズが2になりましたから。究極で完璧な血抜き、臭み処理、言わずもがなの素材の毒消し。戦闘というなの高速捌き、刺身づくりを決行します。ミーク! 俺の近くに! こいつらを全員で一気に喰らうぞ!」
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